Aller au contenu principal

ロシア連邦軍参謀本部情報総局


ロシア連邦軍参謀本部情報総局


ロシア連邦軍参謀本部情報総局(ロシアれんぽうぐんさんぼうほんぶじょうほうそうきょく、ロシア語: Главное разведывательное управление, ラテン文字転写: Glavnoye Razvedyvatelnoye Upravleniye、英: Main Intelligence Directorate of the General Staff)は、ロシア連邦軍における情報機関。略してGRU(発音は英語でグルー、ロシア語の場合はゲーエルウー、ロシア語での略称はГРУ)と呼ばれる。ソ連時代から存続している組織である。

概要

組織上は、他国と同様に参謀本部の一部署に過ぎないが、参謀系統を通した情報の収集のほか、スパイ活動、SIGINT、偵察衛星や特殊部隊(スペツナズ)の運用も管轄しており、旧KGBや現在のSVRなどと並ぶ強力な情報機関である。第二次世界大戦中のスパイ、リヒャルト・ゾルゲはGRUの管理下にあった。

GRUの総局長は参謀総長及び国防相に従属し、ロシア対外情報庁 (SVR)とは異なり、大統領に直接報告することはない。GRUの本部庁舎はモスクワの旧ホドゥンキ地区、ホロシェフスコエ通りに位置するガラス張りの9階建ての建物である。GRU職員からはステクリャーシュカ(Стекляшка;ガラスビル)と呼ばれているが、一般にはアクワリウム(Аквариум;水族館)として知られている。

組織

以下の機構はドミトリー・プロホロフ著の"Империя ГРУ"(GRU帝国、2000年)を参照した。ただし、同書もヴィクトル・スヴォーロフの著書(1970年代の情報)を参考にしている。

中央機構

GRU総局長は上級大将で、参謀次長を兼任する。局長は中将、副局長や課長は少将。副課長、班長及び副班長は大佐。一般班員は、先任作戦将校と作戦将校職から成り、先任作戦将校は大佐、作戦将校は中佐。

  • GRU総局長/参謀次長
    • GRU指揮所
    • 特別重要エージェント及びイリーガル・グループ
  • 第一副総局長 - 全情報収集(エージェント諜報)部門を管掌
    • 第1局 - 西欧諸国。5課を有し、各課は国ごとの班を有する。
    • 第2局 - 北米・南米諸国
    • 第3局 - アジア諸国
    • 第4局 - アフリカ及び中東諸国
    • 第5局 - 作戦・戦術情報。通常の参謀系統は、この局が管轄する。スペツナズを管理する特殊情報班が存在する。
    • 第1課 - モスクワ
    • 第2課 - 東西ベルリン
    • 第3課 - 民族解放運動及びテロ組織
    • 第4課 - キューバ
  • 副総局長/第6局長
    • 第6局 - 電子偵察局。SIGINT。特殊部隊OSNAZが存在する。
  • 副総局長/情報部長 - 情報の処理・分析部門を管掌
    • 第7局 - NATO担当。6課を有する。
    • 第8局 - 特別指定国に関する業務
    • 第9局 - 軍事技術
    • 第10局 - 軍事経済、軍事生産及び売却、経済保安
    • 第11局 - 戦略核戦力
    • 第12局 - 不明(情報戦?)
  • 副総局長/艦隊情報部長 - 各艦隊本部の情報局を管掌
  • 副総局長/宇宙偵察局長
    • 宇宙偵察局 - 偵察衛星によるIMINT
  • 支援部署
    • 運用・技術局
    • 行政局
    • 通信局
    • 会計課
    • 第1特殊課 - パスポート、身分証明書等の偽造
    • 第8課 - 暗号及び暗号解読

教育施設としては、軍事外交アカデミーが存在し、スパイや駐在武官、情報参謀が教育を受ける。スペツナズは、2万5千人・24個大隊相当が存在する。各国のロシア大使館にはGRUの支局が存在し、駐在武官もGRUの所属である。キューバのルールデスには無線傍受センターが維持されている。

