ギャラクシー賞(ギャラクシーしょう)は、NPO法人放送批評懇談会が、「日本の放送文化の質的な向上」を目的として、「放送局や制作者など製作側からの応募作品(自薦)」、「会員からの推薦作品(他薦)」という2つの審査対象の中から優秀番組・個人・団体を顕彰する賞である。
概要
放送批評懇談会設立の1963年に創設された賞で、放送批評懇談会会員から選ばれた選奨事業委員会が、応募のあった作品および選奨事業委員会が推奨した作品(CM部門を除く)の中から、「テレビ部門」「ラジオ部門」「CM部門」「報道活動部門」の4部門について以下の各賞を年に一度表彰する。
- 大賞 1本(各部門)
- 優秀賞 若干本(各部門)
- 選奨 若干本(各部門)
- 特別賞 1本(テレビ部門のみ)
- 個人賞 1名(テレビ部門のみ)
- フロンティア賞(第59回まではテレビ部門のみ、第60回より放送界全体を対象として独立)
- DJパーソナリティ賞(ラジオ部門のみ)
- 奨励賞(各部門)
放送批評懇談会正会員から選ばれた選奨事業委員会が選考に当たる。テレビ、ラジオ、CM、報道活動のそれぞれの部門は、年間を通じて番組・作品の合評を行うなど、日常性を重んじた選考方法に特徴がある。特にテレビ部門では月間の優秀番組「月間賞」を選出し、年度の選考対象作品としている。賞の決定を第三者に委託する顕彰制度が主流となっている中で、一貫して正会員のみで選考することでも賞の独立性を維持しているという。
選考対象になる期間は毎年4月1日から翌年3月31日まで。部門毎に10月に上期、翌年4月に下期の選考会を実施し、5月に最終選考会を開き決定される。
「ギャラクシー」とは、銀河、天の川のこと。才子佳人のきらびやかな集まりという意味があり、放送の世界に数多くの才能が輝くことを願って命名された。
沿革
- 1963年度(第1回) - テレビとラジオ毎に「芸能部門」「教育教養部門」「報道部門」で表彰(個人表彰はなし)。
- 1965年度(第3回) - 部門構成が改められ、テレビは「フィクション部門」「芸能以外の部門」「個人部門」、ラジオは「芸能部門」「芸能以外の部門」「個人部門」となる。
- 1966年度(第4回) - 部門構成が廃止され、一律に「ギャラクシー賞」として作品・団体(放送局・プロダクションなど)・個人を表彰。
- 1967年度(第5回) - 3か月を単位とする「期間選奨」を導入・併設。
- 1968年度(第6回) - 賞名が「放送批評家賞(ギャラクシー賞)」となる。
- 1972年度(第10回) - 賞名が「ギャラクシー賞」に戻る。
- 1975年度(第13回) - 「期間選奨」を廃止。
- 1976年度(第14回) - 選奨制度の大改革を行い、賞体系を「大賞」「ギャラクシー賞」「選奨」とし、「特別賞」を設ける。「月間賞」を新設。
- 1982年度(第20回) - 周年記念賞として、「ギャラクシー賞制定20周年記念・特別賞」を選出・表彰。
- 1983年度(第21回) - 「個人賞」を新設。
- 1985年度(第23回) - 「奨励賞」を新設(自薦作品で最終予選に残ったものに「奨励賞」を授与するほか、「月間賞」でその他の賞にならなかったものも「奨励賞」とする)。
- 1987年度(第25回) - 周年記念賞として、「ギャラクシー賞25周年記念特別賞」(「平和の賞」「愛の賞」「まなびの賞」「ユーモア賞」「出版賞」)を表彰。
- 1988年度(第26回) - 「大賞」に次ぐ「ギャラクシー賞」を「優秀賞」に名称変更。
- 1989年度(第27回) - テレビ部門とラジオ部門に分離。部門ごとに「大賞」「優秀賞」「選奨」を表彰する形となる。
- 1992年度(第30回) - 周年記念賞として、「ギャラクシー賞30周年記念賞」と「小谷正一記念賞」(受賞者は牛山純一)を表彰。
- 1993年度(第31回) - ラジオ部門に「DJパーソナリティ賞」を新設。
- 1995年度(第33回) - CM部門を創設(「大賞」「CM賞」を表彰)。テレビ部門で「戦後50年特別賞」を表彰。テレビ部門で『愛していると言ってくれ』(TBS系)が民放の連続ドラマとして初の大賞受賞。
- 1997年度(第35回) - 周年記念賞として、「ギャラクシー賞35周年記念賞」と「放送批評懇談会35周年記念 城戸又一賞」(受賞者は田原総一朗)を表彰。
- 2002年度(第40回) - 報道活動部門を創設。ラジオ部門はこの年のみ「ラジオ番組制作者賞」を表彰。周年記念賞として、「放送批評懇談会創立40周年記念賞」と「岩田糸子賞」(受賞者は黒柳徹子)を表彰。
- 2004年度(第42回)- テレビ部門で『笑ってコラえて! 文化祭 吹奏楽の旅 完結編 一音入魂スペシャル』(日本テレビ系)がバラエティ番組としては初の大賞受賞。
- 2006年度(第44回) - 「マイベストTV賞」を創設。
- 2007年度(第45回) - 周年記念賞として、「ギャラクシー賞45周年記念賞」(受賞者は永六輔)を表彰。
- 2009年度(第47回) - 「志賀信夫賞」を創設。
- 2012年度(第50回) - 周年記念賞として、「50周年記念賞」を表彰。
