『ピタゴラスイッチ』は、2002年4月9日(ミニは4月1日)からNHK教育→NHK Eテレで放送されている幼児向けの教育番組である。
国際的な放送番組のコンテストである日本賞(教育・教養番組)総務大臣賞、プリ・ジュネス(子供・青少年向けテレビ番組)最優秀賞を受賞した。
何気ない日常に隠れている不思議な構造や面白い考え方、法則があり、いろいろな事象や仕掛けなどのコーナーを通して「なるほど!」を紹介。子供たちの「考え方」を育成するテーマの番組である。
サブタイトルは前半の人形劇のテーマであり、車だん吉や井上順らが声優として出演している。内容の大部分は後半に放送するいくつかの小さなコーナーで占められる。
2006年にモバイルサイトが開設され、着信メロディなどがダウンロードできるようになった。2007年度から2010年度まで土曜日にアンコール放送が実施された(後述)。
番組名の由来は、日常生活の法則や定理を古代ギリシアの数学者「ピタゴラス」の定理に準え、発想する「スイッチ」を合わせた造語である。
通常版では、基本的に前半部では人形劇「きょうのトピック」または「地下ゴラスイッチ」、後半部では文房具などを使って、面白い道を作ってボールをゴールまで転がす「ピタゴラ装置」やその他のコーナーを数本放送する構成が取られている。
スペシャル版では、人形劇のキャラクターによる進行の下、あるいは人形劇自体を休止した上でミニコーナーの総集編や従来のコーナー・歌にちなんだ特集などを放送するケースがある。
監修(総合指導)は佐藤雅彦と内野真澄。佐藤雅彦が過去に制作した作品や、慶應義塾大学佐藤雅彦研究室(以下、佐藤研。佐藤は2005年度まで在籍)の学生がワークショップで作った作品が採用されている。
こうした作品は当番組のほか、書籍『ねっとのおやつ』(文庫版タイトル『四国はどこまで入れ替え可能か』)『任意の点P』などでも紹介されている。
また、近年は佐藤研の卒業生からなるクリエイティブ・グループ「ユーフラテス」もコーナーの企画・制作に携わっている。
各コーナーの映像には、過去にNHKで放送された番組やそれを模したもの(『NHKニュース』『NHK高校講座』やスポーツ中継など)が使用され、アテネ夏季五輪やソルトレイクシティ冬季五輪の映像などオリンピックの映像も使用されている。
通常版のほか、ミニコーナーや歌のコーナーを5分間に再編集した『ピタゴラスイッチ ミニ』がある(最初のタイトルロゴで「ミニ」と書かれた四角い体の虫が横切る演出がある)。2015年度より通常版・ミニ共に字幕放送に対応している。
NHK国際放送のチャンネルであるNHKワールド・プレミアムでは、この番組 "PythagoraSwitch" と、ミニの "PythagoraSwitch mini" が放映されている。
2015年度より、ミニの番組を再編集し英語吹き替え・英語字幕を付与した "PythagoraSwitch mini" が、ネット配信を含む「NHK国際放送 NHKワールド」で放送されている。なお、英語吹き替え版は番組のタイトルコールが日本の物とは異なる。
番組開始時は4:3標準画質映像による製作で放送されたが、2010年度よりハイビジョン化された。従来の4:3の映像を放送する場合は、画面左右の両端にサイドパネルを入れて放送する。ただし、ミニではその後も4:3で放送される回があり、16:9HDの映像も4:3HDで放送される。
※帯放送は、月曜日 - 金曜日の午前中のもの。他は各曜日欄に記載。
百科おじさんがピタとゴラ(『大人のピタゴラスイッチ』では片桐仁)に世の中の仕組みを解説する人形劇。人形操演は木ぐつの木。人形が登場しない放送回も存在する。「ミニ」では放送されない。劇中BGMの作曲は栗原正己。2021年度以降の10分版では、土曜日と月曜日のみ放送している(月曜日は、土曜日放送分の再放送)。
ピタとゴラ(『大人のピタゴラスイッチ』では片桐)の疑問に百科おじさんが「詳しくはわしの○○ページに書いてあーる」と答え該当するページを参照させるが、ピタとゴラは「じーっ、子供だから、読めませーん」と返し、更なる詳細の解説のためテレビのジョンが呼ばれる、というのが定番。『大人の-』では片桐が「じーっ、大人だから、読めまーす」と言うが、読んだだけでは難しくて意味が解らなかったので、更なる詳細の解説のため同様にテレビのジョンが呼ばれる。