部隊の情報機関

部隊レベルの作戦・戦術情報は、GRU第5局の統制を受ける。

軍管区レベルでは、以下の主要5科から成る軍管区本部第2局(情報局)が担当する。

  • 第1科:管区配属の軍級その他の部隊の情報科の業務を指導
  • 第2科:管区担当地域のエージェント諜報
  • 第3科:管区の偵察・破壊工作部隊の活動を指導
  • 第4科:諜報情報の処理
  • 第5科:電波偵察

軍級レベルでは、5班から成る軍本部第2科(情報科)が担当する。

名称の変遷

GRUは、軍政又は軍令機関の一部署であるため、その名称は目まぐるしく変わっている。

  • 参謀本部総局第2補給総監課(1917年11月~1918年5月)
  • 最高司令官本営附属革命野戦本部扇動・情報課(1917年11月~1918年3月)
  • 最高軍事会議作戦局情報班(1918年3月~1918年9月)
  • 軍事問題人民委員部作戦課情報班、全ロシア参謀本部作戦局軍事統計課(1918年5月~1918年9月)
  • ロシア革命軍事会議本部情報課(1918年9月~10月)
  • ロシア革命軍事会議野戦本部登録局、ロシア革命軍事会議野戦本部作戦局情報班(1918年11月~1920年)
  • ロシア革命軍事会議野戦本部作戦局第1課情報班、労農赤軍本部作戦局情報部隊、労農赤軍本部情報課(1919年~1920年)
  • 労農赤軍情報局(1922年~1924年)
  • 労農赤軍本部第4局(1926年~1934年8月)
  • 労農赤軍情報・統計局(1934年8月~11月)
  • 労農赤軍情報局(1934年11月~1939年5月)
  • 国防人民委員部第5局(1939年5月~1940年6月)
  • 赤軍参謀本部情報局(1940年6月~1942年2月)
  • 赤軍参謀本部情報総局(1942年2月~9月)
  • 赤軍参謀本部部隊情報局(1942年9月~1943年2月)
  • 赤軍参謀本部情報局、赤軍情報総局(国防人民委員部情報総局)(1943年2月~1945年6月)
  • 赤軍参謀本部情報総局(1945年6月~1946年)
  • 軍参謀本部情報総局(1946年~1947年)
  • ソ連閣僚会議附属情報委員会(1947年~1949年)
  • 軍参謀本部情報総局(1949年~1950年)
  • ソビエト軍参謀本部情報総局(1950年~1955年)
  • ソ連軍参謀本部情報総局(1955年~1991年)
  • ロシア連邦軍参謀本部情報総局(1991年~)

