『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』(原題: Scott Pilgrim vs. the World)は、2010年の カナダ、アメリカ合衆国・日本・イギリス合作による映画。原作はブライアン・リー・オマリーによるカナダのコミック作品『スコット・ピルグリム』 (Scott Pilgrim) である。
映画版キャストが続投するアニメシリーズ『スコット・ピルグリム テイクス・オフ』が2023年よりNetflixで配信されている。
カナダのトロントで売れないバンド”セックス・ボブオム”のベーシストである22歳のスコット・ピルグリムは、中国系の女子高校生ナイブスと付き合いはじめた。しかし、ある日ニューヨークから引っ越してきたラモーナという女の子にひと目ぼれし、彼女とも付き合うことになる。その後、地元のバンド大会に出場したスコットは、空から降りてきたラモーナの邪悪な元カレ、マシュー・パテルと突然戦うことになる。パテルを倒したスコットはラモーナから、「自分と付き合うためには7人の邪悪な元カレ軍団と戦わなければならない」と告げられる。
括弧内はBD・DVDの日本語吹き替えキャスト
原作者のブライアン・リー・オマリーが原作第1期を完了させた後、出版社のオニ・プレスとプロデューサーのマーク・プラットによる映画化企画が始まった。ユニバーサル・スタジオは『ショーン・オブ・ザ・デッド』を完成させた直後のエドガー・ライト監督と契約した。2005年5月には、脚本家のマイケル・バコールが雇われた。2009年1月までにはキャスティングを終え、映画のタイトルをScott Pilgrim vs. the Worldに正式決定した。
コミックの完結編の発表よりも早く脚本が書き上がり、撮影が始まったため、原作とは異なる結末となる。
撮影は2009年3月にカナダのトロントで始まり、8月に完了した。
ベック、メトリック、ブロークン・ソーシャル・シーン、ブルートーンズ、コーネリアスらがサウンドトラックとして楽曲を提供し、レディオヘッドのプロデューサーのナイジェル・ゴッドリッチが音楽監督を勤める。また、他に『ゼルダの伝説』の音楽がBGMとして使われている。エドガー・ライトは、音楽の使用許可を得るために任天堂に映画のクリップを送り 、「彼の世代の童謡」と評した手紙を書いた。
サウンドトラック盤『Scott Pilgrim vs. the World: Original Motion Picture Soundtrack』が、2010年8月10日にアメリカでアブコ・レコードより、CDとレコードで発売された。また、同年9月7日にデラックス版が発売された。
2010年7月22日のコミコン・インターナショナルでパネルが展示され、エドガー・ライトが選ばれた観客たちを映画のスクリーニングに招待した。また、7月27日のモントリオールのファンタジア映画祭や8月15日のロンドンのムービー・コンIIIでも上映された。
2010年3月25日にティーザー予告が公開された。5月31日には第2弾が公開され、ザ・ティン・ティンズ、LCDサウンドシステム、ビー・ユア・オウン・ペット、CORNELIUS、ブラッド・レッド・シューズ、プロディジーの音楽が使われた。
MTVムービー・アワード2010ではスコット・ピルグリムとルーカス・リーが対峙し、戦い始める場面のクリップが公開された。
映画版に基づいたコンピュータゲーム『スコット・ピルグリムVS.ザ・ワールド: ザ・ゲーム』が発売された。ユービーアイソフト・モントリオールが製作し、Anamanaguchiによる音楽とポール・ロバートソンによる2Dが使われている。
2010年11月9日に北米で、12月27日にイギリスでDVDとブルーレイが発売された。
2010年8月15日、日本公開が決定したと報じられたが、その後北米での興行失敗のために危うくなり、同年9月より映画ライターのわたなべりんたろうによる署名活動が開始された。翌2011年、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で先行上映された後、一般劇場で公開されることが発表された。配給・宣伝をするアステアによると、シネマライズが本作を上映したがっていたこと、署名活動が行われていたこと、『キック・アス』の日本興行が成功したことが上映決定の背景にある。
2010年8月13日に北米2818館で公開がスタートした。公開初週末3日間で約1050万ドルを稼ぎ、初登場5位の成績となり、2週目には10位となった。
イギリスでは408館で公開され、公開初週末3日間で約160万ポンドを稼いで初登場2位となった。
IGNでは本作を「ファニーでオフビート」と評され、「任天堂とMTVで育った我々ワイヤードな世代の人間にはベストだ」として10点満点で8点を与えた。
Rotten Tomatoesでは、81%(229名中185名)の評論家が本作に肯定的な評価を下し、また平均点は10点満点で7.5点となった。
Metacriticでの平均スコアは38のレビューで100点満点中69点となった。
オースティン映画批評家協会の年間トップ10では第10位だった。
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