荏原中延駅(えばらなかのぶえき)は、東京都品川区中延二丁目にある、東急電鉄池上線の駅である。駅番号はIK04。
当駅を挟んだ戸越銀座駅 - 旗の台駅間、延長1,549 mにおいて地上区間の池上線を約8.0 m掘り下げ、半地下化するものである。 これにより、13か所の踏切を除却した。
旗の台駅側は、旧旗ヶ岡駅跡を利用して仮線方式を採用した。しかし、戸越銀座駅側周辺は住宅地が密集しており、仮線用地を確保することが困難であった。このため、仮線用地を必要としない新しい工法「直下地下切替工法(STRUM(ストラム):Shifting Track Right Under Method)」によって、地上線から地下線へ切り替え工事を行った。
切り替え区間は延長281.3 mで、撤去部103.2 m、縦取部121.5 m、扛上(こうじょう)部56.5 mである。
切り替え当日、撤去部は現在の線路下に挿入したパッキング材、仮枕木材またはサンドル材の撤去により線路を降下させたほか、クレーン車により工事桁撤去を行った。縦取部は、新設線に支障する工事桁をウインチにより、約250 m旗の台駅寄りに移動させるものであり、本切替工事のメインとなるものである。仮設桁には移動用の走行台車が付いており、扛上部の工事桁を含めた重量は約418 tである。
扛上部には門構(もんがまえ)を設置しており、工事桁を電動チェーンブロックにより約2.7 m 門構に吊り上げ、縦取部の工事桁に載せて同時に移動させた。移動させた縦取部、扛上部の工事桁は後日撤去した。
この切り替え工事は大きな成功を収め、以後東横線大倉山 - 菊名間踏切除却立体交差工事、東横線と副都心線との乗り入れに伴う代官山付近地下化工事などで使われている。
相対式ホーム2面2線を有する地下駅である。サービスマネジャー導入駅のため旗の台駅から遠隔監視している。
2022年度の1日平均乗降人員は11,760人である。
近年の1日平均乗降・乗車人員の推移は下記の通り。
当駅周辺には大きな商店街が三つ存在する。駅を出て右手、北側に伸びるのが「サンモールえばら商店街」で都道420号線まで続いている。逆に左手、南側に伸びるアーケード通りが「なかのぶスキップロード(中延商店街)」で、大井町線・都営地下鉄浅草線の中延駅まで続いている。もう一つ、地図上で当駅から50mほどの所で池上線と交差するのが「昭和通り商店街」で、国道1号線から中原街道までを連絡している。かつては係員常駐の踏切で交差していた。
開業当時の地名(荏原郡荏原町大字中延)に由来し、「荏原」町と大字の「中延」を複合させて荏原中延駅と命名された。
また、池上線の前身である池上電気鉄道と、大井町線の前身であるライバル会社の目黒蒲田電鉄との因縁で「荏原中延」と名付けられたという説もある。当時、池上電気鉄道は当駅を「中延駅」として設置する予定だったが、目黒蒲田電鉄が先に荏原町駅と中延駅を開業させたため、それに対抗して「荏原中延駅」にしたというものである。
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