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ヴェーダ語


ヴェーダ語


ヴェーダ語ヴェーダご、英: vedic sanskrit)は、バラモン教の聖典『ヴェーダ』において用いられた典礼言語。サンスクリットの起源となる。インド・ヨーロッパ語族インド・イラン語派インド・アーリア語群に属し、音変化による分類においてサテム語である。

『アヴェスター』で用いられているアヴェスター語とは、共通のインド・イラン祖語から分化した。そのため両者は文法的に酷似しており、俗に「『アヴェスター』をヴェーダ語に翻訳するには、一定の規則に従って個々の音を置き換えるだけで良い」といわれるほどである。

音韻

ヴェーダ語の音素は基本的にサンスクリットと同じである。音声的には、反舌接近音 や、軟口蓋摩擦音 (ジフヴァームーリーヤ)、両唇摩擦音 (ウパドゥマーニーヤ)といった異音が存在する。また、リグ・ヴェーダの執筆時期には部分的に喉音が存在した可能性がある。

母音は以下の通りで、標準階と長音階には母音の前に「a」、「ā」をそれぞれ加える規則となっている。

古典サンスクリットと異なり、ヴェーダ語はアクセントを保持している。種類として古典ギリシア語や日本語と同じ高低アクセントである。接語やいくつかの例外を除き、1語が必ず1アクセントを持つ。

形態

音韻同様、ヴェーダ語の形態論は古典サンスクリットと大きくは変わらない。しかし、古典サンスクリットでは比較的見かけない動詞の活用が豊かに見られる。例えば、接続法、指令法の使用や、過去時制(不完了過去、完了、アオリスト)の中のアオリストの頻繁な使用が見受けられる。

名詞・形容詞の文法

ヴェーダ語はサンスクリットの古い形であり、アーリア人の大移動から2000年足らずしか経過していないころに話された言語である。アヴェスター語と共に、インド・ヨーロッパ語族の言語のうち、最もインド・ヨーロッパ祖語の特徴を色濃く残している。比較的祖語に近いとされる古代ギリシア語やラテン語、リトアニア語と比べても文法は複雑である。

名詞・形容詞の格変化

古典サンスクリットと異なる箇所は太字で記載している。呼格はアクセントが第一音節に移動する。

ヴェーダ語には古典サンスクリットにはあまりない語根名詞が数多く存在する。これらはラテン語の第三活用名詞の一部に相当する。

用法としては主に不定詞や通常の名詞として使われる。行動を表す場合は女性名詞、行為者を表す場合は男性名詞となる。

性別の起源

後述の「名詞の作り方」で詳しく説明するが、ヴェーダ語における性別は他の印欧諸語と異なり、印欧祖語本来の特徴である「生物」、「無生物」、「抽象・集合」の区別をより強く残している。おおまかに次のように分類される。

名詞の作り方

一次派生名詞は、語根や動詞語幹、中には動詞そのものに接尾辞を付加して作る。その中でも頻繁によく使われるものはkrt接尾辞といい、 中でも適用範囲が狭く不規則な接尾辞をunadi接尾辞という。

krt接尾辞は下線にて記載する。

重複を取り除いた語根の数はおおよそ1500程度程度であるので、1次派生名詞のみ単純計算で1500 * 19(krt語根のみ) or * 50 = 3万~7万以上の名詞が作られる。後述するウパサルガを接頭辞で加えれば20倍近くに増える。

加えて音階の異なる語根、重複語根、動詞の語幹からも作られるためその総数は数百万にも上る。

二次派生名詞は、taddhita接尾辞と呼ばれ、上記で作成した一次派生名詞にさらに接尾辞を付加して作る。二次派生名詞は何度でも加えることができる。

一次派生名詞から 60 ~ 140万 * 11 ~ 50 = 700 ~ 7000万以上の名詞が作成される。何度でも加えれるため理論的には数億程度の単語が作られる。

taddhita接尾辞は下線にて記載する。

また上記で作成した一次派生名詞や二次派生名詞にさらに以下の接尾辞を付加することもできる。何度でも加えることができる。

代名詞の文法

ヴェーダ語の代名詞は、アーリア人の言語の代名詞およびその格変化をすべて受け継いでいる。順番に1人称単数から英語の"I"、"Thou"、"We"、"You"にそれぞれ対応している。

疑問詞、関係詞は以下の通りである。疑問副詞はka+副詞の接尾辞(後述)で作る。関係副詞はyad+副詞の接尾辞(後述)で作る。格変化を使って表現するこも可能である。

副詞の文法

ヴェーダ語では、古典サンスクリットと同じく、名詞または形容詞に接尾辞を付けて、新しく副詞を作り出すことができる。また対格、具格、奪格、処格などの斜格で副詞のような機能を持たせることもできる。

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動詞の文法

動詞は古典サンスクリットとは大きく異なり、古代ギリシア語を彷彿させる極めて激しい活用を行う。スラヴ語のようにアスペクトによる区別を行い、それぞれ法および過去時制を持つ。

