古谷 徹(ふるや とおる、1953年〈昭和28年〉7月31日 - )は、日本の声優、俳優、ナレーター。神奈川県横浜市磯子区出身。青二プロダクション所属。別名義に蒼月 昇(そうげつ のぼる)がある(後述)。妻は元声優の間嶋里美。元妻は声優の小山茉美。
主な出演作に『巨人の星』(星飛雄馬)、『機動戦士ガンダム』(アムロ・レイ)、『ドラゴンボール』(ヤムチャ)、『聖闘士星矢』(天馬星座の星矢)、『きまぐれオレンジ☆ロード』(春日恭介)、『美少女戦士セーラームーン』(地場衛 / タキシード仮面)、『名探偵コナン』(安室透)、『ONE PIECE』(サボ)、『機動戦士ガンダム00』(リボンズ・アルマーク、ナレーション)などがある。
自動車番組『カーグラフィックTV』の2代目ナレーターを1986年から務め、さらに報道番組『クローズアップ現代+』のナレーターを2016年4月から2022年3月まで務めていた。
幼少時代に劇団ひまわりに入団、子役として活動した。5歳の頃に、ラジオに合わせ歌い踊っていた姿を見ており、アナウンサー・歌手志望だった長野県出身の母親が「芸事に向いているのでは」と子に夢を託すかたちで古谷を児童劇団の劇団みつばに入れる。
子役としてのデビューは、テレビ番組の戦争ドラマだったと語る。記憶は薄いが、空襲を受けて地面に伏せる役で、付き添いで来ていただけの母も出演。親子としてそのまま出演しているため、母もある意味では夢がかなったという。
普段の練習はもちろん、撮影現場に出ることができて楽しかったという。『隠密剣士第七部 忍法根来衆』の現場で手裏剣を見せてもらったり、横浜市から東京都まで1人で通った収録時、帰りにデパートのおもちゃ売り場に寄ったりして、ほとんど遊び感覚だったという。
子役時代には『ウルトラQ』第13話「ガラダマ」や『マグマ大使』などへの特撮ドラマ出演を果たし、自身も好きなヒーロードラマに出られて嬉しかったという。
10歳のときに『ローマに咲いた恋』で声優デビュー。小学校の頃のニックネームは「古ちん」。関東学院六浦小学校を経て、関東学院六浦中学校在学中、中学1年時の1966年にオーディションで、『海賊王子』のキッド役でアニメに初出演した。中学3年生時の1968年からは、アニメ『巨人の星』で主人公の星飛雄馬役を担当。また海外ドラマでも6年近くレギュラーの出演をしていていた。声優デビューしてからも、1967年の加山雄三主演映画『続・何処へ』などで子役俳優として顔出し出演を続けていた。
『巨人の星』の放送終了後の高校3年生の頃、立ち止まって考えて、受験の時期ということもあり、それまでは親の敷いたレールの上を歩いてきたが、「果たして自分自身はこの仕事が好きなのか?」と自問していたという。子役から俳優への切り替えがうまくいかない先輩たちの前例も見て、少しずつ離れて芸能界を眺めてみたくなり、劇団ひまわりを退団して学業優先のためしばらく休業。ただしレギュラーではない単発での声優の仕事は不定期で行っていた。関東学院六浦高等学校から明治学院大学経済学部商学科へ進学し、その卒業時期に「一生の仕事は何をしよう」と考えて「やっぱりもう1回プロとして俳優の道を目指してみたい」と思い、1974年に東京俳優生活協同組合に所属した。1975年、『鋼鉄ジーグ』の司馬宙役で活動を再開。
1979年に『機動戦士ガンダム』でアムロ・レイ役を担当。作品自体の大ヒットと共に、それまで星飛雄馬の流れを継ぐ熱血キャラクターを演じることの多かった古谷にとって、内向的な主人公のアムロは大きなターニングポイントになった。1982年からは青二プロダクションに所属。1980年代・1990年代には、『ドラゴンボール』、『聖闘士星矢』、『美少女戦士セーラームーン』など社会現象を起こした多くの作品でレギュラーを務めた。
2000年代以降はガンダム関係の番組を中心に、バラエティ番組に顔出しで出演する機会も増加した。2012年からは『名探偵コナン』で人気キャラクターの安室透役を担当しており、2022年には同作のスピンオフ作品『名探偵コナン ゼロの日常』で14年ぶりにテレビアニメの主役を演じる。
