東京マラソン(とうきょうマラソン、英語: Tokyo Marathon)は、2007年に始まった東京都区部で行われるマラソン大会。正式名称には末尾に開催年が付され、第1回大会は「東京マラソン2007」である。現在は毎年3月の第一日曜日に開催される。「東京マラソン」の名称は、日本陸上競技連盟によって商標登録(登録商標日本第4952187号)されている。
2010年に国際陸上競技連盟(現:ワールドアスレティックス)の世界ロードレース格付け制度で、ニューヨークシティマラソン等にならび市民参加型大規模レースとしては日本で初めてゴールドラベルを獲得した。2013年大会からワールドマラソンメジャーズに加入し、世界の主要なマラソン大会のひとつとなった。さらに2020年からはワールドアスレティックスプラチナラベルロードレース(2021年からはエリート・プラチナ・ラベル)に認定された。
本記事では大会の概要について記す。各年度ごとの大会の詳細についてはそれぞれの記事を参照のこと(#歴代優勝者)。
当大会施行前まで東京都心部で行われていたマラソン大会は、「東京国際マラソン」(男子)と「東京国際女子マラソン」、ハーフマラソンの距離で行われていた「東京シティハーフマラソン」、一般市民ランナー・障害者向け10kmロードレースの「東京シティロードレース」があった。それらを1つに統合して「ニューヨークシティマラソン」、「ロンドンマラソン」、「ボストンマラソン」に匹敵する市民参加型大規模として、東京マラソンが企図された。
元々、日本財団や都民を中心に都心部の公道を使用した大規模な市民マラソン大会を希望する声があった。その実現を願って市民主導のNPO法人主催による、「歩道を使い、信号を遵守する」という形の市民マラソン大会「東京夢舞いマラソン」が2001年から行われてきた。その願いを「東京マラソン」という形で実現させるにあたっては、東京都庁、特に当時の東京都知事の石原慎太郎が主導的役割を果たした。なお、石原慎太郎は都知事就任当初の2000年において、大規模な市民参加型の「東京シティハーフマラソン」を財政面から廃止させた。また、石原は「東京マラソンは東京オリンピック構想のアピールも兼ねる」と語っている。これはロンドンマラソンの完成度の高さが2012年ロンドンオリンピック招致に有利に働いたとする仮説を踏襲した発言でもある。
東京市民マラソン構想を提唱した、当時の日本財団会長である曽野綾子や、笹川スポーツ財団藤本常務理事の働きかけを受け、石原は2003年、「経済波及効果、スポーツや観光の振興につながる」と述べ、銀座などの目抜き通りを走る構想を発表。当時の副知事が陸連幹部に対して石原知事の意向として東京での大型マラソンの検討を打診して調整し、2007年に第1回大会が開かれた。なお、創設に携わった日本陸連専務理事桜井孝次は、第1回大会では実行委員長、第4・5回大会では事務総長を務めている。
2010年6月30日に東京都と日本陸連による組織委員会を発展的解消する形で一般財団法人東京マラソン財団(英: Tokyo Marathon Foundation)が設立された。2011年大会以降は同財団が主催し、これまでの主催だった東京都と日本陸連は共催団体となった。
同財団は2022年から東京レガシーハーフマラソンも主催している。
男子マラソンは2006年の第27回大会で終了した東京国際マラソンの後継大会として位置づけられており、世界陸上選手権をはじめとする国際大会の代表選考レースとなっている。また、本大会と福岡国際マラソン、びわ湖毎日マラソンの3大会で3年おきに持ち回りで男子マラソンの日本選手権を兼ねて行われていた。
