草尾 毅(くさお たけし、1965年11月20日 - )は、日本の男性声優、俳優、歌手、ラジオパーソナリティ。
埼玉県所沢市出身。青二プロダクション所属。
小学生の頃に職業としての声優を知り、その頃、テレビアニメ『宇宙戦艦ヤマト』から声優ブームで声優が雑誌に出ており、「子供の頃に観ていたテレビ漫画のあのキャラクターは、こんな人が演じていたんだ」と驚いたことがあった。
その後、中学時代のクラスメイトが、当時、創刊されたばかりのアニメ雑誌を学校に持っており、色々教わるうちにアニメに詳しくなった。そのクラスメイトは絵も上手く授業中に漫画を描き、「漫画ってこう描くのか」と感心してまねしたりしており、その経験が、声優になりたいと思った原点だったと語る。
県内屈指の進学校に進む(埼玉県立所沢北高等学校)も高校時代はあまり勉強に集中できず、東京大学を友人らと記念受験のつもりで受けるが結果は不合格に。そんな折に就職しようかどうかという考えを持ち、もともとテレビに興味があったこともあり、芸能界入りを考えたが、演技などが素人である自覚があったことから無理を感じていた矢先にオーディション雑誌などを見て声優養成所を知る。「声だけの演技ならなんとかなるかも」と考え、さらに調べた結果、後に自身が所属することとなる青二プロダクションが経営する青二塾へ入塾し、1年間声優としての基礎を学んだ。青二塾東京校第6期生出身で同期に冬馬由美などがいる。
初仕事は押井守が初めて監督した映画作品『紅い眼鏡/The Red Spectacles』での死体役だった。他に、着ぐるみなどの仕事もしたという。1987年のジュニア時代に『ボスコアドベンチャー』で声優デビューし、劇場版アニメ『AKIRA』の甲斐役に抜擢され、OVA『JUNK BOY』の山崎良平役で初主演を果たす。
1989年に、テレビアニメ『鎧伝サムライトルーパー』の人気をきっかけに男性主演声優の5人で声優音楽ユニット「NG5」を結成。。ピーク時のイベント数は月に15本あり、5人のトルーパー関連CDは70万枚・12億円の売上げを記録する。OVAは予約時点で7万本に達し、音楽ビデオに至ってはオリコンチャート1位を獲得するなどの人気を博した。1990年に同ユニットが解散した後は、ソロのアーティストとしても精力的に活動。声をあてたアニメ関連の曲はもとより、オリジナルの曲も数多い。
2015年5月20日、同じ事務所に所属する斉藤佑圭と結婚したことを発表した。斉藤との間には2018年と2021年に2児が産まれている。
熱血系の主人公、美形な青年役を中心に演じているが、癖のあるマスコット的なキャラクターをもこなすなど演技の幅は広い。特に、『ドラゴンボールZ』のトランクス、『ドラゴンクエストIV』の勇者(『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』より)、『ロードス島戦記』のパーン、『イース』のアドル・クリスティン、『テイルズ オブ ファンタジア』のクレス・アルベイン、「戦国無双シリーズ」の真田幸村などの、いわゆる戦士といった役柄をこれまでに数多く担当している。
その一方で、『GUILTY GEAR』シリーズのカイ・キスクの様な大人しさと熱情が同居する役や、『D・N・ANGEL』のクラッドのような冷徹な美男子役、また『DARKER THAN BLACK -黒の契約者-』の魏志軍のような狂気を帯びたラスボスまで幅広く演じている。その他に『すもももももも 地上最強のヨメ』の虎金井天下などの二枚目半のキャラクターや、『よんでますよ、アザゼルさん。』では天使でありながら悪徳を目にしても内心で罵倒するだけで見てみぬフリをする俗っぽい小物役も演じた。
青年役と平行し、10歳前後の少年役も吹き替え作品含め数多く担当してきている。近年では人間以外の役も演じることが多くなった。『ドラゴンボールZ』では青年期のトランクス、幼少期のトランクス、フュージョン時のゴテンクスと3役を、一つの役柄で担当している。『Yes!プリキュア5』では、妖精のココの甲高い声と人間体である小々田コージの爽やかな声を演じ分けた。
