統一超商(中国語:トンイー・チャオシャン 日本語:とういつちょうしょう、英語:President Chain Store Corporation 略称:統一超)は台湾でセブン-イレブン(7-Eleven、以下セブン、または統一超)ブランドのコンビニエンスストアを運営する統一企業グループの小売業者。
1987年の発足に先立ち親会社の統一企業により1978年に前身となる統一超級商店1号店をオープン、2021年末時点で業界最多の6,379店舗(前年比355店増)を有し、日本同様に最大のライバルは同年末時点で3,980店舗(前年比210店増)を展開する業界2位の全家便利商店(ファミリーマート、以下ファミマ)で、2社は超商雙雄(コンビニ界の2巨頭)と呼ばれている。また、超商雙雄にOK超商と萊爾富便利商店を加えて四大超商(四大コンビニ)とも呼ばれる。
台湾では各店舗は「○○門市」と表記される。台湾国外にも進出し、中国大陸では完全子会社が上海を中心に90店舗、出資比率55%の統一銀座が山東省で約300店舗、出資比率52.22%のフィリピンでも2,864店舗を運営(2019年12月時点)。特にフィリピンでは2015年時点でファミリーマート、ミニストップ、ローソン、サークルKの他社を店舗数で圧倒し、統一超にとって同国は台湾国外に於ける最大の稼ぎ頭に成長していた。
2000年に米国セブンから永久ライセンスを取得している。日本のセブン&アイ・ホールディングスとは資本関係はない。市民からは「小七(セブンちゃん)」の別称で親しまれている。
2014年の香港紙852郵報調べでも面積あたりの店舗数では都市国家の澳門・香港よりは少ないが、日韓両国よりも密度は高く、人口1万人あたりの店舗数では2.10店とセブン進出各国で最多であり、以下のように2020年の統計でも変わっていない。
創業20数年で統一流通次集団傘下に以下の各子会社を束ね、サプライチェーンを効率化している。
2016年、統一企業創業者の高清愿が死去。
1977年に統一企業に入社し、1988年から統一超の総経理を務めた徐重仁は2012年に退任。
徐重仁は、日米のコンビニ業の発展状況から国内市場は1990年代以降もまだ拡大の余地があると判断した。2000年時点で2,000店舗達成を掲げ、その手段として物販以外の店舗サービス拡大が不可欠として、何度も日本を視察した。徐は日本のコンビニ経営も参考にしつつも、駅ナカでの店舗展開や(2000年。日本は2001年)、コンビニコーヒーの本格展開(2004年)、イートインの本格展開(2003年。日本では2013年以降)、長距離列車の乗車券予約・発券(台湾高速鉄道が2010年、台鉄の乗車券受取が2011年末から。)などでは日本のコンビニに先んじている。
統一超商も収納代行のサービスを導入している。1998年に国内最大手の中華電信の電話料金支払いを導入したのを皮切りに、ガス代金や駐車料金、水道代、電気代、保険料金、ネット通販など100種以上の収納代行が利用可能となっている。
2001年12月から「国民弁当(國民便當)」を展開。 40ニュー台湾ドルから始まり、「新国民弁当」と改名後も55ニュー台湾ドルの価格で庶民に愛されていたが、物価や原材料費上昇に伴い別名にリニューアルされるとともに価格も65-75NT$へ改訂されネットでは消失を惜しむ声が相次いだ。
2006年11月に北米のアイスクリームブランド「コールド・ストーン・クリーマリー」の国内ライセンスを取得、嘉義県発祥の駅弁奮起湖弁当は当初は現地での販売のみだったが2000年代以降は統一超商により全国展開されている。
自社ブランドのコンビニコーヒー「City Cafe」は年間3.2億杯(2018年)の売上でファミマを2億杯上回っている。
日本セブンのマルチコピー機やローソン、ミニストップのLoppiに相当する「ibon」が設置されており、鉄道・バスの乗車券やプレイガイドの予約と支払いができるほか、端末で自社系列のicash(愛金卡)だけでなく悠遊卡(Easycard)、一卡通(iPASS)などの各種交通系IC乗車カードの履歴照会(直近6回分)と有料で過去3-30日以内の履歴印字(1ページで最大50回分)が可能となっている。2020年春からは他社同様に新型コロナ防疫におけるマスク実名制での予約・購入機能も付加されている。
現金以外にもクーポン券、商品券、icash(2.0以降のみ。1.0は2018年まで)、悠遊卡、一卡通などの自社以外のIC乗車カードによる決済および一部はチャージが可能。2019年夏にLINE Pay決済を導入した。
統一超商電信が「7-mobile」のブランドで遠傳電信の回線を使用した仮想移動体通信(MVNO)に参入、その後「i-bon mobile」となる。(なお、統一超の子会社である台湾家楽福も「家楽福電信(Carrefour TELECOM)」のブランドで最大手中華電信(2G時代のみ)および、亜太電信(2G、3Gおよび4G)の回線を借りてMVNOを展開している)
プリペイド型SIMカードは外国人旅行者でも利用可能。
1999年2月、統一企業は統一ライオンズの本拠地を台南市立野球場とし、それに伴い球場一塁側に「職棒門市」を設けていた。初期はブランドの通り朝7時から午後11時までの営業だったが、要望により朝6時開店となり、シーズン中は1日当たりの売り上げが全国上位10傑に入ることもあった。2004年の第2回世界大学野球選手権大会開催時以降は店舗前の道路が封鎖され、客足が落ち込んだため試合開催日のみの営業となってしまい、2007年に閉店した。
