『有吉の壁』(ありよしのかべ)は、日本テレビ系列で2020年4月8日よりレギュラー放送で、毎週水曜日の夜7時からゴールデンタイムで放送している、お笑いバラエティ番組。有吉弘行の冠番組である。2015年4月7日 - 2020年1月5日までは深夜帯を中心に不定期の特別番組として放送していた。
「次世代を担う若手お笑い芸人たちが、有吉弘行が用意した『お笑いの壁』に挑戦し、壁を越え芸人として成長する」というコンセプトの番組。
芸人たちがお題に沿った芸を披露し、有吉が「○」「✕」の札で判定。「○」が出れば壁クリア、1ポイント獲得となる。番組の最後には最多クリア者が発表され(第6弾まで)、その後有吉の独断と偏見で優勝者が発表される(特番時代のみ)。レギュラー化後は、年末に合計ポイントが一番多かった芸人と優勝者を発表している。2021年以降は出演芸人による持ち込み企画も不定期に実施されている。
『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』や『内村プロデュース』の流れを汲む若手芸人むちゃぶり番組で、芸能人の間でも評判が良く、三村マサカズ(さまぁ〜ず)や広瀬すずらが称賛のツイートをしている。ひな壇向きではないコント職人タイプの芸人にとっては魅力のあるアピールの場となっており、ブレイクや再ブレイクのきっかけをつかむこともある。
主な出演芸人はお笑い第6.5世代、第7世代が多いものの特番時代から『先輩の壁』と称した中堅芸人も毎回少数出演している。また、出演者は有吉も所属する太田プロダクション、東京吉本、マセキ芸能社、ワタナベエンターテインメント、プロダクション人力舎といった関東系事務所所属の芸人が多い。
2020年5月6日放送の2時間スペシャルが、5月度ギャラクシー賞月間賞を受賞。2020年12月9日放送分の3時間スペシャルが民放公式の動画配信サービス・TVerのバラエティ部門「エピソード賞」を受賞した。
Huluでは『編集の壁』を越えられずカットされた未公開ネタや、とにかく明るい安村によるエンディングだけでのネタ披露、打ち上げの様子などオフショットも含めたメイキングオブ有吉の壁と称した動画も配信されている。また、番組公式のYouTubeチャンネルでは「一般人の壁」のオープニングの様子、本編で登場したキャラクターのネタ、出演者のトークといったオリジナル動画が配信されている。
番組名の略称・通称は『壁』。出演者は『壁芸人』と呼ばれる。
番組が始まった2015年当時は情報バラエティや、トーク力が求められるひな壇バラエティが全盛で、ネタは面白いがトークは苦手という芸人が活躍できる場がほとんどない時期であった。姉妹番組である『有吉ゼミ』も担当する総合演出の橋本和明が有吉と飲んだ際、「ネタ芸人が活躍できるお笑い番組がやりたいね」と有吉と話したことがきっかけで「トークは苦手だけれどコントが得意という芸人」の活躍できる場を作りたいと、深夜帯にお笑いを全力でやる番組を発案した。
番組タイトルについて橋本は、「有吉さんは普段から若手のネタを見てますし、生かし方を考えてくれます。だからこそ、出演者にも熱が生まれるんですよね。有吉さん以外に『○○の壁』という番組タイトルの似合う人がなかなか思いつかないです」と述べている。
本来はコント番組を制作したかったが深夜帯での放送でセットを組める予算はなく、ならば野外でそのままコントをすればよいのではと駄目元で静岡県熱海市に確認し、街全体で許可の下りたことが番組の雛形となっている。
初回の撮影中は有吉及びスタッフ、更には芸人たちも手探り状態で始まったが、とにかく明るい安村が理髪店で深夜番組のひと笑いのために髪の毛を逆モヒカンに剃るというボケを実行して視界が開けたという。初回放送では「深夜に変な番組がやってるぞ!」とネット上で話題を呼んだ。
好評につき不定期の特番として年3回程度放送されるようになり、2016・2017年の年末は『エンタの神様』とのコラボ特番を放送。2017年12月29日放送の第9弾の前日には、本選参加を賭けた超フレッシュな芸人が参加する『有吉の壁・若手予選会』を放送した。2018年は「秋の陣」1回のみ放送だったが、2019年は新春の単独特番として1月2日に放送され、その年の10月2日にはゴールデン2時間SPとして放送された。2020年の1月5日には再び新春の単独特番として放送。深夜の不定期番組として5年間で13回放送された。
