『NIAGARA MOON』(ナイアガラ・ムーン)は、1975年5月30日 (1975-05-30)に発売された大滝詠一通算2作目のスタジオ・アルバム。
解説
ナイアガラ・レーベルで発表した最初のソロアルバム。ソロとしては約2年ぶりの新作で、エレックレコードから販売。1986年6月1日 (1986-06-01)に初CD化された。
このアルバムを制作するに至ったのは、ファースト・ソロアルバム『大瀧詠一』をはっぴいえんど時代のバンドメンバーであり友人でもある細野晴臣に「中途半端」と批判されたことがキッカケである。ファーストアルバムははっぴいえんどの流れを汲んだ叙情的でメロディックな楽曲とナイアガラ作品群で聴かれるリズミックな楽曲が半々で収録されており、それを「どちらかに徹底したほうがいい」と言われ、メロディックな方に徹底すると、そのまま“はっぴいえんど”になってしまうためリズミックに徹底したのが本作である。以後三年間、この方向性で連作していくこととなる。
レコーディング初期ではかまやつひろしに提供した「お先にどうぞ」のセルフカヴァーを収録する案があり、ライブでも披露されていたが、結局お蔵入りとなっている。
オープニング約20秒程の滝のSEはナイアガラの滝をイメージしたもので、当時制作を手伝っていた山下達郎が長野県の白糸の滝まで中央高速を車で飛ばして録音してきたもの。この時に録音された山下の声は30周年記念盤収録曲「NIAGARA MOON」のエンディングで聞くことが出来る。
1981年ソニー盤LP、1986年CDを除き、オリジナルから現行盤に至るまで多羅尾伴内の解説がつけられている。
裏ジャケットの大滝の写真は盤が代わるたびに撮り直されており、この撮影のためだけに当時の服もそのままにしてある。ただし、1986年の初CD化の際は、1981年にCBSソニーからリリースされた時の写真が使われている(1995年盤:石嶋宏治 and 田辺章男、30周年記念盤:湯浅学)。
1986年に初CD化された際、他の第1期ナイアガラ作品群は殆どのアルバムが第2期ナイアガラ作品でエンジニアを務めた吉田保によるリミックスでの再発となる中、『NIAGARA MOON』はリミックスされずオリジナルマスターからCD化されている。
収録曲
SIDE 1
- ナイアガラ・ムーン
- 三文ソング
- 論寒牛男
- ロックン・ロール・マーチ
- 作詞・作曲 / 大瀧詠一
- ハンド・クラッピング・ルンバ
- 恋はメレンゲ
SIDE 2
- 福生ストラット(パートII)
- シャックリ・ママさん
- 楽しい夜更し
- いつも夢中
- Cider '73 '74 '75
- ナイアガラ・ムーンがまた輝けば
クレジット
CD選書シリーズ
解説
1995年3月24日 (1995-03-24)にファースト・ソロアルバム『大瀧詠一』と、ナイアガラ・レーベルからリリースされた『NIAGARA CM SPECIAL』『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』とともにオリジナル・マスターおよび、ボーナス・トラック付きで再発された。
収録曲
- NIAGARA MOON – (1:15)
- 三文ソング – (2:04)
- 論寒牛男 – (2:15)
- ROCK'N' ROLL MARCH – (2:05)
- HAND CLAPPING RHUMBA – (3:03)
- BLAME IT ON THE MERENGUES – (1:38)
- FUSSA STRUT (PART II) – (3:14)
- シャックリ・ママさん – (2:23)
- 楽しい夜更し – (2:13)
- 君に夢中 – (1:53)
- CIDER '73 '74 '75 – (2:48)
- WHEN MY NIAGARA MOON TURNS TO GOLD AGAIN – (3:14)
- 福生ストラット(PART II)(スタジオ・ライヴ) – (3:44)
- M13-17は1976年 (1976)、『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』制作中にそれのプロモーション・フィルムを作る話が持ち上がり、2月20日に福生45スタジオで収録されたスタジオ・ライブの音源。メンバーはドラム・上原裕、ベース・寺尾次郎、ギター・伊藤銀次 & 村松邦男、スティール・駒沢裕城、ピアノ・坂本龍一。「福生ストラット」は、後半が青梅線巡りに歌詞が変更されている。
- あの娘に御用心(スタジオ・ライヴ) – (2:36)
- シャックリ・ママさん・バージョン。沢田研二のオリジナルバージョンに近いアレンジ。
