『機動戦士ガンダムΖΖ』(きどうせんしガンダムダブルゼータ、MOBILE SUIT GUNDAM ΖΖ)は、日本サンライズ制作のテレビアニメ。『機動戦士Ζガンダム』の直接の続編として作られた『ガンダムシリーズ』の一つ。略称は『ΖΖ(ダブルゼータ)』。1986年(昭和61年)3月1日から1987年(昭和62年)1月31日まで、名古屋テレビを制作局として、テレビ朝日系で毎週土曜日17:30 ‐18:00(JST)に全47話が放送された。平均視聴率(関東地区)は6.02%。
ガンダムシリーズの第3作であり、『機動戦士Ζガンダム』の直接的な続編として第一次ネオ・ジオン抗争を描いた作品である。エゥーゴ側のモビルスーツは前作からの引き続いた物が多く、前作の主人公カミーユ・ビダンが搭乗したガンダムMk-IIとΖガンダムもエゥーゴの主力として活躍した。またBGMは前作のBGMも使用している。
前作とは一転して、当初は明るい雰囲気でスタートし、敵も味方もコミカルに描かれることも多かったが、第19話以降より順次、シリアスな作風に路線変更となった。
本放映前の番宣キャッチフレーズは「子供はみんなニュータイプ! 見せてやろうじゃないの! 大人たちにさ!」。
当時サンライズのプロデューサーを担当した内田健二(現会長)曰く「あの当時に2年続けてガンダムを制作出来た意義は大きい」「シリーズ作品としての基礎を固められた」「ロボットアニメで人間を描写する基礎にもなった」と後年振り返っている。
のち、劇場版三部作として再編された『新訳Ζガンダム』においては、カミーユは精神崩壊を起こすことなくシロッコとの戦いに勝利し帰還、一方のハマーンはミネバの養育を理由に兵を収めており、本作の導入には全くつながらない形で終幕している。
福井晴敏の小説をベースにOVAとして映像化した『機動戦士ガンダムUC』の中では、本作に登場したMSの後継機が登場しており、主要人物の一人であるマリーダ・クルスは本作終盤にグレミー軍として参戦したプルクローンの生き残りという設定がなされている。また、エゥーゴ解体後に連邦軍に接収されたという設定で、ブライト率いる「ロンド・ベル隊」に編入されたネェル・アーガマも主役機ユニコーンガンダムの母艦として登場する。
なお本作のアイキャッチは「ハイパー・メガ・ランチャー装備のZガンダム(本編に登場しない)」のみであり、主役機であるΖΖガンダムのアイキャッチは放送されなかった。
放送期間中にアニメ映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の制作が決まったため、物語の後半で予定されていたシャア・アズナブルの登場が見送られ、映画に向けての伏線を張るだけに留められた。なお、富野による本作の企画書に書かれていた一年間の大まかなあらすじによれば、アムロやベルトーチカの登場も予定されていた。
キャラクターデザインは安彦良和の不参加にともない、北爪宏幸が手掛けることになった。その際、プロデューサーの内田健二からは「延長する上で新キャラクターが登場するが、今度は安彦先生は参加されないので、雰囲気を変えずに『Ζガンダム』での作画テイストで新キャラクターを描いて欲しい」という要望があった。
メカニックデザインにおいては、前作の『Ζガンダム』同様、モビルスーツ (MS) のデザインが難航した。まず『Ζガンダム』の番組延長のために20名ほどのデザイナーが集められ、新ガンダム(その時点ではまだΖΖというネーミングはない)のラフデザインが描かれた。参加メンバーは当時Zガンダムに参加していた永野護や小林誠や藤田一己、伸童舎(明貴美加、岡本英郎)や玩具類の合体変形などのアイデアを作っていたビシャルデザインなど。
