佐世保市交通局(させぼしこうつうきょく)は、長崎県佐世保市でバス事業を行っていた地方公営企業である。通称は佐世保市営バス。市民の間では単に市バス、もしくは市営バスと呼ばれていたこともある。
佐世保市内の浅子地区、針尾島地区、三川内地域、広田重尾地区、柚木地区及び2005年以降に合併した吉井地区、世知原地区、小佐々地区、江迎地区、鹿町地区を除く市内広域複数の路線を運行している。基本的には佐世保駅を中心に路線を展開しており、住宅の密集している天神地区・山手地区などでは、複雑な循環路線なども多数運行しており、運行本数・停留所数に対して運行系統の種類は多く非常に複雑なダイヤとなっている。清水循環や山祇循環(戸尾中央通経由)、若葉循環、祇園循環は一方通行となっている。そのため、山祇循環線の小佐世保町 - 山祇町間の様に上り・下りの便数が極端に違うルートも多い。自家用車の交通が多い山手バイパス南側や相浦桟橋(大潟町経由)のような閑散路線もある。国道35号・国道204号沿いなどの幹線では同じ方面に向かうバス(佐世保駅前行きや矢峰行き等)が何台も並んで運行しているのが見受けられる。左石で矢峰行きが分岐した後大野以遠は、西肥バスでは市バスが運行していない合併地域や佐々町など市外へ伸びる路線が多く運行されているのに対して、市バスでは左石の2区間先の大野車庫前までが高頻度運転で、その先は毎時1本の中里経由相浦桟橋便や日中の便が特に少ない佐世保商業高校便などで、市バスの運行密度は比較的低い。最も運行頻度が高いのは、佐世保駅方面からの路線が小佐世保町方面に分岐する京町と、市北部方面からの路線が山祇循環に分岐する戸尾町の間で、2018年ダイヤでは北行き約440便・南行き約470便で上下計900便を超える。逆に最も少ないのが、土日祝日運休路線を除くと、山祗経由黒髪→おしの浦分道便(土日祝日運休)が通過する京町ー総監部前間、土日祝日便の尼潟経由矢峰→下原橋便が通過する大岳台東口 - 卸本町間、土日祝日便の新みなと発商業高校行きの起点となる新みなとターミナル前 - 戸尾町間の各1本である。また、海上自衛隊佐世保教育隊の敷地内にも乗り入れている。
ダイヤは平日ダイヤ・土曜ダイヤ・日曜祝日ダイヤの三本立てである。日曜祝日ダイヤは土曜ダイヤの間引き運転で、平日ダイヤとは減便だけではなく系統の大幅な組み換えが行われる。土日祝日に運休となる路線は市街地・郊外を問わず存在する。駅裏地区では、前畑循環・市街地循環・みなと口経由矢峰行・山祗経由おし分行が運休となり、新みなと発商業高校行のみが運行される。山祗地区では山祗町―木風町入口を通過する山祗循環大回り4本がすべて運休する。西部地区では閑散線の動植物園経由パールシー便や九文高校便が運休する。東部地区では、早朝の大岳台団地周回便と朝夕の卸団地会館前便が全休となり、会館便が専用に運行している日宇バイパスも運休する。平日の通勤通学時間帯に運行されている、矢峰・大野―船越・相浦地区間の直通も大幅に減便され、特に相浦循環は全便運休となる。例外的に、エコスパ佐世保便のみは、平日1往復のところ、土日祝日は3往復に増便される。
西肥バスとは幹線が重複する。分岐する郊外路線は長らくすみ分けが確立していたが、2002年、規制緩和の影響で西肥バスがもともと市営バスの単独路線であった黒髪 - もみじが丘線、佐世保実業高校線に参入。それを皮切りに、2005年、これも市営バスの単独路線であった国道35号の裏通りで住宅街も多い大宮町経由に参入してますます競争が激しくなっている。2006年10月1日からSUNQパスを利用して乗車できるようになった。 市バスと西肥では相違点も非常に多く、例えば同一路線上でも、バス停の有無が異なる場合がある。佐世保商業高校入口―本山間は、市バス停留所が存在しないためノンストップとなるが、西肥は上本山住宅入口とバイパス本山の2箇所に停車する。逆に、相浦―大潟町間は、西肥が水産市場発着便を設定していないので、途中の市バス水産市場入口バス停を素通りする。また、市バスと西肥のルートも異なる区間がある。大宮町経由の旧道から国道35号に戻る交差点は、市バスは西龍橋交差点、西肥は1区画南の大和町交差点である。同じく、国道35号よりエコスパ佐世保への進入交差点は、市バスは国土交通省前交差点、西肥は1区画北の大塔インター入口交差点となる。
