クラウン(CROWN)は、トヨタ自動車が1955年1月から製造・販売している高級乗用車である。
トヨタのみならず日本を代表する自動車のひとつであり、同社の中で最も古い歴史を持つブランドでもある。初代は日本初の純国産設計車として登場し、以降現在までトヨタの量販車種の中でも最上級モデルの地位を長く担い、「いつかはクラウン」というキャッチコピー(7代目)にも象徴されるように、一般に高級車として広く認知されている。当初からオーナードライバー向けの乗用車として開発され、その時代ごとにトヨタが提案をし、消費者が求める日本の高級車像が反映されてきた。また官公庁などの公用車、企業の社用車としても用いられている。
一方でステータス性のみならず、高い信頼性や耐久性、走行性能などから、タクシー、ハイヤー、教習車やパトロールカー、救急車といった業務用や特殊車両に使われることも多い。
ボディタイプはセダンが基本であるが、過去にはハードトップやステーションワゴン、ライトバン、ピックアップトラックも用意されていた。
歴代クラウンでの販売台数は、8代目が最多である。
1952年(昭和27年)から開発着手され、1953年(昭和28年)から発足したトヨタ独特の「主査制度」でマネージャー的立場に置かれた技術者の中村健也を主査として開発されたものである。国外メーカーとは提携せず、米国車の各コンポーネントを手本としながらではあるが、純国産設計で開発された。スタイリングはトヨタの社内デザインで、太平洋戦争後に高級車の象徴となった米国車の影響が濃厚であった。後部座席の乗り降りしやすさを重視した、観音開きのドアが車体構造上の特徴である。エンジンは1953年(昭和28年)に先行登場したトヨペット・スーパーから流用された水冷直列4気筒OHVのR型を採用し、排気量は1.5 L、出力は48 PSであった。コラムシフト(リモートコントロール式と称した)の3速手動変速機は、2、3速にシンクロナイザーを装備した。公称最高速度は100 km/h。
従来のトラックなどと共通の汎用フレームに代わる、低床の乗用車専用シャシを開発した。サスペンションは、フロントがコイルスプリングによるダブルウィッシュボーン式の独立懸架、リヤはリジッドアクスル(固定車軸)を半楕円リーフスプリングで吊る車軸懸架方式である。この時代の日本は道路の舗装率が低く、また、補修も追いつかない状況であったことから、日本製乗用車で独立懸架の採用はほとんどなく、トヨタでも1947年(昭和22年)のトヨペット・SAで採用したが不成功で、その耐久性が懸念されていた。クラウンでは長期間の走行実験によりこれを克服し、悪路に耐えうる水準の独立懸架を実現している。また後車軸は固定車軸となったが、東京大学教授の亘理厚らによる研究成果を活かし、重ね板ばねの枚数を少なくして板間摩擦を減らすことで乗り心地を改善した「3枚ばね」とした。このためショットピーニングによるばね鋼の強化処理やショックアブソーバーの併用など、以後、常識化した技術が導入されている。
トヨタ初の本格的なプレス製造による量産を行うため、元町工場に当時最新鋭のアメリカ・ダンリー社製プレス機を14台導入した。このプレス機は現在でもトヨタ産業技術記念館に展示されている。
一方、タクシー向け営業車や商用車では、クラウンの独立懸架シャシに依然として耐久性への懸念があった。そこでトヨタでは、傘下の関東自動車工業に設計を依頼し、並行してセダン型の「トヨペット・マスター」、そしてライトバンとピックアップトラックの「トヨペット・マスターライン」が開発され、同社で生産された。これらは前後輪ともばね枚数の多いリーフスプリングで固定軸を吊った構造とし、トラック同様の高い強度の足回りを持たせたうえで、パワートレーンなどはクラウンと共通とした。しかし、クラウンがタクシー用途に導入されると独立懸架の耐久性に問題がないことが判明し、タクシー会社からも好評であったため、マスターは短期間で生産が中止され、マスターラインも後にS20系クラウンと共通のボディへ変更された。予想外の短期間で廃止となったマスターのプレス型は、初代スタウトや初代コロナのボディに多くが流用され、損失を最小限に抑えた。
初代クラウンの生産終了前月までの新車登録台数は15万3528台。
新しい小型車規格に合わせ、先代より長く幅広いボディが与えられた。スタイリングは当時のアメリカ車の影響を強く受けた「フラットデッキスタイル」と呼ばれるものであり、1960年に登場したフォード・ファルコン(Ford Falcon)が直接の手本とされた。「涙目」と呼ばれるテールランプと一体化したバックアップランプ、トヨタの頭文字である「T」をモチーフとしたジュラルミン製のフロントグリルとリアガーニッシュが特徴。フロントグリルに取り付けられる「王冠エンブレム」はこの世代のデザインのものが、11代目まで長らく使用された(12代目以降、一部手直しを受けている)。
一方性能面では、高速道路整備が始まった「ハイウェイ時代」に対応できる自動車としての根本改良が図られた。シャシは初代の低床式梯子形から、より剛性の高いX型プラットフォームフレームとなったが、このレイアウトのシャーシフレームは1957年にゼネラルモーターズがキャデラックに導入、翌1958年にはポンティアックとシボレーにも採用していたもので、1960年代中期にペリメーターフレームに変更されるまで続いた。フォード類型のスタイリングと並び、メカニズム面でもアメリカ車の影響がいまだ強かったことをうかがわせる。エンジンは直列4気筒OHVの3R型(1.9 L)を引き続き搭載したが、エンジンルームは当初から直列6気筒エンジンの搭載が容易な設計とされていた。直列6気筒のM型エンジン(トヨタ初のSOHCエンジンでもあった)搭載車は、1965年11月に発売されている。
バリエーションはセダン(RS40/RS41)に加え「カスタム」と呼ばれるワゴン(RS46G)が加わり、いずれにも半自動トヨグライドが設定された。カスタムはS40系マスターラインのバンと車体を共用していたが、内装を乗用車と同等とし、荷室に2名分のジャンプシート(床収納式の補助座席)を備えていた。
