高尾駅(たかおえき)は、東京都八王子市高尾町および初沢町にある、東日本旅客鉄道(JR東日本)・京王電鉄の駅。
高尾山および真言宗の名刹「高尾山薬王院有喜寺」から「高尾」と名付けられたのが由来である。
国鉄開業時の駅名「浅川」は、開業当時の所在地である東京府南多摩郡浅川村に由来する。浅川村は1927年に町制施行後、1959年に八王子市に編入された。駅名も1961年に現在の高尾駅に改称された。
JR東日本の中央本線と、京王電鉄の高尾線が乗り入れ、接続駅となっている。京王電鉄は京王西管区所属。駅番号はJR東日本がJC 24、京王電鉄がKO52。
JR中央本線は高尾駅を境にして運行形態が変化するため、東京方面の快速電車および甲府方面への普通列車(中距離電車)の多くが当駅を始発・終着駅としており、当駅以東の中央線八王子・東京方面は電車特定区間となる。同じ路線ではあるが、当駅以西へ運転する電車列車は、東京駅など快速電車区間から直通する列車も含め全ての列車番号が「M」表記となる他、高尾駅以東を「中央線(中央線快速電車)」(運転形態の詳細については該当記事を参照のこと)、高尾駅以西を「中央本線」と区別して案内している。ただし、立川駅・豊田駅・八王子駅発着の中距離列車(甲府方面からの普通列車)については、一部を除き高尾以東であっても列車番号はM表記のままである。
中距離列車は以前は新宿駅まで直通していたが、現在は立川駅までの乗り入れである。新宿乗り入れ廃止に伴い、大月駅まで直通する東京駅発着の快速電車が増発傾向にある。また、富士山麓電気鉄道富士急行線河口湖駅まで直通する中距離列車(当駅発着)・快速電車(東京発着)も朝夕に運転されている。現行ダイヤでは東京方面・甲府方面ともに当駅折り返しの列車が多く設定されている。その一方で、特急については定期ダイヤでは全列車通過となるが、中央線の高架化工事の際など臨時停車の実績はある。
島式ホーム2面4線と通過線1線の計2面5線を持つ地上駅。木造駅舎を有する。JR管轄の北口駅舎に接する単式ホームの東京寄りを切り欠いて1番線が設置されている。留置線が1番線北側に4線、通過線南側に1線設置されており、夜間滞泊の設定がある。
1番線が電車発着線、2番線が上り本線、3番線が上り待避線、4番線が下り待避線、ホームのない通過線が下り本線となっている。この通過線は中央本線での輸送障害発生時の満線対策のために4番線南側の留置線1線を切り替えたもので、下り特急列車や貨物列車等の当駅通過列車が主に使用する。1番線には上り中央線快速電車のうち当駅始発・終着の一部のみが使用するが、2 - 4番線は方向・種別にかかわらず使用しており、発着番線は列車ごとに異なっている。
北側の留置線への出入りには、西八王子駅寄りに存在する引上げ線を経由する必要があるが、引き上げ線へは、2023年10月実施の工事により2、3番線からのみ出入り可能となった。
1番線を除きホーム有効長は12両である。これは工事や輸送障害発生時等の特急臨時停車に対応するためである。なおJR中央線は、2020年代前半(2021年度以降の向こう5年以内)をめどに東京駅 - 大月駅間のオレンジ帯で運行する列車に2階建てグリーン車を2両連結させ12両編成運転を行う。2023年4月時点で、1・2番線と3・4番線の八王子方へのホーム延伸工事、西八王子駅寄りに存在する引上げ線の延伸工事、北側にある留置線の12両編成対応改築工事がそれぞれ施工中である。
関東の駅百選に選定されている社寺風デザインの北口駅舎は、曽田甚蔵が設計し、1927年(昭和2年)に竣工した2代目である。これは、元々大正天皇の大喪列車の始発駅として新宿御苑に設置された仮設駅舎 (995 m2) を移築したもので、初代駅舎の木造平屋建て90 m2から木造平屋建て298 m2と大規模になった。この駅舎は2010年春に改修され、飲食店や雑貨販売店が入居するようになった。
八王子統括センター管内の直営駅(一部業務委託)で、管理駅として相模湖駅と藤野駅を管理している。自動券売機(指定席券売機併設)・自動改札機・自動精算機を設置している。駅舎内部には飲食店が出店しており、改札内外双方から利用できるようになっている。
跨線橋は北口駅舎西側のホーム甲府寄りと中央部の2か所に設置されており。このうち中央部のみが南口・京王高尾線に通じる。
