数学における等差数列()または算術数列(、英: arithmetic progression, arithmetic sequence)とは、隣接する各項の差が等しい数列である。隣接する項の差を公差(、英: common difference)という。
例えば、5, 7, 9, … は初項 5, 公差 2 の等差数列である。同様に、1, 7, 13, … は公差 6 の等差数列である。
等差数列の初項を a0 とし、その公差を d とすれば、第n 項 an は
であり、一般に
と書ける。
等差数列の和は算術級数 (arithmetic series) という。等差数列の無限和(無限算術級数)は発散級数である。
総和
有限の等差数列の和を算術級数と言う。公差 d の等差数列の第 n 項まで a0, a1, …, an の総和は、
と表される。この種の式は、フィボナッチの『算盤の書』("Liber Abaci"; 1202年, ch. II.12)に登場する。
算術級数の公式は、算術級数 Sn の各項を初項 a0 で書き換えたものと、末尾の項 an で書き換えたもの和から 2Sn を求めることで得られる:
右辺では公差 d を含む項が消去されて初項と末項の和だけが残る。結局 2Sn = (n + 1)(a0 + an) となる。両辺を 2 で割れば
を得る。そして算術級数の平均値 Sn/n + 1 は、明らかに a0 + an/2 である。499年に、インド数学・天文学古典期の数学者であり天文学者であるアーリヤバタは、Aryabhatiya (section 2.18) でこのような方法を与えている。
総乗
初項 a0 で、公差 d の等差数列に対して、初項から 第 n 項までの総乗
- ( は上昇階乗冪)はガンマ関数 Γ を用いて
という閉じた式によって計算できる(ただし、a0/d が負の整数や 0 となる場合は、式は意味を持たない)。Γ(n + 1) = n! に注意すれば、上記の式は、1 から n までの積 1 × 2 × ⋯ × n = n! および正の整数 m から n までの積 m × (m + 1) × ⋯ × (n − 1) × n = n!/(m − 1)! を一般化するものであることが分かる。
共通項
任意の両側無限等差数列が2つ与えられたとき、それらに共通に現れる項を(項の前後関係は変えずに)並べて与えられる数列(数列の「交わり」)は、空数列であるか別の新たな等差数列であるかのどちらかである(中国の剰余定理から示せる)。両側無限等差数列からなる族に対し、どの2つの数列の交わりも空でないならば、その族の全ての数列に共通する項が存在する。すなわち、そのような無限等差数列の族はヘリー族である。しかし、無限個の無限等差数列の交わりをとれば、無限数列ではなくただ一つの数となり得る。
注釈・出典
- 注釈
- 出典
参考文献
- Fibonacci, Leonardo ; Sigler, Laurence E.訳 (2002). Fibonacci's Liber Abaci. Springer-Verlag. pp. 259-260. ISBN 0-387-95419-8
関連項目
- 線型差分方程式
- 等差×等比数列
- 一般化算術数列:算術数列の構成を複数の差を用いて行ったもの
- 調和数列
- 三辺が算術整数列を成すヘロン三角形
- 算術数列を含む問題
- Utonality
- 等比数列
- 算術級数定理
外部リンク
- 『等差数列の和』 - 高校数学の美しい物語
- Weisstein, Eric W. "Arithmetic Progression". mathworld.wolfram.com (英語).
- Weisstein, Eric W. "Arithmetic Series". mathworld.wolfram.com (英語).
- Hazewinkel, Michiel, ed. (2001), “Arithmetic progression”, Encyclopedia of Mathematics, Springer, ISBN 978-1-55608-010-4, https://www.encyclopediaofmath.org/index.php?title=Arithmetic_progression
- arithmetic progression - PlanetMath.(英語)
- Definition:Arithmetic Progression at ProofWiki
- Sum of Arithmetic Progression at ProofWiki
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