第1回日本グランプリでは多賀弘明がクラス優勝している。韓国の新進自動車(現:韓国GM)でもノックダウン生産されており、新進による生産はその後「クジラクラウン」まで続くこととなる。
この代から、CMキャラクターに俳優の山村聰が起用され、4代目の発売時を除いて1983年の6代目まで、長年に渡り続いた。
先代よりも低く、長くなったスタイリングは「日本の美」をテーマとしたもので、トヨタ自動車工業が前年に完成させたデザイン・ドームから生まれた最初の車種である。この代から、その後、歴代のクラウンにおいて長年伝統となったペリメーターフレームが初めて採用された(ペリメーターフレームはこの直前からGMが広く採用した方式である)。これによって床が低くなり、曲面ガラスの採用とあいまって居住性が向上している。また静粛性向上策として、遮音材の多用をはじめとした各種対策を施し、広告でも車内の静かさを強くアピールした。
先代をもってマスターラインは廃止され、商用車系(バン、ピックアップ)にもクラウンの名が与えられるようになる。「バン」とステーションワゴンの「カスタム」は共通の車体であったが、内外装、装備、最終減速比の差の他、バックドアでも差別化が図られている。リヤウインドウはどちらも昇降式であるが、バックドアはバンがピックアップと同様の下開きであるのに対し、カスタムでは右側にヒンジのある横開きとされた。さらに、荷室にジャンプシート(床収納式の補助席)が設けられ、8人乗りとなっている。
グレードはM型エンジン搭載車が「クラウンS」、「スーパーデラックス」、「デラックス」、「オーナーデラックス」、「スタンダード」、5R型エンジン搭載車は「オーナースペシャル」、「スタンダード」という構成で、完全に6気筒モデルが中心となった。スーパーデラックスには電磁式トランクオープナーや完全自動選局式AM/FMラジオ、音叉時計、後席専用の読書灯、防眩ぼかし入りフロント合わせガラスといった豪華装備のほか、安全装備としてヘッドレストが採用されている。また、新設された「オーナーデラックス」は個人ユーザー層をターゲットとしたグレードで、デラックスに準じた内外装や装備を持ちながら、88万円(東京・大阪店頭渡し)という、当時の高級車としては低廉な価格が設定された。
販売面では、公用車や社用車向けと言ったイメージからの脱却を図るべく、クラウンを自家用車として使用する個人ユーザー層へ向けた広告展開が行われる。1965年に車体色に関する規制がなくなったことを受け、「白いクラウン」のキャッチフレーズと共に、洗練された高級感を想起させる白をテーマカラーとした「オーナーデラックス」と、クラス初、クラウン初となる2ドアハードトップをイメージリーダーとして訴求するキャンペーンが実施された。
3代目の生産終了前月までの新車登録台数の累計は27万7641台。
ボディバリエーションは4ドアセダン、2ドアハードトップ、カスタム(ワゴン)、バンの3種となった(車両型式はハードトップがS7#系、それ以外がS6#系)。このモデルからは「トヨタ・クラウン」となる。
「スピンドル・シェイプ(紡錘形)」と呼ばれる、丸みを帯びたスタイルから「クジラ」の愛称を持つ。三角窓を廃して曲面を多用した車体や、バンパーをボディー同色としたカラードバンパーの標準装備を特徴とする、斬新で革新的なスタイリング(渚徹の作によるもの)が、登場当初は歓迎された。しかし、ボディー先端を絞り込んだデザインによってエンジンルームへの通風が不足し、夏季にオーバーヒートが続発したことや、ボディーの先端形状の見切りの悪さから、取り回しに支障が出たことによる不評が相次いだ。これらが要因となって、同時期にモデルチェンジしたセドリック/グロリアに販売台数で逆転されたことから「クラウン史上唯一にして最大の失敗作」と紹介されることが多いものの、「スピンドル・シェイプ」のスタイリングは、「クジラ」の愛称とともに、現在でも根強い人気を持つ。
この代からは、セダン・ハードトップの両方に「スーパーサルーン」が最上級グレードとして新たに設定された。その他は先代を引き継ぎ、「スーパーデラックス」「デラックス」(セダン・ハードトップ共通)「オーナーデラックス」(セダンのみ)、「SL」(当初はハードトップのみで、マイナーチェンジ時にセダンにも設定された)「ハードトップ」というグレード構成となった。またバンにも「デラックス」が設定されている。装備面ではオプションとして後輪ESC(現在のABS)・EAT(電子制御式自動変速機)が「SL」に設定されたほか、オートドライブを「SL」「スーパーサルーン」「スーパーデラックス」にオプション設定したこと、VIP顧客向けに電動リクライニング式リアセパレートシート(このオプションを選択した際は、リアシートが3人掛けから2人掛けとなる)が採用されたことが挙げられる。さらに、世界で初めてアイドリングストップ機能が搭載され、EASS(Engine Automatic Stop and Start System)の名でMT車にオプション設定された。また、歴代クラウンでは唯一、ボディーカラー名には「墨花(ぼくか:ブラック)」「白鳳(はくほう:ホワイト)」「荒磯(あらいそ:ブルー)」と、センチュリーと同じように漢字の名称を使用した。
広告などで使用されたカタカナ表記の『クラウン』ロゴは、この代から8代目のS13#型まで同じ書体を使用していた。また、14代目(2018年生産終了)まで使用されて来たCピラーのクラウンエンブレムが最初に登場した世代でもある。
テレビドラマ『素敵な選TAXI』では、本型式のマイナーチェンジ後のセダンが『選TAXI』に起用されている。
4代目の販売終了前月までの新車登録台数の累計は28万7970台。
