『代議士の妻たち』(だいぎしのつまたち)は、家田荘子による日本の政治家の妻の日常生活を描いたノンフィクション小説で、1987年11月に文藝春秋から出版された。それを原作としたテレビドラマも制作された。
1986年に『週刊文春』に連載され、翌年秋、単行本として刊行された。ノンフィクション作家・家田荘子による著作で、家田には、この前に『極道の妻たち』という話題作があり、これは東映によって、岩下志麻主演で映画化(監督・五社英雄)されヒットを飛ばしていた。家田が取り上げている代議士の妻は全部で10人。全員自民党の代議士の妻である。
『代議士の妻たち』(だいぎしのつまたち)のタイトルでTBS系列の「月曜21時枠」で1988年4月4日から5月23日まで放映。主演は大原麗子。
TBSの市川哲夫プロデューサーが、出版元の文藝春秋の編集担当藤沢隆志にドラマ化を申し入れ、快諾を受け、連続ドラマ化された。編成の担当者は田代冬彦。脚本は市川とは3作目になる重森孝子が手がけた。市川も週刊誌程度の政界情報は持ち合わせていたが、独りよがりは危ないので当時『報道特集』で、政治ネタの時にしばしば出演していた駒沢大学助教授の福岡政行にアドバイザーになってもらった。
初回の視聴率は、14.0%(ビデオリサーチ)、14.4%(ニールセン)という数字であったが、2回目は17.8%に跳ね上がり、5月23日の最終回は16.8%だった。政治ドラマでも、やりようによっては数字を取ることができるということが証明されて、新しい鉱脈を探り当てた思いだったと市川は綴る。主役夫婦を演じた大原麗子と山下真司は、翌年のNHKの大河ドラマ『春日局』(脚本・橋田壽賀子)でも、おふく(のち春日局)と稲葉正成として夫婦役を演じている。
このドラマには、家田の原作には全く登場しない、清原代議士の愛人にして金庫番の女性秘書の役が設けられた。モデルは「越山会の女王」。落合多喜という役名で草笛光子が演じた。放送終了後、かつて田中角栄に近い政治記者だった某取締役から、市川に連絡がきた。「ドラマのビデオを全部ダビングして欲しいと昭さん(佐藤昭子)が、言って来てさ。何とかなるかい」とのことだった。草笛の演じる落合多喜にかなりの思い入れをして観ていたらしく、この役が「越山会の女王」をヒントにしたことも事実だったことから、市川はすんなり申し入れに応じることにした。と明かしている。
『代議士の妻たちII』のタイトルで前作と同じくTBS系列「月曜21時枠」で1989年1月9日から3月20日まで放映。主演は渡瀬恒彦、賀来千香子。放送初回は昭和天皇崩御直後だったため全編スポンサー自粛で放映された。民放の連続ドラマで元号が平成に変わってから最初に放映された作品でもある。
パート2は、妻から夫の代議士にストーリーのウエイトが変わり、よりドラマチックな内容となり、全11回の平均視聴率は16.5%を記録。前作の第1シリーズを僅かながら上回った。特にハイジャック事件を盛り込んだ第7回、第8回は視聴率が20%に迫り、フジテレビ月9ドラマ『君の瞳に恋してる』(中山美穂主演)を視聴率で凌ぐ勢いを見せた。
放送が終わった後、市川プロデューサーは『ウォールストリートジャーナル』東京支局の若い女性記者から取材を受けた。日本語が堪能なこの記者は、ドラマの視聴者で、天皇崩御とかリクルート事件のタイミングで、政治ドラマが放送されたことに興味を覚えたといい、記事は同紙で大きく取り上げられた。市川は取材を受ける中で、『代議士の妻たち』2作は、まさに時代の変わり目だったゆえに成立し、かつ視聴者にも注目されたのだと再認識した。と記している。
『ドラマ特別企画 代議士の妻たちスペシャル』として1993年3月29日にTBS系列「月曜ドラマスペシャル」(現:月曜ゴールデン)枠で放映。
パート2放送から3年、日本の政治は混迷を極めていた。いわゆる55年体制は、冷戦終結とともに時代的役割を終えつつあった。佐川急便事件などで、永田町は騒然としていた。そんなタイミングで、スペシャルドラマとして制作されたのが本作であった。政界のドンと謳われた大物代議士夫妻を、西村晃、岩下志麻が演じて話題となった。連続ドラマからは、渡瀬恒彦、益岡徹が出演、他に原作者の家田が実名出演、代議士の妻たちの集大成としての作品となった。
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