特撮作品にも声をあてることが多く、初出演作である『ビーロボカブタック』では、主人公のカブタックの声を担当。コミカルな面の目立つノーマルモードと、熱血ヒーローのスーパーモードとを1人で声を演じ分けている。また俳優として出演することもあり、『ボイスラッガー』では主役の1人として出演を果たしている。
アニメ以外にも洋画の吹き替えの仕事もこなし、幅広い作品に声をあてている。吹き替え作品の中でも、草尾は初期のレオナルド・ディカプリオを持ち役にしていたことでも知られ、ディカプリオの代表作である『タイタニック』は劇場公開よりも前に作られたとされている機内上映版でジャック・ドーソンを演じた。これについて草尾は「あの『タイタニック』を日本で初めて吹き替えたのは僕だ」と自負しているという。しかし、草尾自身もいまだに機内版の音源で本編を鑑賞出来ておらず「なんとか入手できないか」と捜索中であり、鑑賞を熱望していると語った。この他、テレビモノでは海外のシットコムの『ボーイ・ミーツ・ワールド』では主人公の幼なじみの親友ショーン(ライダー・ストロング)を担当し、ハリウッドの青春コメディモノにも出演している。
ラジオなどで自分を紹介する時に「どうも、草尾毅でした」と、登場してからいきなり帰ってしまうような冗談を言うことがある。そのラジオでは悩み相談を受けることも多く、毎回草尾らしい独特の見解で答えている。
草尾曰く「下積みもせずに最初から売れて、その後も二枚目の役ばかり演じている」と思っている人物もいるが、バカにされ、蔑まれ、地の底をはいずるような思いもしながら活動していたことが、何とか形になっているだけだった。テレビの前で視聴者だった頃と様々なものの見方も変わり、2012年時点でも声優業界で生き残っていられるのは、その時代に「何をしたらいいのか」、「どこを頑張ればいいのか」という経験を積ませてもらったからだと語る。
2001年に行われた陣内智則の単独ライブ「JING」にて、「声優に挑戦」コーナーの講師としてゲスト出演した際には、『ドラゴンボールZ』の映画版フィルムを使用しての生アフレコを披露し、観客からは暖かい拍手を受けた。
1989年に結成された声優音楽ユニット「NG5」は絶大な人気を獲得し、『鎧伝サムライトルーパー』関連のコンサートや握手会などのイベントの後には毎回号泣者や失神者が絶えず、救急車が出動することもあった。このNG5の人気はアニメ業界だけでなく、『FNNスーパータイム』『地球発19時』など多くの一般マスコミでも取り上げられるほどだった(詳しくはNG5の項目を参照)。『地球発19時』におけるNG5の特集では、当時23歳だった草尾のそれまでの給料が、月に5万円だったことも語られていた。
30歳を過ぎた頃から、何をやっても満足できなくなってしまい、思うように喋れず、思うように演じられず、どう演じても何か違うような気がするという状態になってしまった。そういう気持ちがあるものだったことから、製作スタッフたちも「草尾はどうしたんだろう」と感じるようになり、仕事もどんどん減っていった。すべてのことが八方ふさがりで、10年くらいどうしたらいいのかわからない状態が続いていた。40歳くらいになり、「もうこれだけ悩んだんだから、いいか」のように振り切れ、その後は少し光が見えてきた感じだったという。
草尾のライブも観覧するなど、NG5時代からの飲み友達でもあった林原めぐみがラジオパーソナリティを務めるラジオ番組『林原めぐみのHeartful Station』で1994年にゲスト出演した際には、「昔、隣の家の犬の「ジロー」に握りっ屁をした」と林原が話し、面白がった草尾が「『めぐタンのジローに握りっ屁』のコーナーへお便り下さい!!」と言ったところ、後日、本当に握りっ屁宛ての便りが大量に届き、仕方なく月替わりのネタコーナー『めぐタンの「ジローに握りっ屁」』が誕生、レギュラー化されたという逸話がある。ジングルのタイトルコールは草尾による林原の物真似と、林原自身によるものが不定期で交互に使われた。
