『素浪人 月影兵庫』(すろうにん つきかげひょうご)は、2007年にテレビ朝日系列で放送された時代劇ドラマ。南條範夫の同名時代小説を原作に、剣の達人・月影兵庫と旅ガラス・焼津の半次が旅をする途中で、弱きを助け悪い奴を懲らしめていく、という内容である。
主演の松方弘樹は、1965年からNETテレビ(現:テレビ朝日)系列で放送された『素浪人 月影兵庫』の主役・近衛十四郎の長男であり、40年近くを経て親子2代で月影兵庫を演じた。また『名奉行 遠山の金さん』以来約10年ぶりの時代劇主演だった。なお、本作終了をもって、テレビ朝日で1959年2月のNET開局から約48年半続けた連続テレビ時代劇制作について、一旦その幕を閉じた。
旧作の『素浪人 月影兵庫』において、月影兵庫は猫、焼津の半次は蜘蛛が大の苦手という設定だったが、リメイクされた本作では、兵庫が蜘蛛、半次は雷が大の苦手という設定に変更された。他に、兵庫は「きつねうどんが大好き」という設定が追加され、兵庫がきつねうどんをおいしそうに食べるシーンがある。
松方は本作に出演するにあたり、「ぜひ、半次に」と小沢仁志をプロデューサーに強く推薦した。松方は何度も小沢と共演しており、アウトロー的な役柄が多い小沢の演技に何とも言えない愛嬌を見出した、と松方は説明している。しかし、小沢は時代劇は殆ど初体験だったため、松方から時代劇のイロハを叩き込まれた。旧作をリアルタイムで観ていた世代からは、近衛十四郎とのやりとりが絶妙だった初代・半次役の品川隆二が持つ存在感には遠く及ばない、という意見もあった。なお、初代・半次を演じた品川はナレーションを担当し、第1話と最終話ではゲスト出演もしている。
本作の出演に当たって松方は、「おやじ殿(近衛十四郎)の十八番でしたから、やるのはつらいですよ。でも、僕なりに明るくやってます。」
と大きなプレッシャーと葛藤があったことを正直に打ち明けている。3日間考え抜き、結局それを全て承知の上で引き受けたのは、テレビ朝日系連続時代劇が約半世紀の歴史に幕を降ろすという点に衝撃を受けたのが大きいという。そのため、松方が『素浪人 月影兵庫』関係のインタビューに応えた際には「(テレビ朝日系連続時代劇が)僕の時代で終わってしまうことは、先輩方に大変申し訳なく、切ない」と無念の思いを残している。松方は時代劇連続ドラマの未来を憂い、「諸先輩から受け継いだ時代劇の伝統を、若い役者につなぎたい。そのためにも、テレビ局は時代劇をたくさん作って」と役者を超えた立場で訴え続けた。
テレビ朝日・東映の時代劇制作関係者も松方と気持ちは同じで、「今回をもって、連続時代劇は一旦終了」という風に表現しているが、時代劇をとりまく環境は確実に変化しており、東映がテレビ朝日と共同で手掛けるテレビ時代劇が今後また復活するかどうかについては不透明である。
平均視聴率 9.05 %(視聴率は関東地区・ビデオリサーチ社調べ)
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