武漢市(ぶかんし/ウーハンし、簡: 武汉市; 武漢語: /u˦˨xan˧˥si˧˥/; 拼音: Wǔhàn Shì; 英: Wuhan City)は、中華人民共和国(中国)の中部、湖北省の東部、長江とその最大の支流漢江 の合流点に位置する都市である。中国中部地方及び長江中流域唯一のメガシティで、湖北省の省都および華中地方唯一の副省級市でもある。また、中国有数の工業都市、文教都市及び交通要衝でもある。市の総面積は8569.15平方キロメートルであり、人口は1108万人である。(2018年)市政府の所在地は江岸区沿江大道188号である。
武漢市は湖北省に位置する。湖北省は直轄市である重慶市に隣接する。重慶・湖北区域は極めて人口の多い地区である。武漢市は華中地域ないし長江中流域の中心都市 であり、華中地方唯一の「副省級市」であり中国の「国家中心都市」 の一つでもある。長江とその支流である漢江の合流点にある武昌・漢陽・漢口の三鎮からなり、「江城」という異称もある。武漢は「百湖の市」とも呼ばれ、市内で数多くの湖があり、水域面積は全市面積の約4分の1を占める。
武漢は3800年の歴史をもつ国家歴史文化名城 で、楚文化の発祥地の一つである。経済的重要性から大幅な自主権をもつ副省級市に指定されている。2016年12月1日に国際連合開発計画(UNDP)が発表した「中国持続可能な都市レポート2016、英題:China Sustainable Cities Report 2016」により、武漢市の2015年度の人間開発指数(HDI)は0.839で、中国の中・西部において1位で、全国9位となる。2017年5月30日に中国社会科学院都市と競争力研究センターより発表した「中国都市競争力ランキング2017」により、武漢は中国の中・西部において1位で、香港、マカオなどを含めて全国10位である。2016年10月に中国共産党中央委員会及び国家発展改革委員会により「超大都市」かつ長江流域3大コア都市(重慶・武漢・上海)の1つに指定される。同年12月14日に国家発展改革委員会により「国家中心都市」に指定される。2017年10月31日に国際連合教育科学文化機関(UNESCO)に「デザイン都市(Creative-city)」として認定される。2017年10月31日に国際連合人間居住計画(UN-Habitat)と中国社会科学院財経戦略研究院とが共同発表した「グローバル都市競争力レポート2017-2018(ショートバージョン)、英題:The Global Urban Competitiveness Report 2017-2018(Short version)」により、武漢は経済的競争力において世界40位で、香港や台北を含め中国8位となる。
武漢市を中心とする武漢都市圏の人口が3144.81万人(2016年末現在)であり、武漢市及びその周辺の黄石市、鄂州市、黄岡市、咸寧市、孝感市、天門市、仙桃市、潜江市から構成される。2007年12月14日に同都市圏が国家発改委により「全国資源節約型と環境友好型社会(「両型社会」とも略称)建設総合整備改革試験区」に指定された。また、武漢都市圏の9都市と同湖北省の荊門市、荊州市、江西省の九江市、湖南省の岳陽市など近接都市が「長江中流域都市群」という大都市圏を形成している。
2019年末に新型コロナウイルスが市内で発生、同ウイルスによる肺炎が大流行し、翌2020年1月23日に武漢市全体が(中国政府によって)事実上封鎖(ロックダウン)された。世界中の人々の注目の場所となり連日のように武漢市の状態が国際報道で扱われる状態となった。
武漢市の政治機関および首長は以下のようなものである。
武漢市の市委書記は通常、中国共産党湖北省委員会の副書記及び武漢市人民代表大会常務委員会の主任も兼務するので、省の指導陣においては湖北省省委書記と湖北省省長に次いで序列3位である。