女子マラソンについては2008年まで「東京国際女子マラソン」が「東京マラソン」と並行して行われており、2009年からは「東京国際女子マラソン」の事実上の後継大会として「横浜国際女子マラソン」が開催されたが2014年をもって廃止、2015年から2019年は「さいたま国際マラソン」がその役割となっていたため、「東京マラソン」は事実上のオープン大会となっている。ただし「さいたま国際マラソン」が2021年世界陸上競技選手権大会の選考会となる予定だった2020年12月の開催が見送られる可能性が大会関係者からの話として報じられたことから、将来的には選考レース化も検討している。
また、男女マラソン(選考会)は2006年以降の夏季アジア大会開催年と2007年以降の西暦奇数年と2008年以降夏季オリンピック開催年と2016年以降の夏季パラリンピック開催年は、それぞれの年に行われる世界陸上選手権大会・夏季五輪・アジア競技大会の代表選考会男女共通第4戦として位置づけられている(女子のみ一部を除き参考レース扱い。その場合は選考会議に判断がゆだねられる)。
計画当初から事務局は道路規制を7時間としていたが、それまでの一般的市民マラソンの制限時間は5-6時間で、公道を警備する警視庁は5時間を要望した。石原はニューヨークシティマラソン視察時に現地ランナーから「東京マラソンの制限時間は7時間にしてください」と要望され、東京マラソン事務局次長の遠藤雅彦は「7時間を一歩も譲るな」と担当者へ指示。折衝は難航するも石原の後押しなどから事務局の主張が採用されている。
都心部で最大7時間におよぶ大規模な交通規制が敷かれるため、沿線の大学受験、高校入試、タクシー運転手・物流配送業者など、少なからず影響を受ける関係者がいると懸念された。また、規制地域周辺では宅配便業者の一部が、当日中の配達時間帯指定に制限(指定不能または事前の遅延了解)をかけるなどといった生活の不便が発生している。
2022年の第15回大会(東京マラソン2021)では中央通りの須田町交差点 - 上野広小路交差点がマラソンコースに加わったことで秋葉原駅および末広町駅の乗降客が中央通りを横断できなくなるため、交通規制時間帯に秋葉原駅と昌平橋通りの妻恋坂交差点を結ぶシャトルバスが運行された。
「東京マラソン」の運営に際して、毎回約1万人の無償ボランティアが参加しており、約3万人の市民ランナーを約1万人の市民ボランティア達が支える大会となった。ボランティアは給水所などの市民ランナーへのサポート業務、沿道の見物客の案内・誘導を中心に携わっている。また、学生ボランティアと救急救命士によるAED隊が配備されている。「東京マラソン2009」にて浅草消防署は、怪我人の救護や火災発生時の即対応を目的に消防団及び東京浅草ロータリークラブなどのボランティア機関と連携して、消防特別警戒を実施した。またボランティアの育成に当たっては、大会設立のきっかけにもなった日本財団や、スポーツ・ボランティアの育成に力を入れている笹川スポーツ財団の支援を受けている。2016年大会までは先着順だったが、2017年大会からは完全抽選制となる。
「東京マラソン」との連動企画として、イベント「東京大マラソン祭り」が実施されている。
地元応援イベント・拠点イベント・公募・学生等イベントなどに区分され、 コース沿道の各所でランナーの通過に合わせた時間帯に屋台村や応援ウォーク、和太鼓や吹奏楽の演奏やドリーム夜さ来い祭りなど都内20か所以上で応援イベントが挙行される。
第1回・第2回大会は、「東京国際マラソン」の日程に準じた2月の第3日曜日に行われた。2009年の第3回大会は3月22日に繰り下げて開催された。またこの大会では女子についても代表選考レースとして実施する方向で調整を行うという。しかし3月中旬以降の開催ではトップ選手が参加しづらい事情もあることから、第4回大会以降では必要ならばコースも含めた変更も行われる可能性がある。第4回大会から第12回大会は2月の第4日曜日に実施されていた。
太字は変更されたコース。