変化は次の通りである。√yabh(気持ちを休める)という語根を例に中心として活用表を示す。

動詞の活用

進行相

進行相は次のルールに従って作成する。√gamや√kṛ、√vanのようにに複数の活用方法が並立している場合もある。

母音幹動詞
  • 第1類:中語根にaを加えて作成、およそ半分がこの方法で語幹を作成する。ラテン語の第三活用、ゲルマン語の強変化動詞に相当する。

例:yabhati, maihati, bhavati, vasati, naiyati, pacati, asati, varkati

  • 第4類:語根にyaを加えて状態の持続を表す他動詞を作成する。

例:nahyati, divyati, riyati

  • 第6類:語根にaを加えて作成、このタイプは非常に少ない。

例:tudati, viśati, khudati, hilati

  • 第10類:yaまたはayaを付け加える。子音の場合はasyaを付け加える。語根末のi、u、 r、単子音(二重子音などでないということ)の間にあるaは長母音化する子音ではさまれたi、u、 r、はそれが単子音の前ならば長母音化するが二重子音の前ならば変化しない。 一部の語根(√kam, √dru, √sri、√sru, √cur)および名詞・形容詞から動詞を作成する際に用いる。ラテン語の第一活用、ゲルマン語の弱変化動詞に相当する。二次派生動詞の一つ。

例:kamayati, corayati

名詞起源動詞例:kleśayati, dveśayati, paṭighayati, rāgayati, śīlayati, mokṣayati, adhiṭṭhānayati, dhūtayati, nirvanayati, alobhayati

子音幹動詞
  • 第2類:語根そのまま、本来はこちらが主流で頻出動詞を中心に一部残る。

例:asti, yati, eti, hanti, vakti, atti, aasti,

  • 第3類:語根を重複させる。完結相で語根=語幹になる動詞に対して行う。

例:dadati, dadhati, pibati, tiṣṭhati, jahati

  • 第5類:強語根にnoを加えて、弱語根にnuを加えて動作の開始、動作の終了、1度限りの動作を表す他動詞を作成する。

例:kṛṇoti

  • 第7類:語根の語末の子音の前にnを加えて、他動詞を作成する。語根の語末に喉音を有していなかった語根(anit語根)が対象

例:bhindati

  • 第8類:強語根にoを加えて、弱語根にuを加えて動作の開始、動作の終了、1度限りの動作を表す他動詞を作成する。nで終わる語根に対して行う。

例:tanoti

  • 第9類:語根の語末の子音の前にnを加えて、他動詞を作成する。語根の語末に喉音を有していた語根(sat語根)が対象

例:janati, riṇāti

その他の動詞

この部類以外にも、進行相の動詞を作成する方法が存在する。

  • 受動態:弱語根にyaを付け加える。もともとは自動詞を作るための方法である。
  • -cchati動詞:語根にcchaを加えて継続・反復の動詞を作成する。ラテン語の"-sco"で始まる動詞に相当する。一部の動詞が該当する。

例:gácchati, icchati, ya(ṃ)cchati, vāṃchati, micchati, pṛcchati, hurchati, uchāti, ṛchāti, vicchati, yuchati, hṇīcchati, hrīcchati, vraścati, saścati

  • 使役動詞:語根にayaを付ける。第10類動詞と同じ方法で作成する。二次派生動詞の一つ。使役動詞は1-10類の動詞の語根にayaを付けて第10類動詞と同じ方法で作成する。受動態は語幹からayaを取り去って、そこにyaを付け加える。
  • 意欲動詞:語根をi音で重複させてsaまたはisaを付ける、二次派生動詞の一つで、~したいという意味を表す。
  • 強意動詞:語根を重複させる、重複した語根の母音は長音となる。反射態はさらにyaをつける。二次派生動詞の一つで、激しくする、頻繁にするという意味を加える。

完結相

完結相の語幹は次のルールに従って作成する。

  • 語根:ヴェーダ語では一般的な語根の形態である。第3類、第4類、第5類、第7類、第8類、第9類と-cchatiで終わる動詞。第1類、第6類動詞の一部も該当する。
  • a語幹:連音規則を回避するために後期ヴェーダ語以降では一般的になる。対象は語根の場合と同じ。
  • 重複語幹:使役動詞、名詞起源動詞
  • s語幹:ヴェーダ語では一般的な語根の形態である。第1類、第2類、第6類の動詞のうち、語根の語末に喉音を有していなかった語根(anit語根)
  • is語幹:第1類、第2類、第6類の動詞のうち、語根の語末に喉音を有していた語根(sat語根)と、意欲動詞、願望動詞、使役動詞(まれ)、名詞起源動詞(まれ)

直接法現在は存在しない。古典期は祈願法が希求法にとって代わるが、前期ヴェーダ時代はその二つが併存していたようである。祈願法の中動態は希求法で代用する。

受動態は通常は三人称単数のみ存在し、それ以外の母音で終わる語根の動詞と√grah、√dṛś、√hanには三人称単数の語幹で中動態の活用が存在する。すべての使役動詞にも同様に存在する。