武漢市は長江中流の江漢平原の東部に位置し、鄂東南の丘陵地帯が漢江平原の東部を経て大別山南麓の低山・丘陵への過渡地区である。中部は標高が低い平地であり、南部は丘陵に囲まれ、北部は低山が林立する。低山・丘陵・侵食平野・堆積平野の面積はそれぞれ全市総面積の5.8%、12.3%、42.6%、39.3%を占める。全市の標高は19.2〜873.7メートルの間にあり、殆ど50メートル以下にある。市の総面積は8569.15平方キロメートルである。市の範囲の座標は東経113°41′-115°05′、北緯29°58′-31°22′であり、最東端は新洲区徐古街道将軍山村、最西端は蔡甸区侏儒山街道国光村、最南端は江夏区湖泗街道均堡村、最北端は黄陂区蔡店街道李沖村である。
温暖湿潤気候(Cfa)に属する。近年温暖化がすすみ年間無霜期間は211〜272日間であり、年間日照時間は1810〜2100時間である。年間降水量は1150〜1450ミリメートルであり、6月〜8月の降水量は年間降水量の40%を占め、梅雨の時季には梅雨前線に覆われ雨の降りやすい天気が続く。夏はとても暑く、夜も気温が30℃以上の日が続き、重慶、南京と並んで三大ボイラーの1つと呼ばれている。夏は最も暑い7月の平均気温は29.1度と高く、日中は40℃近くに達する場合が多い。市内に河や湖が散在することから湿度が高い上、風があまり吹かないので体感温度ではさらに高くなる。7月の平均最低気温は26.0℃であり、ほぼ毎夜が熱帯夜である。
2018年現在、市域の水域面積は2217.6平方キロメートルで、市の総面積の26.1%を占める。1人当りの地表水資源量は11.4万立方メートルである。長さが5キロメートル以上の河川は165本あり、166の湖がある。地下水の静的蓄積総量は128億立方メートルで、地表水の蓄積総量は7145億立方メートルである。
武漢は住宅都市農村建設部と国家林業局により、「国家園林都市」と「国家森林都市」に指定されている。2016年の時点で、武漢市の緑被率は39.65%であり、1人当たりの公園・緑地の面積は11.21平方メートルである。市域内の森林の蓄積総量は5.33平方キロメートルで、森林率は22.88%である。
2010年時点での湿地面積は3358.35平方キロメートル、内陸都市において世界3位であり、市の総面積の39.54%を占める。うち天然湿地の面積は1561.86平方キロメートルで、人工湿地面積は1796.49平方キロメートルである。
武漢においては多様な動物資源を有する。主要な経済価値がある魚類は四大家魚であるソウギョ、アオウオ、ハクレン等約20種類がある。水棲鳥類は雁、コウノトリ、ペリカン等があり、特にシュバシコウは中国の国家I類保護動物である。特種経済的価値ある水生生物はヨウスコウカワイルカ、スナメリ、鼈等があり、うちヨウスコウカワイルカは国家I類保護動物で、スナメリは中国の国家II類保護動物である。
武漢では33種類の鉱物資源が発見され、潜在的な経済価値は8400億元超。非金属鉱産資源の中、ベントナイト、ドロマイト、石英砂岩、石膏などの埋蔵量は多い。市域内で埋蔵量が確定された鉱山は154カ所ある。
武漢市の市街地は長江と漢江に分割され、漢口・漢陽・武昌の3つの部分(いわゆる「武漢三鎮」)から構成される。また、1980年代以降に武漢市に編入された郊外的地域も存在する。
武漢三鎮
漢口の地名は漢江が長江への合流点、いわゆる「漢江の口」に位置する事に由来する。かつては漢口市という都市名が存在したが、現在は区名として使われていない。ただし、汎称地名として漢口駅、漢口銀行などの機関・組織名に残され、市民の間でも地理名詞としてよく使われている。狭義の「漢口」は旧漢口市に由来する礄口区・江岸区・江漢区を指すが、広義の「漢口」は漢口三区の北側にある、元々郊外地域であった東西湖区も含まれる。
漢陽は昔、亀山の南側、漢江の北側に位置したため、陰陽思想により「漢江の陽」と名付けられた。ただし、成化10年(1474年)に漢江の流路が漢陽の南側から亀山の北側に変わり、漢陽の地は漢江の南側となったが、「漢陽」という地名はそのまま存続し現在に至る。旧漢陽県である蔡甸区も広義の「漢陽」に属する。
武昌は、孫権が「以武治国而昌」の意をこめて武昌と命名したと伝わる。ただし、当時の「武昌」は現在の鄂城区を指す。元代以降に現在の武昌の地にその呼称が定まった。狭義の「武昌」は武昌区、あるいは青山区と洪山区を含む武昌三区を指す。広義の「武昌」は旧武昌県である江夏区も含まれる。
