『壬生義士伝』(みぶぎしでん)は、浅田次郎による日本の歴史小説。
南部地方盛岡藩の脱藩浪士で新選組隊士の吉村貫一郎を題材とした時代小説である。足軽身分で貧困ゆえ脱藩して新選組に入隊。守銭奴や出稼ぎ浪人などと呼ばれながらも近藤勇、土方歳三、斎藤一、沖田総司など新選組の名だたる隊士が一目おいた田舎侍・吉村貫一郎が繰り広げる人としての義、家族への愛、友との友情という人間ドラマを描いた作品で、2000年に第13回柴田錬三郎賞を受賞した。
浅田次郎にとっては初の時代小説で、綿密に取材を重ねて執筆した作品である。原型となったのは原稿用紙全268枚の『去年(こぞ)の雪』で、ストーリーや全体の構成は概ね同じという。浅田はこれを1979年に脱稿しているが、発表することなく凍結状態にしており、作家デビュー後に歴史好きの編集者と新選組について話したことでセルフリメイクする運びとなった。
『週刊文春』に1998年9月3日号から2000年3月30日号まで掲載され、文藝春秋より上下巻で2000年に単行本化、2002年に文庫化された。
幕末の慶応4年1月。鳥羽・伏見の戦いの大勢は決し、幕軍は潰走を始めていた。そんな中、大坂の盛岡藩蔵屋敷に満身創痍の侍が紛れ込む。侍の名は吉村貫一郎。
下級武士として生まれ、貧困にあえぐ家族を救う為に妻子を残して盛岡藩を脱藩し、新選組の隊士となった貫一郎は、朴訥な人柄でありながらも北辰一刀流免許皆伝の腕前を持ち、守銭奴と蔑まれながらも、家族を養う金を得るため危険な任務も厭わず人を斬り続ける。
しかし時代の流れには逆らえず、新選組は鳥羽伏見の戦いで敗走。隊士達が散り散りとなる中、深手を負った貫一郎は何としても故郷への帰藩を請うべく、大坂の南部藩蔵屋敷へと向かうのだが、吉村に対し、蔵屋敷差配役であり吉村の旧友であった大野次郎右衛門は彼に切腹を命じる。
時は流れ、大正4年。北海道出身の記者が、吉村を知る人々から聞き取り調査を行っていた。彼らによって明かされた彼の生涯とは・・・
2002年1月2日、ビックカメラ新世紀ワイド時代劇「壬生義士伝〜新選組でいちばん強かった男〜」(テレビ東京)としてドラマ化された。
ギャラクシー賞選奨・ATP特別賞・橋田賞を受賞した。
2003年には松竹配給により映画化された。製作委員会にはテレビドラマ化したテレビ東京も参加した。
企画段階で監督予定だった盛岡市出身の相米慎二が、2001年9月9日に急死したことから、滝田洋二郎が監督を務めた。
英語版のタイトルは『When the Last Sword Is Drawn』。
宝塚歌劇団雪組により2019年5月31日から7月8日まで宝塚大劇場、同年7月26日から9月1日まで東京宝塚劇場で上演された。
脚本・演出は石田昌也、併演作は『Music Revolution!』。
『コミックチャージ』(角川書店)2007年17号より連載。作画はながやす巧。2010年度の日本漫画家協会賞・優秀賞受賞作。原作に比べ幾分の省略や、漫画として描くのに適した視点や構図にした上での若干のアレンジはあるが、全体的な構成や展開は原作に忠実かつ精緻に描写している。また、第一部に登場する居酒屋の親父の名前を明らかにするなど、補足的にオリジナル要素を付与した部分もある。本作にはアシスタントはおらず、ながやすがひとりで執筆している。
『コミックチャージ』が2009年1月20日付けで廃刊したため、2009年9月9日創刊の『別冊少年マガジン』(講談社)に移籍し、2010年1月9日発売の2月号より第1話からの再連載を開始。第二章はこちらが初の連載となる。2012年3月号にて第二章までの連載が終了した。
そして、第三章は2014年4月17日創刊の隔月刊雑誌型コミックス『画楽.mag』(集英社・ホーム社・画楽ノ杜)に移籍、創刊号から連載が開始された。これに伴い、単行本が集英社から同日に再発売されている。同誌が2015年8月17日発売のVol.9にて休刊。2016年8月5日に本作の公式サイトにて連載が再開されている。
2017年3月に放送された『浦沢直樹の漫勉』シーズン4の第4回にて、本作の執筆現場が放送された。
第四章の原稿が2018年6月22日に執筆完了。第四章は同年7月6日から2019年1月18日まで連載された。
ながやすが脳卒中を発症し執筆が中断されるが、2019年6月には回復し、第五章を執筆。第五章は2020年8月7日から11月20日まで連載された。
2021年6月18日に第六章の執筆が完了。第六章は同年7月2日から同年9月17日まで連載された。
原作:浅田次郎/漫画:ながやす巧『壬生義士伝』
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