完了相

完了相は以下の方法で語幹を作る。

  • 有気音は対応する無気音で重複する。
  • 喉音(ka系統の音)は相当する口蓋音(系統の音)で重複する。ka 、khaはcaで、ga、gha、haはjaで重複する。
  • 語根の母音の短いもので重複をさせます。 語中の標準階(グナ)または長音階(ヴリッディ)に対してはその弱音階を用いる。
  • 語末の標準階(グナ)、長音階(ヴリッディ)、r、r、lに対してはaを用いる。
  • 語頭と語末が子音である語根で、 中間の母音が本来長いか位置によって長い場合は、 いかなる場合でも語根の形を変えない。
  • √yam、√paṭh、√pacなどのそのまま重複できるような語根の弱語幹はそれぞれyaim、paiṭh、paicになる。

完了は強語幹(ヴリッディ)、中語幹(グナ)、弱語幹の3語幹を持つ。 能単1は強または中語幹、能単2は中語幹、能単3は強語幹、これ以外は弱語幹(弱語形)で作る。

アクセントは強語形のときは語根にあり、弱語形のときは語尾にある。

未来形

未来形の語幹は中語根にsyaまたはisyaを加えて作成する。

それ以外の母音で終わる語根の動詞と√grah、√dṛś、√hanには三人称単数の語幹で受動態の活用が存在する。すべての使役動詞にも同様に存在する。

分詞、不定詞・絶対詞

分詞は以下のように作成する。

不定詞は語尾を見ての通り、もともとは動作名詞の一種である。ヴェーダ語の不定詞はラテン語やギリシア語とは異なり、格変化を有する。

全体例

動詞は、全体として以下の用に派生する。

二次派生動詞に関しては「使役+願望」の組み合わせや、逆に「願望+使役」、「強意+使役」、「強意+願望」、「強意+使役+願望」の組み合わせも存在する。

不変化詞の文法

前置詞・接辞

ヴェーダ語には、他のインド・ヨーロッパ語族と同様に、様々な前置詞や接辞が存在する。前置詞の多くはインド・ヨーロッパ祖語から受け継いでいる。前置詞は、動詞や名詞の接頭語としても使われる。

ウパサルガに記載のあるものは、黒字で強調する。

固有の前置詞以外にも、副詞や動詞の絶対詞が前置詞になったものも存在する。

接続詞・間投詞

ヴェーダ語では、以下の接続詞が知られている。多くの単語は、従属節となり直接法以外の法が要求される。

統語法

サンスクリット、特により古い時代のヴェーダ語が上記の複雑な文法を持つことから、無駄な表現や余分な表現が多い日本語や韓国語、現代のインド諸語とは大きく異なり、高度で複雑な思考や感情を簡潔な文で表現できる

その利便性故に、古来より哲学、文学、自然科学や社会科学の分野に頻繁に用いられる。ヴェーダ期が終わるころには、その高度な文法を運用ために必要な規範も定められる。

格の用法

名詞・形容詞における格の用法は次の通りである。

  • 主格 Prathamā 文の主語を作り、日本語でいう「は」「が」の役割をする。辞書の見出しとなる形。ラテン語や英語のように同格の主語を作ることもできる。コピュラの√asおよび√bhuは主格を目的語とすることができる。英: nominative
Rāmaḥ kr̥ṣṇaṃ paśyati. ラーマはクリシュナを見ています。
Rāmaḥ kṛṣṇaḥ asti。ラーマはクリシュナです(通常はコピュラを省略することが多いので注意)
  • 対格 Dvitīyā 直接目的語(補語)になる形。「を」の働きを示す。大部分の動詞は対格を要求する。対格支配の前置詞とも用いられる。対格は副詞的に使われることが多い。英: accusative
Rāmaḥ kṛṣṇaṃ paśyati. ラーマはクリシュナを見ています。
Rāmaḥ kṛṣṇaṃ satyam paśyati. ラーマはクリシュナを実際に見ています。
  • 具格 Tṛtīyā 手段・方法・材料など、「~で」、「~を使って」という働きを、英語などとは違い、前置詞をともなわず名詞の変化形のみで表す。具格支配の動詞、前置詞とともに用いることもある。スラブ語と同じように等価の意味でも用いられる。使役動詞の意味上の目的は具格を取る。英: instrumental
Rāmaḥ kṛṣṇaṃ śastraiṇa hanti ラーマは武器でクリシュナを殺しています。
Kṛṣṇaḥ rāmaiṇa gacchati. クリシュナはラーマと向っています。
Sītā rāmaiṇa rāvaṇaṃ ghātayati. シーターはラムにラーヴァナを殺させています。
  • 与格 Caturthī 間接目的語となる格。「に」の働きをする。間接目的語を取る動詞や、与格支配の動詞、形容詞と使う。ヴェーダ語では前置詞と共に使うことができない。英: dative
Kṛṣṇaḥ rāmāya pustakaṃ dadāti. クリシュナがラーマに本を渡す。
  • 奪格 Pañcamī 起点・分離(~から)、原因、理由、区別などを表す。奪格支配の動詞、前置詞とともに用いることもある。また比較文でも用いられる。英: ablative
Rāmaḥ nagarāt āgacchati. ラーマが街からやってきます。
Kṛṣṇaḥ rāmāt sthūlataraḥ asti. クリシュナはラーマより太っている。
  • 属格 Şaṣṭhī 所有や帰属を表し、「の」の役割を果たす。また属格を支配する動詞や形容詞、前置詞にともなわれる格。コピュラの√asと共に用いると所有を表現することができる。英: genitive
Rāmasya pustakam. ラーマの本。
Mama trayaḥ putrāḥ santi. 私は3人の息子がいます。
  • 処格 Saptamī おもに場所を表す。梵語においても前置詞と共に使われることが多い。ラテン語の絶対奪格、フランス語のジェロンディフ、英語の分詞構文のような文を作る際は処格を用いる。英: locative
Rāmaḥ nagarai asti. ラーマは街にいます。
Mulai hatai sarvam hanyatai. 根がやられれば、一切が殺される。
  • 呼格 Sambodhana Prathamā 文の構造から独立して使用できる格。「~よ!」など問いかけ、呼びかけに用いられる。ヴェーダ語では語形よりもアクセントを語幹に移動させて区別することが多い。英: vocative
Rāma kṛṣṇaḥ āgacchati. やあラーマ、クリシュナが来ていますよ。

