『サイボーグクロちゃん』は、月刊コミックボンボンにて1997年9月号から2001年12月号まで連載された、横内なおきによる日本の漫画作品。
コミックボンボン増刊号での読み切り連載を経て、後に本誌で本格的に連載となった。二足歩行も出来るうえに手先も器用なネコがサイボーグ化したことでさらなるポテンシャルを手に入れ、かかわった事件を解決するはずが、自分自身が武器を片手に町を破壊し、暴れ回るというハチャメチャギャグコメディが主な売りである。この横内流スタンスやギャグは次作である連載版『ウッディケーン』にも引き継がれた。他方で、時折幼年誌の枠を超えたハードなシリアス展開があり、特に登場人物の過去や生い立ちは普段の漫画のノリからは想像できないほどシビアで悲しい者が多く、人間のエゴや差別的姿勢などを描いている部分もある。原作は全56話、単行本全11巻。また、原作者監修の下、内田じゅんたによって『サイボーグクロちゃん 番外バトル』(サイボーグクロちゃん ばんがいバトル)という番外編的漫画(開始当初は4コマ漫画だったが後に普通の漫画になる)を連載していた。単行本全2巻。
本作品は、コミックボンボンの中でも数少ない完全オリジナル作品であり、一時期は看板キャラクターのような扱いを度々されていたほど人気が高かった。連載が終了し、クロちゃんが雑誌でほとんど取り上げられなくなった後も、度々イラストコーナーではクロちゃんのイラストが投稿されていた。他のボンボン作品(タモリはタルの『ロボットポンコッツ』など)に度々ゲスト出演しており、クロちゃんが本来関係ないはずのボンボン関連ゲームにおいても、隠し要素として登場していた。
1998年頃から、本作品関連のフィギュアやキーホルダーなどが発売されるようになり、翌1999年にはテレビアニメ(以下、テレビシリーズ)の放送も開始(詳細は後述)。アニメ化以降はさらにその商品の規模を拡大し、着ぐるみショーを開催するところまで存在していた。またテレビマガジンでもアニメ化以前に、フィギュアを使用した絵本調の物語が連載された。原作の連載末期に当たる2001年4月には、奥村遊機から本作品を題材にしたパチンコ機『CRサイボーグクロちゃん』がリリースされている。
原作終了からおよそ10年が経過した2012年1月には、『復活!サイボーグクロちゃん ガトリングセレクション』、同年7月に『復活!サイボーグクロちゃん ガトリングセレクション リローデッド』が発売。いずれも新作のストーリーが掲載されており、後述の新装版にも3巻と5巻に収録された。2015年11月には、作中(第1巻のみ作後)の出来事に至るまでを描いた新作を収録した、新装版の刊行も開始。第1巻の帯には、同じ名前であるお笑い芸人のクロちゃんがコメントを寄せている。この新装版刊行に当たっては、作中にスヌーピーのぬいぐるみが登場するシーンではぬいぐるみにモザイクがかけられており、ミーの台詞も改変されている。2016年1月23日には新装版発売を記念したイベントも開催され、古澤徹や大本眞基子、坂本千夏らテレビシリーズのキャスト陣も複数出演。放送当時を振り返ってのトークの他、原作の最終回「みんな一緒に‥‥」の朗読も行われた。
この他、2014年にはLINEのスタンプも発売された。
雑種の黒猫「クロ」は生意気な暴れん坊だが、飼い主の老夫婦への恩返しを忘れない忠誠心の持ち主。ある日ドクター剛がクロを使って世界征服をしようと企み、勝手にサイボーグにしてしまう。それから次々と一癖も二癖もあるキャラクターが出てきて、クロをトラブルに巻き込んだり、逆に巻き込まれたりしていく。そんな毎日をうんざりしたり楽しんだりしながら、サイボーグクロちゃんは今日も暴れ回る。
作画が内田じゅんた、監修横内なおきによる番外編。横内が単行本一巻ではゲストとして久々にクロちゃんを描いている。『帰ってきたサイボーグクロちゃん』の発売と連動するように連載が始まり、『コミックボンボン』にて2002年12月号から2005年12月号まで掲載された。
最初のうちは雑誌の中心部や後ろのカラーページで4コマ漫画連載されていたが、後に通常の漫画となる。内田はその昔、ボンボンにイラストを送ってきたクロちゃんのファンの一人であり、単行本では「イラストを送っていたのが自分で漫画描くとは思っていませんでした」と驚きを語っていた。