この節の出典
2018年末時点の常住人口は1089万である。うち都市人口は871.87万人であり、都市化率は80.04%である。戸籍人口は853.65万人で、前年より19.8万人増えた。出生率は15.57‰、死亡率は11.62‰。人口増加率は3.96‰である。人口流入率は19.78‰である。
2010年の第6回人口普査(国勢調査)の結果により、全市には中国政府により認定されたすべての56の民族が在住している。
うち漢民族は969万6951人で総人口の99.096%を占め、少数民族の人口は合計8万8441人であり、総人口の0.904%を占める。
人口が1000人以上の民族は12個あり、うちトゥチャ族は3万215人で一番多く、次は回族(2万1777人)、チワン族(6652人)、満州族(5951人)、ミャオ族(5608人)、モンゴル族(4187人)、ウィグル族(1674人)、ヤオ族(1516人)、チベット族(1437人)、イ族(1244人)、トン族(1112人)、プイ族(1009人)である。
武漢市においては仏教、道教、イスラム教、カトリック教会、プロテスタント教会といった5種の宗教が活動している。
全市に登録した宗教活動場所は497か所あり、うち仏教は202か所、道教は163か所、イスラム教は4か所、カトリック教会は4か所、プロテスタント教会は124か所ある。
全市に登録認定された教職者数は748人で、うち仏教は456人、道教は181人、カトリック教会は50人、プロテスタント教会は53人、イスラム教は8人である。全市において武漢市仏教協会、武漢市道教協会、武漢市イスラム教会協会、武漢市カトリック教会愛国会、武漢市カトリック教会教務委員会、武漢市プロテスタント教会三自愛国運動委員会、武漢市プロテスタント教協会など7個の愛国宗教団体及び武漢キリスト教青年会、武漢キリスト教女子青年会など2個の宗教的社会団体がある。
2017年に中南民族大学の研究者による6000名の武漢市民に対するサンプリング調査の結果により、79.2%の被調査者は無宗教または中国伝統信仰を信仰する。
うち、0.93%は道教の信者、つまり道士である。14.69%が仏教、2.86%がプロテスタント教会、0.34%がカトリック教会、1.27%がイスラム教を信仰する。又、1.61%はその他宗教あるいは不明である。なお、中国では思想信教の自由は特殊であり、未登録の宗教・政府未認可の宗教は違法である。
武漢市は中国の楚文化の発祥地の一つであり、南北からの文化的影響も受けたので、多彩な文化を持つ都市である。京劇の母体の一つである西皮調は武漢の本土演劇である漢劇に由来する一方、湖北省と安徽省の省境地域で生まれた黄梅戯は武漢でも人気な地方劇である。
「武漢方言」とは、武漢市の中心7区に住む住民に話される西南官話の1種である。音韻面では成都語や昆明語など西南官話に属する他方言と共通な特徴が多い。「北京語」と比較すると以下のような特徴がある。
出典:李栄(1998)江蘇教育出版社「現代漢語方言大詞典・武漢方言詞典分巻」
漢劇は武漢地区の伝統的な戯曲で、京劇の母体の一つである。楚調、漢調などとも呼ばれる。中華民国時代に「漢劇」の呼称が定まられ、2006年に中華人民共和国文化部により国家無形文化遺産に指定された。
役柄は末、浄、生、旦、丑、外、小、貼、夫、雑など10種類に分けられる。歌う時は西皮と二黄のほかに、羅羅腔もよく使われる。楽器は胡琴、月琴、三弦、鼓板などが使われる。現在、漢劇を演出する劇団は市内に武漢漢劇院がある。
湖北省内では料理の地域差が大きいが、武漢市周辺の菜系は漢沔菜あるいは武漢菜といい、省内および湖北省周辺各省の料理の特徴を持つ。塩味の料理には胡椒をよく利かせる場合もある。他地方の料理を出す店も多く、特に「点心」や「小吃」と呼ばれる軽食品の種類が豊富で、それぞれの専門店を出店している。また、朝食に適したものが多く、「朝食の都」と呼ばれる。また、河川・湖沼が多いため、淡水魚を使った料理が発達している。中国各地で見られる蒸し魚、煮魚、唐揚げのほか、淡水魚で作られる蒲鉾、魚そうめん、魚肉団子もよく食べられる。