声優アワードにおいて、2008年(第2回)に富山敬賞を、2010年(第4回)にはシナジー賞を、2019年(第13回)には助演男優賞を受賞した。
資格は普通自動車免許、大型二輪免許、四級アマチュア無線技士、一級小型船舶操縦士、二級海上特殊無線技士。
左利き。
声種はテノール(F - F〈2オクターブ〉)。
声優としては、多数のアニメ、洋画、ゲーム、CDドラマに出演しており、ナレーション、ラジオのパーソナリティも務めるなど、幅広く活躍。
役柄としては大ヒット作の主人公、正義感が強いヒーロー的な役を演じる。
『巨人の星』では作中年齢に近い星飛雄馬を15歳の古谷が演じ、大きな反響を引き起こす。その後は、アムロ・レイ、ペガサス星矢など数々の男の子向けアニメでカッコいいヒーローを演じた。声色を変えて演じることは少ないが、声質は同じでも細かいニュアンスなどを変えながら演じ分けている。映画『ゲゲゲの鬼太郎 大海獣』にアカマタ役で出演した際には、それまで演じてきたキャラクターとは異なる陰険な声も使用した。
悪役を演じる機会は少ないが、アカマタのほかに『わが青春のアルカディア 無限軌道SSX』のミスター・ゾーン役、OVA『超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-』のフェフ役、『銀河英雄伝説』のアンドリュー・フォーク同盟軍准将役などを担当したことがある。また、『ハイスクール!奇面組』では変人キャラクターの春曲鈍(はるまげ どん)、『GTO』では変態教師の勅使川原優と「ガンダムオタク」の白井木馬、『UG☆アルティメットガール』ではエロキャラクターのUFOマン、『京極夏彦 巷説百物語』や『魍魎の匣』では色物系のキャラクターも担当している。『ウインダリア』では、権力を得て善人から悪人に堕落する主人公イズーを演じた。
また、高橋留美子作品でも常連の声優のひとりで、自身が主演を務めた『1ポンドの福音』をはじめ『うる星やつら』、『犬夜叉』などアニメ化された高橋作品に数多く出演している。
任天堂のゲームキャラクター・マリオの声を、1990年代ごろまで各種アニメ、テレビCMで担当していた。
ナレーション業としては、『カーグラフィックTV』を1986年から担当している。『闘牌伝説アカギ 〜闇に舞い降りた天才〜』、『機動戦士ガンダム00』などのアニメ作品のナレーターを担当することも多い。
吹き替えではユン・ピョウの担当が知られ、大滝進矢と分け合う形となっている。
小学生の頃から、ウクレレをしており、中学1年生になった時に、入学祝いというんで両親にギターを買ってもらい、1人でギターを弾いていた。
中学2年生の時に、ジミ・ヘンドリックスに憧れ、中学3年生の時に同級生とロックバンドを組み、リードギターとボーカルを担当し、ギターに夢中になってミュージシャンになろうとしていた時期もあった。
大学時代に渡辺プロダクション経営の東京音楽学院に入学し、歌手デビューを目指していたという。
音楽面では、1977年に声優仲間とバンド「スラップスティック」を結成(古谷はドラムを担当)。キャニオンレコード(現:ポニーキャニオン)より『いじわるばあさん』のテーマ曲、『ぼくパタリロ!』のエンディング曲『クックロビン音頭』などの他、11枚のアルバムを約10年の活動中にリリースした。その後解散したが、メンバーだった曽我部和恭、鈴置洋孝が2006年に相次いで死去したことに際し、追悼ライブを行っている。
