不和の林檎(ふわのりんご、Apple of Discord)は、ギリシア神話において、トロイア戦争の発端とされる事件である。
アイアコスの子・ペーレウスと海の女神・テティスの結婚式には全ての神々が招かれた中、ただ一柱、不和と争いを司る女神・エリスは招待されなかった。彼女は怒り、宴会の席に「最も美しい女神に(καλλίστῃ)」という文字が書かれた黄金の林檎を投げ入れた。ゼウスの妻・ヘーラー、戦いと知恵の女神・アテーナー、愛と美の女神・アプロディーテーは、それぞれ自分が一番美しい容貌の持ち主であるとして、この林檎を得るために争った。その後の出来事はパリスの審判を参照。
この事から、「不和の林檎」という言葉は、論争の要点や、小さな出来事が大事になることを表す言葉となった。
この事から、ギリシア神話のエリスと同一視されるローマ神話の女神はディスコルディア (Discordia) と呼ばれる。また、ドイツ語及びオランダ語では、この語は英語よりもより口語的に使用され、ドイツ語では "Zankapfel"(口論の-林檎)、あるいは "Erisapfel"(エリスの林檎)、オランダ語では "twistappel"(争いの林檎)と呼ばれる。
バルセロナの行政区・アシャンプラでは、スペイン語で La manzana de la discordia (カタルーニャ語: L'illa de la discòrdia) と呼ばれる一角がある。"manzana"(マンサナ)は、スペイン語で「林檎」と「街の一区画」の両方を表す同綴異義語である。モダニズム建築の4つの建造物(アントニ・ガウディのカサ・バトリョ、リュイス・ドメネク・イ・ムンタネーのカサ・リェオ・モレラ、ジュゼップ・プッチ・イ・カダファルクのカサ・アマトリェール、エンリック・サグニエールのカサ・ムリェラス)があることから、「不和の区画」を意味するこの名が付けられた。
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