事務管理コード(じむかんりコード)とは、日本国有鉄道(国鉄)が定めたコード番号である。旅客営業取扱基準規程(旅程)では、単に「コード番号」と呼ばれ、他に「駅番号」「事務管コード」と略す者も一部いる。
本頁では、事務管理コードに加えて、旅客営業取扱基準規程に定めるコード番号についても取り上げる。
概説
事務管理コードが使用される例
マルスシステムや指定席券売機など、駅の自動券売機では表示されないため、旅客が直接目に触れる機会は少ない。出札が事務管理コードを記載しなければならない切符は、以下のように定められており、もっぱら補充券等に限られる。
旅程第199条(補充片道乗車券の発行方)によれば、他駅発の乗車券において記載することが定められている。また、補充往復乗車券(同203条)、補充連続乗車券(同206条)、補充定期乗車券(同209条)、特別補充券(同235条)についても記載しなければならない。その他の補充券でも、事務管理コードを記載して常備式にすることがある(同181条)。
ただ、特別補充券による発券を除き、乙片(支社等に提出する片)には記載するものの、甲片(旅客に交付する片)には記載されない。このため、旅客が事務管理コードに直接接することができるのは、特別補充券による発券の場合のみである。
国鉄・JR線の事務管コード
コード番号の仕組み
国鉄時代にはコード番号は6桁の数字で表示されていた。
- 1桁目:国鉄9支社時代の区分
- 2桁目:国鉄の鉄道管理局、JRの支社
- 3,4桁目:その駅の所属路線によって割り当てられる
- 5,6桁目:駅番号は下り方面に通し番号だが、新駅開業などで連続性が失われている場合がある
国鉄鉄道管理局・JR支社の番号
上二桁の番号は、以下のように割り振られているが、後述の管轄変更により異なる場合がある。
- 分割民営化の直前に各社のエリアに合わせて事務管理コードが変更された駅も存在する。
- 米原駅は名古屋鉄道管理局の管轄だったが、民営化直前に大阪鉄道管理局(→JR西日本 近畿統括本部)となったため、事務管理コードの頭2桁は「53」から「61」に変更された。
- 参宮線・名松線などは天王寺鉄道管理局だったが、JR化後にJR東海 東海鉄道事業本部(←名古屋鉄道管理局)となったため、事務管理コードの頭2桁は「62」から「53」に変更された。
- 中央本線坂下 - 洗馬間は長野鉄道管理局だったが、民営化直前に名古屋鉄道管理局(→JR東海 東海鉄道事業本部)となったため、事務管理コードの頭2桁は「51」から「53」に変更された。
- 大糸線中土 - 北小谷間は長野鉄道管理局だったが、民営化直前に金沢鉄道管理局(→JR西日本 金沢支社)となったため、事務管理コードの頭2桁は「51」から「54」に変更された。
- 一方で、事務管理コードを変更していない例も存在する。
- 東北本線東大宮 - 白河間は高崎鉄道管理局だったが、事務管理コード制定後に東京北管理局に移管されたがコードの頭2桁は「41」のままである。
- 奥羽本線米沢 - 及位間は秋田鉄道管理局だったが、JR化後に秋田支社から仙台支社(←仙台鉄道管理局)に移管された。事務管理コードの頭2桁は「22」のままである。
- 日豊本線南行橋 - 中津間、市棚 - 日向新富間は大分鉄道管理局だったが、JR化後に大分支社から本社鉄道事業本部・鹿児島支社(のちに宮崎支社)にそれぞれ移行したが、事務管理コードの頭2桁は「92」のままである。同様に鹿児島支社から宮崎支社に移行した日豊本線佐土原 - 五十市間、日南線の事務管理コードの頭2桁は「94」のままである。
- 45・46・48から始まる事務管理コードについては、JR東日本など一部の旅客鉄道会社では導入されているものの、他の旅客鉄道会社では、44から始まるコード番号を使用する場合が多い。
- 「81」で始まる事務管理コードは、JR西日本福岡支社が管轄する所属路線に博多南線が設定されたことにより、JR化後に新設された。
特定都区市内制度などによる特定コード番号
旅程第199条(9)によれば、旅客営業規則(旅規)第86条の特定都区市内、旅規第87条の東京山手線内、および旅規第88条の新大阪・大阪発着となる場合も、コード番号(特定コード)が存在する。各事務管理コードは、以下のようになっている。
その他のコード番号
補充券で乗車券等を発行する場合、発駅または着駅のコード番号以外にも、経由駅や接続駅のコード番号を相当欄に記入する。甲片は旅客に、乙片は1旬ごとに、旅客鉄道会社の定める方法によって、支社等の電算処理担当箇所長あるいは情報システム室長に提出する。
経由駅コード
旅程186条の規定により経由線名を表示したものは、その経由線中の主要駅コード番号を、また経由駅名を表示したものについては、その当該駅コード番号を経由欄下段に記入する。このほか、新幹線や連絡社線を経由(通過)する場合は、以下のように表示する。
- 新幹線を経由する場合
- 当該乗車区間を「9-----」とし、新幹線の乗車駅と下車駅のコード番号を表示する。
- 連絡会社線および自動車線を通過する場合
- 当該乗車区間を「8-----」とし、接続となる旅客鉄道会社の乗車駅と下車駅のコード番号を表示する。
- のぞみ号およびはやぶさ号に乗車する場合
- 当該乗車区間を「5-----」とし、のぞみ号およびはやぶさ号の乗車駅と下車駅のコード番号を表示する。
- グランクラスに乗車する場合
- 当該乗車区間を「6-----」とし、グランクラスを利用する区間の乗車駅と下車駅のコード番号を表示する。
接続コード
連絡運輸の接続駅ごとに付与されているコードである。接続駅ごとに、4桁で構成されている。
貨物取扱駅コード
4桁で構成されるコード番号である。事務管コードとは、1桁目(国鉄の支社区分)以外の関連性はない。旅客向きの事務管コードはJR西日本管内及び関連する区間を除いてほとんど公開されていないが、貨物取扱駅コードは『貨物時刻表』にて公開されている。
脚注
注釈
出典
参考文献
- 運輸営業・帳票制度研究会編(1989)『旅客関係帳票記入例 出札(乗車券)編』、日本鉄道図書。
- 日本国有鉄道旅客局(1984)『鉄道・航路旅客運賃・料金算出表 昭和59年4月20日現行』。
- 運輸研究会編(1999)『東日本旅客鉄道株式会社旅客関係単行規程集 平成11年5月20日現行』、日本鉄道図書。
- 旅客鉄道株式会社編(1987)『旅客連絡運輸規則別表・旅客連絡運輸取扱基準規程別表』、中央書院。
- 日本国有鉄道(1984)『社線運賃・料金算出表 : 昭和59年4月1日現行』、中央書院。
- 北海道旅客鉄道(2009)『北海道旅客鉄道株式会社旅客営業規則・旅客営業取扱基準規程 平成21年4月1日現行』、中央書院。
関連項目
- 乗車券
- 補充券
- 連絡運輸
- 旅客営業取扱基準規程
- 貨物取扱駅コード
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