ソロでもビクターレコード(現:JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)から、1980年『TORU Page1』、1981年『TORU Page2』、1982年『TORU Page3』、1983年『HEARTS』と4枚のアルバムをリリースした。アニメソングでも主演作の『ドラゴンクエスト 勇者アベル伝説』の第二部にて、オープニングテーマを歌っている。また、2009年にはゲームソフト『仮面ライダー クライマックスヒーローズ』の主題歌『集合! クライマックスヒーローズ』を担当した。この他、ヤムチャ(『ドラゴンボール』)、タキシード仮面(『美少女戦士セーラームーン』)、春日恭介(『きまぐれオレンジ☆ロード』)、坂本耕作(『ストップ!! ひばりくん!』)、無限真人(『特装機兵ドルバック』)など、持ち役のキャラクターソングも多い。
2008年に自身名義としては初のCD(前述のアルバムはレコードの時代に制作され、現在に至るまで未CD化)ミニアルバムとなる『HEROES 〜to my treasure〜』を発表した。
本人は自分の役作りについて、まずは情報収集であると語る。「キャラクターについて手に入る情報はすべて頭にインプットする」「キャラクター表を見て、同じポーズをとってみる(例:ヒーローであれば、目つきやポーズ)」といったようなことを自分の体にコピーしていくのだという。また、インプットした情報は忘れないように台本の余白ページに書き込み、他の役の設定もメモをしておき、自分の役との関係性をはっきりさせておくとのこと。
また、自身でこのセリフをこのトーンでこんな雰囲気でしゃべることは決めないようにしている。本人は「アフレコ現場で監督と話し合って作り上げていくものだから」と公言している。
2024年5月22日、37歳下の一般女性ファンと2023年9月まで4年半の間、不倫の関係にあり、口論になり手をあげたこと、妊娠・中絶させたことが報じられ、本人はXを更新し報道された内容が事実と認め謝罪した。2024年8月に予定していた『朗読劇READING WORLDユネスコ世界記憶遺産 舞鶴への生還 「約束の果て」』は諸般の事情により降板、配信番組「古谷徹のほっこりThanksroom」は終了、イベント「『ZERO STAR × 名探偵コナン』produced by 古谷徹 古谷徹さんトーク&『ノベルティ』お渡し会」を中止することとなった。
自身の演じた役柄の中で熱血ヒーローの集大成は『聖闘士星矢』のペガサス星矢を挙げている。自身の年齢から、「これが恐らく僕の最後のヒーローになる」とも語っていた。
『巨人の星』に関しては元々原作漫画の大ファンであり、「まさか自分が星飛雄馬を演るとは思わなかったので驚いた」「飛雄馬の成長をずっと追いかけていく物語を、役者として3年半演じ続けたことはとても勉強になった」と語っている。
様々な媒体のインタビューで、今まで演じた最も好きなキャラクターは『きまぐれオレンジロード』の春日恭介と答えている。逆に、自分が演じた中で一番嫌いなキャラクターは、『銀河英雄伝説』のアンドリュー・フォーク准将とのこと。そして、一番自分の地に近いキャラクターは『ドラゴンボール』シリーズのヤムチャとのこと。
テレビアニメ『美少女戦士セーラームーン』シリーズでのタキシード仮面役は、「タキシード仮面は今までになかったオイシイ役」と評している。「今までやって来た主役は飛雄馬にしろ、星矢にしろ、ほとんどが底辺から這い上がってくるタイプでしたから。しかも皆サブキャラとかライバルとか、たまに出て来て一言二言だけのワキ役に人気をさらわれていましたし、そんなわけで、力一杯キザにやらせてもらっています」と放映当時にコメントしている。アフレコの際も非常に乗り気だったようで、第10話の「運転手は私だ」や、『セーラームーンR』のキャラクターである「月影の騎士(つきかげのナイト)」が去り際に残す俳句(川柳)など、台本にはなかったアドリブを随所に織り込んでいた。
『美少女戦士セーラームーン』シリーズで地場衛を演じていた頃、古谷に長女が誕生。これを祝う形で、テレビアニメ第53話では衛と主人公の月野うさぎが、一時的に赤ん坊を預かり保育に奮闘するというアニメオリジナルの話が製作された(当時、テレビアニメは原作に追いつくことを避けるため、「魔界樹編」としてオリジナルの展開が続いていた)。