- 2015年度(第53回) - テレビ部門に「フロンティア賞」新設。
- 2019年度(第57回) - 新型コロナウイルスの感染拡大を受け選考作業が予定通りに実施できず、入賞作品決定と贈賞式が延期される。
- 2022年度(第60回) - 「フロンティア賞」がテレビ部門から独立。周年記念賞として、「60周年記念賞」を表彰。
選定方法・選奨事業委員会
ギャラクシー賞の選奨と表彰は、NPO法人「放送批評懇談会」の会員から構成される「選奨事業委員会」が担当している。
構成
下記は2023年5月時点
選奨事業委員長:出田幸彦(NHK理事・放送総局副総局長)
テレビ部門委員会
- 委員長:古川柳子(元テレビ朝日のディレクター・プロデューサー、明治学院大学文学部芸術学科教授)
- 副委員長:桧山珠美(フリーライター)
ラジオ部門委員会
- 委員長:桜井聖子(元テレコム・サウンズ、ラジオ番組制作会社「有限会社さくら」代表取締役)
- 副委員長:仲宇佐ゆり(フリーライター)、山田眞嗣(一般社団法人日本民間放送連盟番組部所属)
CM部門委員会
- 委員長:家田利一(元博報堂。イエダプラス代表)
- 副委員長:風間恵理子(元客室乗務員。民間企業CM総合研究所(東京企画 (CMサービス))所属)
報道活動部門委員会
- 委員長: 茅原良平(日本大学芸術学部放送学科准教授)
- 副委員長: 長井展光(元アナウンサー。毎日放送経営戦略室エグゼクティブ)
受賞作
- 志賀信夫賞、マイベストTV賞は別記。選奨、奨励賞は割愛する。
- 表中の「DJ賞」は「DJパーソナリティ賞」のこと。
第1回 - 第26回
第27回 - 第61回
マイベストTV賞
視聴者の参加により選ばれるテレビ番組賞。2007年(第44回)創設。放送批評懇談会選奨事業委員会が候補番組を選定し、これを毎月、放送批評懇談会正会員と「Gメンバー」(視聴者によって構成される放送批評懇談会のオンライン会員)が投票して選出される。年間で最も得票を得たものが「マイベストTV賞グランプリ」としてギャラクシー賞と共に表彰される。
これまでのグランプリは以下の通り。2018年までの12回はすべてテレビドラマが受賞していたが、2019年に初めてバラエティ番組が受賞した。
- 2006年度(第44回) - 『ハゲタカ』(NHK)
- 2007年度(第45回) - 『歌姫』(TBS系)
- 2008年度(第46回) - 『流星の絆』(TBS系)
- 2009年度(第47回) - 『JIN-仁-』(TBS系)
- 2010年度(第48回) - 『フリーター、家を買う。』(フジテレビ系)
- 2011年度(第49回) - 『妖怪人間ベム』(日本テレビ系)
- 2012年度(第50回) - 『鍵のかかった部屋』(フジテレビ系)
- 2013年度(第51回) - 『今日の日はさようなら』(日本テレビ系)
- 2014年度(第52回) - 『死神くん』(テレビ朝日系)
- 2015年度(第53回) - 『スペシャリスト』(テレビ朝日系)
- 2016年度(第54回) - 『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)
- 2017年度(第55回) - 『陸王』(TBS系)
- 2018年度(第56回) - 『チコちゃんに叱られる!』(NHK)
- 2019年度(第57回) - 『きのう何食べた?』(テレビ東京系)
- 2020年度(第58回) - 『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京系)
- 2021年度(第59回) - 『美しい彼』(TBS系)
- 2022年度(第60回) - 『美しい彼 シーズン2』(TBS系)
志賀信夫賞
放送批評懇談会の発展に寄与した放送評論家・志賀信夫の功績をたたえるために、2010年(第47回)創設。広く放送界の発展、放送文化の向上に貢献した人物等を表彰する。放送批評懇談会正会員の推薦を元に選出する。
- 2009年度(第47回) - 澤田隆治
- 2010年度(第48回) - 後藤亘
- 2011年度(第49回) - 植村伴次郎
- 2012年度(第50回) - 藤田潔、調査情報
- 2013年度(第51回) - 石井ふく子
- 2014年度(第52回) - 松尾羊一
- 2015年度(第53回) - 山本雅弘
- 2016年度(第54回) - 西村泰重
- 2017年度(第55回) - 川端和治
- 2018年度(第56回) - 今野勉
- 2019年度(第57回) - 樋泉実
- 2020年度(第58回) - 和崎信哉
- 2021年度(第59回) - 川平朝清
- 2022年度(第60回) - 岡崎栄
- 2023年度(第61回) - 関口宏
脚注
外部リンク
- 放送批評懇談会
- ギャラクシー賞 概要
- マイベストTV賞 年間グランプリ
- ギャラクシー賞データベース
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