『ふしぎ遊戯』(ふしぎゆうぎ)は、渡瀬悠宇による日本の少女漫画。また、それを原作としたテレビアニメ。1992年より『少女コミック』(小学館)に連載された。略称は「ふし遊」。また、後に発表された『玄武開伝』、『白虎仙記』との区別から本項にて解説される一連のシリーズ作は『朱雀・青龍編』とも呼ばれ、これを略して『朱青』または『朱雀』とも呼ばれる。2015年11月時点で全シリーズの累計発行部数は2000万部を突破している。
本作品は、古代中国の四神や二十八宿などを題材とし、主要な登場人物の名前は、二十八宿から取られている。また、主人公や国名なども五行説に則って命名されている。身体の文字などは里見八犬伝がルーツとなる。
高校受験を間近に控えた中学3年生の夕城 美朱(ゆうき みあか)と親友の本郷 唯(ほんごう ゆい)は『読み終えた者は主人公と同様の力を得、望みがかなう。』という序文に釣られ、図書館の立ち入り禁止区域で見付けた四神天地書という書物を開いて、中に吸い込まれてしまう。そこに待っていたのは、古代中国に似た異世界―四正国の紅南国と、額に鬼の字を持つ青年―鬼宿(たまほめ)との出会いだった。すぐに現実世界に戻れた2人だったが、帰宅後に母親と口論になり飛び出した美朱は再び本の世界へ入ったまま、現実世界へ帰れなくなってしまう。かくして美朱は、軍事大国―倶東国の前に苦境に立たされていた、若き皇帝にして朱雀七星士―星宿(ほとほり)の紅南国を守るため、現実世界への戻り方を知るために、朱雀の巫女となった。やがて美朱は、各地に点在する七星士を探す方法や戻り方を求め訪れた太極山で、仙人―太一君(たいいつくん)の助言と美朱の行方不明を聞き付けた唯の助けで、なんとか現実世界に帰還する。が、入れ替わりに唯が吸い込まれてしまったことからそれを助けるため、また七星士の一人であった鬼宿と強く惹かれ合うようになっていたこともあって紅南国を平和に導くために、決意新たに美朱は兄―奎介(けいすけ)の制止を振り切って本に戻ってしまう。
一方、美朱と入れ替わりに倶東国に降りた唯は、ゴロツキに襲われたところを青龍の巫女として青龍七星士―心宿(なかご)に助けられる。だが青龍の力の独占を密かに狙う心宿は、ゴロツキ達に唯が強姦されたのは美朱が見捨てたからだと騙り、敵対させるよう仕向けた。こうして唯は心宿の策略により、朱雀を妨害しながらの青龍召喚の旅に出る。心宿により、朱雀・青龍とも七星士達が次々と命を落とす中、一度は不可能かと思われた神獣召喚であったが、玄武・白虎の巫女達の遺産―神座宝を集めれば巫女単体でも神獣を呼び出せると知らされ、争奪戦が始まる。
最終的にこの争いを制したのは、青龍側であった。神獣―青龍を召喚した唯は、第一の願いで朱雀を封印。続く第二の願いで美朱を本の世界から追放し、唯も共に現実世界に帰還する。しかし美朱を離すまいとした鬼宿も、一緒に本の世界から飛び出してしまう。そこでとうとう鬼宿は、美朱と唯には今までの出来事全てが紙面上の虚構に過ぎないこと―――巫女と七星士が結ばれないと言われて来た本当の意味に、衝撃を受ける。
美朱達が本の中で神獣召喚を巡って争っていた頃、奎介も美朱と唯を助けるべく、現実世界で奔走していた。現実世界と巫女を繋ぐ共通物質―媒体である美朱のリボンや四神天地書に浮き上がる文面により、四正国や美朱の言動を追い掛ける一方で奎介は友人―梶原 哲也(かじわら てつや)と共に四神天地書とその訳者―奥田 永之助(おくだ えいのすけ)を調べ始めるが、2人が辿り着いたのは奥田の一人娘―多喜子(たきこ)が元玄武の巫女であった事実と、父娘の非業の死であった。さらに奎介達は、本から無事巫女の役目を遂げて帰還した元白虎の巫女―大杉 鈴乃(おおすぎ すずの)より“巫女とは生贄であり、神獣は願いを叶える代わりに巫女の体を喰らう。ただし、巫女が強い心の持ち主ならばその限りではない”と聞かされ、本の世界を追われた美朱に告げた。この事実は召喚で青龍に蝕まれていく体に怯え、美朱へ助けを求めて来た唯にも伝えられたがショックの引く間もなく、紅南と倶東両国を窮地に陥れた心宿が、遂に現実に現れ、第三の願いを自らにもたらすよう唯に迫った。辛くも、鬼宿の助けを得た美朱に助け出されたことで、ようやく心宿の本心に気付いた唯は、最後の願いで朱雀を呼び出す力を美朱に与え、青龍に取り込まれてしまう。
朱雀を招喚した美朱は、第一の願いで唯を取り戻した後、第二の願いで青龍を封印。世界を破滅から救い、最後の願いで“鬼宿と決して離れない”ことを願った美朱が、唯と現実世界へ戻って数か月後…。奎介の連れて来た、鬼宿の記憶と誓いの指輪を持った後輩―宿南 魏(すくなみ たか)と再会する。
