『ドラゴンボールZ』(ドラゴンボールゼット、DRAGON BALL Z)は、鳥山明の漫画『ドラゴンボール』を原作とするテレビアニメ。1989年4月26日から1996年1月31日まで、アニメ『ドラゴンボール』(以下、『元祖』)の続編としてフジテレビ系列で毎週水曜日 19:00 - 19:30(JST)に放送された。全291話+スペシャル2話。
略称は「DBZ」。
原作其之百九十五から原作最終話までがアニメ化された。
全291話が放送され、日本のみならず世界40か国以上で放映され、人気面で絶頂を迎えた作品である。また、テレビスペシャルとして『たったひとりの最終決戦〜フリーザに挑んだZ戦士 孫悟空の父〜』と 『絶望への反抗!!残された超戦士・悟飯とトランクス』の2エピソードが放送された。劇場版アニメも継続的に制作され、本放送中の春と夏に全13作品が東映系の映画館にて公開された。
番組タイトルの「Z」は鳥山明本人によって命名されており、本作放映直前の『週刊少年ジャンプ』1989年18号収録の『ドラゴンボール』ピンナップポスター裏に書かれた特集記事の見出しでは、『Z』とは「究極」「最強」と説明されていたが、鳥山によれば「ドラゴンボールを早く終わらせたくてアルファベットの最後の文字である『Z』にした」とのこと。また、当時発売されたテレビゲームなどの媒体では悟空たちは「Z戦士」とも呼ばれるようになり、サブタイトルにも使われた。アニメスタッフは孫悟空に代わって彼の息子・孫悟飯が主人公になると考えていたため、タイトル案には『ドラゴンボール 悟飯の大冒険』もあったが、このような作品名は劇場版第版3作目の『摩訶不思議大冒険』で既にあったために没となった。
タイトルロゴは、「DRAGON」「BALL」と2行に描かれ、右端に大きく「Z」の文字を取り、下端のフリガナは「ドラゴンボールゼット」という番組本編で使用されたものとは別に、「DRAGON BALL Z」と1行で描かれ、下端のフリガナは「ドラゴンボール」となっている別バージョンがあり、テレビゲームや関連グッズ、関連コラボレーション、劇場版第18作目(『神と神』)・第19作目(『復活の「F」』)などでは後者の表記が使用されている。
2009年4月5日から本作のデジタルリマスター再編集版『ドラゴンボール改』(本作のサイヤ人編から人造人間・セル編まで)がフジテレビ系列で2011年3月まで放送された。当時の映像をそのままに、フィルムをHDリマスター化してフルハイビジョン放送に対応し、新たな編集を加えることでスピーディーな展開を実現したほか、音楽や音響も一新されている。
2014年4月6日からは続編の『ドラゴンボール改』魔人ブウ編がフジテレビ系列で2015年6月28日まで放送された。
平均視聴率は、20.5%(関東地区)、最高視聴率は、関東で、27.5%(1994年2月23日放送。第218話「バレちゃった!! サイヤマンは孫悟飯」。関東地区)関西地区は、34.1%(1991年11月13日放送。第116話「悟飯に一瞬の勝機!! あの魔凶星を撃て…」)。最終回の視聴率は関東地区が21.3%、関西地区が19.6%。
主題歌『CHA-LA HEAD-CHA-LA』は170万枚の売上を記録した。
関連商品の展開は好調で、バンダイから発売された同作のゲームソフトはシリーズ化、他にも、カードダス、食玩などの関連ヒット商品が続々発売された。また、「ドラゴンボールZ ミニトマト」は1600万パック出荷。続編『ドラゴンボールGT』の放送が終了してからの数年間は、放送が終了した他作品と同様に商品展開が途絶えていたが、2002年以降のDVD化や完全版コミック・ゲームの発売により、新たな世代にも本作が知られるようになったことで再び関連商品が発売されるようになった。
『Z』名義の家庭用ゲームソフトは、『ドラゴンボールZ カカロット』の500万本をはじめ、2003年から2005年に発売されたPlayStation 2用ソフトの『ドラゴンボールZ』3作品が合計で国内で150万本、日本国外で700万本の売上を記録した。