2020年4月改編で水曜19時台でのレギュラー化が決定。19時台にお笑い番組が編成されるのは久々となった。
橋本は「一度もその枠で試したことがないのにバカなの?」と思ったらしいが、有吉から「機運なんでやりましょう」と言われたことで「有吉さんが腹をくくったなら、制作が逃げるわけにはいかない」とスタッフも腹をくくったという。有吉も「失敗するかも知れないが、若手・中堅芸人のために1回引き受けなきゃいけない仕事だな」と自身もかつて『内村プロデュース』で再ブレイクを果たした経験があるからか、芸人たちの将来を見据えているような使命感を語っている。
レギュラー放送は特番時代から行われていた「一般人の壁」「流行語大賞の壁」のコーナーを中心に展開される。橋本は「テレビが見捨てられ始めてテレビを持っていない若者も多い。つけたら何かわくわくするものをやっているのがテレビだったのに、横並びで期待値を放棄したら未来がない。もう1回テレビにお客さんを呼ぶ勝負をこの番組でしたい」などと話している。
2020年4月22日〜6月10日の放送分では新型コロナウイルス感染拡大の影響で「一般人の壁」の収録ができなかった為、前半部分は過去の特番で放送された「一般人の壁」に出演者の解説副音声を新規で収録した再編集版を放送していた。なお、「一般人の壁」は同年7月1日放送分より再開した。
2021年8月21日深夜には、『24時間テレビ 「愛は地球を救う」』の深夜企画として3時間スペシャルが放送された。
2021年10月20日放送分は『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』との合体スペシャルとして放送された。「一般人の壁」は「日本列島 ダーツの旅」をモチーフにした内容となり、テロップやBGMも一部「ダーツの旅」のものが使用された。
2023年3月15日放送分は、『テレビ70周年コラボウィーク』(NHKと日本テレビが1953年にテレビ放送を開始してから2023年でそれぞれ70年の節目となるのに合わせて実施された企画)の一環としてNHKとのコラボ企画を編成し、NHK放送センター(東京・渋谷)の館内で収録。NHKからはどーもくん(ステーションキャラクター)やシュッシュ(Eテレ『おとうさんといっしょ』、民放初登場)、博多華丸(総合『あさイチ』、博多華丸・大吉)、武田真治(総合『みんなで筋肉体操』)が登場した。
特番時代からのメインコーナー。コーナー名の〇〇にはロケ地の名称が入る。番組初登場の芸人は大抵このコーナーから参加する。遊園地や商業施設などを舞台に、各所へ散らばった芸人たちが「おもしろ一般人」として潜み、街歩きするMC2人の前で即興ネタを披露する(即興とはいえ、出演芸人は数時間前に現地入りしてネタをやる場所を探し回っている)。ショートコントに多額のセット費を要せなかったため発案された方式とのこと。
出演者は芸人の他、「お助けガチャ」と呼ばれるゲスト(俳優・歌手・スポーツ選手など)も登場して芸人たちと一緒にネタを披露する。その他、施設内の従業員など本物の一般人もネタに参加することがある。有吉から「○」を貰った芸人は大抵そのままネタを続けつつ次のネタ(芸人)への流れを作るが、「×」を食らった芸人は即座にネタを中断して有吉に不平不満をぶつけたりネタの不出来を言い訳したりするパターンが多い。
芸人の考えた「ブレイクしそうな新キャラクター」ネタをスタジオで披露するコーナー。スタジオには(ネタを披露しない)芸人たちが観覧席へ座り、披露後はネタに対する感想やダメ出しがなされる。
特番時代にチョコレートプラネットの「TT兄弟」が誕生。レギュラー化後は同じくチョコレートプラネットの「Mr.パーカーJr.」やきつねの「KOUGU維新」が話題を呼んでシリーズ化されたほか、ジャングルポケットの「ストレッチャーズ」が企業CMに起用された。一方で2021年12月29日現在、コーナータイトルにある流行語大賞の受賞実績はない。