『Ζガンダム』の延長ではなく続編の制作が決まると、永野がメインデザイナーとして作中に登場するすべてのメカデザインを担当すると発表された。しかし、富野由悠季監督の「ロボットアニメの原点に戻って子供にもわかりやすい『明るいガンダム』にしよう」という意図をくんだ永野による3-5頭身のコミカルなデザインのMSは波紋を呼んだ。「子供たちにひと目で敵ロボットの特徴をわからせるための巨大な一つ目に5頭身のガルスJ」「ハマーン・カーン専用MSとしてデザインされ、女性用ということで「おっぱいミサイル」を胸に2発搭載するハンマ・ハンマ」などのデザインは、 ユニークではあるがあまりにも従来のMS像とはかけ離れていた。また、主役機ΖΖガンダムも、永野案では模型にした際に合体変形機構に問題があることがわかり、何度かのデザイン修正が行われたものの、スポンサーサイドのOKは出なかった。結局、永野は1985年12月末にメカデザイナーを降板することとなり、前作Zガンダムで描いた物とゲゼ、ガザD(ともに原案のみ)、およびプチMSとミドルMSを除くほとんどの永野のデザインは作品に登場しないことになった。
放映までほとんど時間がない中、永野護に代って主役メカのΖΖを小林誠が、そしてネオ・ジオン軍MSを出渕裕が担当することが決定した。ΖΖガンダムのデザインは玩具デザイン会社「TTブレイン」の案を元に複数のデザイナーに発注した中から小林誠の案を元とすることとなった。小林は前作でバウンド・ドックやガザCといった可変モビルスーツをデザインしたことのある実績と、モデラーとしての経験を見込まれ、模型で再現可能な合体変形機構の修正を行うことを要請された。
締切まで2週間強という強行スケジュールだったが、コンセプトを「Gアーマーに変形・合体する最強のガンダム」とし、最強を示す記号として頭部にハイメガ粒子砲を装備したデザインがまとめられた。小林は『Ζガンダム』のガザCやジ・Oと言った「わかる人はわかる」デザインが理解されなかったため、ΖΖガンダムを「対子ども用」ガンダムにしようとした、とのこと。
小林の案では曲面的なデザインだったが、当時の技術では商品化するのが難しかったので直線的にリファインされ、最終的に伸童舎の岡本英郎、明貴美加によってクリンナップされた。ただし、バンダイ『模型情報』によると、クリンナップしたのは北爪宏幸であるとされている。そして北爪のクリンナップ校了がプラモデルの設計開始に間に合わず、プラモデル「1/144 ΖΖガンダム」の胸部形状が設定と異なった、ともされている。クリンナップ第1稿ではGフォートレスに機首がなく、小林の希望で
ネオ・ジオン軍の物語前半に登場するMSを担当した出渕は、『Ζ』の後番組として予定されていた別のオリジナル企画にメインとして参加し手応えも感じていたが、『ΖΖ』の放送が決定したために没となっており、かなり複雑な気持ちで臨んだという。また出渕は『Ζ』の後半のMSのデザインが複雑化・怪物化していき、敵味方の区別すら曖昧になってしまったことに疑問をもっていたため、デザイン・ラインの原点回帰を目指している。反省点は多々あるものの、短期間で多数の機体をデザインしたことで互いのシルエットに変化を付けることができたのではないかとのちに語っている。当時はほかにも仕事を抱えていたため、デザイン原案のみの参加でクリンナップは伸童舎(一部は藤田一己)に任せているが、ガルスJの頭部とバウはイメージが上手く伝わらなかったため、最後まで自身でクリンナップしている。
物語中盤以降に登場する新デザインは明貴がほぼすべて担当し、モデラーの小田雅弘や佐山義則、模型雑誌『モデルグラフィックス』の編集スタッフも協力している。
本作では、エゥーゴMSはメタスを除きツインアイとゴーグルアイ、ネオ・ジオン軍MSがグリプス戦役終戦後に接収したサイコガンダムMk-II、および終盤で登場するクィン・マンサを除き全てモノアイタイプと明確に分けられた。その影響により、メタスが序盤で退場となり、リック・ディアスの強化型であるシュツルム・ディアスがネオ・ジオン軍MSとして登場することになった。
物語後半には過去作に登場したMSのデザインを一部アレンジしたうえで別の機体としたものを登場させた。これは既存の模型金型を活用して低コストで商品を売り出すためのテコ入れである(ただし本放送当時には商品化されなかった機体も存在する)。
宇宙世紀0088年、グリプス戦役で地球連邦軍が創設したエリート部隊「ティターンズ」は事実上壊滅した。しかし、エゥーゴも大半のパイロットが戦死し、有力な指揮官のクワトロ・バジーナ大尉は行方不明となったうえ、エースパイロットのカミーユ・ビダンも精神崩壊に陥り、深刻な戦力不足に悩まされていた。そんな中、三つ巴の決戦から一時手を引き、高みの見物をしていたハマーン・カーン率いるジオン公国残党組織アクシズはネオ・ジオンと名を変え、地球圏の制覇に乗り出す。
