「龜(亀)」字はカメ目の爬虫類の総称として用いられる。カメは古くより神異な霊獣として扱われており、『礼記』礼運篇に麟・鳳・龍と並んで四霊の一つに挙げられている。このためその甲羅を焼いて占いに用いた。これを「亀卜」という。その甲羅に占いの言葉を刻んだものが現存最古の漢字である亀甲獣骨文字、いわゆる甲骨文字である。
その小篆の字形はカメを側面から見た形に象っており、上部はカメの頭を表し、右部はカメの甲羅で、そこに甲羅の紋様があり、左部は手足、下部は尾を表す。なお甲骨文や金文のうちには側面から見た形だけでなく、上部から見た形のものも見受けられる。
偏旁としては亀に関することを示す意符となるものもあるが、亀の種類を表す偏旁は他に黽があり、こちらの方がよく使われている。
亀部はこのような意符を構成要素にもつ漢字を収める。
「龜」字の字体は地域によって差異がある。
印刷書体(明朝体)において『康熙字典』は頭を「ク」形とし、中央の釣り鉤(乚)と縦棒がクと接する横画から出ており、手足は甲羅の枠線から縦画を貫いて伸びている。また中央縦画は釣り鉤の横部分まで接している。台湾の国字標準字体もほぼこれに従うが、中央縦画が「コ」の下部先端まで接し、釣り鉤からは離れている。香港の常用字字形表はこれに加えて手足が縦画を貫かず、釣り鉤に接するのみである。中国の新字形は頭を短い左払いとし、釣り鉤と縦棒は下の横棒から出て、手足は釣り鉤近くから出るものの接せず、中央縦画は釣り鉤の横部分まで接している。
日本の新字体ではこれを「亀」とする。
一方、中国の簡体字ではさらに簡略化し「龟」としている。
龜(亀)
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