マキ科(学名:Podocarpaceae)は、球果植物の科。北半球で進化し繁栄している針葉樹がマツ科(Pinaceae)なのに対し、マキ科はナンヨウスギ科(Araucariaceae)とともに南半球を代表する針葉樹のグループである。分布の中心はオーストラリアやニュージーランド、およびその周辺の太平洋の島々である。日本は分布の北限にあたり2種のみが分布するが、世界的には200種近くが含まれるとみられている。
和名はマキ科という名前であるが、標準和名マキという植物が存在しない。日本に分布するマキ科の種はイヌマキ(Podocarpus macrophyllus)といい、「マキ」という植物に劣ることから「犬」という接頭語を付けたとみられている。「マキ」がどの植物を指すのかは諸説あるが、スギ(Cryptomeria japonica)もしくはコウヤマキ(Sciadopitys verticillata)であるという説が有力である。なお、スギはヒノキ科、コウヤマキも名前こそ似ているがコウヤマキ科に属し、いずれもイヌマキとは遠縁である。このことからマキ科をイヌマキ科と呼ぶ場合もある。
葉は十字対生でつく。葉は針状のものから、ナギのようにある種の広葉樹のような丸いもの、ヒノキ科のヒノキやアスナロのように魚の鱗の様なものもある。
花は雌雄異株(雄花だけ付ける雄株、雌花だけ付ける雌株の2種類があること)となる種が多い。マツ科やヒノキ科は雌雄同株である。
広葉樹が強い熱帯においても条件次第では優勢になることがあり、パプアニューギニアの高原の湿地の脇ではDacrydium属(和名未定)などマキ科の針葉樹林が広葉樹より優勢だという。一因として菌根が関係しているといわれている。
昆虫ではキオビエダシャク(Milionia basalis)の幼虫がイヌマキやナギの葉を食べることで知られる。ケブカトラカミキリ(Hirticlytus comosus)など、幹を食料として利用する昆虫もいる。
大きくなる種では木材として使われる。イヌマキなどはシロアリの食害に対して強いとされ、かつての沖縄では高級建材として扱われた。庭園樹や生垣としてもよく用いられる。
マキ属のイヌマキやイラワラプラム(Podocarpus elatus)の果実には少量なら食べられるものもあるが、一般に種子は細胞毒性を持ち有毒である。葉や花粉も有毒で、これらはイチイ科にも共通である。特に花粉はアレルギーの原因となることがあるとされる。毒成分の一つがラクトン類であり、生薬として利用されることもある。
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