韓国放送公社(かんこくほうそうこうしゃ、ハングル: 한국방송공사; ハンチャ: 韓國放送公社; RR: Han-guk Bangsong Gongsa; MR: Han'guk Pangsong Kongsa、通称:KBS)は、韓国の公共放送局である。ラジオ放送とテレビ放送を共に流すラテ兼営を行っている。
前身は日本統治時代に設立された社団法人「朝鮮放送協会」(発足当時は社団法人京城放送局。1927年2月16日開局、呼出符号(コールサイン)はJODK)。1945年の解放以降は、名称をソウル中央放送局(呼出符号はHLKA)に変更され、大韓民国建国時に国営化された。1961年10月15日に地上波テレビ放送が開始され、1973年3月3日に現行の公営放送となった。
公営放送であるが、1981年から広告収入が認められているため、CMも放送されている。これは、全斗煥政権時代の1980年に行われた、いわゆる「言論統廃合」政策によって、東洋放送・東亜放送・西海放送・全日放送・韓国FM放送と言った民放を統合したことによる。そのこともあり、旧東洋放送系のチャンネルと有料放送チャンネルに限って実施されている。また、韓国の提供クレジットは提供企業の名称が羅列しているだけであり、それを読み上げないのが一般的であるが、KBSでは、“提供”の字幕表示を省略している番組が他局よりも多い。
多チャンネルであるが、地域ごとに視聴できる系統が異なっている。
その背景としては、1980年の全斗煥による言論統廃合により、KBSがMBC(文化放送)系列各社とCBS(基督教放送)以外の民放を吸収合併したことがある。
その後教育テレビ放送、教育FM放送はKBSから分離して韓国教育放送公社(EBS)に移管している。
[2012年12月31日午前4時終了]
ラジオはテレビと異なり、仁川市・京畿道も本社直轄である。
このうち、日本向けテレビ国際放送「KBS WORLDテレビ」では、「ニュース広場」(平日で第1部のみ)、「ニュース9」(2022年1月より平日のみに縮小)を同時に放送する。
KBSの受信料制度は、1961年のテレビ放送開始を機に導入された。日本のNHKとは異なり、当初はKBS独自で、続いて公共機関による委託徴収を経て、1994年からは受信料を韓国電力公社の電気料金に上乗せして徴収している。受信料の一部は韓国教育放送公社(EBS)と韓国電力公社にそれぞれ分配されている。世帯にテレビ受像機が無い家庭については、KBSに別途申告することで毎月の受信料を免除されるが、この手続きが煩雑であり(大韓民国のマスメディアでも、この件について批判報道があった)、実際にKBS受信料が免除されている家庭は少ない。
現行の制度は、受信料徴収にかかる費用を抑えることや、受信料公平負担を目的に導入された。この徴収制度によって受信料収入は増加し、広告収入も増加しているため、月額2,500ウォンのまま20年以上据え置かれているが、「公共放送にふさわしい財源に見直すべきだ」との意見が高まっているため、広告収入を縮小させ受信料を引き上げることも検討された。2010年10月現在、受信料を月額4,600ウォンとし、全体に占める広告収入の割合を20%以内とする法案が検討されている。
2023年6月、大統領府は韓国電力の電気料金と分離した上でKBS受信料を徴収するように放送通信委員会と産業通商資源部に勧告したことを発表した。これに伴い、同委員会などは放送法施行令の改正に動く方向で調整しており、朝鮮日報は早ければ同年内にも分離徴収が実現する可能性があると報じている。
全斗煥政権時代には、毎日ニュース番組のトップで大統領の動静を伝えたり(毎日午後9時になると、時報と同時に「全斗煥大統領閣下は」と始まっていたのを揶揄し、「땡」(テン)と時報が鳴ったら「全斗煥」(전두환)の頭文字「전」(ジョン、ただし実際にはチョンと発音)という音が聞こえるということで땡전뉴스(テンジョンニュース)と呼ばれていた)、総選挙時には与党候補に隔たった偏向報道を行って韓国の視聴者の反感を買い、KBS受信料ボイコット運動を起こされた。この受信料不払い運動によって、当時のKBSは受信料収入を50%も減らし、KBSの経営にも大きなダメージを負った。
言論統廃合による媒体・組織の肥大化により、受信料収入だけでは運営が困難となり、放送局の統廃合など経営合理化策を進める一方で、旧東洋放送系統のチャンネルだけではなく、公式ウェブサイト上でも国営企業を通じて広告を募り、その収入で不足分を補う事態となっていた。大韓民国の国会にも大韓民国政府を通じて受信料値上げに向けて制度改正を求めたものの、拒否されていた。なお、KBSの受信料は年間3万ウォンであり格安である。
このため、2013年12月10日に"수신료 현실화, 건강한 공영방송의 시작입니다."(受信料の現実化 - 健康な公営放送の始作です)というキャッチフレーズを掲げ、受信料値上げへの理解を求める一大キャンペーンを開始した。『KBSニュース9』後の繋ぎスポットも『韓国の遺産』から、受信料値上げに理解を求めるものに変わった。また、KBS理事会では受信料値上げの目的として実現した際に実行する「10大約束」を決め、放送などで広く示している。
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