態の用法

サンスクリットにおける態の構造は次の通りである。

  • 能動態 Parasmaipada 語尾に能動態の語尾を付ける。意識を外側に向ける、外部に影響を与える動作に使われる。
Sa devāneha vahati. 彼は神々をここに連れてきている。(現在相・直接法)
Sa devāneha vakṣati. 彼は神々をここに連れてくる。(完結相・直接法)
Sa devāneha uvāha. 彼は神々をここに連れたことがある。(完了相・直接法)
Sa devāneha vahiṣyati. 彼は神々をここに連れようとする。(未来形・直接法)
  • 中動態 Atmanepada 語尾に中動態の語尾を付ける。意識を内側に向ける、外部に影響を加えない動作や相互に影響を与える動作に用いられる。
purutrā hi vām matibhir havantai 彼らは想いを込めて色んな所で二人を(自分の中で)唱えている。(現在相・直接法)
purutrā hi vām matibhir hvata 彼らは想いを込めて色んな所で二人を(自分の中で)唱える。(完結相・直接法)
purutrā hi vām matibhir juhvai 彼らは想いを込めて色んな所で二人を(自分の中で)唱えたことがある。(完了相・直接法)
purutrā hi vām matibhir hvayiṣyatai 彼らは想いを込めて色んな所で二人を(自分の中で)唱えようとする。(未来形・直接法)
  • 受動態 弱語根にyaを加えて、「~される」という意味の動詞を作る。反射態の語尾を付ける。実際は受動的な意味というよりは自動詞的な意味で使われることが多いようである。一部の動詞を除き、進行相以外は中動態を用いる。専用の受動態がある場合でも完了形は中動態を用いる。
Svādiṣṭhā dhītir ucathāya śasyatai 最も甘い考えは賛美のために歌われている。(現在相・直接法)
Eva agnir gautamebhir ṛtāvā, víprebhir astāviṣṭa jātavedāḥ. そのため、真理を所有し、創造物を知っているアグニは、詩人、ゴータマに賞賛された。(完結相・直接法過去)
Eva agnir gautamebhir ṛtāvā, víprebhir stāviṣyatai jātavedāḥ. そのため、真理を所有し、創造物を知っているアグニは、詩人、ゴータマに賞賛されようとする。(未来形・直接法)
  • 使役動詞 強語根にayaを加えて、「~させる」という意味の動詞を作る。能動態だけでなく、中動態や受動態を作ることもできる。実際は使役的な意味というよりは他動詞的な意味で使われることが多いようである。使役動詞の意味上の目的は具格を取る。使役動詞のアオリストの作り方は2通り存在する。使役動詞には、完結相と未来形に専用の受動態が存在する。
gūḷhaṃ jyautiḥ pitarau anu avindan, satyamantrā ajānayan uṣāsam 父たちは隠された光を見つけた、真の祈りで彼らは夜明けを生み出させていた。(現在相・能動・直接法過去)
gūḷhaṃ jyautiḥ pitarau anu avindan, satyamantrā jānayāntai uṣāsam 父たちは隠された光を見つけた、真の祈りで彼らは夜明けを(自分の中で)生み出させているに違いない。(現在相・中動・接続法)
gūḷhaṃ jyautiḥ pitarau anu avindan, satyamantrā jijanān uṣāsam 父たちは隠された光を見つけた、真の祈りで彼らは夜明けを生み出させるに違いない。(完結相・能動・接続法)(重複アオリスト)
gūḷhaṃ jyautiḥ pitarau anu avindan, satyamantrā janiṣān uṣāsam 父たちは隠された光を見つけた、真の祈りで彼らは夜明けを生み出させるに違いない。(完結相・能動・接続法)(isアオリスト)