武漢で一番有名な「小吃」は「熱乾麺」(hot dry noodles)である。熱乾麺は地元ではよく食べられる朝食で、中国で最も人気がある 10 種類の麺料理の一つである。よく煮た麺に塩、パプリカ、醤油、酢、糖、ごまソース、葱などの調味料を載せ、よく混ぜあわせると完成する。また、一番有名な料理は「沔陽三蒸」(「沔陽三蒸」 はそれぞれ「蒸魚」、「蒸肉」と「蒸野菜」)で、シンプルで素朴な材料を使い、現代人の食生活にも適合した健康的な料理である。名前の通り、「沔陽」という場所の三つの蒸す料理だ。
武漢はここ数年、目覚ましく工業化が進んでいる。華中地方最大の工商業都市である。2017年の全市のGDPは1兆3410億3400万人民元で、前年比8.0%増加した。
うち、第一次産業が408億2000万元、第二次産業が5861億3500万元、第三次産業が7140億7900万元であり、それぞれの構成比は3.04%、43.71%、53.25%である。常住人口で計算する2017年度の一人当たりのGDPは12万3111元で、前年比10.44%増である。
急激な工業化にともない、大気汚染問題、温暖化問題も生じている。
出典1:1949〜2016年 - 武漢市統計局「武漢市統計年鑑2017」28、29頁 ISBN 978-7-5037-8197-1
出典2:2017年 - 武漢市人民政府「2017年武漢市国民経済と社会発展統計公報」
長江の広大な沖積平野を利用した農業が盛んで、また多数の河川・湖沼による漁業も盛んである。特産物はレンコン、ダントウボウなどがある。武漢華南海鮮卸売市場は華中において最大の市場である。
武漢は中国の重要な工業基地であり、鉄鋼産業、自動車製造業、光電子産業、化学工業、冶金産業、紡績産業、造船業、製造業、医薬産業など完全な工業体系を有し、武漢鋼鉄、東風汽車、中国船舶重工集団武昌造船所などの大規模な製造業会社および工場がある。
2017年の工業生産の総額は4724億8700万元であり、年末時点の規模以上工業企業は2555社がある。2017年、全市のハイテック企業は2827社があり、全年の規模以上ハイテック企業の総生産は2670億5700万元であり、前年比13.3%増。
2016年年末時点、建築業の付加価値総額は997億5900万元で、同期比9.8%増加した。
武漢の工業企業は殆ど市街からやや離れた経済開発区に置かれる。自動車製造業など重工業は漢陽区に集まっている。また、武昌区の東湖の南側に武漢東湖新技術産業開発区が設置され、光ファイバー製造工場およびITアウトソーシング産業などが集まっている。JETRO武漢事務所によると、2019年現在、同市に駐在している日本人は約460人、長期出張者や留学生を含めると500〜600人程という。
武漢市の商業は湖南・江西・安徽・河南を含む華中地区全域に影響力を持ち、漢正街は華中地区最大の卸売り市場の1つである。小売りでは武漢武商集団股份有限公司、武漢中商集団股份有限公司、武漢中百集団股份有限公司、武漢市漢商集団股份有限公司など武漢現地の大手百貨店が有力である。そのほか、カルフール、イケア、メトロ、ウォルマート、イオン(5店舗)、ニトリ、ローソンなど外資系大手小売業者も当市で店舗を開いている。
2017年度の全社会消費品小売総額は6196億3000万元で、前年比10.4%増加した。業界別には卸売り・小売業の売上額は5605億2700万元で、宿泊・飲食業の売上額は591億300万元である。
前述のように、武漢の中心部は漢江と長江により漢口・漢陽と武昌といった3エリアに分割され、各エリア独自の商業エリアを有する。
武漢に駐在する部隊は中国人民解放軍中部戦区に所属し、空軍武漢基地所属師団を統括する。また、中国共産党中央軍事委員会に直轄される、五大戦区の後方支援を担当する聯勤中心(無錫、桂林、西寧、瀋陽、鄭州)を総括し上位機関となる中国人民解放軍武漢聯勤保障基地は武漢にある。