東京都庁舎前→(都庁通り)→都庁南交差点→(南通り)→議事堂南交差点→(議事堂通り)→議事堂北交差点→【この間2017年以降のコースと同じ】→飯田橋交差点→(外堀通り)→水道橋交差点→(白山通り)→神保町交差点→【この間2017年以降のコースと同じ】→須田町交差点→(中央通り)→上野広小路交差点(折り返し)→須田町交差点→【この間2017年以降のコースと同じ。10kmコースは上野広小路へ行かず須田町から日本橋へ直行】→芝五丁目交差点→(第一京浜)→札の辻交差点付近(折り返し)→【以下2017年以降のコースと同じ】
東京都庁舎前→(都庁通り)→都庁北交差点→(北通り・都道新宿副都心8号)→新都心歩道橋下交差点→(青梅街道・靖国通り・外堀通り)→飯田橋交差点→(目白通り)→飯田橋一丁目交差点→(専大通り)→西神田交差点→(専大通り)→専大前交差点→(靖国通り)→須田町交差点→(中央通り)→日本橋交差点→(永代通り)→茅場町一丁目交差点→(新大橋通り)→浜町中ノ橋交差点→(清洲橋通り)→東日本橋交差点→(清杉通り)→浅草橋南交差点→(江戸通り)→蔵前一丁目交差点→駒形橋西詰→浅草寺雷門前→吾妻橋西詰→駒形橋西詰→蔵前一丁目交差点→(蔵前橋通り)→石原一丁目交差点→(清澄通り)→門前仲町交差点→(永代通り)→富岡八幡宮前(折り返し)→(同じルートを戻る)→蔵前一丁目交差点→(江戸通り・清杉通り・清洲橋通り・新大橋通り・永代通り)→日本橋交差点→(中央通り)→銀座四丁目交差点→(晴海通り)→日比谷交差点→(日比谷通り)→芝五丁目交差点→(第一京浜)→品川駅手前(折り返し)→芝五丁目交差点→(日比谷通り)→ 日比谷交差点→(晴海通り)→有楽町電気ビルヂング→(丸の内仲通り)→和田倉門→東京駅前・行幸通りフィニッシュ (42.195km)
東京都庁舎前→【この間2017年以降のコースと同じ】→専大前交差点→(専大通り・雉子橋通り・内堀通り)→飯田橋交差点→(内堀通り)→日比谷交差点→(日比谷通り)→芝五丁目交差点→(第一京浜)→品川駅手前(折り返し)→(第一京浜)→芝五丁目交差点→(日比谷通り)→ 日比谷交差点→(晴海通り)→銀座四丁目交差点→(中央通り)→日本橋交差点→【この間2017年以降のコースと同じ】→駒形橋西詰→浅草寺雷門前→吾妻橋西詰→駒形橋西詰→(同じルートを戻る)→銀座四丁目交差点→(晴海通り)→築地→(佃大橋・朝潮大橋・春海橋)→豊洲→東雲一丁目→(都橋通り)→東京ビッグサイト(江東区有明)フィニッシュ (42.195 km)
参加エントリーは男女マラソン、車いすマラソン、ジュニア&ユース及び障害者の10kmコースがある。コースは「東京国際マラソン」のものから大幅に変更され、通常は走ることのできない都心の車道を走行できる。
以下の参加資格内容は東京マラソン2023のもの。
下記、男女合計37,500人。
下記、男女合計500人。
チャリティランナー制度はワールドマラソンメジャーズの各大会に倣って2011年大会(第5回)から導入された制度である。通常の一般参加枠と異なり先着順となっている。指定の期間内に東京マラソン財団の定める寄付先団体に個人として10万円以上の寄付を行った希望者が対象。
チャリティランナーの寄付者数・寄付金額は以下の通り。下記の寄付者数はアクティブチャリティを含む。下記の寄付金額はチャリティランナー以外の寄付金も含む。
一般参加の部は前年6月〜8月に行われる事前エントリー後の抽選により出場者が決定される。毎回、定員以上の応募があり、倍率の高い抽選となっている。第14回より都民エントリーが始まった。第15回(2021年)は新型コロナウイルスにより3月から10月に変更になり、その後、更に2022年3月に延期になったうえ、海外居住者を断るなど、混乱が生じた。抽選倍率は以下の通り。
抽選の結果当選し、申し込みを完了した参加予定者は、前日まで開催されるプレイベント「東京マラソンEXPO」会場内にて受付を済ませてナンバーカード(ゼッケン)を受け取る形。大会当日の受付は行われない。これは、3万人規模の市民ランナーが参加するという日本では屈指の規模のため、当日の混乱を避ける措置である。