法の用法

  • 直説法 Laṭ 事実について述べる場合に用いられる。他の法と異なり、過去形が存在する。
Sa devāneha vahati. 彼は神々をここに連れてきている。(現在相・直接法)
Sa devāneha vakṣati. 彼は神々をここに連れてくる。(完結相・直接法)
Sa devāneha uvāha. 彼は神々をここに連れたことがある。(完了相・直接法)
Sa devāneha vahiṣyati. 彼は神々をここに連れようとする。(未来形・直接法)
Sa devāneha avahati. 彼は神々をここに連れてきていていた。(現在相・直接法過去)
Sa devāneha avakṣati. 彼は神々をここに連れてきた。(完結相・直接法過去)
Sa devāneha auvāha. 彼は神々をここに連れたことがあった。(完了相・直接法過去)
  • 希求法 Liņ 可能性や意思、希望、事実に反する仮定などの表現に用いられる。条件節でも用いられることがある。古代ギリシア語では間接話法における従属節で使われる。主観的な観点が入る場合
Kathā dāśaiyama namasā sudānūn. 寛大な人々をどのように敬意を持って私たちは崇拝しているかもしれないでしょうか?(現在相・能動形)
Kathā dāśaiyamahi namasā sudānūn. 寛大な人々をどのように敬意を持って私たちはお互いに崇拝しているかもしれないでしょうか?(現在相・中動形)
Kathā dākṣaiyama namasā sudānūn 寛大な人々をどのように敬意を持って私たちは崇拝するかもしれないでしょうか?(現在相・能動形)
Kathā dadāśaiyama namasā sudānūn. 寛大な人々をどのように敬意を持って私たちは崇拝したことがあるかもしれないのでしょうか?(完了相・能動形)
Kathā dākṣyaiyama namasā sudānūn. 寛大な人々をどのように敬意を持って私たちは崇拝するつもりかもしれないのでしょうか?(未来形・能動形)
  • 祈願法 Āśiṣi Liń アオリスト相に属する希求法の一種である。「~できますように」などの祝福や願いを表現する。
Sa devāneha vahyat. 彼は神々をここに連れてきますように.(能動形)
Sa devāneha vahiṣīṣta. 彼は神々をここにお互い(一緒になって)に連れてきますように.(中動形)
  • 接続法 Leṭ 推測、仮定、要望などの表現や、時の従属節における動詞の表現に用いられる。ヴェーダ期では専ら未来形の代わりとして使われる場合が多い。客観的な観点が入る場合
Yas tubhyaṃ dāśātai na tam aṃhau aśnavati. あなたを崇拝しているだろう者に、苦しみが届いてはいてはいないことだろう
Yas tubhyaṃ dāśātai na tam aṃhau aṃkṣati. あなたをお互いに崇拝しているだろう者に、苦しみが届かないことだろう
Yas tubhyaṃ dadāśatai na tam aṃhau aṃkṣyat. あなたをお互いに崇拝していることがあるだろう者に、苦しみが届くつもりがないことだろう
  • 指令法 接続法の一種で、およそ半分が希求法として、1/6が接続法として、1/3が"ma"と共に命令法の否定として用いられる。
Yas tubhyaṃ dāśat na tam aṃhau aśnavat. あなたを崇拝しているだろう者に、苦しみが届いてはいてはいないことだろう。(接続法的)
Kathā dāśat namasā sudānūn. 寛大な人々をどのように敬意を持って私たちは崇拝しているかもしれないでしょうか?(希求法的)
Vi ma uchaḥ duhitar divaḥ 輝くことなかれ、天の娘よ(命令法の否定)
  • 条件法 Lṛń スペイン語の過去未来、フランス語の条件法に相当する法である。未来形過去と呼ぶべきものである。
Sa devāneha avahiṣyat. 彼は神々をここに連れようとするかもしれない
  • 命令法 Loṭ 対象に動作を要求する際に用いられる。1人称や3人称の場合は、勧誘や非常に強い意志を表すことがある。
Vi uchā duhitar divaḥ 輝いてくれ、天の娘よ(現在相・能動形)
Vi vasasva duhitar divaḥ ひとりでに輝け、天の娘よ(完結相・中動形)
Vi uvāsdhi duhitar divaḥ 輝いたことがあれ、天の娘よ(完了相・能動形)
Vi vatsya duhitar divaḥ 輝やこうとせよ、天の娘よ(未来形・能動形)

