キン肉マンマリポーサ(キンにくマンマリポーサ)は、ゆでたまごの漫画『キン肉マン』に登場する架空の人物。
アニメ版の声優は佐藤正治。
初登場はキン肉星王位争奪編「戴冠式の異変!!の巻」。主人公・キン肉マンと相対するキン肉星大王候補・運命の5王子の一人で、元の名は盗人ジョージ(ぬすっとジョージ)。邪悪の神の一人・飛翔の神が乗り移った。マリポーサ(mariposa)はスペイン語で蝶を意味する。
過去に空気の薄いモクテスマ星で育ち、本来なら酸素ボンベ無しでは運動はおろか生活も困難な環境にもかかわらず貧乏がゆえにボンベもつけず泥棒生活をしていたことによって強靭な心肺機能とバネのような身体、優れたジャンプ力を身につけた。盗人時代にロビン家の家宝「アノアロの杖」を盗み、以降は自身の守り神とする。
戦闘時には身の軽さとアノアロの杖による炎、さらに辛い幼少時代を切り抜けたハングリー・パワーにより対戦相手のロビンマスクを心身ともに苦しめた。
指導力に長け、チームメイトが倒れても他の運命の王子のように動揺あるいは罵倒せずに健闘を讃える度量の広さを持つ。仲間からの人望も厚く、ミスター・VTRやキング・ザ・100tも次の戦いのために自分の身を犠牲にしている。敗戦後もキン肉マンやロビンマスクから「風格・実力共に申し分なく、王にしてもおかしくなかった」と評価された。唯一の欠点として挙げられたのが「心の貧しさ」である。
ゆでたまごは、メキシコのルチャリブレを見てきた後で、同様の超人を活躍させたいと考え、運命の5王子の中でも身軽で空中殺法に長けたキャラクターとしてデザインし、褐色の肌とマスクやコスチュームもルチャドールを思わせる風貌である。原作では水色と白を基調としたカラーだが、アニメでは藍色と白、コスチュームのデザインが異なる。また作画担当の中井義則はマスクのデザインを固めるのに相当時間がかかったとも語る。
キン肉星で生まれ、モクテスマ星で育つ。モクテスマ星の酸素濃度は地球やキン肉星の半分程度であり、酸素ボンベなしで激しい運動をすることが禁じられるほどであった。ジョージは酸素ボンベが買えないほどの貧乏生活を送り(アニメでは妹が病死)、泥棒稼業に手を染めるようになる。そのため金持ちのエリートを恨めしく思っており、泥棒に入るのは家柄の良いエリート超人の屋敷のみと決めていた。その後、幼いロビンマスクの目の前で家宝のアノアロの杖を盗み、全身から炎を噴出させる能力を得る。
アニメでは過去の境遇が詳しく描写されており、母は息子と娘に食事を与え自分は何も食べず、妹が病気に罹っても薬一つ買うことができないほどの極貧生活を送っていたことが明かされた。妹は残された母と兄を悲しませまいと歌を歌いながら息を引き取り、ただ見ていることしかできなかった己のつらさをキン肉マンに訴えていた。また、その境遇を知った幼稚園の生徒たちに対し二階堂マリは「同情はするけど、貧乏になった人が皆泥棒になるわけじゃない。問題はその人の心の持ち方次第」と説いていた。
宇宙超人タッグ・トーナメント終了後、キン肉マンの王位継承を阻止せんと暗躍する飛翔の神の手により、キン肉マンマリポーサとなる。キン肉星王位争奪サバイバルマッチでは一回戦・熊本城にてキン肉マンチームとの対戦が決まる。キン肉マン打倒のため、飛翔(マリポーサ)チームとしてザ・ホークマン、ミスター・VTR、ミキサー大帝、キング・ザ・100トンら超人強度5000万パワー以上の超人たちを集め熊本城に入場。
試合が開始し先鋒ホークマン、次鋒ミスターVTRがキン肉マンに倒される。中堅ミキサー大帝はキン肉マンの強さを火事場のクソ力にあると見て、パワー分離機で彼のクソ力を奪う。キン肉マンは超人墓場に飛ばされるがウォーズマンの助けにより復活、残った95万パワーでミキサー大帝にキン肉ドライバーを仕掛ける。しかし、場外に倒れていたミスターVTRが最期の力で状況予測装置と編集機能により、ミキサー大帝がKOされる場面をカットしたため、キン肉マンは逆転KO負けを喫する。
その後、キン肉マンチーム次鋒ミートがミキサー大帝を破る。さらにテリーマンとロビンマスクが駆けつけ、キン肉マン(アニメではテリーマン)が事前にあぶり出しで書いておいたメンバー表により参戦。テリーマンが副将キング・ザ・100トンを粉砕するが、100トンは死力を尽くして引き分けに追い込み、残ったマリポーサとロビンマスクの大将戦となる。
試合前の奇襲から闘いを優位に進めるマリポーサは、キン肉族三大奥義の一つ「マッスル・リベンジャー」を披露。ロビンマスクは彼の不幸な境遇を知って自分のような恵まれたエリートが勝てる訳がないと闘争心を喪失、マリポーサは遠慮することなくさらにアノアロの杖による炎で追い込み、ロビンをマットに陥没させダウン寸前に追い込む。