中央部の跨線橋のみ、エスカレーターが設置されている。エレベーターは設置されていない。
そのため、車椅子の利用者は、北口改札と1・2番線間の移動を除き(平面移動可能)、エスカレーターに設置されているインターホンで駅係員を呼び、エスカレーターを使用して中央部の跨線橋を昇降する(専用モードにするため、この間は一般旅客の利用はできない)。また、中央部跨線橋と南口改札口の間には階段があり、昇降機(リフト)で昇降する(エスカレーターは設置されていない)。
南口改札口フロアと南口との間にはエレベーターが設置されている。
トイレは改札内では2番線大月寄りに設置されているが、多機能トイレは設置されていない。改札外では、北口駅舎に隣接して公衆トイレが設けられている(改札内トイレと背中合わせの配置)。
3・4番線ホーム東京寄りには、高尾山に因む天狗の石像がある。1番線ホームの屋根支柱には、太平洋戦争中のアメリカ軍による機銃掃射の弾痕が残っている。
南口改札にセブン-イレブンがある。(後述)
(出典:JR東日本:駅構内図)
島式ホーム1面2線を有する高架駅である。京王西管区所属。のりば番号はJR東日本からの続番のため、京王電鉄の他の駅とは付番が逆になる。
当駅より終点である高尾山口駅までは単線となる。そのため、下り列車は上り列車の交換待ち、上り列車は早めに到着し、しばらく停車する場合がある。
当駅北野寄りに渡り線があり、下り列車の5番線への入線が可能である(当駅終着の電車と当駅始発の電車が使用)。6番線から上り線(北野方向)への配線は無い。
トイレは2階改札口内に設置し、ユニバーサルデザインの一環としての「だれでもトイレ」を併設している。後述の駅周辺整備事業の一環で移転工事(エレベーターと上りエスカレータの間に移転)が行われ、2019年(平成31年)4月1日より、利用開始された。
2007年度に改札内にコンコースとホームを結ぶエレベーターが設置された。
駅舎内には、売店「セブン-イレブン京王高尾駅店(旧A LoT)」、京王リトナード高尾の一部店舗が出店している(セブンイレブンの一部の箇所を除き改札外)。
駅南口は高尾線開通時より当時の京王帝都電鉄管理による日本国有鉄道(国鉄)との合同改札だった。その後、1990年代後半の改札口分割により京王電鉄・JR東日本それぞれの専用改札口と中間改札が設置された。中間改札には乗り換え客用に加えて、駅北口へ行き来する京王高尾線利用者用が2基ある。
改札口の管理は京王電鉄である。京王とJR東日本、それぞれの自動券売機が置されている。
京王の券売機では乗車券の販売以外に、PASMOを含む交通系ICカード全国相互利用サービスのICカードへのチャージが可能であるほか、京王線の定期券(連絡定期券含む)、おとくなきっぷ、京王バスと西東京バスのIC金額式定期券の購入が可能である。西東京バスのIC金額式定期券および、京王ライナーのライナー券の販売は特定の券売機のみである。定期券の払い戻しや、購入に証明が必要なもの(通学定期券など)の購入などは、駅係員へ申し出て券売機を特別なモードに切り替えて対応する。
JR東日本の券売機では、入場券、片道近距離普通乗車券のみの販売である。またSuicaを含む交通系ICカード全国相互利用サービスのICカードへのチャージが可能である。券売機の取扱範囲外の乗車券、指定席券、定期券等を購入する場合は、南口改札係員にその旨を申し出れば、北口改札への構内通行券の発行を無償で受けられ、駅構内の通り抜けが可能である。南口へ戻る際も、北口改札係員へ申し出ると、同様に構内通行券の発行を無償で受けられる。尚、構内通行券はJR券等の購入するための便宜を図るためのものであり、北口への単なる通り抜けの場合は、入場券の購入が必要である。
京王の改札内には、ICカードチャージ機のみ設置され、精算機は設置されていない(きっぷの清算は改札窓口)。JR東日本の改札内には自動精算機(ICカードチャージ可能)が設置されている。かつては両社とも、精算機能以外に、お互いの一定区間内の乗車券購入の機能もあった。
改札口の管理はJR東日本である。JR東日本の自動券売機が設置されており、JR東日本の券売機において京王の片道乗車券を購入できる。かつては京王線専用の券売機が設置されていた。なお、ここから京王高尾線を利用するには中間改札を通らなければならない。このため、ICカードによる入場時の必要残額(最低)も140円となっている。