相の用法

ヴェーダ語における相の役割は次の通りである。ただし、直接法と過去形以外では意味の違いはなかったらしい。

  • 進行相 Laṭ 英語の現在進行形に相当する。行為の動作に注目して述べるときに使う。
Sa devāneha vahatai. 彼は神々をここにお互いに連れてきている。(直接法・中動形)
Sa devāneha avahatai. 彼は神々をここにお互いに連れてきていた。(直接法過去・中動形)
Sa devāneha avahāti. 彼は神々をここにお互いに連れてきます。(接続法・中動形)
Sa devāneha vivahiṣaiyat. 彼は神々をここに連れてきたいと思っているかもしれいない。(希求法・能動形・願望動詞)
Sa devāneha vavahayata. 彼は神々をここにお互いに何度も連れてきていただろう。(指令法・中動形・強意動詞)
Sa devāneha vahatu. 彼は神々をここに連れていかなければならない。(命令法・能動形)
  • 完結相 Luṅ 英語の不定相、ギリシア語のアオリストに相当する。行為の流れや全体、イメージに注目して述べるときに使う。現在形は存在せず、祈願法は完結相のみに存在する。
Sa devāneha vakṣati. 彼は神々をここに連れてくるだろう。(指令法・能動形)
Sa devāneha vakṣāti. 彼は神々をここに連れてきます。(接続法・能動形)
Sa devāneha vakṣyati. 彼は神々をここに連れてくかもしれない。(指令法・能動形)
Sa devāneha vakṣatu. 彼は神々をここに連れなければならない。(命令法・能動形)
  • 完了相 Liṭ 英語の現在完了形に相当する。行為の結果、状態、経験などに注目して述べるときに使う。しばし進行相現在と区別されない。
Sa devāneha uvāsa. 彼は神々をここにお互いに連れてきたことがある。(直接法・能動形)
Sa devāneha auvāsa. 彼は神々をここに連れてきたことがあった。(直接法過去・能動形)
Sa devāneha uvāsyāta. 彼は神々をここにお互いに連れてきたことがあったかもしれない。(希求法・中動形)
  • 未来形 Lṛṭ 英語のwill未来形に相当する。自発的か問わず、これから行うとすることに注目して述べるときに使う。もともとは願望動詞の一種であった。直接法以外の法もあるがその例は非常に少ない。
Sa devāneha vatsyati. 彼は神々をここに連れようとする。(直接法・能動形)
Sa devāneha vatsyāti. 彼は神々をここに連れようとするだろう。(接続法・能動形)
Sa devāneha vatsyait. 彼は神々をここに連れようとするかもしれない。(希求法・能動形)

分詞・不定詞・絶対詞の用法

  • 絶対詞 英語の分詞構文、不定詞の副詞的用法に相当する機能を持つ、不変化詞である。動詞から派生した副詞と考えるのが適当である。
Vinuttvā duṣṇāyikāyā nāṭyaina vyanudiṣi 落ち着くために、私は悪役の演技で気を休めた。
Āryābhāṣā asmadvāttvā, asmān śaubhanān bhavāma ヴェーダ語で話すことで、我々は賢くなるのである。
  • 不定詞 英語の不定詞に相当する機能を持つ、もともとは名詞であるため、格変化を持つ。対格の場合は名詞的用法、与格の場合は副詞的用法、属格の場合は形容詞的用法となる。他にも処格と奪格が存在する。理論的には具格も存在する。
Āryābhāṣām vadam śaknomi 私はヴェーダ語を話すことができます。(対格、名詞的用法)
Vinudai duṣṇāyikāyā nāṭyaina vyanudiṣi 落ち着くために、私は悪役の演技で気を休めた。(与格、副詞的用法)
Āryābhāṣām vadaḥ ca jñāḥ bhāṣā asti. ヴェーダ語は話して学ばれるべき言語である。(属格、形容詞的用法)
  • 分詞 英語の不定詞および分詞、ラテン語の動名詞、目的分詞、副分詞に相当する機能を持っている。動詞を名詞・形容詞化したもので、名詞や形容詞を修飾することもできる。格変化によって動名詞、目的分詞、副分詞の機能を区別する。進行相・過去・完結相・完了相・未来の種類がある。現在形と未来形には能動態、受動態、中動態の三つがあり、それ以外は能動態、中受動態の二つがある。未来形の受動態は動形容詞である。しばしば複合語としても使われる。
Sumarḍitṛyāḥ, suvijaitryāḥ ca sunāyikāyāh duṣṇāyikāyāḥ nāṭyaina vinaudamānam vāvanaiyam. 提唱者、擁護者、主人公の悪役の演技で気を休めていることがとても好きです。(現在相・中動態・対格)
Sumarḍitṛyāḥ, suvijaitryāḥ ca sunāyikāyāh duṣṇāyikāyāḥ nāṭyaina vinuddham vāvanaiyam. 提唱者、擁護者、主人公の悪役の演技で気を休めていたことがとても好きです。(過去・中動態・対格)
Sumarḍitṛyāḥ, suvijaitryāḥ ca sunāyikāyāh duṣṇāyikāyāḥ nāṭyaina vinudiṣamānam vāvanaiyam. 提唱者、擁護者、主人公の悪役の演技で気を休めることがとても好きです。(完結相・中動態・対格)
Sumarḍitṛyāḥ, suvijaitryāḥ ca sunāyikāyāh duṣṇāyikāyāḥ nāṭyaina vinunudānam vāvanaiyam. 提唱者、擁護者、主人公の悪役の演技で気を休め切ることがとても好きです。(完了相・中動態・対格)
Sumarḍitṛyāḥ, suvijaitryāḥ ca sunāyikāyāh duṣṇāyikāyāḥ nāṭyaina vinautsymāṇam vāvanaiyam. 提唱者、擁護者、主人公の悪役の演技で気を休めよう思うことがとても好きです。(未来・中動態・対格)
Āryābhāṣāvadat sādhu asati ヴェーダ語を話していることは、良いことです。(現在相・能動態・主格)
Āryābhāṣāvadantā bahuvastum ajñāsam. ヴェーダ語を話していることで、たくさんの知識を身に着つけた。(現在相・能動態・具格)
Āryābhāṣāvadantaḥ bahuvastum ajñāsam. ヴェーダ語を話していることから、たくさんの知識を身に着つけた。(現在相・能動態・奪格)
Vadamānāya āryābhāṣām paṭhāmaḥ お互い会話するために、私たちヴェーダを勉強することになります。(現在相・中動能・対格)
Āryābhāṣām paṭhiṣantaḥ bhāṣā asti. ヴェーダ語は学ぶ言語である。(完結相・中動能・対格)
Āryābhāṣāvadāuṣi bahuvastum ajñāsam. ヴェーダ語を話したことがあるので、たくさんの知識を身に着つけた。(完了相・能動態・地格)

