レバノンスギ(レバノン杉、学名:Cedrus libani)は、マツ科ヒマラヤスギ属の針葉樹である。レバノンシーダーともよばれる。
同じヒマラヤスギ属のヒマラヤスギと同様、名前に「スギ」が付いているがマツ科である。なおスギは同目ではあるもののスギ科(または広義のヒノキ科)スギ属であり、近縁ではない。
レバノン、シリアなどの高地が原産。高さは40 mほど。古代においては中近東一帯に広く自生していたが伐採利用が大規模に進んだ結果、レバノンスギの森は消滅し、現在においてはレバノン等のごく一部の地域に小規模に残存するのみとなり、保護扱いされている。現在わずかにレバノンスギが残存するカディーシャ渓谷と神の杉の森は世界遺産に登録されている。
レバノンの国旗および国章のデザインにも用いられている。
レバノンスギは、『旧約聖書』のいたるところに香柏(こうはく:香気のある針葉樹の意味)として出てくる。ソロモン王は、レバノン杉の材で神殿や祭壇を造ったと伝えられ、『列王記』の6章にこのことが詳述されている。材は香りが高く、腐りにくい特徴から船材としても重要であった。良質の木材であり、古代エジプトやメソポタミアのころから建材や船材に利用されていた。レバノンに住んでいたフェニキア人はこの木を伐ってガレー船建造や木材・樹脂輸出を行い、全地中海へと進出したと考えられている。こうして豊かだったレバノンズギの樹林も底をつき、以来ほとんど回復しないまま現在わずかな保護林でしか見ることができなくなっている。
レバノンスギも世界各国に移植されたり、実生で育てられたものもあり、イギリスやアメリカ合衆国にも、かなり早くから持ち込まれて育てられている。日本には極めて少なく、新宿御苑に明治初年に入ったとされる。
VULNERABLE (IUCN Red List Ver. 2.3 (1994))
IUCNレッドリストでは、1998年版で軽度懸念に評価されたが、更新が必要とされている。
レバノンスギの絶滅の危機を受け、2000年代から植樹活動が行われている。
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