バス停の配置も複雑である。 例えば「松浦町」というバス停は、実際は「松浦町中央公園口」・「松浦町国際通」・「松浦町名切グランド前」の3箇所に分散している。大和町も「大和町西龍橋」・「大和町・中央病院前」・「大和町国道筋」と3箇所に分散し、木宮町も「木宮町」・「木宮町県道筋」・「木宮町・佐世保西郵便局前」の3箇所に分散している。京町(佐世保駅、島瀬町各方向とも2箇所)、島瀬町バス停(松浦町方向行きのみ2箇所)についても経路別に乗り場が違う。松浦町については日野方面と駅前方面の便が「松浦町中央公園口」・「松浦町国際通」に連続停車する。大和町についても、黒髪―十郎原便の殆んどが「大和町西龍橋」・「大和町・中央病院前」に連続停車する。木宮町に至っては、十字路の2辺を短絡する一方通行の路地を迂回して、ほぼ全便が「木宮町」に停車する。
常用漢字表記を遵守しており、「鵜渡越」・「鴛の浦分道」バス停は「うど越」・「おしの浦分道」と表記する。また、西肥バスと停留所名称が異なる例としては、「早岐支所前/早岐支所シルバーボウル前」、「大和町・中央病院前/中央病院入口」、「相浦自衛隊入口/沖田自衛隊入口」、「大野車庫前/西高校入口」、「牛買稲荷入口/牛買稲荷口」、「西(東)小島/西(東)小島町」、「小川内/小川内公民館前」、「'
整理券番号は11番から始まる独自の方式となっており、車内の運賃表示器にも1番から10番の表示欄はない。
紹介する路線の多くは佐世保市交通局が廃止され西肥バスからの委託によりさせぼバスへ移行した現在も運行を続けている。
山手循環は、山手町を必ず通過する頂点とし、京町・松浦町・俵町の3箇所を出入口とする双方向の循環線であるため、俵町/松浦町、俵町/京町、松浦町/京町のそれぞれ時計回りと反時計回りで計6通りのルートを持つ。これに烏帽子岳便・山祇町便・名切谷祇園循環が加わり、最も複雑な路線を形成する。山手循環6ルートだけでも、平日ダイヤと休日ダイヤで大きな変更があり、日曜祝日の間引き率も高い。特に俵町口(俵町経由)は、前述3系統が絡む松浦口(花園経由)や山祇循環が共用する京町口(高梨経由)に比べてその傾向が強い。
天神系統は、天神循環が3系統あり、西側で海自教育隊発着便、東側で東浜・十郎原発着便が絡んでくるため、山手系統に次ぐ複雑なルートが構成されている。
佐世保市営バス運行終了及び佐世保市交通局廃止後以降の新設・廃止はさせぼバス及び西肥バスを参照。
特に運行頻度が高い路線や経由地が複雑な路線などは、幕式の行先表示器においてアルファベットに分類して経由地と行き先の右側に表示している。これは、米軍からの要請により始まったもので、当初は米軍より提供された方向板をバスの前面ウインドウに立てかけて表示していた。LED式の行先表示器に関しては、2009年4月のダイヤ改正までは下記の行き先の際は表示をしていたが、大宮→天神循環(B1)、大黒→天神循環(B2)の2系統を残し表示をやめ、2012年12月のダイヤ改正を最後に、全ての系統で表示しなくなっていたが、2014年10月からLED式の行先表示器を対象にアルファベットと数字を組み合わせた行先表示番号の表示を再開した。新たに導入された行先表示番号は路線区分を示すアルファベットと行先区分を示す数字の組み合わせが基本となり、経由地によってはハイフンを挟んで経由番号も追加される(例えば、日野経由相浦桟橋行の行先表示番号は"M1-1"である)。経由地と行先によって行先表示番号が異なることから、従来のアルファベットによる行先表示よりも細かく設定されている。行先表示番号は西肥バスにも同時に導入されており、一部の行先表示番号・経由番号は西肥バスと共通である。
なお、行先表示器が従来の幕式の車両に関しては、行き先の改名の際や新たな経由地などを運行する場合、幕に新たに書き込みなどはせず、改称前の表示のまま改称後の行き先や新たに設定した経由地の書かれたサボ(補助板)を正面と側面の行先表示器下に掲示して対応していたが、既存車両における行先表示器のLED化が進んだことや廃車により現在はほぼすべての車両の行先表示器がLED式となっている。
以下は旧行先表示とその行先、現行の行先表示番号(方面区分・行先区分のみ)の相互表である。