その他の構文

  • 関係詞 英語やラテン語、ポーランド語の関係代名詞、関係副詞と同じである。ヴェーダ語では豊富な格変化や接尾辞を生かして、関係副詞に相当するもの表現する。ラテン語と同様に、先行詞のない関係詞は「~する人」という意味を示す。英語の「It is ~ that」の強調表現は、関係詞を使っても表現できる。先行詞は前述のtad-やその派生副詞で修飾する。通常は、先行詞の前に関係詞が来るが、強調・原因・結果・目的を示す場合は、先行詞が前に来る。
Yatra tvam avasaḥ sa daiśaḥ ramanīyaḥ. あなたが住んでいた所は、美しい国だ。(daiśaを修飾)
Yaḥ gatvā punar agamat tatra iva nidhanaṃ jagāma. 去って再びやってきた者は、この場でまさに破滅へと行く。
yaḥ máma aśvaḥ saḥ mamāra. 私の馬死んでしまった。(mama aśvaを修飾、強調)
Tam janam sabhasya śatrā upadām yaina mahābhūmihīnanāitikam stabhnauti. 面積は最大だが道徳は最小の国の肩を持つ者を社会の敵と見なす。(janaを修飾、強調・原因)
  • 名詞節 「iti」に加えて、上記の関係代名詞の「yat」、「yathā」、「yatas」が用いられる。関係詞と同様、通常は名詞節が先行する。
Āryāvartam vasai sudaiśā bhvati yat māmaniṣi. ヨーロッパは居住に素晴らしい場所である考えている。
Āryāvartam vasai sudaiśā bhvati yathā māmaniṣi. ヨーロッパは居住に素晴らしい場所である考えている。
Āryāvartam vasai sudaiśā bhvati yataḥ māmaniṣi. ヨーロッパは居住に素晴らしい場所である考えている。

語彙

造語法

動詞の造語法

  • 派生動詞 通常の動詞を使役動詞、願望動詞、強意動詞にすることで、動詞の意味を拡張することができる。ほとんどの場合は派生元の動詞の意味を保っているが、中には変化するものもある。また二次派生動詞からさらに派生することもある。
通常例:√yabh > yabhāya-, yiyapsa-, yāyabh-, yīyābhayiṣa-, yiyapsáya-, yāyabhaya-, yāyabhiṣa-, yāyabhayiṣa-
意味が変化する例: √ad > adayatai(餌をやる)、√śru > śuśrūṣati(出席する)
  • 前置詞結合 Upasarga 接頭辞として、22種類の前置詞を動詞の後ろに結合することで新しい単語を作り出す。英語の群動詞に似ている。動詞の変化は語根の部分だけで行う。重複を取り除いた語根の数はおおよそ1500程度程度で、単純計算でおおよそ33,000個の動詞を作ることができる。さらに後ろに追加することで、60-70万近くの動詞を作ることも可能である。
例:pra + √viś → praviśati、pra + √yabh → prayabhati、saṃ + √śra → saṃśrayati
二重結合例:sam + abhi + √gam → samabhigamati, samabhiganti, samabhijaganti, samabhigacchati
  • 副詞結合 Gati 接頭辞として、Upasarga以外の前置詞や副詞を特定の動詞の後ろに結合することで新しい単語を作り出す。英語の群動詞に似ている。動詞の変化は語根の部分だけで行う。名詞や形容詞に副詞接尾辞"-sāt"を √bhū「~になる」, √kṛ「~する」に付けて結合することで、「~になる」、「~にする」という意味の単語を作る。副詞の数 + 名詞の数*10 * 5 の動詞が作れる。
例:alaṃ + √kṛ → alaṃkrnoti
  • 名詞・形容詞結合 Cvi 特定の動詞√as「~である」, √bhū「~になる」, √kṛ「~する」に名詞や形容詞を付けて動詞を作成する。√dhā「~置く」, √i「~行く」で作成することもできる。√asと√bhūの場合は形容動詞、 √kṛの場合は「~する」という意味の動詞になる。名詞・形容詞の数 * 10 * 5の動詞が作れる。
例:bhojana(夕食) + √kṛ → bhojanakṛnoti(夕食を作る、夕食にする)、nīla(仲間) + √bhū → nīlabhavati(青くなる)
  • 名詞・形容詞起源動詞 Kyac 名詞や形容詞にayaを付けることで動詞を作ることができる。数は非常に少ないが、派生で使役動詞や願望動詞も存在する。名詞の場合は日本語の「名詞、形容詞+る」と同じで、形容詞の場合は日本語の形容詞に相当する。進行相以外は使役動詞の変化に準じる。名詞の数だけ作成できるので、数百万から数億近くの動詞が作成できる。ゲルマン語やラテン語の規則動詞の多くはこれである。
例:nīla(青い) → nīlayati(青くする)、bhojana(夕食) → bhojanayati(夕食を食べる)