『美少女戦士セーラームーン』の新シリーズの『美少女戦士セーラームーンCrystal』シリーズでは、地場衛/タキシード仮面役は野島健児が演じることになったが、健児の父親で同じく声優の野島昭生とはバンドを組んでいた仲であったことから縁を感じ、健児にエールを送っている。
実家は豆腐屋であった。「お父さんの家業は何?」と問われると、間髪入れず「豆腐屋です!」と真面目に答える誠実さと清々しさが魅力だったと勝田久は語る。古谷は現在でこそ「好物は豆腐」と語るが、かつては「味がしないし、歯ごたえもない」として苦手だった。30歳を過ぎた頃から食べ物の好みが変わり、豆腐を「おいしい」と思えるようになったが、その頃には両親は店を畳んでいたため、それを残念に感じたという。
2009年1月27日に死去したという情報がサイバッチのメルマガで流れ、一時期ネット上は騒然となった。同年1月29日付けの公式サイトの更新で「他界したのは僕ではなく母(享年81)です」とのコメントが書き込まれ、事態は収束に向かった。
「NHK大河ドラマは毎年見ている。特に戦国時代モノが好き。できれば大河ドラマ・ナレーターをやってみたい」と述べている。
『UFO大戦争 戦え! レッドタイガー』では当初レッドタイガーの声を演じていたが「声が若すぎてイメージに合わない」という理由から第4話で降板した。
2007年発売のスーパー戦隊Vシネマ『轟轟戦隊ボウケンジャーVSスーパー戦隊』では、スーパー戦隊30作目の記念として生み出されたキャラクター「アカレッド」の声を演じた。また、その4年後の2011年放送の『海賊戦隊ゴーカイジャー』でも放送前のCMナレーションと第2話に登場した謎の赤い戦士(後にアカレッドと判明)として声を演じるなど、スーパー戦隊シリーズにおける節目の作品に出演している。
『名探偵コナン』で演じている安室透はアムロ・レイと古谷に因んで名づけられている。古谷は大のコナンファンであり、劇場版第20作『純黒の悪夢』の公開を記念した赤井秀一役 の池田秀一とのインタビュー形式の対談で、キャラクター名に自身の本名が入っていることを嬉しく思う旨を原作者の青山剛昌に直接伝えたと語っている。
2016年3月にイスラエルのプーリームでコスプレイベントにゲスト出演した。
若い頃は、自分と同様に数多くの熱いヒーローを担当していた神谷明に対して、ライバル意識を持っていたと自伝で明かしている。共演の多い声優には、男性では井上和彦、古川登志夫、鈴置洋孝、堀川りょう、女性では小山茉美、潘恵子、鶴ひろみ、渡辺菜生子などがいる。特に鶴とは、恋人・両思い・片思いなど恋愛の絡む役同士での共演が多い。
鶴との共演が多かったことに対し、古谷は「互いの声が合っていたのでは」との見解を示している。また「仕事がやりやすい」とも発言している(『きまぐれオレンジ☆ロード』キャストトークより)。『ドラゴンボール』でも古谷=ヤムチャ、鶴=ブルマと恋人役を共演していたが、話が進行していくうちブルマはベジータと結婚してしまう。古谷は『週刊少年ジャンプ』のパーティで作者である鳥山明に抗議したが「だってヤムチャは浮気者だから仕方ないでしょ!」と鳥山に言われたという。
私生活では、NHK名古屋のFMドラマで知り合いになった声優の小山茉美と1976年に結婚し、1983年に離婚した。その後、同じく声優の間嶋里美と1985年に再婚し、現在は間嶋との間にもうけた一人娘の父親である。
古川とは互いの家を行き来するほど仲が良いという。また、鈴置も親友として知られた。この他にも、広い交友関係を持つ。歳が近い水島裕とは「トオル」、「ユウ」と呼び合う仲(実際は古谷の方が2歳年上)。『聖闘士星矢』で水島がシドとバドの2役に挑戦するのに悩んでいた時には「ユウならできるよ」と言って励ましたという。またカンフー映画の吹き替えにおいて、古谷は一時期ユン・ピョウ専属の吹き替えも担当していたため、サモ・ハン・キンポー専属の水島とは共演が多い。また同い年である井上とは「徹」、「和彦」と呼び合う仲。