旧行先表示は上記以外の路線には表示はされておらず、経由地と行先のみを表示していたが、現行の行先表示番号では、旧行先表示では表示していなかった路線にも表示されるようになった。アルファベットによる方面区分と行先は以下の通り(2016年4月現在)
詳細な行先表示番号は外部リンクを参照のこと。
4メーカー導入しており、UDトラックス(旧:日産ディーゼル)といすゞ自動車が多く、三菱ふそう、日野自動車の順である。富士重工業や西日本車体工業製の車両も在籍している。
車両番号は「市○○○」という3桁(4桁)の通し番号が使われ、車両メーカーに関係なく付番されている。忌み番号はないため、末尾42・49の番号も使われている。
現行の一般路線車の塗装はクリーム色地に赤・水色の帯。ツーマン時代から続く市営カラーであるが、かつてのものと比較するとフロントのラインが直線的になっていたり、窓部分を白く塗り分けていたのが廃止されていたり、更に細部に渡り多数の変更が施されているのが分かる。
また、2004年に導入したノンステップ車両では、クリーム色地は現行の一般路線車と同じだが、青・赤・薄緑・オレンジの4色を配したデザインとなっている。これは、2011年以降に導入した貸切専用車両も同じ配色となっている。
車両は自局発注のものが中心となっているが、経営改善を目的に1998年から東京都交通局や相鉄バス、川崎鶴見臨港バスなど首都圏からの事業者の中古車両の導入を行っており、2011年からは初期に中古導入した元東京都交通局の車両の廃車に伴い、新たに江ノ電バス、立川バス、神奈川中央交通、西武総合企画、横浜京急バスを導入している。2013年からは、それまで導入されてなかった中型ロングの車両を京王バス、西東京バス、都営バスから導入している。
佐世保駅前にある、佐世保市交通局の中心となるターミナルについて記述する。ただし、普通バス停「佐世保駅前」として表記され、ターミナルとして扱われることがほとんどないため、ここでは形式的に乗り場の一覧を示すだけである。
国道35号北行きに沿う。
国道35号南行きに沿う。
4-7番は国道東側ロータリーに北から順に並んでいる。
8-10番は国道東側ロータリーに南から順に並んでいる。
※夏季の俵ヶ浦行きは、一部白浜行きに変更。
2015年3月31日限りで運行終了した。
コースは佐世保駅 - 海上自衛隊佐世保史料館 - 九十九島遊覧船(パールクイーン)乗船 - 西海パールシーリゾート - 弓張岳展望台 - 佐世保駅。9:40、13:40発の2本運行され、所要時間は約3時間50分であった。
1988年4月に導入された佐世保市営バス、西肥バス、長崎県営バス、長崎バス、島鉄バスで使える共通の紙式回数券に代わり、2002年1月21日に上記の5社で使える全国初の共通ICバスカード「長崎スマートカード」が導入された。これにはソニーのFeliCa(フェリカ)という技術が使われている。
2004年に長崎スマートカードへの切り替えが完了したため、佐世保市営バスを含めた上記5社の各回数券の販売が同年9月30日をもって中止され、2005年4月1日から回数券は使用できなくなった。2005年12月12日にはドコモのみであるが、おサイフケータイに対応した。
なお、佐世保市営バス限定で利用可能な紙式回数券は2013年9月をもって発売を終了した。
市営バス単独で使える一日乗車券も発売されていた(1枚500円、当日限り有効)が、翌春の交通局廃止に向けて2018年12月31日で販売と使用を終了した。平日は大宮町・堺木・烏帽子岳・九十九島動植物園・鹿子前桟橋(西海パールシーセンター)・弓張岳以内の区間利用(交通局HPでの説明)に限られるが、2009年10月1日以降、土・日曜、祝日は全線で使用可能になっていた。
交通局は市営駐車場を管理していた。駐車場が少なく、自家用車の利便性が低い佐世保駅・佐世保港付近やさるくシティ4○3の用務客に活用されており、収支状況は黒字で推移している。長らく赤字経営となっている路線バス部門の損失を緩和する部門である。交通局廃止後は下記のうち島瀬・アルファの2箇所についてはさせぼバスが佐世保市より指定管理を受託、残りはさせぼバス直営の駐車場として経営を引き継いでいる。
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