武漢市を中心とする湖北省は、昔から教育を重視し、多くの人材が輩出する事から、「惟楚有材」と評価される。2017年時点、全市において幼稚園は1391園あり、在籍園児数は30.2万人である。小中高校は968校(うち中高学校は367校、小学校は601校)あり、在籍学生数は85.1万人(うち中高学校の学生数は31.6万人、小学生は53.5万人)、中等専門学校は105校あり、在籍学生数は8.4万人%である。2016年時点の国立・公立大学と私立大学は84校があり、在籍学生数は107.5万人(大学生数は94.8万人、大学院生数は12.7万人)である。
1904年2月、武昌にある中国初の公的幼児教育施設「湖北幼稚園」が正式に開園し、戸野みちゑが園長に就任した。日本の「幼稚園保育及設備規程」(1899年制定)を元に作成した「湖北幼稚園開弁章程」は、中国における公的な幼児・女子教育制度の先鞭となった。
2017年9月時点、全市の高等学校の中、「湖北省示範高級中学」に指定される学校は下記通り34校ある。
武漢は2016年現在、国立大学が8校、他の公立大学が23校、私立大学が23校があり、短期大学含め89校がある。2016年現在、大学及び短期大学の学生数は94.9万人、大学院生数は11.5万人、合計106.4万人があり、広州市に次いで中国2位である。
武漢は古代から、水運・陸運が発達していたことから「九省通衢」と呼ばれる。現在の武漢は長江と京広線が交差する場所で、中国内陸部最大の交通中枢都市の一つである。2017年度の全市旅客輸送量は2億9950万3000人であり、うち鉄道輸送量は1億8074万3000人、道路輸送量は1億410万人、航空輸送量は1466万人である。2017年末時点の自動車保有台数は261万台で、前年比30万台増。市内の交通手段としては自家用車のほか、タクシー、路線バス、トロリーバス、BRT、地下鉄、路面電車、フェリー、レンタサイクルなども整備されている。特に、市は長年にわたり公共交通機関の利用促進を行い、2017年末時点に地下鉄の総営業キロ程は237キロメートルで、利用者数は延べ9億3683万2000人である。2016年時点の路線バス(トロリーバス含む)利用者数は延べ14億7387万8000人、フェリーは延べ843万2000人である。
武漢市はかつて、武昌に南湖空港があり、漢口に王家墩空港があったが、都市の拡張につれて空港の敷地が市街に内包され、新空港の開港により閉鎖した。現在定期便を運行している空港は武漢天河国際空港である。
武漢天河国際空港が中国民用航空局(CAAC)により指定される全国8大地域的中枢空港の1つ、対外開放Ⅰ類口岸、国際線代替空港である。
武漢漢南公共飛行場は漢南区の南部にある公共航空と衛星産業団地に位置し、湖北省ないし華中地方最大級の公共飛行場である。滑走路は1本あり、長さが1600メートル、幅が30メートルである。将来、既存滑走路を2400メートルに延長改造するほか、長さが2400メートルの2号滑走路を増築し、アジア最大級の公共飛行場を目指す拡張工事を計画中。
武漢市は中国高速鉄道網の重要な中枢都市で、中国の四大鉄道中枢、六大鉄道旅客運輸中枢及び四大機関車修理・メンテナンス基地の1つでもある。京港旅客専用線と滬漢蓉旅客専用線は武漢で交差し、当市の2017年度の鉄道旅客乗降数は1億8074万3千人であった。また、湖北省の大部分及び河南省の南部の鉄道を管轄する中国鉄路総公司武漢局集団有限公司の本部は同市に所在する。
市域にある規模が非常に大きい特等駅は漢口駅(在来線、高速鉄道共用)、武昌駅(在来線、高速鉄道共用)、武漢駅(高速鉄道専用)の3駅がある。
上記長距離鉄道のほか、武漢都市圏内で走る都市間鉄道もある。
国道(G)
国家級高速道路(G)
省級高速道路(S)
武漢市は長江中流に位置し、昔から内陸水運の拠点として栄えている。長江の水運を管理する交通部長江航務管理局と中国長江航運(集団)総公司の本部が武漢市にある。
武漢市の公営バスは、公営会社である武漢公共交通集団有限公司及びその子会社により運営される。2014年4月現在の路線数は330系統で、路線の長さは合計6005.9キロメートルに達した。バスの台数はトロリーバスを含めて6993台があり、バスターミナルは63か所がある。