名詞・形容詞・副詞の造語法

  • 並列複合語 Dvaṃdva 二つ(以上)の等位関係のものが並列した複合語である。前期ヴェーダ時代ではかなりまれだが、後期ヴェーダ時代では一般的になる。形容詞や副詞でも作ることができるが、その例は少ない。同じ単語を二つつなげると、単語の意味を強める効果を持つ。アクセントは語幹の最後にある。
  • 限定複合語 Tatpuruṣa 結合対象に格の関係のある複合語である。ヴェーダ期には、形容詞+名詞の複合語はそこまで多くなく、多くは分詞や語根名詞が後ろにつく。アクセントは語幹の最後にある、語根名詞がある場合は語根にアクセントがある。格関係を示すために、前の単語が格変化形になっていることがある。
処格の例:sāṅgaṇikāvakāśa(仮想空間) + arājakatāvāda(無政府主義) → sāṅgaṇikāvakāśārājakatāvāda(仮想空間上の無政府主義 → Web 3.0)
具格の例:tārkikatā(論理学者の性質を持つ) + mukhyaḥ(司令官) → tārkikatāmukhyaḥ(論理学者の霊に憑りつかれた司令官)
奪格の例:āryāvarta(ヨーロッパ) + kalpanā(製品) → āryāvartakalpanā(ヨーロッパ製の製品)
属格の例:mad(一人称単数語幹) + śukravisṛṣṭi(気休め) → macchukravisṛṣṭi(自分の気休め → 自分が気を休めること)
対格の例:khalanāyaka(悪役) + nṛtta(演技) → khalanāyakanṛtta(悪役の演技)
与格の例:āryāvarta(ヨーロッパ) + jigamiṣiṣant(行きたい) → āryāvartajigamiṣiṣant(ヨーロッパに行きたい)
  • 同格限定複合語 Karmadhāraya 結合対象に格の関係がない複合語である。
例1:arājakatāvāda(無政府主義) + sabhā(社会) → arājakatāvādasabhā(無政府主義社会)
  • 所有複合語 bahuvrīhi 最後が名詞だが、全体が形容詞の意味を持つ複合語である。同格限定複合語と一見すると同じだが、アクセントは1番目の単語のアクセントに従う
例:mahā(巨大な) + bhūmi(領土) + hīna(乏しい) + nāitika(道徳) → mahābhūmihīnanāitika(面積は最大だが道徳は最小の国)
  • 不変化複合語 avyayībhāva 副詞や接頭語など不変化の言葉+名詞で、副詞的な意味を持つ。前置詞と名詞が結合して、副詞化することが多い。副詞にする場合は単数対格となるが、時々具格や奪格なども現れる。
例1:sam(共に) + arājakatāvāda(無政府主義) → samarājakatāvāda(無政府主義と共に) 副詞: samarājakatāvādam

共通語彙

ヴェーダ語は分化からそれほど経過しておらず、他のインド・ヨーロッパ語族諸言語と類似する語根が非常に多い。類似する語根は以下の通りである。空似言葉も多いため、学習する際には間違いないように注意したい。

脚注

参考文献

  • Macdonell, Arthur Anthony (1916). A Vedic grammar for students. Oxford: Clarendon Press 
  • William Dwight Whitney(1889). Sanskrit Grammar

外部リンク

  • まんどぅーかの サンスクリット・ページ (日本語) - 古典梵語の文法解説
  • 印欧語活用辞典 - ヴェーダ語・梵語 (日本語) - オンラインの活用表つき梵語辞典、辞書だけでなく学習ページも存在する。
  • ホイットニー梵語文法 (英語) - ヴェーダ期を含む梵語の文法解説
  • Sanskrit Dictionary (英語) - オンラインの梵語辞典、ヴェーダ期の用法やヴェーダ期のみに用いられる単語の解説もある。
  • The Sanskrit Heritage Site (英語) (フランス語) - オンラインの活用表つき梵語辞典のサイト

Text submitted to CC-BY-SA license. Source: ヴェーダ語 by Wikipedia (Historical)