![マクドナルド・アンド・ジャイルズ マクドナルド・アンド・ジャイルズ](/modules/owlapps_apps/img/nopic.jpg)
『マクドナルド・アンド・ジャイルズ』(McDonald and Giles)は、1971年にイギリスのミュージシャン、イアン・マクドナルドとマイケル・ジャイルズによってリリースされたアルバム。このアルバムは、最初に英国でアイランド・レコード (ILPS 9126) から、米国ではアトランティック・レコード傘下のコティリオン・レコード(SD 9042)から発売された。1970年5月から7月にかけてアイランド・スタジオでレコーディングされた。マクドナルド・アンド・ジャイルズはキング・クリムゾンのファンの間では人気があり続けていたが、一般層に広がることはなく商業的成功は得られなかった。また、このデュオがセカンド・アルバムをレコーディングすることはなかった。
イアン・マクドナルドとマイケル・ジャイルズは、キング・クリムゾンのオリジナル・ラインナップのメンバーであり、バンドのデビュー・アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』(1969年)に参加した。2人とも1969年の最初のアメリカ・ツアーの終わりにバンドを脱退したが、ジャイルズはセッション・ミュージシャンとしてキング・クリムゾン2枚目のアルバム『ポセイドンのめざめ』(1970年)に参加した。他に2人のキング・クリムゾン・メンバー:ピーター・ジャイルズとピート・シンフィールドも、マクドナルド・アンド・ジャイルズに取り組んだ。
マクドナルド・アンド・ジャイルズの音楽には、キング・クリムゾンのもつ牧歌的であり、音楽的に複雑な要素が多く含まれていたが、バンドが持っていた暗い雰囲気の方向性は避けられた。「アイビスの飛行」は、キング・クリムゾンの「ケイデンスとカスケイド」と似たメロディやリズムを持っているものの、歌詞は異なっている。アルバムにはスティーヴ・ウィンウッドによるゲスト出演が含まれており、「Turnham Green」でオルガンとピアノを弾いている。ウィンウッドのグループ、トラフィックは、アイランド・スタジオで同時期にアルバム『ジョン・バーレイコーン・マスト・ダイ』に取り組んでいた。
マイケル・ジャイルズの「明日への脈動」のドラム・ソロは、ラップやヒップホップのアーティストとして広く知られるビースティ・ボーイズによって、アルバム『ハロー・ナスティ』の楽曲「Body Movin」でサンプリングされた。
最初のCDは1989年に日本で発売された。ただしオリジナル・マスターの所在が不明で、数世代後のテープを盤起こししたものからマスタリングされた。ジャケットは北米盤(アトランティック・レコード系列)を採用している。
2002年、より改善された音質によるリマスター盤(2001年リマスター音源)をリリースした。リマスター盤はロゴが北米盤の紫色ではなく、英国盤の緑色を再現していることで違いを認識できる。かつてのオリジナル盤は不完全のまま発売されてしまった経緯があるため、本作はメンバー監修の下で改めて再構築された。「組曲ハ長調」の冒頭付近のフレーズは少し異なった歌詞となっている。楽曲「バードマン」は以前とは異なるセクションで分けられ、CD上では別々のトラックとしてマークされている。
その後アナログ・マスターテープの所在が、かつての制作委託元であった「EGレコード」の管理会社に残っていた事が判明。2020年代の時点で発売の権利を取得していた独立レーベル「ディシプリン・グローバル・モービル」(通称: DGM、キング・クリムゾンが所属)は引き渡しを再三請求するも、旧EGレコードの管理会社は発売当時のアイランド・レコードとの契約条項をたてに拒否する。そのため2021年秋から2022年初頭にかけてリリースした発売50周年再発盤(英国盤のLPジャケットを再現)は、以前の2001年リマスター音源を流用せざるを得なかった。
再度管理会社と交渉しようとしていたが、アルバムの著作者イアン・マクドナルドが同年2月に死去。アーティスト本人による許諾や監修作業が不可能になり、オリジナルマスター音源ミックス盤の実現は不透明になっている。
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