ペンギンの「ピタ」と「ゴラ」、ネズミの「スー」の名前や百科おじさんの「イッチ」 (昔のあだ名)は番組タイトルの「ピタゴラスイッチ」に因んでいる。
2018年4月7日放送分以降、不定期に放送されているコーナー。ピタやゴラ達に代わって、モグラのキャラクターであるモグ郎やグラオ達が進行する。
番組のオープニング・エンディング・番組途中に放送される、番組を象徴するコーナーのひとつ。
「ピタゴラ装置」の愛称で親しまれているからくり装置(いわゆるルーブ・ゴールドバーグ・マシンだが、佐藤雅彦は「ピタゴラ装置=ルーブ・ゴールドバーグ・マシン」という表現を嫌っており、かつ、両者は全く違うものだと主張している。また、ルーブ・ゴールドバーグ・マシンは長い名前で、幼児には理解しづらいので、「ピタゴラ装置」という愛称が理解しやすい)を利用して番組タイトルを完成させる。この装置は、紙コップや定規やクリップなど基本身の回りのもので組み立てられているが、非常に複雑な仕掛けがなされており、最初のきっかけを人力で与えたあとはすべての動きが連鎖的に引き起こされる(ドミノ倒しに似ており、その発展といえる)。
15分版のオープニング・エンディングでは放送される装置が固定されており、オープニングは装置No.10「フライパン」、エンディングは装置No.9「レコードプレーヤー」であった。対照的に「ミニ」ではオープニング・エンディング共に毎回異なっており、放送回によっては「アルゴリズムたいそう・こうしん」や歌などが最後のコーナーになった場合、エンディングが省略されてそのまま番組が終了するケースもある。2021年度以降放送時間が10分に短縮されてからは毎回異なる装置が放送されるようになった。
ハイビジョン化以降、4:3放送時代の装置が流れる機会は年々減少したが、2021年度からは「名作選」と題し4:3の映像を含めた過去の装置も再び放送されるようになる。
ピタゴラ装置の部分のみをまとめたDVD付き書籍が発売された。詳細は関連映像作品・書籍を参照。
著名なプロのスポーツ選手が始動や中継・フィニッシュを行う、史上初の人力が絡んだピタゴラ装置。
2021年4月1日放送分で初登場のコーナー。ピタゴラ装置の手前にそれぞれグー・チョキ・パーのサインが付いたゴールが並べられており、装置ギミックとなるボールの軌道から視聴者がじゃんけんで出すべき手を予想する。1回目はナレーションがゴールまでの軌道を予想するが、より複雑さを増した2回目は「よそうタイム」が途中で時間切れとなるため視聴者自身で軌道を考える必要がある。時々「ちょいむず」や「かなりむず」と称し、装置の複雑化に加えてダミーのギミックも盛り込み予想をより困難にした難易度強化版が登場することもある。
いずれも出演はいつもここから(山田一成・菊地秀規)で、歌唱も2人が担当。漢字で「アルゴリズム体操」、「アルゴリズム行進」と表記される場合もある。
通常版の場合、たいそうとこうしんが続けて行われるケースもある。いつもここからの2人が、様々な人たちと体操するのが恒例となっている。また共通して複数でやる時は、他の参加者が2人目(菊池)の掛け声、「アルゴリズムたいそうー(こうしーん)」を斉唱し、同じく2人目(菊池)が「〇〇のみなさんといっしょ」と言って、たいそう・こうしんが始まる。さらに『たいそう』は本番後に、『こうしん』は練習後にサウンドロゴが表示され、このコーナーのみ彼らが歌う。「たいそう」では体操終了後に山田・菊池・他の参加者の順に「アルゴリズムたいそう、おわり」(練習版は山田・菊池のみ「アルゴリズムたいそう、練習おわり」)と言って締める。
2人1組で行う体操。アルゴリズムがテーマとなっており、1人では意味の無い動きが、2人並ぶと関連性のあるものとなる(『しゃがむ動作』が『腕を横に振る』動作と組み合わさることで『腕を避ける動作』になる、等)。体操が終わった後に、「1人で練習」をする場合があり、練習の形態は「やまだバージョン」と「きくちバージョン」がある。「○○のみなさんといっしょ」の後は、体操をした人数の半分の人数で練習する(半分以下の場合もある)。