スマートフォンゲーム向け『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』は2021年9月時点で全世界3億5000万DLを記録している。
制作状況は『元祖』のアニメ化は非常に早かったため、『Z』も原作に追いつきそうになった。ナメック星編で展開が原作に完全に追いついてしまい、アニメの制作スケジュールが逼迫するようになると、前回のあらすじの時間を多くとる、原作のアクションシーンを大幅に膨らませる、各キャラクターによる回想などで展開を遅くするなどの苦肉の策がとられ、30分の放送時間内で劇中では数分しか経過していないことも起こるようになった。極端な例では「ナメック星消滅まであと5分」から消滅するまでの5分間を描くのに10話もかけている。これについては、制作スタッフが鳥山からまだ墨も入れていない下描き段階の原稿を送ってもらっていたというエピソードが残っている。これには冒険を主体にしていた前作に比べ、戦闘を主体とした『Z』はオリジナルのサイドストーリーを挿入しにくかったことが主な理由に挙げられている。また原作とのタイムラグを極力抑え読者の興奮が冷める前にアニメにするという意図もあったようで、プロデューサーの森下は放送当時から『ドラゴンボールZ』の人気の理由に「お刺身のように原作を新鮮な内にアニメ化しているから」と分析していたようである。
鳥山明の初代担当編集者である鳥嶋和彦によると、前作『元祖』の視聴率が低迷しているのは、『Dr.スランプ アラレちゃん』と同じプロデューサーが同作の感じを引きずってアクションに徹しきれず甘かったということで、特にピッコロ大魔王を倒すシーンにおいて質の低さに怒り、フジテレビと相談してプロデューサーに降りてもらい、当時鳥嶋が面白いと感じていたアニメ『聖闘士星矢』のスタッフにやってもらいたいと、『星矢』のシリーズディレクター(監督)・森下孝三や脚本家・小山高生に頼み、悟空が大きくなる設定のところから新体制で始めることとなり、フジテレビのプロデューサーに新番組になると宣伝費の予算が付けられるからタイトルも変えようと提案され、新番組『Z』になったという。
放送形式はアニメ本編は冒頭でナレーションが入り、サブタイトルという流れで始まる。第2話以降は主に前回までのあらすじをナレーションで説明するという形式をとっている。次回予告は、前作から続く悟空の「オッス、オラ悟空!」から始まり、悟空と次回に活躍しそうなキャラクターや、そのキャラクターに関わる人物と掛け合いをし、悟空がタイトルを告げ最後に悟飯が一言コメントするという形だった。これは孫親子どちらかが死亡などで本編に登場しなかったり、セル戦以降に悟飯が一時的に主役扱いになっていたときも変わらなかった。初期の頃は悟飯も掛け合いをしていたが、悟天は予告内で喋ることはなかった。
フジテレビは子供たちの楽しみも考え、水曜日のプロ野球中継を減らしていた。特に人造人間編の頃には、優勝決定などの重要な試合以外は本作を通常放送し、番組終了後の19時30分から野球中継する場合もあった。もっとも、原作のストックの問題を抱えていたこともあり、過剰な展開の引き延ばしが頻発した。
やがて、スポーツ中継を2週連続で挟むなど、番組を休止して原作と引き離す方法もとられるようになった。原作が終了した後にも最終回直前まで展開を引き延ばしたり、1か月も放送を休止することもあったが、これは続編『ドラゴンボールGT』の制作が決定し、その準備をすることとなったという事情の他、阪神・淡路大震災やオウム真理教事件などの社会的大事件で番組が直前に報道特別番組に差し替えられたこと、これまでの局の意向が変わり、スポーツ中継が挟まれることが増加したためである。
前作『元祖』はゲストのわずかな再登場でも多くは不動だったキャストが、今作では多くの変更が見られた。
引退や死去などのケースもあり、前作から長年演じ続けてきた声優が数多く交代した。旧キャストのうち、本放送中に故人となった宮内を除けば、多くの声優は後にゲーム版などで一度は復帰している。しかし『ドラゴンボールZ』本放送から長期間経過し、老界王神、天津飯、デンデ、ジース、ミスター・サタンなどの声優が死去しているため、完全なオリジナルキャストのゲーム作品は存在しない。
