洛南高等学校・附属中学校(らくなんこうとうがっこう・ふぞくちゅうがっこう)は、京都府京都市南区壬生通八条下ル東寺町に所在し、中高一貫教育を実施する私立高等学校・中学校。
設置者は真言宗各派が参画する学校法人真言宗洛南学園であり、学校は東寺(教王護国寺)の境内にある。
高等学校においては、中学校から入学した内部進学の生徒と高等学校から入学した外部進学の生徒との間において、混合してクラスを編成する併設型中高一貫教育校(内外混合クラス編成)。
以下の5項目である。
また高等学校および附属中学校に共通の教育方針は、以下の3つの柱で、自らを伸ばしていく教育であり、賢く、熱く、おおらかに生きる力のある「人」を育むことである。
仏教の三帰依(帰依仏・帰依法・帰依僧)を現代の言葉に直して校訓とし、生徒の指針として位置づける。
本校の源流は、828年(天長5年)、空海が創立した綜芸種智院に端を発するとされているが、綜芸種智院は空海の死後、20年弱で廃止されている。
現在の洛南高校の前身は、1881年(明治14年)、真言宗の教育機関として釈雲照が設立した総黌である。総黌は1902年(明治35年)、「私立古義真言宗聯合高等中学林」と改称し、1917年(大正6年)、高等教育機関である真言宗京都大学(種智院大学の前身)と中等教育機関である「真言宗京都中学」に分離した。1926年(大正15年)、「東寺中学校」(旧制)と改称する。東寺中学校は戦後の学制改革の下で、1948年(昭和23年)、学校法人真言宗京都学園が設置する「東寺高等学校」となった。
1962年(昭和37年) 、「東寺高等学校」を「洛南高等学校」と改称する。それに併せて、当時の副校長三浦俊良らが中心になって校内の改革を行った。
まず、風紀を改め、校則を厳しくし、不良生徒を一掃、退学を含む処分で大幅に取り締まった。「特別進学コース」(特進コース)を設置・商業科を廃止し、普通コースと従来からある自動車科(1993年廃止)の3コース制となる。
このとき、国宝東寺百合文書を売却し、その収益で校舎の増改築を行った。
特進コースの設置後は進学実績が上昇し、関関同立に何人か合格する程度であったが、昭和50年代後半に京大合格者を輩出し、新興進学校のパイオニアとしての評価を受け始めるようになる。
1978年(昭和53年)、準特別進学コースを設置。1982年(昭和57年)、普通コースを「I類」、自動車コースを「II類」、特別進学コース・準特別進学コースをそれぞれ「III類A・III類B」と改称する。京都の高校でコース名に「類」という語を初めて用い、その後、京都府立高校で「類」というコース名が用いられるようになった。
1985年(昭和60年)、洛南高等学校附属中学校が開校し、中高一貫教育となる。
長らく男子校であったが、2006年(平成18年)男女共学となる。
2011年(平成23年)、洛南高等学校・附属中学校を運営する「学校法人真言宗京都学園」は、経営不振であった種智院大学を分離し、「学校法人真言宗洛南学園」へと設置者変更(経営移管)した。種智院大学は「学校法人綜藝種智院」が運営し、経営が分離することとなる。
2013年(平成25年)、I類・III類を廃し、附属中学からの内部進学生と合流する「空パラダイム」と、個性を伸ばすことを目的とする「海パラダイム」の2コースに再編される(コース名は全国で唯一である)。「海パラダイム」はさらに京阪神大学を目指す"αプログラム"と部活動などの課外活動を重視する"βプログラム"に分かれている。
2014年(平成26年)、洛南高等学校附属小学校(京都府向日市)が開校し、小中高一貫教育となる。
1962年(昭和37年)の校内改革以来、かつてはスパルタ教育のイメージとして知られていた。日本最古の私学である綜芸種智院の流れを汲み、抹消的な校則だけでなく、勉学に対する姿勢、挨拶などの礼儀作法や公共性の確立といったしつけの面で厳格である。
宗教色は強く打ち出してはいないが、宗教の時間は中1から高3まで週1回必須である。授業中に「お勤め」と呼ばれる勤行(お経を唱える)を行い、日々の生活などに対しての作文をノートに書く。定期考査ごとに提出の必要がある。
2002年まで詰襟学生服のみならず制帽まであり、ホック指導が行われていた。男子校であったが、共学化に伴いブレザーとなり(皮膚の弱い生徒に配慮するため)、ネクタイ指導が行われている。