グリプス戦役で傷ついたエゥーゴの戦艦アーガマは、修理と補給のためサイド1のシャングリラに寄港した。そこでジャンク屋稼業をしている主人公ジュドー・アーシタとその仲間たちは、前大戦で活躍した英雄機Ζガンダムを奪って一儲けしようと企んだことがきっかけで、エゥーゴと関わりを持つことになり、一員としてネオ・ジオンと戦うことになる。
ひょんなことからΖガンダムに搭乗することになったジュドーは、仲間たちとともにガンダム・チームを結成し、チーム1のエースパイロットとして勇敢に戦っていく。その途中、彼は乗機をΖからエゥーゴの最新鋭MSであるΖΖガンダムに乗り換え、同じ頃修理を終え改めて配備されたガンダムMk-II・百式と共にネオ・ジオンを圧倒していく。
そんな中、ハマーンはダブリンにコロニー落としを敢行、ネオ・ジオンの力を誇示すると共に、地球連邦政府にサイド3の旧ジオン領の譲渡を認めさせることに成功した。
しかしハマーンの配下のグレミー・トトが「ザビ家の真の継承者」を名乗り、ミネバ・ラオ・ザビを
モビルスーツやモビルアーマーなど機動兵器に分類されるものは
それ以外のものについては
キングレコードより発売。前期はオープニング・エンディングとも従来の作品にはあった歌詞クレジット表示が廃止されたが、後期になって復活している。
第1話は、『機動戦士ガンダム』と『機動戦士Ζガンダム』の名場面や世界観、施設、登場するMSなど、前2作までの大まかな話の流れなどを説明した特別編(総集編)であり、実質的な物語は第2話より始まる。第1話の前半ではシャアがナレーション的存在として登場したり、「MSの影絵当て」の正誤判定をしたりと異色の演出が行われている。その一方で、劇中ナレーションにシリーズ第1作『機動戦士ガンダム』ナレーションの永井一郎のナレーションも入れるといった従来のファン向けの演出もなされている。次回予告のBGMは39話までは第1オープニングの『アニメじゃない』のアレンジで、40話からは第2オープニングの『サイレント・ヴォイス』のAメロ部分となっている。
※系列は放送当時、放送日時は1987年1月終了時点のものとする。
1986年に遠藤明範による小説版が全2巻で講談社から刊行された。前作にあたる『機動戦士Ζガンダム』は富野自身の手になる「原作」なのに対し、本作は脚本を担当した遠藤明範による「ノベライズ」である。内容はストーリーの中心部分に絞られ、前作を引き継いではいるがカットされたエピソードも多く、特に地球降下後の展開がTV版と異なり、アムロ・レイやベルトーチカ・イルマが登場している。なお、アムロとジュドーとのやり取りでは『逆襲のシャア』への伏線も示されている。その後、角川スニーカー文庫より刊行されている。
ホビージャパンより、本作を基にしたゲームブックがVol.1からVol.3まで発売されている。
物語は『ΖΖ』の世界観をベースとしたオリジナルストーリーで、主人公は元連邦軍上層部直属の組織に所属していた強化人間。Vol.1とVol.2ではあまりMSの活躍するシーンはないが、Vol.3ではΖΖガンダムの量産型(量産型ΖΖガンダムとは別物)やバウの簡易量産型であるバウbis、ティターンズがキリマンジャロ・ベースで量産したキリマン・マラサイ、“腰”のあるバーザム等、オリジナル設定のMSが多数登場する。他に連邦軍がサイコミュ技術を応用して開発した「エニグマ」なる独自の要素も存在する。エニグマは1人のパイロットで複数のMSを制御するシステムで、エニグマが組み込まれたマスターMSで2機の随伴MSをコントロールし、1個小隊を運用するというもの。ネオ・ジオンも同様のシステムを「シュペール・サイコミュ」として開発している。
なお、この物語の後日談が、『逆襲のシャア』公開時にホビージャパンが発売したガンダム関係のボードゲームの紹介ムック「ガンダムゲームズ」に小説として掲載された。主人公は連邦軍の前線基地マッシュの整備兵・通称トラッパーとして登場。MSパイロットのホークアイやデュークと共にネオ・ジオンの隠した金塊を奪うため、軍の高官がコレクションとして隠していたディジェを駆って戦いに赴くというもの。
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