首都圏中央連絡自動車道(しゅとけんちゅうおうれんらくじどうしゃどう、英語: KEN-O EXPWY)は、日本の首都圏において神奈川県横浜市金沢区から東京都・埼玉県・茨城県を経由して千葉県木更津市に至り、東京都心からおおむね半径40 - 60キロメートル (km) の位置を環状に結ぶ高規格幹線道路(国土交通大臣指定に基づく高規格幹線道路(一般国道の自動車専用道路)(B路線))である。国道468号に指定されている。略称は圏央道(けんおうどう)、圏央(けんおう)。
高速道路ナンバリングによる路線番号は 「C4」 が割り振られているが、横浜環状南線のうち栄IC/JCT - 戸塚IC間に限り 「E66」 が割り振られている。
東京都心から40 - 60 km圏内の、神奈川県の横浜市・厚木市・相模原市、東京都八王子市、埼玉県川越市・久喜市、茨城県つくば市、千葉県成田市・茂原市・木更津市などの東京郊外の諸都市を結ぶとともに、複数の放射道路を相互に連絡する(横浜横須賀道路、新東名高速道路、東名高速道路、中央自動車道、関越自動車道、東北自動車道、常磐自動車道、東関東自動車道、千葉東金道路、千葉外房有料道路、館山自動車道など。第三京浜道路とは連絡しない)。首都圏の3環状9放射の一番外側の環状道路である(外環道、中央環状線とともに3環状の一つ)。法律上では、海老名IC付近の一部区間を除くほとんどの区間が、高速自動車国道ではなく一般国道の自動車専用道路の扱いとしている。
2017年(平成29年)2月26日時点で、圏央道として茅ヶ崎JCT - 大栄JCT間、松尾横芝IC - 木更津JCT間が開通しており、NEXCOが管理・運営を行っている。なお、久喜白岡JCT - つくばJCT、つくば牛久IC - 大栄JCT、松尾横芝IC - 木更津東ICの区間は「暫定2車線での開通」となっている。また未開通区間については、NEXCOと国土交通省が共同で建設・整備を進めている。このうち、藤沢ICとあきる野ICを境として、西側の藤沢IC - あきる野IC間をNEXCO中日本が、その他の区間をNEXCO東日本が、それぞれ建設・管理を担当している。
一般国道の路線を指定する政令に基づく起終点および重要な経過地は次のとおり。
海老名南JCT - 海老名IC間は国道468号ではなく、第一東海自動車道とされており、道路規格は基本的に変わらないものの、境界部には「ここから一般有料道路」(上記区間から外に出る時)、「ここから高速自動車国道」(上記区間外から中に入る時)の標識が設置されている。
首都圏中央連絡自動車道の今後の開通予定は、以下の通りである。
環状道路は、目的地ではない都心寄りを経由せずに他の地域へ向かうことができる。国土交通省は交通渋滞の緩和による物流の円滑化、観光振興などに効果があったと分析している。埼玉県は、2005年に本格的に始めた企業誘致の件数が2018年9月末までに目標の1000件を超え、圏央道の効果が大きかったと発表している。
あきる野IC付近の事業認定を巡って、東京地方裁判所平成12年(行ウ)第349号事業認定取消請求事件を第一審とする行政訴訟が提訴された。一審では、市民団体寄りの判決を多く出していた藤山雅行が裁判長を務め、原告側の請求を認め、土地収用法上の事業認定を取り消す判決が下った(東京地判平16・4・22)。
この判決に対し、行政側は東京高等裁判所へ2004年(平成16年)4月27日に控訴した。二審の平成16年(行コ)第205号事業認定取消・収用裁決取消請求控訴事件においては、行政側が逆転勝訴し、裁判は終結した。
八王子JCT - 高尾山IC間に関し、平成14年(行ウ)第296号等の事業認定の取消しを求めた行政訴訟が起きた。原告は高尾山周辺や八王子城址付近の環境破壊、税金の無駄遣いを理由として、圏央道高尾山トンネル建設に対し、団結小屋の設置など、激しい建設反対運動が起き、東京都知事や国土交通大臣を提訴したものの、行政側が勝訴し裁判は終結した。
圏央道にはサービスエリア (SA) は設置されていない。計画当初は高滝湖PA がSAの予定であった。また、高滝湖PAと江戸崎PAには売店は設置されておらず、公衆便所・飲料自動販売機のみ(高滝湖PAは公衆便所のみ)が設置されている。売店は厚木PA、狭山PA、菖蒲PAに設置されており、このうち厚木PAの売店は24時間営業である。
江戸崎PAと菖蒲PAの間の距離は76 kmあり、江戸崎PAと東北道蓮田SAの間は78.4 km、江戸崎PAと東北道羽生PAの間は86 km離れており、この間には休憩施設が設置されておらず、しかも暫定2車線区間で追い越しが困難で、渋滞や低速車両があると時間がかかるため、利用者から不満が挙がっていた。また、厚木PAと狭山PA間は50 kmに渡って休憩施設がなく、これはNEXCO中日本管内で、休憩施設間の距離が最も長い。坂東PAの内回りが2024年(令和6年)4月23日に供用開始された。