趣味はスキー、スノボ、ゴルフ、テニス、 ウインドサーフィン 、ルアーフィッシング、パソコン、ゲーム、ダーツ。特技はギター、ドラム、プログラミング。
『カーグラフィックTV』のナレーターを20年以上務めているが、古谷自身も20歳代の頃から自動車にこだわりを持っている。免許を取って初めて乗った車は父が乗っていたスカイライン1500DXとのこと。
声優業の他に、雑誌やインターネット上のコラムもいくつか連載している。自作でデータベースなどを開発するなど、マルチな才能を発揮し、パソコンの強者としても知られる。
徳永英明の熱烈なファンであり、古谷の主演作『ドラゴンクエスト』(アベル役)で、徳永が前期エンディングテーマ『夢を信じて』を担当することを知った際には、非常に感激したという。『夜のヒットスタジオSUPER』では、徳永が出演した際に古谷も出演していたことで対面を果たしている。
初めて購入したパソコンにヤマハのMSX CX-5を挙げており、MSXのプロデュース元であるアスキーの月刊誌『MSXマガジン』でも、1993年の同誌休刊まで連載を持っていた。パソコン通信時代から、ネットコミュニケーション上でファンと直接交流を取っている。前述した連載コラムの中にはパソコン関連のものもあり、声優としての古谷徹というよりは、パソコン通としての側面がクローズアップされている物もあり、かなり専門的な内容となっている。パソコンパーツ専門店であるドスパラの店頭イベントでも度々出演している。
ニフティサーブ全盛の時代は自身がアフレコの様子を毎回報告し、頻繁にオフ会を開催するなど、ファンサービスの域を超えた活動が人気となった。インターネット時代以降は自身のホームページやネットワークゲームなどを介し、長きに渡りファンと交流の場を設けている。
PS2ゲームの『機動戦士ガンダム』のネット対戦に参加したこともあるという。チャットも行い参加は告知していた。
しかしそれゆえに、自身の作品の抱負やプライベートな報告のみならず、キャスト降板の他、昔からの声優仲間である井上瑤、鈴置洋孝、戸谷公次、曽我部和恭らの訃報を相次いで報告せざるを得ない状況をも生んだ。特に井上と戸谷のケースは、古谷からの発表ではなく、ファンが噂を聞きつけて質問し、古谷が返答せざるを得なくなったものである。しかし、古谷は常に故人の所属事務所や遺族に事前に確認を取り、正式に訃報を伝える許可を貰ったうえで追悼コメントを出していた。
また、複数の作品で共演経験もある富沢美智恵が引退と報道された際 には、その報道を目にした1人として、自身と富沢の所属事務所である青二プロダクションに確認を取り、事実を把握。自身のウェブサイト上で発表し、引退報道が誤りであることをファンへと明らかにした。
上記のように1986年放送のテレビアニメ『聖闘士星矢』では主人公・星矢を演じ、2003年のOVA『聖闘士星矢 冥王ハーデス十二宮編』と2004年の映画『聖闘士星矢 天界編 序奏〜overture〜』でも引き続き担当したが、2005年のOVA『聖闘士星矢 冥王ハーデス冥界編』からはキャストが一新され、星矢の担当声優も古谷から森田成一へ交代した。
これはオリジナルキャスト陣の声変わりが理由である。『十二宮編』はテレビシリーズ終了から13年ぶりの制作であり、長いブランクによるオリジナルキャスト陣の声質の変化がファンからも指摘されていた。原作者の車田正美は、古谷が演じる星矢にこだわりがあったため、古谷は残してそれ以外の声の変化が著しい出演者数名の交代を求めた。しかし、古谷は長年のチームワークを優先し、若手との共演を善しとせず拒んだため、やむなく古谷を含む全員が交代することになったという。
その後、2012年放送のテレビアニメ『聖闘士星矢Ω』で古谷は8年振りに星矢の声を担当。本人は「この年になってもう一度演じることになるとは思いもしなかった」と語っている。なお公式サイトでのコメントによると、(2006年に紫龍役の鈴置が死去したため)初代のメインキャストが全員揃うことが不可能となってしまい、キャスティングに関するこだわりはもうないという。また『Ω』の星矢は30歳前後の設定であり、旧作より十数年未来が舞台である。