市街地で運行されるバス系統は殆どワンマン運転である。ほとんどは均一運賃で運営しており、うち全線2元の路線が多い。ICカードの武漢通を使用すると1割或いは2割引のサービスがあり、現金支払いより安いので現地の人によく利用されている。また、2017年8月現在、アリペイのオンライン決済用設備は全てのバスに導入されている。
さらに、公共交通機関利用促進策として、ICカードで90分間以内でバスを3回まで乗り換える「乗換割引政策」があり、場合によって3割又は4割引きになることもある。また、65歳以上の高齢者は年間利用回数730回まである敬老カードを利用することができ、障がい者ICカードを利用する障害者および現役の軍人は公営バスを無料乗車できる。
武漢地鉄集団有限公司(武漢メトログループ)は2018年4月現在、以下の7本の路線を運営している。
武漢経済技術開発区と武漢東湖新技術産業開発区で路面電車は下記3路線を運営している。
2017年7月28日に開業した華中地方初の路面電車路線で、全区間は武漢経済技術開発区にある。運営者は武漢車都軌道交通有限公司で、運営キロ数は16.8キロメートル、駅数は22駅である。
全区間が武漢東湖新技術産業開発区にある路線である。運営者は武漢光谷交通建設有限公司で、運営キロ数は12.5キロメートル、駅数は17駅である。2018年1月18日に1次試運転、2018年4月1日に2次試運転。
全区間が武漢東湖新技術産業開発区にある路線である。運営者は武漢光谷交通建設有限公司で、運営キロ数は19.2キロメートル、駅数は25駅である。2018年1月18日に1次試運転、2018年4月1日に2次試運転。
武漢市市街地は漢江や長江に分割されるが、古くから川を越えて往来する人が多い。1909年に武漢初のフェリーが開業されるまでは川を渡る手段として木造の帆船しかなく、天候などに影響を受けやすく非常に危険で不便であった。1957年10月15日に武漢長江大橋が架けられた以来、渡江手段が徐々に多様化している。
武漢市公共交通集団有限公司の子会社である武漢市輪渡公司は下記の漢口 - 武昌間と漢陽 - 武昌間のフェリー往復便を運営している。
青山区内
武昌 - 漢口間
武昌 - 漢陽間
川沿い遊覧便(三鎮間)
運賃
漢江や府河など河川が武漢市内で長江に流れ込み、湖も散見するので、多くの橋が掛けられている。「橋の都」とも呼ばれる。漢江と長江を渡る橋を以下に記載する。
橋以外に、漢江と長江の底をくぐるトンネルもある。武漢長江隧道は、中国初の長江の水底を渡るトンネルである。
武漢市は国家歴史文化名城及び中国優秀観光都市であり、毎年武漢国際観光祭が開催される。
武漢には下記通りの全国重点文物保護単位が29ヶ所ある。
武漢市は大分市との友好都市(姉妹都市)締結を皮切りに、2018年1月31日時点まで世界各国の26都市と姉妹都市提携を結んでおり、81都市と国際友好交流都市提携を結んでいる。
武漢市と大分市とは1979年に友好都市締結して以来、2年ごとの友好訪問団の相互派遣、文化芸術・産業経済・教育スポーツなど幅広い分野での交流を展開している。
大分市は2006年に、市民交流拠点として大分市武漢事務所を開設し、大分市の情報の発信を恒常的に行うとともに、多彩な市民交流のサポート業務を行っている。 大分市の平和市民公園には「武漢の森」がある。
2017年9月現在、武漢には4か国の総領事館が開設されている。
在武漢フランス共和国総領事館
在武漢アメリカ合衆国総領事館
在武漢大韓民国総領事館
在武漢グレートブリテン及び北アイルランド連合王国総領事館
2017年4月時点、19か国が武漢にビザ申請センターを開設している。
住所:湖北省武漢市武昌区中北路171号 漢街総部国際C棟302 〒430071
住所:湖北省武漢市武昌区中北路171号 漢街総部国際C棟1701-1710室 〒430071
住所:湖北省武漢市江漢区建設大道568号 新世界国貿ビルⅠ座901、902室 〒430022
住所:中国湖北省武漢市江岸区中山大道1628号 平安金融中心 507号室 〒430010
小惑星の(3206) Wuhanは武漢市にちなんで命名された。
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