2013年度からの空パラダイム(大学受験最難関である東大・京大・国公立医学部を目指すコース)では、内部進学生240名(5クラス)と外部入学生95名(2クラス)が高2で合流する。そのため、空パラダイムの外部入学生は数学などの2年分を1年で終える。
海パラダイム(難関国公立・私立大学を目指すコース)は、αプログラム(京大・阪大・神大といった難関国立大学を目指すコース)とβプログラム(関関同立や全国の国公立大学を目指すコース)からなり、145名(βが1クラスとαβ混合が2クラス)編成となる。海パラダイムβには所謂スポーツ等推薦入学者も含まれる。
2018年度からは高校外部募集人数約192名(空パラダイム96名/海パラダイム96名)となり、海パラダイム募集が1クラス削減。海パラダイム96名はβが1クラスとαβ混合が1クラス編成となる。βは体操・陸上・バスケット・バレー・サッカー・水泳・吹奏楽の7クラブの活動に対して、中学在籍中の活動の成果が優秀で継続して活動する意志を有し、その人物・実績・学業の状況を認め在籍中学校との間でそれらについての確認が交わされた者を出願の資格者(所謂スポーツ等推薦)としている(水泳・吹奏楽を除き、男子のみの募集)。
2021年度からは附属小学校からの内部進学一期生が高校に入学するのに伴い、高校外部募集人数約144名(空パラダイム48名/海パラダイム96名)となり、空パラダイム募集が1クラス削減、パラダイムのクラス編成が変更(内部進学6クラス外部空1クラス外部海2クラス)される。海パラダイムはαプログラム(京大・阪大・神大・大阪市立大といった国公立大学を目指すコース)とβプログラム(全国の有名私立大学文系を目指すコース)からなりβは上記推薦者により形成される。
「空パラダイム」「海パラダイム」の名は、創始者の空海の名に由来する。
高2・高3の夏休みに高野山学習合宿がある。
海パラダイムβで所謂スポーツ等推薦入学者がいるため、複数の部活は全国大会に出場している。その中で、バスケットボール部は関西で一、二を争う強豪である。2008年にはウインターカップ3連覇を達成している(男子では史上2校目)。体操部も大阪の清風高校と実績を二分する。また、陸上部は秩父宮賜杯対校選手権で最多8度の総合優勝を誇っている他、全国高校駅伝大会に19度の出場を誇る名門である。同時に一般生徒向け部活もあり、バスケ・陸上・バレー・水泳部はスポーツ推薦者向きのⅠ部と一般生徒向きのⅡ部に分かれている。
また、国際物理オリンピック日本初の代表、銀メダルを輩出したのも本学である。
京都大学合格者数は1991年から2014年まで24年連続首位、平成累計3131人全国1位を誇る。東京大学へは平成累計1074人で全国17位だが、単年度人数では1990年代がピーク(最大は京大は1992年150人/東大は1997年68人)で、京大合格者数は2015年から2021年は1~6位の間を推移している。1986年に京大合格者が初めて100人を超えた時は高校入学者だけでの合格者だったが、近年は中高一貫生が主体となっている。
また、2017~2021年までの5年間の国公立大医学部の合格者累計人数は全国3位、2021年国公立大医学部合格者は72名で合格者数全国4位、東大理Ⅲ+京大医学部合格者数14名であった。 東大+京大+国公立大医学部の2017~2021年までの5年間の合格者数累計人数で全国4位となっている。
2003年12月に新校舎が竣工。その際に作られた新図書館の蔵書は50000冊を越える。第一体育館兼講堂には25m温水プール・体操練習場・柔道場あり。普段使うグラウンドと、体育祭などの時に使う向島グラウンドがある。
男子学寮「睦寮」が設置されている。入寮希望者は出願時に「入寮願」を提出しなければならない。その他、寮である塔頭宝菩提院もあったが、現在廃寮となっている。
入学後に登校困難となり入寮する場合もある。
学業生(空パラダイム・海パラダイムα)とスポーツ生(海パラダイムβ)の割合はそれぞれ1:4程度である。
現在、睦寮は閉寮中であり、寮希望者は一人一室のアパート型の寮を割り当てられている。
睦寮には、解体する案などもある。
陸上部顧問の40歳代の男性教諭が、2011年11月に部の練習中に、男子部員の一人を平手打ちにする体罰を加えた。この部員は左耳の鼓膜が損傷し全治1ヶ月の怪我を負った。同校はこの顧問教諭を減給3ヶ月ならびに譴責処分とし、陸上部の指導からも無期限で外している。
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