国立嘉義大学、朝陽科技大学、国立勤益科技大学、東海大学内校友会館、国立台湾大学内の長星キャンパス、国立台湾科技大学など、国内の主要大学内に店舗を設けている。
高雄捷運三多商圈駅の「雄捷門市」などがある。
嘉義基督教医院、台北市立萬芳医院、長庚紀念医院など に出店している
2017年時点で標高1,000メートル以上の地点にあるセブンの店舗は10ヶ所あり、嘉義県阿里山郷の阿里山国家森林遊楽園区内には、海抜2,200メートル地点に「神木門市」と海抜2,170メートルの「阿里山門市」、南投県仁愛郷の霧社には海抜2,050メートルの最高加盟店「富嘉門市」を構え、これらが自社の上位3傑となっている。
台湾本島最北端の店舗は新北市石門区の「石門門市」、最西端は台南市安南区の聖南門市(自社のみ)、離島を含めた全国最南端は屏東県の「鵝鑾鼻門市」、全国最北端は連江県東引郷の「東引門市」、全国最西端は金門県烈嶼郷で島内唯一のコンビニ「小金門門市」。2019年に日本のセブンが沖縄県に初出店するまでは、同県の最寄りセブンは台湾の店舗だった。日本セブンの沖縄本島出店後も、石垣島や宮古島からの最寄りは台湾のままとなっている。
「蓮営門市」(台南市後壁区)は敷地面積約2,000坪の全国最大だった。売場面積最大の店舗は台北・信義区の「宏泰門市」で約112坪。
澎湖、金門、馬祖(連江県)に業界1号店を展開し、業界初の全県市制覇を果たしているほか、小琉球(2000年)、緑島(2005年)、蘭嶼(2014年)などの本土近海の離島にも進出済み。
安安門市(台南市安南区)、のほかに心心門市(新北市板橋区)、仁仁門市(新北市三重区)、嘟嘟門市(台中市北区)、咚咚門市(屏東県恒春鎮)などの畳語がある。統一超商によると、店名はオーナーが自由に決めることができるため、所在地の地名の以外にも付近にカラオケボックスがあることから「台北歓唱門市」と命名したケースや、ジャッキー・チェンのファンだったオーナーの「桃園成龍門市」、ガンダム(現地表記は『高達』)好きが高じた「高達門市」(桃園市楊梅区)などがある。元々歴史的経緯から日本と同名地名は数多く現存するが、中には「軽井沢門市」(桃園市)、「箱根門市」(同)、「台場門市」(台北市)、「大阪門市」(高雄市)など、歴史的脈絡もなく日本と同じ地名を店舗名としているところもある。
新竹県湖口郷に百億NT$を投じた統一企業の自動生産工場に自社キャラOPENちゃん尽くしのテーマパーク型旗艦店を併設。
他社のキャラクターとのコラボレーション例もあり、2019年に台北でミッキーマウスを主題にしたテーマストアを開店。2020年には店内装飾や商品パッケージをスヌーピー化した主題店を台北に開店したのを皮切りに、翌年には台南と高雄にもスヌーピー店舗を拡大した。
日本の株式会社ポケモンが協力したポケットモンスター遊戯エリア併設の「府中門市」(新北市板橋区)は2021年1月末に開店した。
2018年から無人店舗「X-Store」を試験導入していたが、2019年3月に将来の新規出店を中止すると表明した。
OPENちゃん(Open小將)は統一超商の公式マスコットで、電通がキャラクター・デザインを担当している。
台湾の経済誌「天下雑誌」が行っている「500大サービス業」では2014年からの5年では9位、7位、8位、9位、7位と毎年上位にランクインしている。
また、中国時報グループが2012年以降開催している「台湾服務業大評鑑」でのコンビニ部門では以下のように毎年トップを争い、銀牌の年はファミマが首位を獲得している。
米国のフォーブスがランク付けをしている「フォーブス・グローバル2000」では以下のようになっている。
大手会計事務所デロイトによる「世界の小売業ランキング」(Global Powers of Retailing)では以下の通り。上位250位内に台湾勢で唯一かつ毎年ランクインしている。
先述の城中門市(台南市)は自社の台湾本島最西端の店舗として知られるが、対面にファミマの店舗ができたことで最西端の座が奪われた。
同じく2018年の台中市和平区での高度争いでも、ファミマは自社最高海抜高度となる和平梨山店を展開したが、ファミマとセブンが高度差12メートル、距離800メートルでの出店合戦となり、セブン梨山門市が1日早く開店した。
2000年代から台湾鉄路管理局(台鉄)の主要駅にセブンが出店していたが、2019年夏の契約満了時に更新がなされず後釜にはファミマが入居した。
オンラインでの口コミを分析調査する「Dailyview 網路溫度計」では2014年の発表では9項目中6項目でセブンの評価がファミマを上回った。預見雑誌の同年の調査では店舗数だけではなく販売されている食品数でも若干セブンが上回った。コンビニコーヒーだけはでなく、ファミマが先行していたタピオカティーでもセブンが参入している。
セブンは日常的に「小七(シャオチー、拼音: Xiǎo qī、セブンちゃんの意)」と呼ばれるが、批踢踢(台湾最大のネット掲示板)での投稿をきっかけに熱烈なファミマ愛用者からは「7-11」を算数式に見立てた「-4」と呼ばれるようになった。
2011年の東日本大震災では世界11か国のセブンイレブンと共同で義援金募金を行い、日本セブン以外から集まった義援金の約75%にあたる3億円が台湾セブンからだった。
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