役に対する入り込みは相当なもので、『聖闘士星矢』のオーディションの際、星矢と同じ格好(スリムのジーンズ、スニーカー、赤いTシャツの袖をまくり、赤いリストバンド)でアフレコに臨み、劇場版の舞台挨拶もこのコスプレで回った。
『鋼鉄ジーグ』以降は熱血ヒーローを演じていたが、台詞を言う度に飛雄馬になっていることに自己嫌悪に陥っていたと語っている。25才の時に『機動戦士ガンダム』のアムロに出会う。オーバーな芝居を求められていた当時の子供向けアニメと違い、『ガンダム』は本当にリアルな芝居を求められており、第1声の台詞「ハロ今日も元気だね」は肩の力を抜いて自身が喋っている普通の声で演じ、古谷自身は、第1声でその役が決まると思っていると語っていた。この第1声でOKが取れた時「飛雄馬から解放された」と感じ、アニメがヒットした時は「これでプロの声優としてやっていける」と自信がついたと述べていた。
アムロを演じる上で、一年戦争の序盤と終盤での変化など微妙な変化や成長を見逃さないように気をつけているといい、『機動戦士Zガンダム』や『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』などの後の作品でも年齢による声のトーンを念頭に置いているという。
『Z』で再度アムロを演じた際は戦場に行きたくない、宇宙の感覚が怖いと口に出し、ベルトーチカ・イルマに尻を叩かれて渋々戦う姿を見て「カッコ悪いアムロだなあ」と思ったのが正直な感想だったといい、演じていて嫌だったと語っている。ガンダムでの理想の女性はチェーン・アギのような健気なタイプだといい、ベルトーチカのような踏み込んでくるタイプは苦手とのこと。2005年の劇場版『Ζガンダム』で再度この頃のアムロを演じた際、今度はアムロの心境や置かれている状況にきちんと納得しリアルに演じたいと考え、まずなぜアムロがベルトーチカに惹かれたのか考え「戦場で命を懸けて戦う男たちには拠り所が必要、あの頃のアムロにとってベルトーチカはそういう女性で必要な存在だった」と思い、またベルトーチカ役の川村万梨阿に「彼女を好きになりたいからハグさせてくれない?」と頼んだという。納得して収録に臨むことができ『Z』とは全く違う芝居になったと思っているという。
『Z』で不本意なアムロを演じたため『逆襲のシャア』では「やっとアムロらしくなったな!」と思ったといい実際に演じてみて「やっぱりアムロ・レイはこうでなきゃ!」と思ったという。それまではアムロがシャア・アズナブルの一段下にいると思っていたが『逆襲のシャア』ではついに逆転できたなと思ったという。
アムロの好きな台詞に『ガンダム』9話での「フラウ・ボゥ、君にはガンダムの操縦は無理だよ。……、僕は男なんだな」と『逆襲のシャア』での「貴様ほど急ぎすぎもしなければ、人類に絶望もしちゃいない!」という台詞を上げている。
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では原作者の安彦良和からの指名で8歳のアムロを演じたが案の定かわいくできなかったといい、台詞が多くなかったためなんとかこなせたかな、という感じだったという。一番イメージが強いのは『ガンダム』での少年時代のアムロで一番好きなのは『逆襲のシャア』での大人のアムロだという。
アムロ・レイは「自分の分身」だといい、誰にも譲りたくないという。アムロに関しては「25歳の古谷徹が一番のライバル」だといい、そのために体力作りや遊びを行っている。
アムロ・レイは知名度の高さから、古谷本人が演じるキャラクターの中でも、台詞がパロディとして使用される場合がある。アムロのものまねをする若井おさむに対して、共演者の潘恵子が似ていると認めているのに対して、古谷本人は「声質は似ているとは思いません」「喋り方のニュアンスは似ている」と公式サイトの掲示板でコメントしていた。後に対談で彼のことを認めており、応援もしている旨の発言をしている。現在は関連イベントで多く共演している。