失敗作であった先代の曲線基調から、直線基調の重厚感を強調したスタイリングに改められ、キャッチフレーズも「美しい日本のクラウン」(1974年型)、「美しい日本の新しいクラウン」(1976年型)と、保守的なイメージをより強調するものとなった。ボディバリエーションはこれまでの4ドアセダン、2ドアハードトップ、ワゴン、バンに加えて、「4ドアピラードハードトップ」が加わった。2ドアハードトップと共通するデザインを持たせながらも、センターピラーを残すことで安全性に配慮。
この代からセダンは法人ユーザー向け、4ドアピラードハードトップ、2ドアハードトップは個人ユーザー向けというまた、2.6 L車の最上級グレードに「ロイヤルサルーン(Royal Saloon)」のグレード名が初めて与えられた。
同時期の国産他車種の例に漏れず、排ガス規制に翻弄されたモデルである(車両型式も初期のうちはハードトップがS9#系、それ以外のモデルがS8#系であったが、排ガス規制に適合するうちにボディータイプに関係なくS10#系に統一されていった)。4輪ディスクブレーキの新採用(2600ロイヤルサルーン)、車速感応式パワーステアリング、世界初のオーバードライブ付き4速オートマチックなどの新装備が設定された。なお、先代から設定されたESC(ABS)は新設計となり、作動時のフィーリングを向上させている。
なおタクシー用の「スタンダード」は、当時まだ大型であったタクシーメーター対応インパネで、スピードメーターの左隣にタコグラフがビルトイン装着可能。吊り下げ式クーラーがオプション設定。カタログなどで使用された英字表記の『CROWN』ロゴは、この代からS170系まで同じ物が使われた。
5代目の販売終了前月までの新車登録台数の累計は40万4699台。
キャッチコピーは「日本の薫り」、「クラウンは人を語る」(1979年型)、「ちょっと誇らしく」(1981年型)。スタイルはより直線的でスタイリッシュなイメージとなった。2800 cc車には、4代目のS6#型以来となるカラードバンパー(衝撃吸収式)が装備され、デザイン面でのアクセントとなった。運転席パワーシート、クルーズコンピューター、電子チューナー搭載オーディオなどの先進的な設備も採用され、「トーニング」と呼ばれる2トーンのボディーカラーも設定された。
威圧感の有るフロントマスクから「鬼クラ」の愛称でも親しまれた。
初期型のヘッドライトはハードトップが異型2灯式、セダン(スタンダードは除く)ワゴンは角型4灯式、セダンのスタンダード、バンは丸型4灯式。2ドアハードトップはこの世代を最後に廃止される。また2ドアハードトップには、ルーフ後部をレザー貼りとしたランドウトップがオプション設定されていた。
6代目の販売終了前月までの新車登録台数の累計は32万6891台。
ボディバリエーションは2ドアハードトップが廃止され、4ドアハードトップ、4ドアセダン、ワゴン、バンの3種類となる。セダン・4ドアハードトップ共に、先代のS11#型をより洗練させ、曲線を取り入れたデザインと「クリスタル・ピラー」と呼ばれるCピラー周りの樹脂処理がスタイリングの特徴である。4ドアハードトップはドアミラー、セダンはフェンダーミラーを採用した。石坂浩二のCMナレーションによる「いつかはクラウン」のキャッチフレーズは、このモデルで使用されている。
小型自動車の寸法要件が改正された(前端オーバーハング0.8 m以下+軸距2.7 m以下+後端オーバーハング1.2 m以下→全長4.7 m以下)ため、このモデルよりホイールベースが延長されている。4ドアハードトップ・セダン共に、最上級グレードとして「ロイヤルサルーンG」が設定される(搭載エンジンは5M-GEU(2.8 L)で型式はMS123)。また5ナンバー車にも、2.0 Lの1G-GEUを搭載した「ロイヤルサルーン」が設定され、この3グレードには、リヤサスペンションに独立懸架のセミトレーリングアーム式サスペンションが採用された。また、2.0 Lの「ロイヤルサルーン」にはパッケージオプションとして、スポーティータイプの足回りを持つ「Sパッケージ」も設定された。
特別仕様車として、前期型のみ「エクレール」が先代に引き続いて設定された。さらにSパッケージと同等の足回りとフロントスポイラーを装備した特別仕様車「アスリート(Athlete)」が登場、マイナーチェンジ後(1G-GZEU)も特別仕様車として設定された。LPG仕様の営業車モデルにも最上級グレードとなる「スーパーデラックス」が追加された。
海外向けには従来からセダンの最大排気量モデルが輸出されていたが、中東・ガルフ地域へはハードトップもこの代から加わった。
7代目の販売終了前月までの新車登録台数の累計は53万9485台。
ハードトップ:1987年 - 1991年
セダン:1987年 - 1991年
セダン一次改良車: 1991年 - 1995年
キャッチコピーは「満たされて、新しいクラウン。」(1987年型)、「いつかはクラウンに、その想い、今こそ…」(1989年型)。
この1989年型のキャッチコピーにより、「いつかはクラウン」の略で「いつクラ」と呼ばれた。
4ドアハードトップのみに3ナンバー専用の「ワイドボデー」がラインナップ。先代までのバンパーのみならずドアやフェンダーも3ナンバー車専用とした。デザインは直線的な先代の面影を色濃く残しながらも、Cピラーの化粧板(クリスタル・ピラー)がなくなり、曲線を巧みに織り交ぜたものとなった。先代同様に個人ユーザー向けの4ドアハードトップはドアミラーが標準なのに対し、法人ユーザー向けのセダンはフェンダーミラーが標準。
装備・技術面ではエアサスペンション(ロイヤルサルーンG)、トラクションコントロール、CD-ROM情報によるカーナビゲーション機能を持ったエレクトロマルチビジョンなどが採用された。