シリーズが進むにつれ新しいBGMが作られている。また、劇場版オリジナルのBGMもテレビシリーズに多く流用されている。『元祖』時代のBGMも初期では多く流用されていたが、シリーズが進むにつれて劇場版オリジナルのBGMが流用されるようになるため、シリーズが後期に入ると『元祖』時代のBGMは少なくなっていった。詳しくは『ドラゴンボールZ BGMコレクション』より。第1話から第199話まではプロローグとタイトルコールと次回予告は「CHA-LA HEAD-CHA-LA」をアレンジしたBGMである。第200話から第291話まではプロローグと次回予告は「WE GOTTA POWER」を、タイトルコールは「僕達は天使だった」をアレンジしたBGMであった。「僕達は天使だった」をアレンジしたBGMは存在するが、「でてこいとびきりZENKAIパワー!」をアレンジしたBGMは存在しない。
コロムビアからヒット曲集が20枚発売された。7年の間に作られた歌は200曲以上に昇ったが、実際にテレビアニメおよび劇場版で挿入歌として使用された曲は以下の6曲。
★はアニメオリジナルエピソード
原作1話分をそのままアニメにした場合、アニメ1話分には尺が足らず、原作の週刊連載にすぐに追いついてしまうため、その兼ね合いから、アニメスタッフの手によりアニメ独自のシーンや、独自のエピソードが追加されており、原作漫画とは一部食い違っている設定やストーリーもある。基本的に、アニメだけのオリジナルエピソードや設定に原作者の鳥山明は関わっておらず、鳥山は「ノータッチ」と発言している。
だが、以下のオリジナルエピソードや設定に関しては鳥山明が書いた裏設定の「アイデアメモ」を基にして制作されている。
他にもアニメオリジナルキャラクターとして「グレゴリー」「ベジータ王(顔のみ)」「パイクーハン」「大界王」のデザインや、中鶴勝祥のラフデザインを基に悟空の父親「バーダック」とその仲間たちのデザインを行っている。
原作をベースに拡げたアニメオリジナルシーンは、原作では会話のみの出来事、敵キャラクターの恐ろしさと残忍さを強調する出来事、その話の主体となる出来事に並行して起きている出来事が多い。
系列は最終回時点(打ち切りの場合はその時点)のもの。
第1作から『龍拳爆発』までの13作品は全てスタンダード・サイズ(4:3)で製作され、その画面サイズでTV放映やビデオ発売もされたが、DVDはビスタサイズ(16:9)での発売となり、画面が上下カットされ、いわゆる貧乏ビスタ状態となっている。『神と神』以降は最初からビスタサイズで製作されている。
各映画の時期の設定は、基本的に放送中のテレビアニメと同時期に設定してあるが、前述で述べた通り『Z』はアニメオリジナルストーリーの挿入が難しいため、劇場版は原作・アニメとは様々な矛盾する箇所が見られる。
中には原作と流れが通じる作品もあるものの、鳥山自身は1986年の『神龍の伝説』から1996年の『最強への道』までの映画版について「僕の中で劇場版は漫画の本編とは別次元の話」と述べており、レギュラーアニメ放送時の『Z』の劇場版は原作と関連性のないパラレルワールドの作品である。
現在販売されている『ドラゴンボールZ』のDVDには、テレビで放送されているものとはいくつか仕様の違いがある。まず、テレビ放送において次回予告はエンディングの前に配置されていたのに対し、DVDではエンディングの後に配置されている。そして最も顕著な違いは本編の音質である。本放送ではシネテープの磁気音声を使用していたのに対し、DVDではフィルムトラックの光学音声が使用されている(この仕様の違いは同時期の東映作品も同様である)。
2003年3月と11月に全話とTVSP2話に加え、OVA『ドラゴンボールZ サイヤ人絶滅計画』を収録した「DVD-BOX」が発売され、2005年11月より、単品DVDが各巻5話 - 6話収録で発売された。
各劇場作品の公開前週と公開週には短縮された次回予告に劇場版の予告を繋げたもの+劇場招待券プレゼント告知を流したが、DVDには収録されていない。
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