過去に行われた体操の映像を繋ぎ合わせた「とくべつへん」も存在する。2016年3月5日に「ワシのみたい名作コーナー 第2弾〜アルゴリズムたいそう〜」として過去の放送の中から人気の回が一挙放送された。
2人で体操を行う場合は、白背景と住宅室内ロケの2種類がある。
また、ラジオの茨城放送『たかとりじゅんのビタミンJ!』ではBGMの一つとして使用されていたことがある。
これまでの参加者(人名の所属団体は撮影当時のもの)。
アルゴリズムたいそうを発展させた行進。2003年度から放送。出演と歌唱は同じく、いつもここからの2人。2人以上で縦一列になって輪唱のように1人ずつ動きをずらして行う。前の人の動きと後ろ人の動きが関連性を持ったものになっており、動きがかみ合うとぶつかりそうでぶつからない。外部の人達とコラボレーションをして行進するときは前から2番目の人が「〜といっしょ」、そうでないときは先頭の人が「歩幅は小さく」と号令を言うのがきまり。2010年以降の新作では、通常の1.5倍-2倍速のテンポで行進する『アルゴリズムこうしんMAX』のパターンが追加されている。
先頭から順に以下のような動きと一歩前進を繰り返す(最初のステップで先頭が1.を、次のステップで先頭が2.、次の人が1.を、その次のステップで先頭が3.、次の人が2.、その次の人が1.を、…の順)。これにより、同じ場所に誰がやってきても、その場所では全員が必ず同じ動きをすることになる。
行進の前に、山田・菊地のどちらかが「ひとりで行進」をする事もある。「ひとりで行進」は曲が1巡した所で、曲がフェードアウトして終了する。「○○のみなさんといっしょ」の前には、その場所で撮影した物が放送される。
フィリピンのとある刑務所では、囚人達の教育の一環で導入されている。
これまでの参加者(人名の所属団体は撮影当時のもの)。
この回から本番時に歌詞が表示されるようになる。
空き箱に50音のいずれかの行の文字5つが書かれた手作りの「おとうさんスイッチ」を子供が押し、そのおとうさん(2004年以降は祖父・ひいおじいちゃんのケースもある)がその文字から始まる動きをするという視聴者参加型コーナー。冒頭に出演者の自己紹介をした後、オープニングは、知久が「おとうさんスイッチ(2・おじいちゃんも可)いきますよ〜」と歌ってスタートする。香川真司が出演した「かがわスイッチ」放送時のみ、知久が「かがわスイッチ いきますよ〜」と本気モードで歌ってスタートした。
年度最初の放送はあ行、2回目の放送はか行、という放送順となっている。わ行まで行くと次回からは濁音となり(わ行は放送されない)、濁音が終わるとその後は拗音となる(濁音のた行(だぢづでど)は放送されない)。拗音が終わるとまたあ行に戻ってくる。スイッチを押す回数は最低で一周の5回だが、6回以上押されることがあり、6回目以降は子供が任意に選んだスイッチを押し、そのスイッチで指定された同じ動作を繰り返す。
出演する親子は基本的に一般人・視聴者だが、以下の著名人が本名を名乗り親子で出演したことがある。
前述の「おとうさんスイッチ」の作り方を歌で紹介する。映像はスイッチのみが登場し、スイッチの作り方とはボタンの向きが逆になっている。
前述の「おとうさんスイッチ」の派生コーナー。2010年度から放送。おかあさん(場合によってはおとうさん。この場合は完全なる「おとうさんスイッチ」の逆バージョン)がスイッチを押し、子供が扮する「おてつだいロボ」がその文字からはじまる動き(お手伝い)をするというコーナー。スイッチの構造や作り方はおとうさんスイッチと同じ。コーナーの最後に、おてつだいロボのアニメーション(曲はフルサイズまたは1番のみ)が流れる事がある。歌は栗原が担当。
13個の四角いフレームで構成された白い犬「フレーミー」のアニメ。モチーフはテリア。他のキャラクターも単純図形で構成されているが、透明ではない。So-net「ねっとのおやつ」作品から。