主要キャストとして出演している関係上、ガンダムシリーズにはこれまで人物や物語に主な関心があったが、昨今はガンダム関係のゲームを自らプレイする機会が増えたことから、モビルスーツへの興味も増してきたという。ホームページ上のコメントでは、アムロが搭乗した初代ガンダムやνガンダムの他、シャア専用ザク、ドム、ギャンなどのシンプルなデザインの物を好むと語っている。また、『劇場版Ζガンダム』のDVD特典映像では、ティターンズ仕様のガンダムMk-IIの名もお気に入りに挙げている。
1996年に放送された『機動新世紀ガンダムX』ではファーストニュータイプの「D.O.M.E.」の声優に古谷を起用する案もあったが、高松信司の「古谷さんにお願いすると自分の意図する「ニュータイプ」の意味が変わってしまう」という意見で没になった。
現在ではガンダム関連のトークイベントや舞台挨拶の場に上がる機会が増えたが、持ち前の社交性から率先して場のトークをまわす役を買って出る場面も多い。『機動戦士ガンダムSEED』に対しては「ファースト とストーリーが似ている」などの若干批判的なコメントを語った一方、「(主に女性層などを中心に)ファンの裾野を広げてくれたことには感謝している」ともコメントしている。
特にイベントではシャア・アズナブル役の池田秀一との共演機会が多く、その舞台裏の和気藹々とした様子は『ガンダムエース』誌上で漫画として描かれている。
『機動戦士ガンダムSEED 連合vs.Z.A.F.T.』のイベントではゲスト出演してカガリ・ユラ・アスハ役の進藤尚美のストライクルージュと対戦、古谷は「アムロはやっぱり主役機」と言ってフリーダムガンダムを使用し「アムロ、フリーダムいきまーす」と言った。
ゲームなどにおけるアムロ役のアフレコのオファーがあった場合、過去の作品を観直して復習し、シチュエーションなども考慮して演技プランを練り、当日に臨むという。この点に関しては、池田秀一が過去の作品はあえて観ず、その時点の新鮮な気持ちで解釈したシャアの姿を演じるとしていることと好対照である。なお古谷は池田と対談した際に「(復習するために)テレビ放送時を見返す度に、当時の僕はアムロを大人っぽく表現していると感じる」と述べている。
「スーパーロボット大戦シリーズ」ではアムロが「フィン・ファンネル!」と叫んでいるが、この台詞は原作では叫んでいない。音声付のシリーズ作品では、アムロが発する特殊セリフが新作ごとに追加されているため、音声付の作品にはほぼ毎回新録を行っている。また、同シリーズでは古谷が声を演じた『鋼鉄ジーグ』も登場することがあるが、ジーグはガンダムやシャアに対して「○○(ガンダム、もしくはシャア)、鋼鉄ジーグが相手だ!」という声優繋がりの特殊セリフを喋ることがある。
バンダイとNTTが提供するネットワークゲーム『ガンダムネットワークオペレーション(GNO)』のプレーヤーとしても知られている。
バンダイ本社ビル内のエレベータにて、アムロの声で「上に、いきまーす!」などの音声案内が設定されている。2005年に上映された劇場版『Ζガンダム』の舞台挨拶において、古谷本人としては主人公のカミーユ・ビダンを演じたかったとコメントし、それを受けた総監督の富野由悠季は「古谷はカミーユにしたくないからアムロにしました」とコメントしていた。
テーブルトークRPG(TRPG)を扱っていたメディアミックス誌『LOGOUT』にコラムを連載していた縁で、同誌上で機動戦士ガンダムを題材としたTRPGセッションへの参加を持ちかけられた際「いいですよ、でも僕シャアやりますからね」と発言。その後本当にシャア役でセッションに参加した。同席した他の参加者によれば、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の台詞を即興で多数引用し「アムロの声なのにちゃんとシャアしている」と皆を納得させたという。