第二部(OVA2参照)では高校生になった美朱が、学校行事で訪れた高松塚古墳で朱雀と再会。救いを求める声と魏に迫る危機に、鬼宿の記憶を探して、魏と再び本の世界へ降り立つ。朱雀七星士達との再会に感激するも束の間、あの朱雀と青龍の激闘の直後に井宿と翼宿の手元に現れた石が魏の記憶だと知り、不気味な気配を感じつつも、戦死した七星士達の石を求めて旅を開始する。しかしその頃、現実世界の美朱の高校や奎介達の大学にも、妖しい影が迫りつつあった。
メディアミックス展開のため、声優のキャスティングが複数存在する。併記なきものはアニメ版。
朱雀を守護神とし、四正国の内南に位置する温暖気候の国。皇帝の治世が行き届いているためか、四正国の中では比較的治安が良い。しかし近年では倶東国の軍事的脅威に晒されている。首都は栄陽(えいよう)。朱雀の象徴色は朱。そのため、朱雀七星士の体に出る文字の色は赤色。朱雀七星士は全員男である。
青龍を守護神とし、四正国の内東に位置する軍事大国。その国風と現皇帝が暴政を敷いていることから国内では内乱が絶えず、治安も非常に悪い。首都は春封(しゅんふう)。青龍の象徴色は青。そのため、青龍七星士の体に出る文字の色は青色。
白虎を守護神とし、四正国の内西に位置する、砂漠などが北アフリカ〜中東を思わせる国。白虎の象徴色は白。そのため、白虎七星士の体に出る文字の色は白。90年前に白虎召喚に成功している。
玄武を守護神とし、四正国の内北に位置する最も広大な国。首都は特烏蘭(トウラン)。国土のほとんどが殺伐とした荒野や山だが、資源が豊富。モンゴルをイメージしている。玄武の象徴色は黒。そのため、玄武七星士の体に出る文字の色は黒く、光り輝く時は銀色。200年前の玄武召喚により、永遠の平和が約束された国である(詳しくはふしぎ遊戯 玄武開伝の項目を参照)。
原作第二部(OVA2)の敵。
1995年4月6日から1996年3月28日までテレビ東京系でアニメ化された。毎週木曜日18時00分から18時30分に放送。全52話。
ほぼ原作通りの進行だが、原作では奎介による美朱への説明のみだった盛岡行きの様子や、鈴乃と婁宿が同時に亡くなるシーンが追加されるなどの相違点も多数ある。
この他、2007年8月1日からTOKYO MXにて再放送された。2017年9月5日からチバテレで再放送されている。
第一部(テレビアニメシリーズ)と第二部の間のストーリーとされるアニメオリジナルエピソードが全3巻、第二部が全6巻、外伝の永光伝が全4巻製作された。TVアニメシリーズと同じスタッフで製作されたが、外伝のみ若干異なる。
TVシリーズ後のアニメオリジナルエピソード。全3巻。何者かによって再び四神天地書の中に戻された鬼宿。本の中では数十年が経過しており、誰も当時の自分を知る者はなかった。宮殿を訪ね、星宿の曾孫だという少年の皇太子に国を救った伝説の朱雀七星士として快く朱雀廟に招かれるが結界に阻まれ入ることができず、朱雀七星士を語る偽者として追い出されてしまう。太一君を頼って太極山を訪ねても、岩の転がった山にしか見えない。そんな時、自分のことを心宿と呼ぶ少女に出会い、鬼宿は苦悩する。
原作第二部をアニメ化したOVAシリーズ。全6巻。高校生になった美朱が、高松塚古墳での朱雀からの救いを求める声と魏に迫る危機に、鬼宿の記憶を求め、魏と再び本の世界へ降り立つ。第一部で故人となった朱雀七星士や唯達とも力を合わせ、四神天地書内だけでなく現実世界をも股に掛けた魔人―天罡との戦いに美朱達が臨む。七星士達の過去や死後の紅南国内での因縁、現実世界の人々を洗脳して襲い来る祀行 斂や神代 魅との対決が描かれる。
小説「ふしぎ遊戯外伝」7&8巻をアニメ化したOVAシリーズ。全4巻。魏への好意から美朱に対する嫉妬心で、自ら四神天地書の世界へ旅立った朱雀の二代目巫女―榊真夜が主人公となっている。数々の経験を経た真夜はやがて、魏と美朱の真実を知ることになる。
『ふしぎ遊戯 朱雀異聞』のタイトルで、オトメイトより2008年5月29日に発売されたPlayStation 2ゲーム。
2009年6月25日には『ふしぎ遊戯 玄武開伝 外伝 鏡の巫女』と『ふしぎ遊戯 朱雀異聞』がカップリングされたニンテンドーDSソフト『ふしぎ遊戯DS』が発売された。限定版にはドラマCDの朱雀編『朱雀七星士、柳宿争奪戦!?』と玄武編『真夜中の激闘! 伝説のキノコを求めて』が同梱。
ここでは、朱雀の巫女と青龍の巫女は、美朱や唯ではない。声優もドラマCD・アニメ版とは大幅に変更されている。
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