- 楽しい夜更し(スタジオ・ライヴ) – (2:14)
- ラジオ関東で始まっていたラジオ番組「ゴー・ゴー・ナイアガラ」のDJスタイルが披露されている。
- ハンド・クラッピング・ルンバ(スタジオ・ライヴ) – (2:39)
- 歌詞がリニューアルされている。
- 恋はメレンゲ(スタジオ・ライヴ) – (1:48)
- 当時のコンサートでは、この曲がいつも最後に歌われていた。
- NIAGARA MOON – (2:53)
- アルバム『DEBUT』収録のリミックス・ヴァージョン。フィル・スペクターのステレオ・ミックスを模して、オケとストリングスが左右に分けられている。
30th Anniversary Edition
解説
2005年3月21日 (2005-03-21)に大瀧自身によるリマスタリングで発売された30周年記念盤。初回盤は銀蒸着CDとして制作されたが、エンジニア笛吹銅次の意に沿わない音質であったため、大瀧は通常盤も併せて聴いて欲しいという。
収録曲
- ナイアガラ・ムーン – (1:15)
- 三文ソング – (2:01)
- 論寒牛男 – (2:12)
- ロックン・ロール・マーチ – (2:01)
- ハンド・クラッピング・ルンバ – (3:01)
- 恋はメレンゲ – (1:37)
- 福生ストラット(パートII) – (3:14)
- シャックリ・ママさん – (2:19)
- 楽しい夜更し – (2:11)
- いつもに夢中 – (1:51)
- CIDER '73 '74 '75 – (2:47)
- ナイアガラ・ムーンがまた輝けば – (3:18)
- <Bonus Tracks>
- 三文ソング (1st Version) – (1:43)
- 三文ソング (2nd Version) – (2:07)
- エンディングの「サッチモォ アハッ!!」の声がオリジナルとは違い、実の息子に加え男性の声も混じっている。これは、息子の遊び相手になっていたアシスタントエンジニアの助川健(G.H.助川)である。大滝は、この声を入れた理由についてセルフライナーノーツで「彼への追悼の意味込めて入れた」と書いている。
- 論寒牛男 – (3:01)
- ロックン・ロール・マーチ (Take 1)(Take 2) – (4:45)
- ハンド・クラッピング・ルンバ – (3:15)
- 恋はメレンゲ – (2:20)
- 当初、イントロはC→G→C→Gだったが、細野がC→G→G→Cと弾いて「あっ、間違えちゃった」と喋る声が収録されている。大瀧の意向で、最終的にはイントロで細野の間違いが採用されている。
- 福生ストラット(パート II) – (3:35)
- シャックリ・ママさん – (3:06)
- 楽しい夜更し – (2:15)
- いつも夢中 – (0:25)
- 朝からゴキゲン – (3:31)
- タイトルは、当初制作が予定されていた先行シングル曲のタイトルとして使用される予定だった物で、エレックレコードの1976年度の販売目録にはナイアガラ・レーベルのシングルとして、1975年8月1日発売、A面は「朝からゴキゲン」、B面は「フッサ ストラント パート1」(ストラントはストラットの誤植)、規格番号はNAS-002と掲載され、このシングルは実際には未発売であったにも拘らず発売された事になっていた。後に詞を付けた物が「クリネックス・ティシュー」のCMソングとして使われた。
- ジダンダ (unissued) – (2:34)
- 未発表曲で今回初CD化。
- 夜の散歩道 – (2:58)
- 『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』収録の「夜明け前の浜辺」のメロディーが付く前のもの。
- NIAGARA MOON – (3:10)
- <ナイアガラ・ムーンがまた輝けば>のオケを流用したインストで、フェードアウト直前に山下達郎の声が収録されている。発売前の新春放談収録時に山下から「滝の音を録音したときのテープに僕の声が残ってたよね?」と言われた大滝は「なんか無くしたらしいよ」と嘘をついてごまかした。アルバム発売後、大滝は「聴いたよ。どうせこんなことだろうと思ったよ」というメールを山下から受け取った。
スタッフ
スタッフ
リリース履歴
脚注
外部リンク
- SonyMusic
-
- NIAGARA MOON – ディスコグラフィ
- Niagara Moon 30th Anniversary Edition – ディスコグラフィ
- その他
-
- 大滝詠一-Niagara Moon - Discogs (発売一覧)
. Source: