自由民主党総裁選挙(じゆうみんしゅとう そうさい せんきょ)とは、自由民主党において、党首である自由民主党総裁を選出する選挙。略称は総裁選(そうさいせん)。
結党以来、日本の政治では自由民主党が与党第一党であることが多く内閣総理大臣指名選挙にて指名されるため、事実上の内閣総理大臣を選出する選挙として知られている。
自由民主党総裁は、「自由民主党党則第6条」及び「総裁公選規程」により、「党所属の国会議員(衆議院議員、参議院議員)、党員、自由国民会議会員、国民政治協会会員による公選」が原則であり、実施年の12月31日までに満年齢20歳となる日本国民で、前年や前々年の党費や会費を2年連続納入していなければ、投票参加不可能である。
総裁選実施にあたり、党則には:
とある。
総裁公選規程9条により、党所属国会議員のみが総裁の候補者となることができる。また、過去には党幹部による話し合いで決定されたことや、形は公選であるにもかかわらず実質的には事前に決定されていたことも多い。
自由民主党総裁は、与党第一党党首であることが結党以来ほとんどで、単独または連立与党の協力を得て国会での首相指名選挙において首相に指名されている。このため、自由民主党総裁選挙は、内閣総理大臣を決める事実上の首相指名選挙として注目されている(いわゆる「総理総裁」)。
現職総理総裁が立候補をする総裁選において現職閣僚が立候補をする場合は、閣僚を辞任してから総裁選に立候補をすることが多い。例として、1964年総裁選における佐藤栄作科学技術庁長官、1966年総裁選における藤山愛一郎経済企画庁長官、1968年総裁選における三木武夫外務大臣があり、閣僚を辞任してから総裁選に立候補をした。総理総裁が続投を望んで総裁選に立候補する場面において現職閣僚が総理総裁に反旗を翻して立候補をする構図になり、首相の閣僚罷免権があることから閣僚に留まれないためである。ただし、1978年総裁選では河本敏夫通産大臣は閣僚を辞任しないまま立候補をした例もあるが、これは当時の政治情勢から河本の出馬しても当選はまずないものの次回以降の総裁選への布石と三木派が他派の草刈り場になることを防ぐ意味で出馬表明したこともあり福田赳夫首相から閣僚を罷免されなかった。また、1962年総裁選では藤山愛一郎経済企画庁長官が、1966年総裁選では前尾繁三郎北海道開発庁長官が、それぞれ得票を得ているが立候補はしておらず、立候補をしなかった自民党国会議員への票も有効票として計算されているに過ぎない。一方で、現職総理総裁が立候補をする総裁選において現職党幹部の総裁選立候補をする場合は、首相の閣僚罷免権のような総理総裁での一存で党幹部を解任する権限がないため、現職党幹部は役職を辞任するなく総裁選に立候補している。例として、1964年総裁選における藤山愛一郎総務会長、1978年総裁選における大平正芳幹事長と中曽根康弘政調会長が党役職在任のまま立候補をしている。
総理総裁となっていなかったのは、自民党が野党の時と、連立政権で他政党の党首である議員が総理となっていた時で、以下の期間である。このうち、谷垣は総裁任期中通して野党であった唯一の総裁である(河野は総裁任期途中で連立与党入りしている)。
選挙の方法については、総裁公選規程と総裁公選実施細則によって定められている。投票については(A)総裁公選規程による総裁選挙と(B)総裁が任期途中で欠けた場合において特に緊急を要する場合に実施される党大会に代わる両院議員総会による総裁選挙の場合により異なる。現行制度は2013年、2014年の改正により実施されている。
以前は党員・党友票が県連に委ねられず、全国一斉に郵便で投票させて取り扱いを決めた時代もあった。1980年代には党員・党友による有効得票1万票を国会議員票1票に換算して基礎票とする制度が行われていた。
一般党員・党友が投票に参加するには、直近の2年間に党費の滞納がないことが条件となる。本選挙はもちろん予備選挙でも選挙人登録をすれば非党員の参加が許され、党員集会では開催直前の入党も認められることのあるアメリカの二大政党と違い、総裁選挙権を得ることだけを狙って告示直前に入党しても投票できない。このため舛添要一は自民党所属で立候補が取り沙汰された2008年の選挙直前、「入党後3年経たないと総裁選挙で投票できません」と自身に近い未入党者に対して説明している。
一般党員、家族党員、特別党員の間に差はない。何らかの理由で党員になれない場合は、自由国民会議会員であれば年会費(1万円以上)を2年間完納していればよい。ただしそれもできないときは同額以上を国民政治協会に献金して個人会員になり、かつ2年以上その資格を維持することが必要。また自民党ネットサポーターズクラブ会員となっただけでは投票権は与えられない。
国民政治協会を通じて年間1万円以上の政治献金を2年連続(前年、前々年)している法人については、その代表者1名に職域全体を代表する意味での投票資格が与えられるが、代表者以外の役員や会員・構成員は居住地の地域支部を通じて自民党の一般党員になるか、自由国民会議、国民政治協会の個人会員にならない限りそのままでは投票に参加できない。
太字 は選出された人物。
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