フレーミーには水玉模様のスポッティーと、真っ黒のペインティーという2匹の兄弟が居る。フレーミーは骨が好物で掃除機が苦手。スポッティーは赤ちゃんの世話を任されており、チーズが好物でネコが苦手。ペインティーはドーナツが好物でネズミが苦手、昔は隣の家に祖父がいた(現在は犬小屋の前に花が挿されていることから、亡くなっている)。
フレーミーは、驚いて飛び上がった後落ちたり、何かにぶつかったり、工事現場に入った時にブルドーザーで外に押し出された時などに胴体や足、頭、耳、尻尾がバラバラに分かれてしまう。しかし、簡単に元に戻せる。バラバラになった時に鳥などに鼻や目、尻尾をどこかへ持って行かれる事もある。スポッティーとペインティーとの喧嘩などで全身のパーツがバラバラになり、でたらめに合体したことで誰が誰だか分からなくなることがあるが、それぞれの好物、あるいは苦手な物が出現することで元に戻れる。
一度、ストーリーが算数の問題出題になって終わった回があり、この時のみ番組エンディングがピタゴラ装置ではなく解答・解説のアニメーションになる。この話を放送した「ミニ」のエンディングでは解答・解説アニメーションは放映せず通常通りピタゴラ装置を放送、そこにテロップで解答を載せたのみであった。
オンエアでは「ミニ」を中心に、「フレーミーのうた」といういわばテーマソングの歌唱とその歌詞に合わせた映像で終わることもあった。
2005年度から放送。10本の棒が合体していろいろなものに変身するストーリー。佐藤研ワークショップからの派生。
2006年度から放送。
黄色いサイコロのキャラクター・ぼてじん(声 - 岩尾望)が、地面に描かれたマス目の中を前後左右に動いて、カメラに向かってぼてじんのサイコロの面に書かれたメッセージを披露するが、実はマス目から外れても移動可能である。マス目上で回転することもできる。毛虫が苦手。
同年10月に初登場した、オレンジ色の小さいサイズのいぬてん(声 - 後藤輝基)がたまに登場する。こちらには顔と「ワン」しか書いていない。いぬてんもマス目上で回転することができる。いぬてんの家としていえてん(声 - 後藤輝基)も存在する(犬小屋の形をしている関係上、歪な七面体の形である)。
2023年には久しぶりに新作が放送されている。
PlayStationのゲーム、『XI[sai]』が元ネタとなっている。
2019年1月5日の放送で初登場の『ぼてじん』からの派生コーナー。ぼてじんの前に現れる身近なモノをモチーフにしたキャラクター(声 - 後藤輝基)を軌道となるマス目の形から考える。
2020年7月25日の放送で初登場の『ぼてじん』からの派生コーナー。いぬてんが目的地に正しく到着するための道順(プログラム)を考察する。
2016年1月23日放送で初登場のアニメーションのコーナー。擬人化された巻き尺のジャックが、さまざまな日用品のキャラクター達とからむ。コーナーの最初の部分と最後の部分に歌が入る。
「ピタゴラ暗号棒」の歌に合わせてコーナーが進む。
ストーリーが存在するピタゴラ装置である。ビー玉の3兄弟が主人公で、長男は緑色のビータ、次男は赤色のビーすけ、三男は黄色のビーゴロー。この三人が、敵の黒玉軍から逃げるのがこのシリーズの内容。2018年7月28日に『ビーだま・ビーすけの大冒険スペシャル!』が放送され、これまでの3作が再放送された後に4作目である『~完結編~ 黒玉軍の野望』を初放送。これをもって、ストーリーが一旦完結した。
2003年に「第25回 みかたをかえてみる」が第30回日本賞「子ども番組の部」で最優秀賞(総務大臣賞)を受賞。
この「第25回 みかたをかえてみる」は、ミュンヘンで開催された「プリ・ジュネス2004」で「6歳までのノンフィクション部門」最優秀賞を受賞した。
2018年には「プリ・ジュネス2018」で「ビーだま・ビーすけの大冒険スペシャル! ~黒玉軍に気をつけろ~」が「6歳までのフィクション部門」最優秀賞を受賞している。
いずれもDVDの発売元は小学館、販売元はポニーキャニオン。CDの発売・販売元はワーナーミュージック・ジャパン。
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