京王線のみの定期券等、南口でしか発行できないものを購入する必要がある場合は、前述の構内通行券の発行を受けて南口への駅構内の通り抜けが可能である。
駅周辺は線路が街の南北を分断している。駅利用者以外が南北両口を行き来するには入場券を購入の上JR改札内を通るか(定期入場券も発売)、駅東側の町田街道あるいは駅西側の初沢踏切を利用して大きく迂回することになる。駅を大きく迂回することにより時間や労力を要することになる高齢者や身体障害者などに配慮して、八王子市により、入場券や定期入場券購入費用の補助制度も設けている。
そのため、平成12年、市民による自由通路整備を求める要望書の提出が市に対して行われ、八王子市の全体計画案により、北口の広場を整備してJRの橋上駅舎と自由通路を新設することになっているが、工事費用(JR橋上駅舎、自由通路、北口駅前広場の合算金額)が当初想定(平成24年の概略設計で約114億円)より増額(平成29年の実施設計完了時の試算で約168億円)したため、工事内容についてJR東日本等の関係者との再協議が行われ、2022年12月に「高尾駅南北自由通路整備に関する変更基本協定」がJR、京王、本市の三者により、締結された。今後、見直し内容を踏まえ、設計や各種手続きを進められる。尚、負担割合は平成29年の実施設計完了時の試算で、国と東京都で合わせて1割、八王子市8割、鉄道事業者1割弱と八王子市が市議会で答弁している。
南口については、京王線の改札口の位置が、現在の位置より高尾山口駅方向へ移動することになり、新しい計画では、自由通路の幅員を当初予定の10メートルから6メートルに変更。橋上に設ける駅舎の駅務スペースも当初予定から約4割減らことにより事業費の圧縮がされている。尚、八王子市単独の判断で実施可能な工事(北口広場整備、初沢川河川改修、周辺道路整備など)は先行して段階的な整備中である。
上述の社寺風デザインの北口駅舎は、かつての皇室専用の駅であった東浅川駅跡の東浅川保健福祉センターの第二駐車場へ移築されることになっていたが、新しい計画では東日本旅客鉄道株式会社が既存駅舎周辺での再築を検討することとなった。
近年の1日平均乗降人員の推移は以下の通り(JRを除く)。
北口駅前広場の整備に伴い、駅前ロータリーだった形状が初沢踏切方面へ通り抜けられる構造に変更となった(初沢踏切方向への一方通行)。
公衆トイレが北口駅舎に隣接して設置されている。北口広場の北側を国道20号(甲州街道)が東西に通じ、高尾駅前交差点を境に東側は片側2車線のイチョウ並木、西側は片側1車線となる。また、南浅川を挟んで山地が迫るため、大規模な住宅・商業施設は少なく、環境施設や墓地などが多い。
京王高尾線開業以前は住宅・商業施設ともに少なかったが、その後の宅地開発や大学の移転が進んでおり、ロータリーの南側に住宅、東側に商業施設が多くなっている。周辺に公衆トイレは設置されていない。
「高尾駅北口」のりばは、北口駅前広場内に1・2番のりばが設置されており、西東京バスと京王バス(「高01」のみ)の路線バスが乗り入れている。かつては敷地が狭いためターンテーブルが設けられていたが、北口広場整備工事に伴い、バスの旋回スペースが確保されたため、2020年7月に撤去された。
2009年12月1日から新宿駅西口(後に新橋駅)発高尾駅北口経由(後に南口も経由)恩方車庫行の深夜急行バスが西東京バスにより運行を開始した(降車専用)が、コロナ禍による長期運休を経て2024年3月31日をもって運行を終了した。
また、甲州街道・高尾駅前交差点付近にも停留所が設けられており、西東京バス(「元八02」「元八03」「元八04」「医01」)に加えて京王電鉄バス(「山01」)や神奈川中央交通西(「八07」)の路線が停車する。
「高尾駅南口」のりばは、ロータリーに1番から5番まで設置されており、京王電鉄バス・京王バス・西東京バスの路線バスや、東京空港交通・西東京バス共同運行の羽田空港行、成田空港行の高速バス(空港連絡バス)の他、関西・名古屋方面からの夜行高速バス(東京都内到着便の降車扱いのみ)が不定期に乗り入れている。
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