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追越車線


追越車線


追越車線(おいこししゃせん)とは、車線が複数ある道路での車線の区分の一種であり、追越しや右折等の場合に限って通行することができる車線である。

概要

日本の追越車線

日本では追越車線という用語に法的根拠はないが、車道で片側に複数車線がある場合の最も右側の車線を指すのに道路管理者などにより使われる。原則として走行車線を走っている前車を追い越す場合などに限り通行できる車線である。

日本ではジュネーヴ交通条約に加盟した際に条約に適合するようキープレフトの原則が定められた。

日本の道路において車両は左側通行のため、車両通行帯のない道路(主に片側一車線の道路)では車道の左側に寄って通行しなければならないと定められた(道路交通法第18条)。

また、道路に車両通行帯が設けられている場合は(片側二車線以上の場合)、左側から数えて一番目の車線(第一通行帯)を通行しなければならないこと、および追越しをするときは直近の右側の車両通行帯を通行しなければならないことが定められた(道路交通法第20条)。追越しを行う場合などは二番目や三番目などの車線も通行可能であり、順次右側の車両通行帯を通行して追い越すというものである。

さらに、日本独自の規定として、1971年(昭和46年)改正で追加されたただし書により、片側三車線以上の場合には、自動車(小型特殊自動車および道路標識等で指定された自動車を除く)は、その速度に応じ、第一通行帯だけでなく最も右側の車線(追越車線)以外の車両通行帯を(その車線に応じた速度で)通行することができるようになった。このとき、速度の遅い車が左側、速度が速くなるにつれて順次右側寄りの車両通行帯を通行する。

この改正から、追越し等以外での通行を禁止される車線は最も右側の車線のみとなった。自動車以外の車両(軽車両、原動機付自転車)および小型特殊自動車にはこの規定は適用されず、改正前と同様に第一通行帯を通行しなければならない。改正前と同様に、追越しを行う場合などは二番目や三番目などの車線を通行することができるが、これらの車両は速度が遅いことから追越しで三番目などの車線を通行することは困難である。

したがって、最も右側の車線(追越車線)は、追越しをする場合、右折のためにあらかじめ寄る場合、交差点で進行する方向に関する通行の区分に従う場合、特に標識による通行方法の区分の指定がある場合等にのみ通行ができる車線である(道路交通法第20条)。追越しが終わった車両は速やかに左側の車線に移動しなければならない。

追越しが終わった後も追越車線を通行した場合、通行帯違反の取締りを受ける場合がある。取締りは高速道路でよく行われるが、片側二車線以上の一般道路においても同様である。

当然ながら追越車線であっても制限速度を超えてはならず、また、急ブレーキを要する場合などを除き、右折または標識や標示により指定された車両通行帯を通行するため、および道路外に出るために道路の左端や中央に寄るために進路変更の合図を出している車の進路変更を妨げてはならない(道路交通法第25条2・第34条6・第35条2)。

一般道路や都市高速道路の追越車線

分岐が多い一般道路、都市高速、一部の自動車専用道路では走行・追越車線の呼称を用いず、最も右の車線でも追越車線ではなく単純に右側車線と呼ばれることがある。右側車線からの分岐・合流する場合があるためである。むろん呼び方に法的効力は無いため、追越車線の呼称がない道路においてもルールに違いはなく、最も右側の車線は追越し・右折・分岐等を除き通行してはならない。

しかしながら、一般道路や都市高速道路では右側車線からの分岐・合流があることから通行帯違反の取締りが難しい現実がある。例えば首都高速道路を管轄する警視庁高速道路交通警察隊によれば、首都高速でも原則第1通行帯(道路の左端から数えて1番目の通行帯)を通行しなければならず、通行帯違反の取締りは行われるとしながらも、右側の分岐・合流の問題から取り締まりはしにくいのが現状であるという。

なお、首都高速道路の右側車線が追越車線として扱われるようになったのは1964年(昭和39年)の道路交通法改正で正式にキープレフトが規定された後であり、道路交通法で規定される前からキープレフトの呼びかけが行われていた名神高速道路と比べると追越車線の認識が広まっておらず、当初は守られていなかったが、首都高速がキープレフトの模範道路となるよう指導・取締りが実施された。

追越車線が存在しない場合

交通が輻輳し、最初から交通渋滞が起きている道路では、キープレフトの原則をとったとしても結果としてほとんど同じであり、このような場合において、追越しが終わった後に左側の車線に戻るよりも、速度の異なる車の順に従って通行区分(左側の車線から軽車両、自動車、乗用車(自動車からさらに貨物車を除外)など)をとったほうが合理的である場合は車両通行区分が設けられることがある。

最も右側の車線に通行区分が設けられた場合、通行区分が指定された車両は法第20条第1項の規定は適用されず、最も右側の車線を通行することができるため、片側複数車線でも追越車線は存在しない。指定車両以外も、追越しをする場合や、右折のためにあらかじめ寄る場合等は右側の車線を通行することができる。

例えば上記のように指定された場合は、軽車両は第一車線を通行するが、追越しでは第二通行帯を、現実的ではないが、さらなる追越しで第三通行帯を通行することができる。乗用車以外の自動車は第二車線を通行するが、左折の目的で第一車線を通行することができ、追越しの目的で第三車線を通行することができる。乗用車は、第二・第三車線を通行することができるが、左折の目的で第一車線を通行することができる。