かつて古谷がGNOなどのガンダム関連ネットワークゲームで所属していたチームには「久遠の蒼月」「久遠蒼月隊」などのチーム名がつけられていた。また、『UniversalCentury.net GUNDAM ONLINE』では「BlueMoon」という隊に所属していた。2007年11月、テレビ神奈川の『saku saku』に出演。バンプレストの一番くじ「機動戦士ガンダム脱戦士編」のプロモーションで、バンプレスト広報のハッピー柿岡(ラッキー若山の子分)と共に屋根の上に登場。ハッピー柿岡が終始シャアマスクを装着して商品説明する中、古谷はフリップを持たされるなどしたが、ところどころ一番くじの景品をネタにセリフを言ってもらえた。古谷の出演に際して、スタジオ観覧者も異例の人数となった。
2007年10月放送の『機動戦士ガンダム00』(以下『00』)にナレーションとして出演。テレビシリーズのガンダムにアムロ役以外で参加したのは初である。古谷はガンダムシリーズではアムロ以外の役は演らないという固い信念があり ずっと断り続けてきたが、2006年にアメリカで行われたアニメのイベントで古谷が『鋼の錬金術師』ファンだった縁で対話した監督・水島精二に「ナレーションならどうですか?」と交渉された。「ナレーションはキャラクターではない」ことと、池田秀一が『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』でギルバート・デュランダル役で出演したことも出演の背景にあった。自身は「やるからにはファーストを越える」と語った(2007年のキャラホビ2007での古谷の発言にて)。
とは言え、『00』では結果として“蒼月昇”という別名を用い、リボンズ・アルマーク役としてキャラクターを演じている。蒼月は新人声優であるという触れ込みで、本放送中、古谷とは別人と扱われていた。雑誌のインタビューなどで蒼月として顔出し出演する際は、(サングラスを着用しただけの簡易なものではあるが)変装した上で登場していた。その後、放映終了後に行われたイベントにおいて、蒼月の正体が古谷であることが正式に公表された。同時にリボンズ役を別名義で演じていた理由について、「古谷徹の名が出ると、たとえ一言でも何か特別な役だと深読みされてしまうから」と言う水島監督の意向によると明かされている。この「蒼月昇」という名は、前述のオンラインゲーム『ガンダムネットワークオペレーション』で、古谷が隊長をしていた部隊名が「蒼月隊」だったことに由来する。この部隊名は、薄紫で甘い香りのする「ブルームーン」という古谷が最も好む薔薇にちなんで名づけられている。
劇場版『00』では別キャラクターであるE・A・レイ役でも出演しているが、こちらでは既に正体を明かしていた後の公開でもあり、古谷徹の名義で出演している。一方で、その後の作品でリボンズ(またはSDのリボーンズガンダム)を演じる際は引き続き「蒼月昇」名義を用いている。また『00』関連以外の作品では、2014年に公開されたアニメ映画劇場版『世界一初恋 横澤隆史の場合』出演時に初めて「蒼月昇」名義を用いている。
「蒼月昇」名義のTwitterアカウントが存在する。Twitterを始めた理由は「『世界一初恋』の感想を知りたかったから」とのこと。また、蒼月として始めたTwitterより少し遅れて古谷としてもTwitterを始めており、「蒼月昇くんがTwitterにはまってて、あまりに面白そうだったから始めることにしました」とコメントしている。どちらのアカウントでも、互いのことをツイートしたりする際、それぞれ別人としてツイートしている(蒼月側では古谷先輩、古谷側では蒼月くんと呼んでいる)ことが多い。
太字はメインキャラクター。
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