ガソリンスタンドは菖蒲PAのみの設置で、圏央道を経由して100 km以上にわたってガソリンスタンドがない区間が複数あり、周辺の各SA・PAでは圏央道の利用者に対して、ガス欠防止のため事前給油や休憩を促す標識やポスターを設置している。
久喜白岡JCT - 大栄JCT間の4車線化に合わせて坂東PAが整備されたほか、大栄JCT - 松尾横芝IC間の開通を見越して、新たな休憩施設として神崎PA、PA設置の候補箇所として松尾横芝IC - 山武成東IC間に山武PAが挙げられている。
なお、ETC2.0搭載車対象の休憩施設一時退出実験が、2018年(平成30年)3月24日より五霞IC付近にある道の駅ごかで、2024年(令和6年)3月29日より常総IC付近にある道の駅常総でそれぞれ行われている。
※ 久喜白岡JCT - 木更津JCT間は対面通行(暫定2車線)
ここでは圏央道として開通している区間について述べる。
24時間交通量(台) 道路交通センサス
(出典:「平成17年 道路交通センサス 一般交通量調査結果」(関東地方整備局ホームページ)「平成22年度道路交通センサス」・「平成27年度全国道路・街路交通情勢調査」「令和3年度全国道路・街路交通情勢調査」(国土交通省ホームページ)より一部データを抜粋して作成)
開通区間の延伸に伴い、交通量が増大しており、それに伴って各所で渋滞が発生するようになっている。
このうち、海老名JCTではJCT内の車線減少区間がボトルネックとなり、内回りが慢性的に海老名IC付近まで渋滞しており、NEXCO中日本では、暫定的に白線を引き直して車線を増やす対策を行っている。また、八王子JCTでは以前、本線部分の1車線となる区間がボトルネックとなり、交通量の多い時期に渋滞が発生することがあったが、2017年12月20日に内回り・外回りともに2車線化された。
さらに、久喜白岡JCT - 大栄JCT間の暫定2車線区間では、2017年2月26日の久喜白岡JCT - つくばJCT間の全通を機に交通量が大幅に増加し、付加車線の車線減少部を先頭とする渋滞が多く発生して、運転手から「日本一混雑している暫定2車線」との指摘も出ている。区間によっては4車線化目安となる24時間交通量10,000台の2倍の20,000台を上回る区間もあり、休日の午前中には外回りの坂東ICや常総IC、夕方には阿見東IC・つくば中央IC・坂東IC・幸手ICを先頭とする渋滞が発生しており、このうち内回りの幸手IC付近を先頭とする渋滞は、平日の夕方にも発生している。
このほか、週末や休日を中心に、東名の伊勢原バス停、中央道の小仏トンネル、関越道の高坂SA、東北道の羽生PA、常磐道の土浦北ICなどを先頭とする、他の高速道路の下りの渋滞が接続する各JCTを過ぎて、圏央道へ最大で10 km前後伸びてくることもある。
※ 特記のない限り料金は普通車のもの。1 kmあたりの料金(距離単価)および固定額は消費税抜きで記す。藤沢IC - 茅ヶ崎JCT間については、新湘南バイパスを参照。
海老名南JCT - 海老名IC間を除き一般有料道路であり、40 km以下の区間では1 kmあたりの距離単価が34 - 40円と、高速自動車国道の大都市近郊区間に比べてかなり割高になっており、首都高速道路経由で利用する方が、圏央道を利用するより通行料金が安くなっていた。
圏央道とその内側で料金水準を統一する方針により、2016年(平成28年)4月1日、高速自動車国道大都市近郊区間と同じ料金水準 (距離【km】×距離単価【29.52円/km】+利用1回あたりの固定額【150円】)に変更された。
ETC2.0を使用して「より賢く使うため」、ETC2.0搭載車に限定して適用される割引が、2016年4月1日から実施されている。
なお、これらの割引は、料金所通過時の料金通知には反映されず、請求時に割引後料金となる。
高速自動車国道より割高であったため、料金差・割高感を緩和し、環状道路として有効活用するために、以下のETC割引が2016年3月31日まで設定されていた。2007年(平成19年)8月に開始された社会実験割引が発展したものである。
なお、2016年(平成28年)4月1日以降は、これらの割引が適用された料金を上回らないよう、激変緩和措置としての割引が設定される。
斜め文字は2021年(令和3年)現在、通過予定の自治体である。
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