乗用車と貨物車の速度差がなくなったことなどから車両通行区分の指定の必要性は低下しているが、近年は普通自転車専用通行帯として指定される事例が増えている。

なお、追越車線としての効力を持つ上での注意点として、外観上複数車線であればその時点で通行帯違反が成立しうるわけではない。通行帯違反が成立しうるためには車線を白線で区切るだけでなく、公安委員会の車両通行帯の指定が必要であり、片側二車線以上の道路であることを公安委員会に報告し忘れた場合など、何らかの理由で車線の白線について車両通行帯の指定が行われていない場合、外観上複数車線であっても車線の境界を示す白線に法的な意味はなく、車両通行帯の無い道路となり、法的には片側一車線の道路となる。このような場合は片側一車線の道路の通行方法となるため、原付の第一通行帯通行や追越車線などの車線に関する様々な規定は一切適用されず、車線をまたがって通行したり、理由なく最も右側の車線を通行したとしても通行帯違反などの違反は成立せず、取締りは無効となるが、当然ながら車両通行帯の指定が行われればその時点で違反が成立するようになる。

もっとも、公安委員会の指定がない白線で法的には片側一車線の道路であっても道路交通法18条のキープレフトの原則(左寄り通行)に従うことになるため、おおむね左側の車線の部分を通行しなければならないことになる。したがって、右側の車線を理由なく通行できるのは、公安委員会が車両通行帯の指定を行った上で、当該車種に対する車両通行区分を設けた場合に限られる。

第一通行帯以外が通行できない場合

重被牽引車を牽引中の牽引自動車は、高速自動車国道(および道路標識等で指定された自動車専用道路の区間)においては、原則として本線車道の第一通行帯を通行しなければならない(道路交通法第七十五条の八の二)。ただし、最低速度に達しない速度で進行している自動車を追い越す場合や道路の状況その他やむを得ない場合は例外である。

当初は牽引自動車以外の大型貨物自動車等についても同様に対象とすることを予定していたが、当面は見送られた。しかし、高速道路の制限速度100 - 120 km/hの片側三車線区間の中央車線を大型貨物自動車等の法定速度である80 km/h程度で走行する行為は一般に第20条第1項の通則の但し書き(速度に応じ...)に違反するとはされていないことから、速度差が生じる可能性のある路線では大型貨物自動車等の第一通行帯の指定が行われることがある。

これは牽引自動車の規定とは異なり通常の通行区分指定であり、追越し等で右側の車線を通行することができる。すなわち1971年(昭和46年)の改正で追加された法20条の但し書きの部分(その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の...)のみが否定されることになり、改正前と同様に第一通行帯を通行しなければならない。つまり片側三車線以上の中央車線の通行方法が変化し、片側三車線であれば第三通行帯だけでなく、第二通行帯についても追越車線と同等の扱いとなる。追越しを行う場合などは二番目や三番目などの車線も順次通行可能であるが、速度が遅いことから追越しで第三通行帯を通行することは困難である。

片側三車線以上の中央車線の通行方法のみが変化するという性質上、片側二車線の道路ではこのような標識は設置されない。

アメリカの追越車線

アメリカ合衆国では追越車線はパッシングレーン(passing lane)という。アメリカでは右側通行であり、片側2車線以上の道路では左側の車線が追い越し車線となっている。

イギリスの追越車線

イギリスでは追越車線はオーバーテイキングレーン(overtaking lane)という。

中央分離のある片側2車線の道路では左側の車線を通行しなければならず、右側車線は追越しと右折の場合のみ通行できる。追越しが終わった後は安全な時に左側の車線に戻らなければならない。

中央分離のある片側3車線以上の道路では追越しのために中央車線や右側の車線を通行することができるが、追越しが終わった後は安全な時に中央の車線に戻り、それから左側の車線に戻らなければならない。

片側3車線以上の中央車線(middle lane)を追越し以外で走行する行為は特にミドルレーンホッギング(middle lane hogging、中央車線の占有)と呼ばれる。中央車線の占有は2013年から反則金制度で100ポンドの罰金と違反点数3点が科せられるようになり、取締りが容易になった。

ドイツの追越車線

ドイツでは右側通行のため、片側に車線が複数ある道路では、右側車線(路肩側)が空いている場合は可能な限り右側の車線を利用しなければならず(Rechtsfahrgebot)、第1車線以外は混雑時を除き、追い越しの場合のみ通行できる。また、追い越しは、追い越される車両よりも十分に速い速度で行わなけばならず、あまり変わらない速度で追い越した場合は違反となり、理由なく第1車線以外に長く留まることは許されない。

また、渋滞時を除き右側(路肩側)からの追い越しは固く禁じられている。車両が追越車線を占有している場合も許されず、このような場合には両方が取り締まりの対象となる。左側車線(中央側)が混雑しているか、低速で走行している場合に、わずかに速い速度で追い抜くことができる。

フランスの追越車線

フランスでは右側通行であり、片側2車線以上の道路では道路の状況が許す限り右側の車線を通行しなければならない。

関連する車線構成

上り勾配における車両ごとの減速に対応するために車線を分離するものとして登坂車線がある。また、地方部など都市間距離が大きい区間では多様な希望速度を持つ車両が混在するため、後続車両に任意に車線を譲ることができるよう設けられる車線が避譲車線(ゆずり車線)である。

脚注

関連項目

  • 登坂車線
  • 車両通行帯
  • キープレフト
  • 進路変更

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Text submitted to CC-BY-SA license. Source: 追越車線 by Wikipedia (Historical)



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