また、2020年12月9日には派生コーナー「賞レースの壁を越えろ! 男版THE W」が放送。男性芸人たちが自作の女性芸人になりきってネタを披露するという内容であり、インポッシブルの「JKボンバーズ」が初代クイーンとなった。
ものまね番組のご本人登場シーンを再現するコーナー。主にスペシャル版で放送される。後ろから登場するご本人役は実際のご本人が登場するほか、芸人による更なるものまね、楽曲に縁のある有名人が登場するパターンがある。
「ご本人登場選手権」の別バージョン。飲食店を貸切り「有名人御用達の飲食店」という設定で来店してくる有名人を芸人たちがものまねするコーナー。有吉から「○」を貰った芸人はそのまま店内に残れるも、「×」の場合は店から退出しなければならない。
MC2人と修学旅行生に扮した芸人数名が遊覧船や屋形船の上から海岸を眺め、有名人に扮した芸人が船から見える海岸や他の船でミニコントを繰り広げる。主に海上や湖でのロケの際に行われる。有吉らと芸人の間にかなりの距離があり声が聞き取りづらい状況でのネタを強いられるため、オーバーな動きやビジュアルで笑わせる必要がある。
芸人が俳優・女優になりきり、有吉からのムチャぶりインタビューに即興で回答していくコーナー。スペシャル版でのみ放送される。部門は「助演女優賞」「助演男優賞」「新人賞」「主演女優賞」「主演男優賞」の順に行う。各部門の芸人がインタビューを終えた後に最優秀賞受賞者を発表するが、有吉が持つ紙は白紙で、インタビューに対する芸人の対応などを踏まえて有吉がその場で決定する。受賞者はステージに立ってオスカー像を模したトロフィーを持ちながらスピーチを行うが、受賞者のスピーチを聞いて感動あるいは面白いと思わなかった場合は、有吉の手元にあるスイッチによってトロフィーに電流が流される。
2020年5月放送の第1回では斎藤洋介がゲストとして登場したが、これが斎藤最後のテレビ出演となった。
2022年4月放送の第4回及び公式ホームページ・SNSにて、最優秀賞を受賞した4部門の芸人の作品を、スピーチ中に即興で述べた内容に基づいて実際に映画化されることが発表された。放送及び公式サイトによると受賞芸人はみちお(トム・ブラウン)・友近・鈴木もぐら(空気階段)・尾形貴弘(パンサー)の4組。受賞芸人が脚本を制作し、各々の相方も出演する。6月11日・12日の2日間限定で全国公開され、他の壁芸人も脚本内容に応じて出演していた。
芸人が考えた「ブレイクしそうなミュージシャン」になりきり、オリジナルソングをスタジオで披露するコーナー。「ブレイク芸人選手権」同様、スタジオには(ネタを披露しない)芸人たちが観覧席へ座り、披露後はネタに対する感想やダメ出しがなされる。好評を得たアーティストは『バズリズム02』『日テレ系音楽の祭典 ベストアーティスト』など、日本テレビ系列の音楽番組に出演する場合もある。
ホテルや旅館の客室を固定の隠しカメラでモニタリングしている設定で、有名人のプライベートな姿や修学旅行生の部屋でのやりとりを再現するコーナー。
遠征回に行われるコーナーで、コーナー名が変わることもある。参加者が停留所ごとに用意されたお題へクリアすればその乗り物に乗れるものの、発車時間内に「○」を貰えなければその場に置き去りとなり以降のお題には参加できない。ただしこのコーナーで置き去りになっても、次のコーナーには参加可能。
放送日時はスペシャル回を除いて、毎週水曜日 19:00 - 19:56→19:00 - 19:54。
2021年より、人気コーナー「ブレイクアーティスト選手権」に登場した芸人のグループらが中心となってパフォーマンスを披露するライブが毎年行われている(2023年を除く)。
2022年以降、番組終盤6分はローカルセールス枠(2時間拡大による日テレ+枠が休止に伴い、ローカルセールス枠が20:54〜21:00に臨時編成されるため、日本テレビの火曜〜木曜はこの編成となる。)のため一部地域では20:54に飛び降りる局が存在する。基本的に日テレ+をネットしている局は同時ネットしているが日テレ+が非ネットとなっている局でも臨時ネットされる場合がある。なお3時間スペシャルの際はローカルセールス枠は設けられない。
過去のスタッフ
Owlapps.net - since 2012 - Les chouettes applications du hibou