沢 りつお(さわ りつお、1935年12月20日 - )は、日本の男性俳優、声優。テアトル・エコー所属。
東京都出身。埼玉県立熊谷高等学校卒業後は米軍基地PXに勤務し、3年後に役者の道へ進む。劇団エトセトラ、劇団メイフラワーを経て、1961年劇団テアトル・エコーに第2期生として所属する。初舞台はキノトール作の『男の中の男』。
吹き替え黎明期から活動しており、声優としては洋画・海外ドラマの吹き替えを中心に活動する。アニメでは老人役を演じることが多い。
テアトル・エコーのホームページでは、写真ではなく似顔絵が掲載されていた。ただし、『仮面ライダー』のインタビューやドラマへの出演、声優辞典での紹介などにおいて、顔出しを拒むことはほとんどない。
ハリウッドまたは海外の映画に出演することを目標としており、その夢は70歳を超えた後もあきらめていないと語っている。
特技は謡曲(観世流)。
テレビドラマでは「仮面ライダーシリーズなど特撮番組の怪人役がよく知られている。昭和仮面ライダーシリーズの怪人声優では出演回数が最も多い。
『仮面ライダー』では、録音担当の太田克己に、「僕らテアトル・エコーの俳優はアドリブが大好きだからね、乗ってきたら、どんどんエスカレートしちゃうよ」と断っていた。対する太田も「乗りのいい人」だったそうで、「どんどんやってよ」と応えたそうで、「アフアフアフ」、「アフィーアフィー」など、独創的な鳴き声を数々生んだ。アイデアが出ない時は怪人の名前をひっくり返したり英語を用いるなどしていた。太田とは互いに信頼関係を築いていたと言い、太田の手腕が『仮面ライダー』のヒットに繋がったと評価している。
『仮面ライダー』では、最初に演じた死神カメレオンを除き、方言のような独特のイントネーションを用いている。『仮面ライダーV3』では、鋏の怪人で「シザ〜ス」、ハエの怪人で「フラ〜イ」、カニの怪人で「タ〜ラ〜バ〜」など、言葉通りどんどんエスカレートしている。当時、行きつけのレストランで海老料理を出す店があり、ザリガニの怪人の鳴き声に、このレストランの店名を使った際には流石に太田もNGを出した。
『V3』の頃、同僚の峰恵研が、悪の怪人を演じ続けることに悩んでいたそうであるが、2人で銭湯に行ったところ、子供たちが「フラ〜イ!」「ズカ〜ッ!」と彼らの創案した鳴き声を遊びに取り入れ、楽しそうに怪人ごっこをしているのを見て、思わず「俺たちのやっていることは間違っていなかったんだ、やってよかった」と2人で喜びあった。
また、シリーズ第1話に登場する怪人の担当が多く、最も印象に残る怪人の声として『仮面ライダーV3』の「ハサミジャガー」、『仮面ライダーX』の「ネプチューン」、『仮面ライダー (スカイライダー)』の「ガメレオジン」を挙げている。また、最終話では『仮面ライダーV3』の「ザリガーナ」を、『仮面ライダーアマゾン』では敵のボスとして、シリーズ初のレギュラーである「十面鬼」役を演じたが、沢は「ボス役は性に合わない。思っていたより面白くなくて疲れてしまった」と述べている。
怪人役を演じるにあたっては悪役という意識はなく、人間味を残すことを心がけていた。
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