しかし決着の一撃を叩き込もうとした時、テリーマンの言葉でキン肉マンもまた不幸な境遇でありながら、マリポーサのように盗っ人稼業に手を染めることもなく、自分を「ダメ超人」と蔑んだ人間たちを恨むどころか常に地球の平和を考えていたことを叱咤され、ロビンは戦意を取り戻す。直後、アノアロの杖がロビンの手に戻り、杖と兜が一体化した形態「ユニコーンヘッド」によりマッスル・リベンジャーを返される。ロビンのファイヤータービンで上空に飛ばされ、さらにマッスル・リベンジャーのかけ方が真の三大奥義とは違っていたため、フィニッシュ・ホールドの壁画からの制裁の光線を受け、黒焦げになって落下。とどめのロビン・スペシャルを受けて敗北する。
原作では、この直後にキン肉マンに真紅のマントの儀式により、マスクをはがされる。アニメでは、マスクが飛翔の神に変化してマントに吸収され、自分が偽物の王子であることを認めてキン肉マンに直接謝罪し、体を鍛え直したら正義超人として迎えてほしいと申し出た。エピローグでは、キン肉マンのフェイス・フラッシュで他の運命の王子や超人たちと共に改めて復活した。
キン肉マンスーパー・フェニックスたちと共に、運命の四王子の一人としてサグラダ・ファミリアに現れる。現れた理由をキン肉マンに聞かれ、フェニックスとゼブラとビッグボディの3人が事情を話すのを拒否する中で、ただ一人話せる範囲の事情をキン肉マンに教えた。五大城決戦では、ルーマニアのブラン城にてオメガ・ケンタウリの六鎗客の一人ヘイルマンと対戦。得意の空中殺法は健在で、アノアロの杖を失い使えないと思われていたモクテスマ・ディフェンスは、摩擦熱を利用し発火することで再び使えるようになる。だが、モクテスマ・ディフェンスを使ったファイヤートーチ殺法がヘイルマンの氷の技で封じられるなど苦戦を強いられ、あと一歩で敗北というところまで追い込まれたが、機転を効かせた一手により、マリポーサ式マッスル・リベンジャーをさらに進化させた新必殺技「アステカセメタリー」により勝利を収めた。実は飛翔の神から超人たちを死滅させるために必要な108のカピラリアの欠片(ピース)の話を聞いていて、オメガ・ケンタウリの六鎗客編の終盤で調和の神をリーダーとする超人殲滅派の神々たちが地上に下天して襲来したことを察知する。
「キン肉マン超人総選挙2019」では18位、「キン肉マン超人総選挙2021」では28位にランクインしている。
レバノン某所でキン肉マンゼブラと共に現れて、時間超人ドミネーターとエル・カイトに痛めつけられているケンダマンを救出する。そして、ドミネーターとエル・カイトのタッグ「エル・ドミノス」とのタッグ戦にキン肉マンゼブラと共に臨もうとする寸前、突如飛来したマリキータマンがキン肉マンゼブラとタッグを組みたいと提案したことで、その方が良いと判断してその理由を説明する。そして結成されたキン肉マンゼブラとマリキータマンのタッグ「エグゾセミサイルズ」と「エル・ドミノス」のタッグ戦が開始する。そして、試合終盤でエグゾセミサイルズがコンビ技「シンクロニシティ・インフェルノ」をエル・ドミノスに食らわせて勝利するのを、ケンダマンと共に見届けた。
『キン肉マン キン肉星王位争奪戦』ではステージ1のボスとして登場する。必殺技は相手を空中に投げてから頭を捕らえ、空中に舞い上がり連続で頭突きを落とす「偽マッスル・リベンジャー」。
『キン肉マン DIRTY CHALLENGER』では、アステカ・ドロップがマリポーサの必殺技として設定され、マッスル・リベンジャー(偽マッスル・リベンジャー)は、キン肉マン ビッグボディの必殺技に設定されている。
『キン肉マンII世 超人聖戦史』では特定のルートを通った場合のみ登場。属性ゲージが一定以下なら仲間にできる。また弟子入りし「偽マッスル・リベンジャー」を習得できる。主人公が選んだルートにより扱いが分かれる。以下にそれを示す。
『キン肉マン マッスルグランプリ2』では、マリポーサの2Pカラー(同じキャラクター同士で対戦するための「色違い」キャラクター)としてアニメ版カラーが登場する。
テレビアニメ『キン肉マン キン肉星王位争奪編』放送時に発売された、バンダイの玩具『超人パワーシリーズ』では「マリポーサマン」名義で発売された。
小説『ディープオブマッスル!!』では、幼少時に両親と弟のジョンとともにキン肉星から地球のメキシコシティに移住し、そこで両親と死別した後は両親が生まれ育ったモクテスマ星に移住したと説明されている。その後モクテスマ最凶の盗っ人兄弟・盗っ人ジョージと盗っ人ジョンとして犯罪を重ねていたが同胞を不幸に陥れたことに後悔し、以降は地球の貴族から金を奪いモクテスマの民に分け与える義賊となる。しかし十数年後、復讐のために同じモクテスマの民にジョンを殺され、マッスル・リベンジャーで仇を討つものの盗賊稼業に心の底から嫌気がさしていたところを飛翔の神によりキン肉星の王位継承候補に選ばれ、キン肉マンマリポーサへと転身する結末となる。
埼玉県の『キン肉マン』ファンが熊本城の一口城主に「キン肉マンマリポーサ」名義で10,000円以上の寄付をしている。
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