グレードは、4ドアハードトップは「ロイヤルサルーンG」「ロイヤルサルーン」「スーパーサルーンエクストラ」「スーパーセレクト」「スーパーエディション」。セダンは「ロイヤルサルーンG」「ロイヤルサルーン」「スーパーサルーンエクストラ」「スーパーサルーン」「スーパーデラックス」「デラックス」「スタンダード」。ステーションワゴンは「ロイヤルサルーン」「スーパーサルーンエクストラ」「スーパーデラックス」。2.0 L車のみスーパーチャージャー搭載のグレードが存在した(2000ロイヤルサルーン・スーパーチャージャー)。インパネデザインはパーソナルインパネとフォーマルインパネの2種類があり、前者が4ドアハードトップ、後者がセダンと4ドアハードトップのコラムシフト車で選択できた。 ホイールデザインは6種類あり、上位2種類はアルミホイールでその他はスチールホイール。ワイドボデーは全グレード15インチアルミホイール、ロイヤルサルーン(ハードトップの5ナンバー及びセダン)が14インチアルミホイール、その他は14インチスチールホイール(オプションで14インチアルミ装着可能)だった。フロントグリルとリアのエンブレムは4.0 L車には「V8」、3.0 L車には「3.0」、2.5 L車には「2.5」のエンブレムが付く。2.0 L車には排気量のエンブレムは付かない。海外輸出は、セダン系が主でアジア・中東・アフリカ向けにロイヤルサルーンが用意されたほか香港・シンガポール・中東の一部の地域で何れも4ドアハードトップ3000ロイヤルサルーンの輸出がある。
当時のバブル景気と販売時期が重なり、月間販売台数で一時カローラを上回る。年間販売台数も、1988年 - 1990年は日本車の販売ランキングでカローラ、マークIIに次ぐ第3位を記録し、1990年は歴代・過去最高の23万9858台を記録した。 特に4ドアハードトップが人気で販売台数が多かった。
キャッチコピーは「すべては、クラウン。」。この代から全車3ナンバーサイズとなる。この代から4ドアハードトップは「ロイヤルシリーズ」と呼ばれ、アスリートLに代わるスポーティーグレードとして「ロイヤルツーリング(Royal Touring)」が登場し、5速ATを搭載。また、新たに上級モデルとして先代の4000ロイヤルサルーンGから進化した「クラウンマジェスタ(CROWN MAJESTA)」が発売され、クラウン史上初のモノコックボディを採用。引き続きハードトップにはオプションで、マジェスタには標準で運転席エアバッグが装着された。ロイヤルシリーズは従来通りフルフレーム構造。セダン、ワゴン/バンについては、先代の130系をマイナーチェンジして継続生産された、このクラウンは歴代モデルで唯一窓枠付きのセダンが存在しない。この代からフロントフェンダーにグレード名のエンブレムは付かなくなった。グレードは、「ロイヤルサルーンG」「ロイヤルサルーン」「ロイヤルツーリング」「スーパーサルーンエクストラ」「スーパーセレクト」。先代まで存在した最廉価グレードの「スーパーエディション」は廃止された。 ロイヤルシリーズの初期型は、先代モデルに比べて押し出し感を少なくしたデザインが不評であったことから、4代目のS6#/7系以来の「失敗作」というレッテルを貼られ、同時期に登場したY32型セドリック/グロリアに販売台数で苦戦を強いられていた。また、近年はエコカー減税のスクラップインセンティブによる解体処分や海外への中古車輸出により、日本国内では希少な存在となりつつある。
9代目の販売終了前月までの新車登録台数の累計はマジェスタと合算して37万921台。
キャッチコピーは「美しく、走る。日本のクラウン。」。この代からロイヤルシリーズにもフルモノコックボディーを採用。これにより、先代モデルと比較して100 kg以上の軽量化となる。保守的な流れを汲みながら運動性能の重視へと方針転換が明確に現れたモデルである。3 L車は2JZ-GE(VVT-i)エンジン搭載。 ハードトップ(個人向け、その他)、セダン(法人・公用車、キャブ仕様、その他)のフルラインナップ化(ロイヤルサルーンG-スタンダード)を果たす。コスト削減が図られ、ロイヤルサルーンGにあったエアサスペンションは廃止され、プラットフォームはマジェスタとともに90系マークIIのものと共用することとなった。この代をもってピラードハードトップは最後になった。グレードは「ロイヤルサルーンG」「ロイヤルサルーン」「ロイヤルツーリング」「ロイヤルエクストラ」。主力となる4ドアハードトップはグレードが整理され、廉価グレードは全て「ロイヤルエクストラ(Royal Extra)」に統一された。海外輸出はセダン系が多い中で、アジアの一部地域(香港・シンガポールなど)に少数のハードトップの輸出もある。
セダンは継続生産される。
キャッチコピーは「21世紀へ。このクラウンで行く。」。ボディ剛性向上のため、5代目から続いていた4ドアピラードハードトップを廃止し、ドアサッシュ(窓枠)を持つ4ドアセダンのみとなった。型式は「S16#型」が2代目アリストで使われていたため欠番となり、先代S15#型から飛んでS17#型を名乗る。
スポーティードレスアップグレードに「アスリート」の名称がS13#型以来8年ぶりに復活し、S12#型以来14年ぶりにターボ搭載車も加わった。アスリートの登場によって2世代続いたロイヤルツーリングは廃止された。ロイヤルシリーズが「ロイヤルサルーンG」「ロイヤルサルーン」「ロイヤルエクストラ」。アスリートシリーズが「アスリートG」「アスリートV」「アスリート」。アスリートVには、ソアラと共通の280PS / 38.5kg-mを発生する2.5 L DOHCターボの1JZ-GTEを搭載。ヘッドランプではロイヤルが従来のリフレクターとカット入りレンズとなる。ディスチャージヘッドランプはアスリートに設定された。なお、ディーゼルエンジン搭載車ならびにMT車は民生/警察車両問わずこの代で消滅した。
ステーションワゴンが新規開発され、名称もクラウンエステートに改称(1999年12月から2007年6月まで販売された)。
2001年8月には42 Vの電装系を搭載したクラウン マイルド ハイブリッドが発売された。
