『わが道』(わがみち)は、1974年9月7日に日本で公開された新藤兼人監督の映画。出稼ぎ者が東京で行き倒れ、身元不明人として勝手に医大の解剖実験材料にされた事件の裁判闘争記録『ある告発-出稼ぎ裁判の記録』(佐藤不器ほか、日刊東北社、1972年刊)の映画化。
実際の事件は、昭和41年に十和田湖近くの寒村から出稼ぎにきた64歳の川村由松が東京品川の大井町駅で亡くなったが、その身元を証明する所持品があったにもかかわらず、警察と区役所の杜撰な扱いで身元不明人とされ、8か月後には慈恵医大の冷蔵庫で解剖材料にされていたというもの。地元で地方新聞『日刊東北』を出していた佐藤不器の支援で、遺族である妻が青森県と東京都を相手に訴訟を起こし勝訴し、本作はその過程を映画にした。川村夫妻は中国大陸からの引き揚げ者で、故郷の十和田湖で小さな食堂を営んでいたが経営が行き詰り、高度成長期であった当時盛んに行なわれていた出稼ぎに出ていた。映画化にあたっては、原作者の佐藤が映画製作委員会を組織し、近代映画協会、川村セノさんを守る会、青法協弁護士学者合同部会などが協力した。
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