(以下全て日本時間表記)
スタートがスムーズにできるよう、ナンバーカードの順番は原則として自己申告の記録順である。海外の多くの大会とは違い、タイムは自己申告になっているので、速いタイムを申請すれば、その分速いブロックでのスタートになる。
ナンバーカードにより「A〜K」のスタートブロックが設けてあり、各自の指定ブロックは、ナンバーカードに印字してある。10kmはすべてEブロックになっている。AブロックはRUN as ONE - Tokyo Marathonの準エリートに割り当てられている。
※制限時間は号砲を基準とする。
テレビ中継は東京国際マラソンに引き続き、フジテレビ(FNS)と日本テレビ(NNS)が隔年で担当する。双方の局に関係する衛星放送(BS・CS)でも放送されているほか、ラジオ中継も両局に関連したラジオ局であるニッポン放送とアール・エフ・ラジオ日本が隔年(すなわち、フジテレビがテレビ中継を担当する年はニッポン放送、日本テレビがテレビ中継を担当する年はアール・エフ・ラジオ日本がラジオ中継を担当する)で中継を行っている。
2016年以前はフジテレビが奇数年(回)・日本テレビが偶数年(回)と固定されていたが、2016年6月29日の東京マラソン財団臨時理事会でローテーションの見直しが決定し、2017年から2020年は日本テレビが奇数年(回)・フジテレビが偶数年(回)を担当し2021年から2024年はフジテレビが奇数年(回)・日本テレビが偶数年(回)に戻ることになった。
なお、2021年大会については大会延期の関係上、本来ならば奇数年(回)で担当しているフジテレビではなく、偶数年(回)で担当している日本テレビが放送することになった。
地上波の全国ネットは第1部(選考会の部)のみである。第2回(2008年)以降は第2部を地上波ではキー局でのみ・CS放送にて、一般ランナーの部の最終フィニッシュまでのテレビ中継を行ってきたが、第11回(2017年)は日本テレビでの第2部のテレビ中継時間が大幅に短縮されるため、CS放送限定で一般ランナーの部の最終フィニッシュまでのテレビ中継を行った。なお、2021年大会以降、日テレジータスでは、「車いすの部」の完全中継を行う。
フジテレビや日本テレビに関わるクロスネット局では、それぞれの局が担当する回に、キー局で通常通り放送される通常番組を他日振替(番組の性質上後日放送不能な、生の情報番組の場合は臨時にネット返上)して放送を行う。
フジテレビでの放送に使われるテーマソングは、長らく『カルメン・第1幕への前奏曲(闘牛士)』(作曲:ジョルジュ・ビゼー)であったが、2023年の中継では『凛』(関ジャニ∞)が使用された。
筆頭スポンサーとして東京メトロが入っているため、通常は関東ローカルでしか放送されない東京メトロのCMが全国で放送されることも特徴の一つである。
各回の放送の詳細はそれぞれの記事を参照のこと。
前述の通り、ワールドマラソンメジャーズの1つにもなっていることから、海外でも放送・配信されており、第15回大会の場合はユーロスポーツ(ヨーロッパの63ヵ国と地域)とCanal+(アフリカの47ヵ国と地域)、Flo Sports(カナダとアメリカ)、Great Sports Media(中国)、ESPN International(中南米やカリブ、ブラジルの47ヵ国と地域)を通して、世界160の国と地域でも放送が行われた。
優勝者の氏名・国籍・所属は当時のもの。女子車いすマラソン部門は第2回大会から実施されている。また、同時開催された10km競技はコースがワールドアスレティックスの基準を満たしておらず公認記録とはならないためここでは割愛。 -数字-は優勝回数、 太字 は(当時の)大会記録。
特別協賛
その他の協賛(一部除きテレビ中継にも協賛)
過去の協賛
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