香港・タイ・マレーシア・シンガポール・インドネシアなどに右ハンドル仕様の正規輸出実績がある。クラウンセダンは2001年8月まで先代のS15#型が継続販売。
「ZERO CROWN〜かつてゴールだったクルマが、いまスタートになる〜」(前期)「そのクルマに終着点は無い。終わりの無い進化だけがある。ZERO CROWN、第2章。」(後期)という広告でのキャッチコピーから、「ゼロクラウン」と通称される。プラットフォーム、エンジン、サスペンションといった主要コンポーネントが刷新され、プラットフォームは新開発のNプラットホームに、エンジンは長く使われた直列6気筒に代わり、より静音性能、環境性能を高めたV型6気筒のGRエンジンに切り替えられた。変速機は2.5 Lが5速AT、3.0 Lはシーケンシャルシフト付の6速ATが搭載された。このモデルで採用されるNプラットフォームは、マークX、クラウンマジェスタ、レクサス・GS(S19#型)でも採用されている。スポーティーで流麗なスタイリングも大きな特徴となり、長く続いたクラウンの保守的なイメージを一新するものとなった。エンブレムの書体も変更されている。
月間目標販売台数は、「ロイヤル」と「アスリート」を合わせて5000台。
キャッチコピーは「超えてゆく、ブランド。」月間販売目標は3シリーズ合わせて5500台で、うち800台はハイブリッドである。従来の「ロイヤルシリーズ」は「ロイヤルサルーンシリーズ」となった。これは廉価グレードであった「ロイヤルエクストラ」が廃止されたためである。型式番号はS19♯がレクサス・GSであるためS20#型となる。外観は先代の18#型のイメージを踏襲しつつ、よりシャープにさせた曲線的なデザインとなった。リヤのエンブレムの配置も変更され、6代目から12代目までは右側にCROWN、左側にグレード名だったが、13代目から右側にグレード名、左側にCROWNという配置となった。ディスチャージランプはプロジェクター化される。リヤはバンパー・マフラーが一体化した構造を採用。ハイブリッドモデルには、世界初となる全面液晶パネルを使用したグラスコックピットメーターの「ファイングラフィックメーター」が搭載された。ロイヤルサルーンの4GR-FSE(2.5 L)車には、東京都内の個人タクシー向けに、後部プライバシーガラスを装備しない「Kパッケージ」(東京トヨペット管内のみ販売)がある。また、ハイヤー向けには、リヤパワーシートや助手席オットマン機能付シートを標準装備とした「Hパッケージ」が設定されている。
13代目の販売終了前月までの新車登録台数の累計は21万567台。
2012年12月発売型のキャッチコピーは「CROWN Re BORN」。シリーズは先代に引き続き2構成。先代の「ロイヤルサルーンシリーズ」は廉価グレード「ロイヤル」の新設に伴って「ロイヤルシリーズ」に戻されるとともに、3.0 Lモデルを廃止。これにより、シリーズ最上級グレードの「ロイヤルサルーンG」も2.5 Lとなった。 「アスリートシリーズ」は継続設定となった3.5 Lモデル(「アスリートS」・「アスリートG」に設定)に組み合わされる「Super ECT」が6速から8速に多段化され、パドルシフト付となった(同時にブリッピングも搭載)。また、先代では独立シリーズとして展開していたハイブリッドモデルは「ロイヤル」、「アスリート」両シリーズに設定される形で編入。エンジンは排気量を3.5 L(2GR-FSE型)から2.5 Lにダウンサイジングし、カムリに搭載されている2AR-FXE型をベースに新世代直噴技術「D-4S」を搭載して直噴化、縦置きとした新開発の直列4気筒・2AR-FSE型に変更(4気筒エンジンは10代目の2.4 Lディーゼルで途絶えて以降、久々の採用となる。また3.5 Lハイブリッドは後にマジェスタシリーズに搭載された)。これに、300 N・mの最大トルクを持つモーターを組み合わせた「後輪駆動車専用ハイブリッドシステム」としたことでV6・3.0 Lガソリン車に匹敵する動力性能を持つとともに、JC08モードにおける燃費性能を14.0 km/Lから23.2 km/Lに大幅向上。さらに、顧客の拡大やハイブリッドカーのさらなる普及を視野に、車両本体価格の大幅値下げを行った(540万円〜620万円→410万円〜543万円)。
先代からプラットフォームをキャリーオーバーし、エクステリアは基本部分をキープコンセプトとしつつも、フロントマスクを刷新。フロントはバンパーレベルまで回り込む大型のラジエーターグリルを全車に装着するが、ロイヤルシリーズが車名の由来でもある「王冠」を意識してデザインされている反面、アスリートシリーズはそれに加えて稲妻のような切れ込みを下部に加えることでスピード感を演出。今までのクラウンから逸脱した仕上がりとなった、また、ヘッドライトには両シリーズともLEDクリアランスランプを採用した。
インテリアには新たに「トヨタマルチオペレーションタッチ」が採用され、エアコンや前席シートヒーター、全車に標準装備となる「ドライブモードセレクト」等を全てここから操作できるようになっていると同時に、運転席ドアオープン時にはグラフィックが点灯してドライバーを迎える「おもてなし演出」も搭載されている。また、ハイブリッド車全車にはステアリングヒーターを標準装備としている。また、下位グレードのロイヤルとアスリートはオーディオレスが標準となり、ロイヤルサルーンとアスリートS(3.5 Lを除く)ではレス設定が可能になった(2016年8月の一部改良でこの設定は廃止)。先代ハイブリッドシリーズで採用されていたファイングラフィックメーターは今回は採用されていない。
安全装備についてはいずれもトヨタ車初となる、最大30 km/h程度減速し、衝突を回避あるいは衝突の被害を軽減する新型プリクラッシュセーフティシステム、過度のアクセルワークによる衝突や障害物との接触を未然に防ぐ「インテリジェントクリアランスソナー(ICS)」、シフト誤操作や急発進などによる事故を未然に防ぐ「ドライブスタートコントロール(DSC)」、夜間にハイビームを保持しつつ、前方車両に当たる部分を自動遮光して良好な前方視界を確保する「アダプティブハイビームシステム(AHS)」がグレードに応じて設定される一方で、ハイブリッド車全車に衝突時の歩行者頭部の衝撃緩和を促すポップアップフード(ボンネット)を標準装備した。
