国道309号(こくどう309ごう)は、三重県熊野市から大阪府大阪市平野区に至る一般国道である。冬季通行止め区間がある。
概要
紀伊半島を斜めに横断する道路で、市街地を走る片側2車線の区間もあれば、車両のすれちがいが困難な酷道の区間もある。
起点の三重県熊野市小阪交差点と奈良県吉野郡上北山村天ヶ瀬の区間は、山間を走るもののセンターラインのある片側1車線の道路となっている。このうち、起点(小阪交差点)と熊野市五郷町の区間は国道309号の単独区間、五郷町と吉野郡上北山村天ヶ瀬の区間は国道169号との重複区間である。
吉野郡上北山村天ヶ瀬から吉野郡天川村の奈良県道21号大峯山公園線交点の区間は狭路が連続する。途中、行者還岳を行者還(ぎょうじゃがえり)トンネルで貫く。トンネルの西側には登山者用の有料駐車場がある。天ヶ瀬と川迫ダムの間は旧行者還林道であり、12月から翌年3月まで冬季通行止となる。白倉トンネルを出るとみたらい渓谷となり紅葉の季節などは観光客で賑わうが、路線は狭路なままのため、ハイシーズンは離合可能な場所数か所に係員が出向き交通誘導を行うことがある。
吉野郡天川村の和歌山県道・奈良県道53号高野天川線交差点以北は新川合トンネル、新笠木トンネルなどの整備により徐々に拡幅工事が進んでいる。並行する奈良県道48号洞川下市線は道幅が狭く通行困難な区間があるため、天川村公式サイトなどでは大阪方面から洞川温泉に向かう場合に国道309号をアクセスルートとして案内している。
吉野郡大淀町と大阪府南河内郡河南町の区間はセンターラインのある片側1車線の道路となっている。御所市の吉野口駅付近や御所市と千早赤阪村を結ぶ水越峠では1997年(平成9年)にバイパス道路が完成した。
南河内郡河南町から大阪市平野区瓜破交差点の区間は、ほぼ全線が片側2車線の4車線となっている。特に富田林市と堺市美原区の区間は立体交差が多く信号機が少ない。また松原市の北側では阪神高速14号松原線の三宅ランプと接続している。このため、松原市や富田林市のみならず、高速道路のない河内長野市と大阪市を結ぶ重要な幹線道路となっていることから、この区間は通行量が多い。堺市美原区の舟渡南交差点および舟渡北交差点と松原市内は渋滞が頻発している。
大阪市平野区瓜破交差点と同区平野馬場交差点(終点)の区間は幹線道路から外れており、国道479号との重複区間である瓜破交差点 - 喜連西池交差点の約200 mの区間を除き、この区間は片側1車線の2車線道路となっている。
路線データ
一般国道の路線を指定する政令に基づく起終点および重要な経過地は次のとおり。
- 起点:熊野市(小阪交差点 = 国道42号交点)
- 終点:大阪市(平野区、平野馬場交差点 = 国道25号・国道165号交点)
- 重要な経過地:奈良県吉野郡下北山村、同郡上北山村、同郡大淀町、御所市、富田林市、松原市
- 総延長 : 124.8 km(三重県 15.7 km、大阪府 20.7 km、大阪市 4.6 km、堺市 5.1 km、奈良県 78.8 km)重用延長を含む
- 重用延長 : 6.1 km(三重県 6.0 km、大阪府 - km、大阪市 - km、堺市 - km、奈良県 0.1 km)
- 未供用延長 : なし
- 実延長 : 118.7 km(三重県 9.6 km、大阪府 20.7 km、大阪市 4.6 km、堺市 5.1 km、奈良県 78.7 km)
- 現道 : 104.4 km(三重県 9.6 km、大阪府 19.1 km、大阪市 4.6 km、堺市 5.1 km、奈良県 66.0 km)
- 旧道 : 11.4 km(三重県 - km、大阪府 1.6 km、大阪市 - km、堺市 - km、奈良県 9.8 km)
- 新道 : 2.9 km(三重県 - km、大阪府 - km、大阪市 - km、堺市 - km、奈良県 2.9 km)
- 指定区間:なし
歴史
- 1970年(昭和45年)4月1日 - 一般国道309号(熊野市 - 大阪市)として指定。
- 1975年(昭和50年)4月1日 - 吉野郡上北山村 - 吉野郡下市町の経路を国道169号重複から吉野郡天川村経由に変更。
- 1976年(昭和51年)10月 - 吉野郡上北山村天ヶ瀬 - 吉野郡天川村川迫ダムに行者還林道が開通。