歴代軍情報部長

現状

  • 2006年4月、参謀総長ユーリー・バルエフスキー上級大将は、軍情報機関の改編について表明した。国防省筋によれば、地上軍・海軍・空軍の軍種情報局が廃止され、各軍種情報局の機能は参謀本部情報総局に移管される。各軍種には情報局に基づき、大佐を長とする佐官6人から成る情報課が創設される(情報局時代は定数20人未満、局長は中将)。
  • アメリカの連邦捜査局 (FBI) などは、2016年のアメリカ大統領選挙におけるヒラリー・クリントン陣営に対するサイバー攻撃(2016年アメリカ合衆国大統領選挙におけるロシアの干渉)にGRUが関与していると断定。この報告に基づき、オバマ大統領は2016年12月、駐米ロシア外交官35人を国外追放する報復措置をとった。
  • 2020年2月20日、英国の外務省と米国の国務省は、2019年10月にジョージア政府や企業などのWebサイトが改ざんされ、国営放送局のサービスにも支障が出たサイバー攻撃について、ロシア軍の情報機関、参謀本部情報局(GRU)が攻撃に関与したと断定し、ロシアを非難する声明を発表した。
  • 2020年10月19日、アメリカ合衆国司法省はGRUの工作員6人を起訴したことを発表した。彼らはウクライナの送電網や2017年フランス大統領選挙、2018年平昌オリンピックなどを妨害する目的でサイバー攻撃を行った疑いが持たれている。また、同日にイギリス外務省も声明を発表し、GRUが2020年東京オリンピック・パラリンピックの組織委員会や関係者などに対して、サイバー攻撃を行っていたことを明らかにした。英政府によると2020年夏の五輪開催の延期が決定した3月より前に、GRUのサイバー部隊は主催団体や関係者、スポンサー、輸送関連の情報システムに対して、インターネットを通じて偵察活動を実施していたという。システムの全体像を把握した上で、弱点を突くサイバー攻撃によって、開催中に障害を発生させるなどの妨害を計画していたと見られる。
  • チェコ政府は2021年、同国で2014年に発生したヴルビェティツェ弾薬庫爆発事件にGRUメンバー2人が関与したとして国際指名手配するとともに、チェコ駐在のロシア外交官18人の追放を発表した。この2人は2018年にイギリスで起きた元GRU大佐父娘毒殺未遂事件と同名だと報道されている。
  • 2022年2月18日、ニューバーガー米国家安全保障担当副補佐官(サイバー・先端技術担当)は、2月15日に発生したウクライナ国防省や銀行などを標的とした「DDoS攻撃」と呼ばれるサイバー攻撃について、攻撃に使われたIPアドレスを分析した結果、GRUに結びつく情報を確認したことを明らかにし、そのサイバー攻撃の背後にロシア軍の情報機関当局が関係しているとして、ロシア政府の責任を追及する声明を出した。英外務省も、ロシア軍の情報機関であるロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)がウクライナに対するサイバー攻撃に関与していたことはほぼ確実という認識を示した。2月15日のネット被害は、サーバーに大量のデータを送りつける「DDoS攻撃」によるもので、ウクライナの国防省と軍のサイトは10時間以上も機能が停止し、銀行でも数時間、オンライン取引が利用できなくなった。

所属したことがある人物

  • セルゲイ・スクリパリ - スパイ容疑で逮捕された後、ロシアを出国。

脚注

関連項目

  • ロシア対外情報庁
  • ロシア連邦保安庁
  • スペツナズ
  • ソ連国家保安委員会
  • 29155部隊 - GRUの特殊部隊
  • 26165部隊(ファンシーベア) - GRUのハッカー部隊
  • 74455部隊(サンドワーム) - GRUのハッカー部隊
  • リヒャルト・ゾルゲ
  • 赤いオーケストラ
  • アメリカ国防情報局 - 米国における軍系情報機関
旧ソ連構成国におけるGRUの後継機関
  •  ウクライナ:ウクライナ国防省情報総局
  •  ベラルーシ:ベラルーシ共和国軍参謀本部情報総局

外部リンク

  • Империя ГРУ(ロシア語) 『GRU帝国』。ドミトリー・プロホロフの著作
  • 知られざるロシアのスパイ組織「GRU」の恐るべき暗躍【高嶋ひでたけのあさラジ】 - ニッポン放送NEWS ONLINE 編集部(2017年07月20日)
  • 日本でうごめくロシアスパイ 名刺交換から会食、土産… - 朝日新聞デジタル(2020年12月3日)
  • 「国外退去となった8人のほとんどはSVRとGRUに所属するスパイです」~総理官邸に迫るロシアスパイ、だまされた内調職員が手口を暴露【第1回】 - TBS NEWS DIG(2022年5月5日)
  • ロシアのスパイ120人が日本に潜入 だましの手口を徹底解説 - 日経ビジネス 吉野次郎(2022年8月26日)

Text submitted to CC-BY-SA license. Source: ロシア連邦軍参謀本部情報総局 by Wikipedia (Historical)


INVESTIGATION