今回のフルモデルチェンジを機に、パーキングブレーキは「作動」に加え、「解除」も足踏み式に変更された。
発表会ではピンクのクラウンが登場し、公式ホームページのトップ写真にも「※ボディカラーは、2013年末に発売を予定している特別色です」と記載されていた。ピンク色のボディカラーは『ドラえもん』に登場するひみつ道具の「どこでもドア」をモチーフとしている。
2012年12月25日に公式発表し、同日より販売開始。ハイブリッド車は2013年1月下旬より生産開始された。
同年7月26日に、前述のピンクのクラウンに関して、同年9月1日から30日までの1か月限定で注文の受付を行うと発表。そして、同年8月30日に特別仕様車「アスリートG"ReBORN PINK(リボーン ピンク)"」・「アスリートG i-Four"ReBORN PINK"」として公式発表された。ハイブリッド車の「アスリートG」とガソリン・四輪駆動車の「アスリートG i-Four」をベースとしており、インテリアにおいては本革シート表皮、ドアオーナメント、センターコンソール、フロントセンターアームレスト、シートベルト、インストルメントパネルアッパーに特別設定のホワイトを採用し、ブラックの内装色との組み合わせによりより明快なコントラストを生み出したほか、演出家のテリー伊藤がカラーコーディネートを手掛け、メーター指針とスイッチ(ハイブリッド車はパワースイッチ、ガソリン車はエンジンスタートスイッチ)にピンクを、ステアリングオーナメント・スマートキー/カードキー・HDDナビゲーションオープニング画面の各王冠マークにはピンクさし色を、ドアアームレスト・インストルメントパネルサイド・ステアリングホイールにはピンクステッチをそれぞれ施すことで、上質で特別感がある室内空間とした。なお、特別設定色のボディカラーは「モモタロウ(カラーコード:3T4)」という名称がつけられた。生産は同年12月より開始予定で、納車開始のタイミングは仕様・地域により異なる。
同年9月9日に「クラウンマジェスタ」が6代目にフルモデルチェンジされたが、これまでの派生車種の位置づけからシリーズ名(「マジェスタシリーズ」)の位置づけに変わったことで3構成となった(6代目「マジェスタ」は「ロイヤル」をベースにホイールベースを延長したものである)。
同年10月2日に、9月末で受注受付を終了した特別仕様車「ReBORN PINK」について、約650台の受注があったことを発表。うち、約9割以上にあたる約610台がハイブリッド車の「アスリートG"ReBORN PINK"」であった。
2014年7月9日、トルセンLSD付トランスファーと新開発のハイブリッドトランスミッションを採用した、トヨタとしては初となるハイブリッドフルタイム四輪駆動車を設定。「ロイヤル」シリーズには「ロイヤル Four」・「ロイヤルサルーン Four」・「ロイヤルサルーンG Four」、「アスリート」シリーズには「アスリート Four」・「アスリートS Four」・「アスリートG Four」の各3グレードが用意される(なお、「マジェスタ」シリーズにも同日「マジェスタ Four」が設定された)。併せて、特別仕様車「Black Style」を発売。ハイブリッド車の「ロイヤルサルーン」・「ロイヤルサルーン Four」・「アスリートS」・「アスリートS Four」をベースに、「ロイヤルサルーン/ロイヤルサルーン Four」ではフロントグリルの格子部分をブラックに、フレームなどのメッキ部分をスモーク加飾にそれぞれ変更し、内装色をブラックに統一することで上質さを表現。一方、「アスリートS/アスリートS Four」では、フロントグリルの格子部分をピアノブラック塗装に変更し、ブラックスパッタリング工法(銀白色の金属であるクロム原子を真空中で付着させる工法)塗装を施した18インチアルミホイールを特別装備。オプションで専用本革シート(テラロッサ)を設定した。また、「Black Style」全車共通で雨滴感応式オートワイパーや自動防眩インナーミラーも特別装備した(オーディオレス選択時を除く)。
2015年1月7日、2014年7月30日から放映されているテレビCMに登場している空色及び若草色のクラウンについて、2015年4月1日から1か月間の期間限定で注文の受付を行うことを発表。そして、2015年3月25日に誕生60周年記念特別仕様車「アスリートS/アスリートS Four"空色edition"」・「アスリートS/アスリートS Four"若草色edition"」として公式発表した。ハイブリッド車の「アスリートS」・「アスリートS Four」をベースに、特別仕様車「Black Style」に採用されているブラック塗装(格子部分)とスモークメッキ枠を施したフロントグリルやブラックスパッタリング工法により塗装を施した専用18インチアルミホイールに加え、ボディカラーに「空色(カラーコード:8V7)」・「若草色(カラーコード:6W5)」(正式名称は「ルミナスグリーンマイカメタリック」)を特別色として設定したほか、内装は本革シート表皮&ドアトリム、インストルメントパネルアッパー、シートベルト、センターコンソール&オーディオカバー、フロントセンターアームレストをホワイトで統一し、ステッチもボディカラーに合わせて「空色」又は「若草色」のステッチを施した。装備面ではドライバーサポートパッケージ(雨滴感応式オートワイパー・自動防眩インナーミラー)とラゲージドアイージークローザーを装備した。なお、生産開始は同年6月を予定しており、「ReBORN PINK」の時と同様、納車開始のタイミングは仕様や地域によって異なる。なお、第56回中日クラウンズでは、「アスリートS"空色edition"」が優勝副賞、「アスリートS"若草色edition"」が17番ホールのホールインワン賞の賞品としてそれぞれ用意された。