- 2002年(平成14年)4月1日 - 吉野郡上北山村天ヶ瀬 - 吉野郡天川村川迫ダムの行者還林道が国道309号に編入。
路線状況
奈良県山間部の天ヶ瀬と川迫ダムの間はいわゆる「酷道」である。しかし大峰山系の山上ヶ岳や八経ヶ岳はここを通らなければアクセスできない。この区間はかつては林道だったが2002年に国道に編入された。上北山 - 天川間は、みたらい渓谷の沢に沿って延びているが、道路幅員は1車線と狭く、路上まで岩がせり出している崖道である。このあたりでは「落盤注意」の注意喚起看板が道端に設置されている。行者還岳の山頂付近には、林道時代からあった素掘りトンネルである行者還トンネルが1 km以上にわたり山の岩盤を貫通している。トンネル内は1車線以上の幅があり、対向車とすれ違うことが可。
バイパス
- 笠木道路
- 丹生バイパス
- 広橋バイパス
- 戸毛バイパス
- 関屋バイパス
- 水越道路
- 河南赤阪バイパス
- 富田林バイパス
別名
重複区間
- 国道169号(三重県熊野市五郷町桃崎 - 奈良県吉野郡上北山村西原天ヶ瀬)
- 国道425号(奈良県吉野郡下北山村・上池原交差点 - 吉野郡下北山村・池原交差点)
- 国道370号(奈良県吉野郡大淀町・岡崎交差点 - 吉野郡大淀町・吉野警察署西交差点)
- 国道479号(大阪府大阪市平野区・瓜破交差点 - 大阪市平野区・喜連西池交差点)
道路施設
トンネル
- 板持トンネル(190 m) 1998年(平成10年)1月開通 幅員7.75 m(片側)
- 水越トンネル(2,370 m) 1996年(平成8年)開通 幅員9 m
- 関屋トンネル(202 m) 1992年(平成4年)開通 幅員8.5 m
- 広橋トンネル(674 m) 2001年(平成13年)3月開通 幅員7 m
- 登石トンネル(117 m) 1997年(平成9年)3月開通 幅員7 m
- 丹生トンネル(570 m) 2016年(平成28年)8月開通
- 新笠木トンネル(1,693 m) 1984年(昭和59年)9月開通 幅員8 m
- 新川合トンネル(2,751 m) 1997年(平成9年)10月開通 幅員8 m
- 白倉隧道(31 m) 1935年(昭和10年)開通 幅員2.5 m
- 行者還トンネル(1,151 m) 1976年(昭和51年)10月開通
- 旧道
- 笠木トンネル(203 m) 1970年(昭和45年)10月開通 幅員7 m
- 川合隧道(143 m) 1956年(昭和31年)開通 幅員5 m ※開通時の名称は笠木トンネル
道の駅
- 奈良県
- 吉野路 上北山(吉野郡上北山村・国道169号との重複区間)
- 吉野路 黒滝(吉野郡黒滝村)
- 大阪府
- ちはやあかさか(南河内郡千早赤阪村)
- かなん(南河内郡河南町)
交通量
(2009年度大阪府交通センサスより)
平日24時間交通量(台)
地理
路線の大部分の区間は、紀伊半島の紀伊山地山間部にあり、渓谷の川沿いに道路が延びる。標高の最高地点は、奈良県上北山村と天川村の村境にまたがる行者還トンネル付近で、標高1,100 mを超える。上北山 - 天川間の元林道区間は山深く、渓流沿いもしくは、険しく切り立った山の斜面にへばりつくように道路が通っている。
通過する自治体
- 三重県
- 奈良県
- 吉野郡下北山村 - 吉野郡上北山村 - 吉野郡天川村 - 五條市 - 吉野郡黒滝村 - 吉野郡下市町 - 吉野郡大淀町 - 御所市
- 大阪府
- 南河内郡千早赤阪村 - 南河内郡河南町 - 南河内郡千早赤阪村 - 南河内郡河南町 - 富田林市 - 堺市(美原区)- 松原市 - 大阪市(平野区)
交差する道路
※ 交差する場所の括弧書きは地名、それ以外は交差点名で表示
脚注
注釈
出典
参考文献
- 鹿取茂雄(著)、磯部祥行(編)「国道309号〈行者還トンネル〉」『酷道大百科』〈ブルーガイド・グラフィック〉、実業之日本社、2018年12月28日、52 - 53頁、ISBN 978-4-408-06392-8。
関連項目
外部リンク
- 三重県県土整備部
- 奈良県県土マネジメント部
- 大阪府都市整備部
- 堺市土木部
- 大阪市建設局
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