単行本は全2巻。前述のカラーページ掲載分も単行本では白黒になっている。
1999年10月2日から2001年1月6日まで、テレビ愛知・テレビ東京系列各局で、毎週土曜8:00 - 8:30(JST)に全66話が放送された。本作品には以前にもアニメ化の話が持ち上がっており、第1巻の絵柄を元にしてキャラクターデザインも起こされていたが、この時は企画した会社の倒産により実現には至らなかったという経緯を持つ。
テレビシリーズの制作は、講談社からアニメ化の権利を獲得したパブリック&ベーシック(PiBi)が主幹事を務める「サイボーグクロちゃん製作委員会」が担当。当初の制作費用は2億3400万円で、これ以外にもシステムサコムのベンチャー、ドリームプロジェクト沖縄が、制作委員会に出資することを目的とした「サイボーグクロちゃん制作ファンド組合」を那覇市で設立して沖縄県内企業の出資を募り、テレビ放送権などをライセンス供与するという試みが行われ、本来TXN系列外の沖縄テレビ放送(FNS)でも時差ネットが実施された。
アニメ化に際し、後述の通り様々な変更点が存在しており、原作に出てくる様々な残酷な描写や過激な台詞は柔らかなものに描き変えられている他、キャラクターの生死もいくつか変更されているものもある。また、原作後半で登場したゴローは未登場である一方、剛くんとミーくんは一部の回を除いて全話に登場し、本来彼らが登場しない原作エピソードにおいてもメインに関わってくるなど、テレビシリーズにおけるメインキャラクターとして捉えられていた。エピソードの約半分はアニメオリジナルが占め、オリジナルのキャラクターや武器、そして姿なども多数登場している。原作と同様、以前の設定とその後の設定とで噛み合わない部分も出てきており、特にキャラ同士の呼称は原作以上に安定していない。
クロちゃんの代名詞であるガトリングの効果音は、第1話から第3話までは軽い音だったが、第4話以降は変更された。当初の重たい効果音は、当初発射音の間隔が絵の見た目より多少離れていたため、後半以降はその間隔が短縮され、よりガトリングの音らしいものになった。昔の間隔はアイキャッチのガトリングの音で毎回聞くことが出来た。
原作者の横内なおきが解説役のキャラクターとして、何度か登場している。その際のキャストは名前のなおきにちなんで、ナレーターの龍田直樹が同役も担当した。またナレーションについてはコタロー・ナナ登場の回のみ、タイトルコールをそれぞれ新登場するキャラクターが務めた。
平均視聴率は3.6%(最高5.9%)と一見すると特別視するほどではないが、当時は子供の完全週休二日制導入前であり、実際制作陣にとっても想定以上の人気だったことから放送が延長(当初は1年でもっと短かった説もある)され、最終的な期間は1年半・話数にして全78話予定とされた 。第24話では制作会社にテレビ東京から号外FAXが届くほどだったという。
テレビシリーズの放送期間も末期に差し掛かっていた2001年1月、制作会社のパブリック&ベーシックが出資方式での予算集めが滞ったことを受け、アニメの実制作を請け負っていたスタジオボギーとともに倒産。これによりテレビシリーズは前述した最終的な予定に沿っての制作が不可能になり、1月6日放送分(第66話)までで未完に終わった。スタッフの高田耕一によると、2000年12月28日に制作中止が通達され、その時点では第71話の絵コンテが完成していた段階だったという。また第66話以降に放送予定であったエピソードのうち、第70話までは『テレビマガジン』にてタイトルと作中のイラストが掲載されている。
突然の放送中止に伴い、次番組『仰天人間バトシーラー』放送開始までの期間は、セレクションと題した既放送分の再放送で対応。最終回となった第66話のテレビ東京での本放送時は、次回へ続くことを示すナレーションの部分からカットされ、予告パートでもセレクションへの切替のみが伝えられた。
ドクター剛役の古澤徹は、本人曰くいろいろ深刻な時期での起用だったといい、自分の演じていたキャラクターである剛を非常に気に入っており、続編を切望している。