テレビ朝日系列で放映された『ビックリマン』シリーズでは全ての作品で声をあてており、第3シリーズの『スーパービックリマン』では主人公のフェニックスを担当した。その際OP&ED曲を担当するなど、同シリーズと縁の深い声優の1人である。
演じるうえでの転機になったのは『NG騎士ラムネ&40』のラムネ役だが、設定は小学3年生で、草尾は20代中盤だったこともあり、「小学生を演じるって、いったいどうしたらいいのか」と思った。かなり考えて演技を作っていったが、ファンがすごく好意的に受け止めてくれたという。『NG騎士ラムネ&40』で共演した矢尾一樹と一緒に仕事をすると、担当キャラクターの性格にかかわらず熱血モードになるという。また打ち上げの席で先輩声優の肝付兼太からは「毎週若いエネルギーをぶつけているのを見て非常に気持ちよかった。でも毎週あんなふうに叫んでいたら、きっと寿命も縮まったでしょう」と言われたことが忘れられないとのこと。
『SLAM DUNK』の桜木花道の声を現在でも出せるのか不安になることもあり、声を演じる度にドキドキし、昔のゲームを見つけてプレイした際には「当時の俺の声若い!!」とあらためて実感したという。自身にはこれまでになかった役であることと、アフレコが午前10時からのスタートだったことも重なり、毎回あのテンションの声を演じるにあたっては相当苦労していたという。2008年4月8日放送の『笑っていいとも!』で、花道の声を披露した。「花道をやると、3回に1回は体を壊していた」という噂については否定している。
ラジオで自身のことを深く打ち明けることが少ないが、その理由を『CLUB ココ&ナッツ』最終回を良い機会として語り、その原因と決着を付けてきたという報告も行った。
高校時代は学級委員もしていた。
趣味はスノーボード、水泳。
新人時代とある録音スタジオに居た時、置かれていた『週刊少年ジャンプ』を見つけ、ちょうどその回がトランクスの初登場シーンだったため、当時冗談半分で「このトランクスは俺がやる!!」とマネージャーに話していたことがあった。後に本当に役をもらった時は、大変喜んだという。トランクスの演技について草尾は「たまにセリフ回しと掛け声を父親のベジータ役の堀川さんに似せてみようと思って演じている」と語っている。
アメリカ・ノースカロライナ州で行われた「アニメいずめんと2007」ではゲストとして招かれ、アメリカの孫悟天役の声優とフュージョンの掛け声を一緒に披露した。その際、「クリスピー・クリーム・ドーナツ」新宿店で一時間半も行列に並んだ草尾の話を切っ掛けに、偶然にも近くにあった一号店の場所を現地のスタッフから教わることとなり、スタッフ、女性声優陣(ゆきのさつき、井上喜久子ら)と合わさって、2台の車に分乗し10人以上で買いに行った。
『ドラゴンボール』シリーズの収録現場は、スタッフを含めキャスト陣の雰囲気が非常になごやかで和気藹々としていたそうである。悟空、悟飯、悟天役の野沢雅子とゴテンクスの場面を録る際は、セリフの息を合わせるのに大変苦労し、「野沢さんが僕に合わせてくれていたのかもしれない」と話し、また当初幼少期のトランクスを演じることに対して不安を抱いていたが、悟空、悟飯、悟天と3役の声を演じる野沢の演技がとても勉強になった」と語っている。
『ドラゴンボール超』では23年ぶりに未来トランクスが登場し、「再び未来のトランクスを演じるなんて、1ミリも思っていなかったので、まさに青天の霹靂でしたね」と述べている。
太字はメインキャラクター。
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