CentOS(セントオーエス)は、Red Hat Enterprise Linux(以下「RHEL」と呼ぶ)と機能的に互換性があることを目指したフリーのLinuxディストリビューションである。
2020年12月8日にCentOSプロジェクトは、RHELのアップストリーム(開発版)であるCentOS Streamの開発にプロジェクトのフォーカスを変更し、CentOS Linux 8のサポートを2021年末で終了すること、RHEL 9のリビルドとしてのCentOS Linux 9をリリースしないことをアナウンスした。なお、CentOS Linux 7は2024年6月までサポートされる。CentOS Stream 9は2021年12月にリリースされた。
レッドハットはRed Hat Enterprise Linuxに含まれているソフトウェアのソースコードをオープンソースライセンスに基づき無償公開している。CentOSはこれをもとに、商標や商用パッケージ等を除去したものをリビルドしている。White Box Enterprise Linux、Scientific Linux等を含めて、一般に「RHELクローン」と呼ばれることもある。ただしCentOSプロジェクトのFAQでは"CentOS Linux is NOT a clone of Red Hat® Enterprise Linux." と明記されておりRHELのクローンではないとしている。 RHELに由来するソースコードは変更されないように意図されているが、CentOS独自の追加機能を提供するリポジトリを提供している。
RHELの一般公開されたソースコードにもとづくディストリビューションとしてWhite Box Enterprise Linux が先にリリースされている。これが人気を得たことを契機にCentOSプロジェクトは有志のボランティアにより立ち上げられた。呼び名は「コミュニティベースで開発されたエンタープライズクラスのオペレーティングシステム (Community ENTerprise Operating System) 」に由来する。
開発当初、レッドハットはCentOSの配布・開発に関与してこなかったが、2014年1月にCentOSプロジェクトを支援していくことを表明。プロジェクトの中心メンバーを同社員として迎え入れた。
ターゲットはRHELと同様に企業のサーバやデスクトップ環境の構築としている。サポートが必要な場合にはレッドハットの製品を勧めるとしている。デスクトップも想定されていることから、高機能なGUI環境も標準で提供されている。LibreOfficeやOracle VM VirtualBoxなどのパッケージや後述のサードパーティーのリポジトリを用いてビジネスソフト、デスクトップ仮想化ソフト、GPUや周辺機器のデバイスドライバ、セキュリティソフト、デジタルコンテンツ制作ツール、メディアプレーヤー、ビデオコーデックなどをインストールすれば、本格的なデスクトップOSとして使用することが可能である。
ライセンス費用が無償であるにもかかわらずサポート期限が非常に長かった。安定性にも優れ一部メーカーのLinux搭載パソコンやワークステーションでの採用も増加しつつある。
公式及びミラーサーバからCDおよびDVDのISOイメージがHTTPとFTPでダウンロードできる。バージョン7からはBlu-ray DiscのISOイメージも追加されている。
CentOSはRed Hat Linuxを源流とするRPM系Linuxに属しており、パッケージ管理システムにYumおよびその後継のDNFを採用している。RHELがRed Hat Networkサーバをデフォルトにしているのに対し、CentOS Mirror Networkが用意されている。
CentOSにデフォルトで含まれるリポジトリ (Base, Updates, Addons, Extras, CentOS Plus) に加えて、Fedora提供のepel (Extra Packages for Enterprise Linux) やサードパーティーのNux Dextop リポジトリやRPM Fusion, ELRepo, Les RPM de Remi, RPMForge, JPackageなどがよく使われている。CentOS Plusはデフォルトで無効化されている。RPMForge及びRemiに関しても、オリジナルのパッケージを上書きしてしまう可能性があるとしてインストール後はOFFにして運用することが一般的である。
CentOS 6以前はメジャーバージョンとマイナーバージョンの二つより構成される。メジャーバージョンはベースとしたRHELに対応しており、マイナーバージョンはそのRHELのバージョンアップに対応する。例えばCentOS 4.3はRHEL 4 update 3のソースコードよりビルドされており、これとの互換が目標となっている。CentOS 7以降はメジャーバージョンとマイナーバージョンに加えて、タイムスタンプ(年、月)が追加された。例えばCentOS 7.0-1406はRHEL7.0の2014年6月にリリースされたソースコードを基にしていることを示している。
メンテナンス更新期限はRHELと同じく10年(CentOS 4以前は約7年)程度と非常に長かった。完全更新は新たな機能の追加とセキュリティパッチ配布を意味し、年2~4回が予定されていた。その後は必要不可欠なセキュリティパッチ配布のみを想定している。
2020年12月に開発方針の転換が発表されており、以後はRHELの開発版がベースとなるCentOS Streamの開発に注力し、安定版がベースとなっていたCentOS Linux 8は2021年を以てサポート終了となった。
Software Collections (SCL) はより新しいバージョンもしくはシステムに元来含まれていない動的プログラミング言語、データベースサーバ、それらに関連した様々なパッケージを提供するレポジトリである。これらはCentOSで標準的に提供されるパッケージを置き換えるものではない。/opt
ディレクトリに並行してインストールされて提供される。scl
ユーティリティによってはアプリケーションごとに選択できる。例えばPerlやMySQLの標準のバージョンはCentOSの基本的なインストールのままである。
CentOSは8ではx86-64、POWER8 LE、AArch64のアーキテクチャをサポートする。7ではx86-64アーキテクチャしかサポートしない。ただしIA-32をサポートしたCentOS 6は依然サポートの対象内である(6は2020年11月末でもってサポート終了とアナウンスされた)。
以下は現在、サポートされていない:
※CentOS/RHEL派生版一覧に掲載され、パッケージ管理等が同様のもの
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