2022年現在、テレビシリーズの映像ソフトとしては以下のVHSのみがリリースされている。発売元はパブリック&ベーシック、販売元はミュージックガイド社(市販版)、メディアファクトリー(レンタル版)。パブリック&ベーシックの倒産によりビデオ化も中途で打ち切られ、第53話と第55話以降はソフト化されていない。
この他再放送ではないものの、2015年5月2日に放送されたアニソン・アカデミー(NHK-FM)内でOPが流された。
2022年現在、アニメ放題やU-NEXT、Amazonビデオなどの各種動画サービスにて、テレビシリーズ全話の配信が実施されている。またYouTubeでも講談社の公式チャンネルにて、本作品の電子書籍化や『コミックボンボン』のWeb雑誌化を記念し、以下の日程で無料配信が行われた。
アニメ化以前より展開していたクロちゃんの玩具シリーズ。針金を内蔵した手足により、自由な可動範囲を実現している。「うちまくり」銘打つだけあって、付属の武器は基本的にBB弾を撃ち出すものとなっており、マタタビが発売された際は本来彼が持っていない「ショットガン」が付属された。後に「ブーメランマタタビ」など、コレクションズというシリーズ中における亜種(BB弾発射武器が付属しない)も登場した。
コレクションズは後にどんどん進化していき、ダンクの頭の文字会話機能をつけかえる玩具や、異世界編における最後の敵バイス(No.16、単品版の最終商品)など、様々な商品展開がなされた。
単品版以外にも各種BOXや武器セット、それに誌上通販などの限定版も発売され、最終商品である「スペシャル改造BOX3」(真・暴走クロちゃんと各種武装のセット)以降も、実現には至らなかったものの「ニャンニャンアーミー」(頭のパーツを差し替えることによって全てのニャンニャンアーミーを再現)の発売予定が、コミックボンボン紙上にて報じられた。
CRと併せて合計4作が製作された。
ゲームボーイカラー専用ソフト。2000年3月23日発売。復活したデビルを倒すため、クロちゃんが立ち上がるという内容のストーリー。テレビシリーズでも、構成が違うもの同内容のエピソードが放映された。また、TVCMも放映された。
第1作目と同じくゲームボーイカラー専用ソフトで、続編と銘打たれているもののストーリー面でのつながりはない。ホワイトウッズ戦で助けたブッチ達に助けを求められ、再びホワイトウッズとの戦いに挑みにいくという内容。当初はバイスが登場するという話もあり異世界編ステージも導入されたが、登場しなかった。また、人気キャラクターであるマタタビが登場しなかった。コミックボンボン読者から応募したクロポンを採用しており、エンドクレジットには採用者名が書かれている。テレビシリーズの放送期間中であったにもかかわらずテレビCMは無く、目立った宣伝は『コミックボンボン』誌上でしか行われなかった。
GB版の発売、並びにテレビシリーズの終了から約2年が経過して発売された、シリーズ初のプレイステーション専用ゲーム。コナミ39シリーズとして発売され、3900円というゲームボーイソフト以下の低価格で買えるゲームだった。同作品はほぼフルボイスとなっているが、テレビシリーズのキャストと同じ声優は主役猫3匹のクロ、ミー、マタタビのみで、それ以外のキャストは全員刷新されている。GB版でプレイヤーとして使用できなかったマタタビが新たに使用可能になった他、GB版ではテレビシリーズの映像からの流用だったゲームパッケージは、同作品では原作者の横内なおきが新たに描き下ろしたものが用いられている。
以下、メイン装備を装備A、格闘装備を装備B、火炎放射系を装備C、ハンマー系を装備D、レーザー系を装備E、バズーカ系を装備Fとそれぞれ表記する。
奥村遊機より2001年2月に発表され、同年4月頃に導入されたCR版。リーチアクションが多数あり、公式サイトではリーチアクションのムービーも見ることができた。大当り画面では、テレビシリーズの主題歌が流れ、映像もOP映像でクロちゃんとミーくんが撃ちまくっているものが流れる。
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