国道156号(こくどう156ごう)は、岐阜県岐阜市から郡上市、大野郡白川村を経由し、富山県高岡市に至る一般国道である。
岐阜県岐阜市の茜部本郷交差点を起点にして富山県高岡市四屋交差点(国道8号交点)を終点とする東海地方から富山県呉西地方まで南北につなぐ延長約215 kmの一般国道の路線で、主な通過地は、岐阜県関市、美濃市、郡上市、高山市、大野郡白川村、富山県南砺市、砺波市である。起点・岐阜市から羽島郡岐南町までの2.8 km区間は、国道21号岐大バイパスとの重用区間である。
岐阜県・富山県にまたがる山間部は、庄川の谷の斜面を削って道を付けた区間で、かつては道幅が狭く大変危険ないわゆる「酷道」だったため、路線番号にかけて「イチコロ」と揶揄された。現在は、トンネルや橋梁などによってバイパス整備が進み、清流やダム湖を望む快適路となっている。一般的に、岐阜県の御母衣湖から富山県砺波市までの区間を指して、別名「飛越峡合掌ライン」とも呼ばれている。
ほぼ全線にかけて東海北陸自動車道が並走しているが、荘川から白川郷の30 km区間は中部縦貫道・松本方面との接続を考慮し東側の飛驒清見へと迂回している。
一般国道の路線を指定する政令に基づく起終点および重要な経過地は次のとおり。
昭和戦前、東海地方と富山県を結ぶ国道はなかった。
1930年代、岐阜県や富山県では東海北陸連絡国道の指定運動が行われていたが、大東亜戦争で国道昇格は実現しなかった。
戦後、1952年(昭和27年)12月5日の道路法(昭和27年法律第180号)制定施行に基づき、前日施行された一級国道40路線の指定に引き続き、翌年に二級国道の初回指定144路線が指定公布される。
東海地方と富山県呉東を結ぶ二級国道155号名古屋富山線(現・一般国道41号)、東海地方と富山県呉西を結ぶ二級国道156号岐阜高岡線が指定公布され、両沿線とも1930年代から悲願だった国道昇格の実現を果たした。
1953年(昭和28年)5月18日の二級国道156号岐阜高岡線の指定施行当初は、岐阜市から岐阜県郡上郡白鳥町まで二級国道157号金沢岐阜線(後の一般国道157号)と区間を重用する指定がされていた。
1965年(昭和40年)4月1日の道路法改正(昭和39年7月9日法律第163号公布)に伴い、一級国道と二級国道が廃止統合されたことにより一般国道に変わり、在来の路線名はなくなって一般国道156号が正式な路線名となる。
1970年(昭和45年)4月1日に一般国道304号が制定され、五箇山から金沢市方面への国道ルートが完成。
1975年(昭和50年)4月1日に一般国道157号の経路変更により、一般国道157号とは起点の岐阜市でのみ接続するようになった。
岐阜・富山県の庄川峡の区間は、庄川の深い渓谷沿いに走る山道で、雪崩や落石が多発する道幅も狭い危険な国道だったため「イチコロ」「イチコロ線」と揶揄され恐れられた。そのような狭い道路はバイパスを含めた道路改良によって整備され、見違えるほどの快走路となり、随所に残された旧道は、危険な道路として恐れられた当時の名残を見ることが出来る。
岐阜・富山間の山岳部の庄川沿いに続く道路は、清流を望む快走路となっている。高山市荘川町岩瀬から大野郡白川村牧の御母衣湖にかけてはトンネルの幅が狭く、大型車同士のすれ違いが困難となっている。
現在、当国道の御母衣湖周辺区間において数本のトンネル建設を含めた福島バイパスの計画があり、2010年に福島第3トンネルが供用された。白川村岩瀬付近で庄川を挟んだ対岸に目を向けるときれいに積み上げられた山が見えるが、これは東海北陸自動車道の飛驒トンネル掘削時に排出された残土である。
郡上市高鷲町ひるがの高原付近で中央分水嶺を横切る。本路線が通過する岐阜県と富山県の県境は蛇行している庄川に設定されており、トンネルと橋で直線状に貫いているため、県境を7回連続でまたいでおり、一種の名所となっている。庄川に沿うルートは、カーブ区間が多いが、四季折々に山峡の美しい自然を見ることができる。
岐阜県白川村の白川郷から富山県南砺市の五箇山にかけて、世界遺産に登録された「白川郷・五箇山の合掌造り集落」の昔ながらの合掌造り集落がみられる。またこの区間にある合掌橋や飛越橋、楮橋などの7箇所の橋は総称して飛越七橋と呼称され、橋ごとに欄干が7色に塗り分けられている。五箇山の北側では、山峡の豊かな自然と庄川およびダム湖が織りなす絶景のワインディングロードとしても知られている。
※ 交差する場所の括弧書きは地名、それ以外は交差点名・インターチェンジ名で表示。
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