2015年8月、ここまでの新車登録台数の累計が14万9638台。2015年10月1日、マイナーチェンジ。「アスリート」シリーズはフロントグリルに立体メッシュ形状を採用すると共に、グリル枠は低重心を強調するためフロントバンパー下端まで伸ばし、グリル両側のバンパーはコーナーへの張り出しと後方へ向かう立体的な造形とした。ヘッドランプは1灯の光源でハイビームとロービームの切り替えが可能なBi-Beam LEDヘッドランプに変更し、デイライト機能付面発光LEDクリアランスランプを追加。リアランプは一回り大きなリング形状となり、内装にはメノウ積層柄加飾パネルを採用した。「日本生まれ・日本育ちの高級車」を強調すべく、キャッチコピーは「CROWN JAPAN!」と変更し、「アスリートS」系と「アスリートG」系のパッケージオプションとして、「天空
2016年8月29日、トヨタ店創立70周年記念特別仕様車「J-FRONTIER」を発売。「アスリートS-T」、「アスリートS」、「アスリートS Four」をベースに、フロントグリルとリアライセンスガーニッシュにサテンメッキ仕様、本革巻き4本スポークステアリングホイールにブラックレイヤーウッド(本木目)をそれぞれ採用するとともに、シート表皮は「ウルトラスエード」と本革のコンビシートを採用。内装色は特別設定色の「モスグレー」を採用した。併せて、一部改良も行い、歩行者検知機能付衝突回避支援型プリクラッシュセーフティやレーダークルーズコントロール、オートマチックハイビーム(ロイヤルサルーンG及びアスリートG/G-Tはアダプティブハイビームシステム)、レーンディパーチャーアラートで構成された衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」を全車標準装備した。また、「ITS Connect」はこれまで設定が無かった「ロイヤル」「アスリート」でも装備可能になり、「ロイヤルサルーン」及び「アスリートS」に設定されていたオーディオレス仕様は本変更で廃止された。
2017年8月28日、特別仕様車「J-FRONTIER Limited」を発売。前年に発売された「J-FRONTIER」をリファインして設定されるもので、フロントグリルを漆黒メッキに、特別設定の内装色を「アイアンブラック」にそれぞれ変更。これに加え、フロントフォグランプベゼルをブラックに変更し、インパネ・ドアトリム・センターコンソール・シフトノブにブラックレイヤーウッド調加飾を、アクセルペダルとブレーキペダルにアルミペダルをそれぞれ施し、アクセルペダル踏み間違い時の衝突被害軽減に寄与するインテリジェントクリアランスソナーを追加。また、「アスリートS"J-FRONTIER Limited"」と「アスリートS Four"J-FRONTIER Limited"」はフロントの王冠エンブレム・Bi-Beam LEDヘッドランプ(オートレベリング機構付)・リアライセンス・LEDリアコンビネーションガーニッシュをダークスモークメッキに、LEDリアコンビネーションランプのエクステンションサイド部をブラックにそれぞれ変更。「アスリートS-T"J-FRONTIER Limited"」はリアバンパーロアスポイラーをブラックに変更し、前席シートヒーターを特別装備した。
2018年4月26日をもってオーダーストップとなり、その約1か月後に生産終了。後述する15代目へのフルモデルチェンジまでの間は在庫分販売となった。なお、パトカー仕様については2020年末まで継続生産された。
キャッチフレーズは「CROWN BEYOND」。14代目クラウンのユーザー層は50〜60代がメインであったが、30〜40代の輸入車を好む比較的若い層にもクラウンを訴求するため、「TNGA」に基づく「GA-Lプラットフォーム」を採用。シャシーをニュルブルクリンクで鍛え上げて「走る・曲がる・止まる」といった車両性能を大きく進化させて、スタイリングとともにスポーティなセダンとしての生まれ変わりが図られた。
また車載通信機DCMを全車に標準搭載し、「初代コネクティッドカー」を標榜している。
ボディカラーは、新しいお客様が付いてきてくれないという理由で、先代で設定されたピンクなどの色は継続されなかった。
ボディサイズは先代「クラウン アスリート」と比較して全長は+15 mm、全高は2WD車が+5 mm(4WD車は変更無し)とそれぞれわずかに拡大。また、ホイールベースは70 mm延長されている。ただし、全幅は先代と変わらず「1,800 mm」に留めており、日本の道路環境に配慮した姿勢が伺える。
エクステリアデザインでは、ロングノーズの後輪駆動車らしいプロポーションと、クラウンでは初となるシックスライトウインドウの採用により、ルーフからテールエンドにかけての伸びやかで流麗なファストバック風のサイドシルエットを実現している。なお、Cピラーの王冠エンブレムは、全グレードが9代目(1991年10月発売時〜1993年8月マイナーチェンジ実施前)以来の非装着となり、販売店装着オプションとなる。
パワートレインは3種類。先代から継続搭載となる直列4気筒2.0 Lターボ「8AR-FTS」型は、先代比+7 kW(+10 PS)の180 kW(245 PS)を発生する(最大トルクの数値は変更無し)。トランスミッションは「8 Super ECT(スーパーインテリジェント8速オートマチック)」を採用。直列4気筒2.5 Lハイブリッド車は、先代が搭載していた「2AR-FSE」型から10代目カムリで初搭載された「A25A-FXS型」に換装。クラウンへの搭載にあたって、エンジン縦置きに伴う各種変更を実施している。システム最高出力は先代比で+4 kW(+6 PS)の166 kW(226 PS)に向上するとともに、燃費も改善されている。3.5 L車は先代の「2GR-FSE」型に替わり、ハイブリッドシステムに有段ギアを組み合わせた「マルチステージハイブリッドシステム」をTOYOTAブランドでは初採用。「8GR-FXS」型(エンジン)と「2NM」型(モーター)双方の出力を制御し、低速から力強い駆動力を生み出すとともに、EV走行領域も拡大することで、走りと燃費性能を両立している。また、トランスミッションは「マルチステージハイブリッドトランスミッション」と呼称する電気式無段変速機を搭載し、10段変速制御を実現している。なお、システム最高出力は264 kW(359 PS)を発生。また、2.5 L / 3.5 Lハイブリッド車は「平成30年基準排出ガス75 %低減レベル(☆☆☆☆☆)」認定を取得している。
サスペンションは、初代から14代目モデルまで継承されたダブルウィッシュボーン式のフロントサスペンションを改め、前後輪ともにマルチリンク式を採用した。また、ステアリング剛性の最適化、アルミダイキャスト製のフロントサスタワーの採用や構造用接着材の塗布量を大幅に増加する等のボディの高剛性化で、ハンドリングと乗り心地の向上をはかっている。
先代(14代目)において、2016年8月の一部改良実施時に初採用された予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense P」は、第2世代型の「Toyota Safety Sense」に発展。プリクラッシュセーフティは夜間歩行者と昼間自転車運転者の検知機能を追加。さらに、レーダークルーズコントロール使用時に、同一車線内中央を走行できるよう操舵を支援するレーントレーシングアシスト(LTA)、カメラで認識した道路標識をディスプレイに表示することで道路標識の見落としを減らし、安全運転を促すロードサインアシスト(RSA)が追加された。
「ロイヤルサルーン」を設定した5代目から長らく使用されてきた「ロイヤル」、8代目で一度登場し、11代目から継続設定されてきた「アスリート」、派生車種として登場し、クラウンのトップエンドとしての位置づけであった「マジェスタ」が廃止され、「ロイヤル」、「マジェスタ」に代わる標準仕様(「B」・「S」・「G」・「G-Executive」)、および「アスリート」に代わる「RS」仕様(「RS-B」・「RS」・「RS Advance」)に整理された。このうち、「B」と「RS-B」は2.0 Lターボ車専用グレード、「G-Executive」はハイブリッド車(2WD車は3.5 Lのみの設定)専用グレードとなる。「S」には「C package」が設定されているほか、「S(C packageを含む)」・「RS」・「RS Advance」・「G」・「G-Executive」には4WDも設定されており、14代目同様、グレード名に「Four」が付記されている(ハイブリッド車のみ)。
RS仕様には、専用装備として、5本スポーク18インチアルミホイール&タイヤを標準装備したほか、専用フロントスタビライザーによりロール剛性を向上。また、リニアソレノイド式「AVS」、リヤスポイラーを採用。さらに、2.0 Lターボ車にはリヤパフォーマンスダンパーとリヤフロアブレースを追加し、優れた操舵応答性や、荒れた路面での振動感の低減を実現した。
ボディタイプにより車両型式が異なり、クロスオーバーは搭載エンジンによりTZSH35型又はAZSH35型、スポーツはAZSH36W型、セダンはパワートレインによりAZSH32型(HEV)又はKZSM30型(FCEV)となる。
CROWN(クラウン)は、英語で冠、王冠の意味。
初代は1957年にオーストラリア一周ラリーに参加。これがトヨタ史上初のモータースポーツ参戦とされている。また2代目は第一回日本グランプリにも参戦し、クラス優勝の実績を残している。
しかし他にも国産乗用車が多く登場し始めると、コンフォート性重視の設計で長くて重いクラウンのパッケージングは敬遠されるようになり、トップカテゴリはおろかアマチュアでも見られなくなっていった。
ハイパワーエンジン+FR+セダンというパッケージングが稀少になった2020年、同一のパッケージングで看板車種だったマークXを失った、埼玉トヨペットのレーシングチーム『埼玉トヨペット Green Brave』はその代替車種としてクラウンRSを選択。2020年スーパー耐久開幕戦の富士24時間レースでST-3クラスに初登場させ、デビューウィンを遂げている。初代の初参戦初クラス優勝から、実に57年ぶりの出来事であった。
2020年4月30日以前は原則的にトヨタ店のみで取り扱っていたものの、東京都では以前は東京トヨタと東京トヨペットの併売であったが(個人タクシー用途は東京トヨペットのみ取扱)、2019年4月1日より販売チャネル制度を廃止しており、全ての販売店(トヨタ直営ディーラーを統合したトヨタモビリティ東京、トヨタ西東京カローラ・ネッツトヨタ多摩(現・トヨタS&D西東京)およびネッツトヨタ東都)で取り扱っていた。大阪府は大阪トヨペットのみで取り扱っていたが、名称変更で2006年8月8日をもって大阪トヨタの販売になった。
2023年10月6日の「SPORT」発表と同時にクラウン全モデルの展示拠点となる旗艦店「THE CROWN」を横浜と福岡で開業。運営はそれぞれの地域ディーラーが行う。愛知は2024年2月23日開業。千葉、東京でも23年度中に開業予定で、「THE CROWN」でのみ購入可能な特別仕様車も用意される。その第一弾としてCROSSOVER RS"Advanced"をベースにボディカラーをマットメタルにして特別装備を追加した「CROSSOVER RS“Advanced・THE LIMITED-MATTE METAL”」が2023年12月11日に発表・発売された。
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