『ウルトラマンマックス』は、2005年(平成17年)7月2日から2006年(平成18年)4月1日まで、中部日本放送・TBS系で毎週土曜日7:30 - 8:00に全39話が放映された、円谷プロダクション制作の特撮テレビドラマ作品、および作中に登場する巨大変身ヒーローの名称。
番組のキャッチコピーは「最強! 最速!! Max Power! Max Speed!!」。
テーマが重くシビアな内容だった前作『ウルトラマンネクサス』とは対照的に、本作品は「原点回帰」をテーマにしている。
ウルトラマンマックスはウルトラマン80までの昭和ウルトラマン同様にM78星雲出身の設定だが、世界観は昭和ウルトラシリーズと繋がっていない。これはパイロット監督を務めた金子修介が『ウルトラマンティガ』以降のシリーズの設定の詳細を知らず、「ウルトラマンなら当然M78星雲出身だろう」と設定したことによる。『ティガ』以降の平成ウルトラシリーズ共通の特徴だったウルトラマンのタイプチェンジ変身は、本作品では採用されていない。また、派手な変身プロセスが見られ、装着した変身アイテムが必殺技使用時に使われるのも特徴である。
本作品は、本編放送時間を長くするために大幅な放送フォーマットの変更を行っている(#放映データ参照)。また、オープニングの映像では、冒頭にサブタイトル、最後に登場する怪獣の名前が掲げられ、ウルトラマンや怪獣、防衛隊隊員のシルエットが使用されるなど、昭和期のウルトラシリーズ同様のフォーマットを採用している。
地球防衛連合日本支部司令官役として黒部進(『ウルトラマン』の主人公・ハヤタ)、怪獣生態学博士に桜井浩子(『ウルトラQ』の江戸川由利子と『ウルトラマン』のフジ・アキコ)を起用。その他、森次晃嗣(『ウルトラセブン』のモロボシ・ダン)や二瓶正也(『ウルトラマン』のイデ隊員と『ザ☆ウルトラマン』のトベ隊員)、佐原健二(『ウルトラQ』の万城目淳と『セブン』のタケナカ参謀)や西條康彦(『ウルトラQ』の戸川一平)、毒蝮三太夫(『ウルトラマン』のアラシ隊員と『セブン』のフルハシ隊員)、真夏竜(『ウルトラマンレオ』のおゝとりゲン)など、かつてのウルトラシリーズの昭和世代のレギュラー俳優・出演者が多数ゲスト出演している。また、平成ウルトラマンのテレビシリーズとしては初めてバルタン星人・ゼットン・レッドキングといった『ウルトラマン』『ウルトラセブン』の有名な怪獣も登場する。これらは子供だけでなく親子で楽しんでもらおうという意図による。ナレーションは佐野史郎が担当した。
『ウルトラQ dark fantasy』でメイン監督だった八木毅がチーフプロデューサーを務める。スタッフには平成ウルトラシリーズを支えてきた村石宏實、川上英幸、八木毅、太田愛、小中千昭、シリーズ初参加の栃原広昭、佐藤太、村上秀晃、三池崇史、さらにはウルトラシリーズに馴染み深い実相寺昭雄、飯島敏宏、上原正三など、本作品は全39話という短い話数だが、監督11名、脚本18名という歴代ウルトラマン史上最多のクリエイターがスタッフとして参加している。
八木は監督や脚本家主導の作家主義を採用して1話ごとの面白さを追求しており、第1クールでは王道の作品であることを視聴者に認識させるために作品の方向性をコントロールせざるを得なかったが、第2クールからの各作品は非常にバラエティに富んだものとなっている。第15話「第三番惑星の奇跡」などのような感動路線的なエピソードもあれば、第16話「わたしはだあれ?」や第20話「怪獣漂流」などのような徹底してパロディやスラップスティックを追求したコメディ調エピソードも多く存在する。さらには、『ウルトラセブン』の続編とも解釈できる第24話「狙われない街」、ウルトラシリーズそのものをメタ視した第22話「胡蝶の夢」など、作品の基本設定さえもフィクションの一部として利用したような番外編的エピソードまで登場した。
前作『ウルトラマンネクサス』が当初の予定より短縮されたため、本作品は準備期間が半年という非常に切迫した状況での開始となった。『ネクサス』は1年以上の準備期間をかけていたが、本作品では2005年7月からの放送に対して2004年12月初めから企画が進められ、正式な企画書提出は2005年2月半ばであった。通常は放送開始の3週間前から始める新番組予告を、本作品では『ネクサス』の放送期間中に放送開始8週間前から始めている。このため、直近作品のプロデューサーを務めた渋谷浩康は前作『ネクサス』の纏めに入るため、監督の立場であった八木が企画を立ち上げることになった。
企画はプロデューサーの八木毅、メイン監督の金子修介、監督兼脚本家の梶研吾、脚本家の小林雄次らが中心となって立案された。キャスティングや1クール目のスタッフは金子の人脈による部分が大きい。
小林による初期の企画案では『ウルトラマン』の数十年後の世界が舞台となる続編とするものがあり、黒部や桜井の起用はこの名残である。
2004年12月中旬に提出された初期案ではヒーローの名称がウルトラゼノンという、ウルトラセブン以来の「マン」が外れる名称を企画していたが、力強さをまっすぐに表現するため、ウルトラマンマックスとなった。「ゼノン」の名称は、本作品に登場するゲストウルトラマンの「ウルトラマンゼノン」に引き継がれている。
『ウルトラゼノン』は、原点に戻した考え方として、八木が正しいフォーマットであると思った『ウルトラQ』を土台とした『ウルトラマン』『ウルトラセブン』までの流れを再現するために、ダークファンタジーを土台としたものとして意図し、『ウルトラQ dark fantasy』から続く流れと理解して企画を進め、「STORY,SIMPLE,SPEED,STRONG,SF,SENSE OF WONDER」の「6つのS」をポイントと規定した企画内容となっている。その6点を念頭に置いた「ウルトラの王道」から離れない「簡潔」で、「骨太」な「直球勝負」の作品を作ろうとした結果、徹底したエンターテインメントを目指し、「6つのS」をベースとした「超高速」というテーマとなった。光の存在であるウルトラマンを表現するため、「世界観」「アクション」「存在感」のすべてが透明感のある明るさや純粋さと光のスピードをもって描くこととし、徹底して「超高速」を押し出すことによって新しさを含んだスピード感にあふれたキャラクター、存在感のあるウルトラマンの姿を作り出せると主張された。その後、商標登録の点でも、「ウルトラマン○○」の方が登録に問題が出にくいことから、『ウルトラゼノン』は岡崎の提案した『ウルトラマンマックス』に変更となった。
プレックスによる初期案ではウルトラマンフェニックスやウルトラマンウイングなどの名称が用いられており、鳥をモチーフとした意匠は決定デザインにも取り入れられている。カプセル怪獣や母艦に変形する基地などの案もあった。
前述の通り、平成ウルトラシリーズの主役としては唯一、タイプチェンジを伴うパワーアップはしていない(ただし、武器を受け取って自身の戦力強化にあててはいる)。
放送枠については『ネクサス』製作の時点でTBS系土曜7:30が2006年4月から毎日放送の情報番組になることがすでに確定しており、『ネクサス』の後にもう1本作品を製作したい円谷側にとって、『ネクサス』を1年放送した後に2クールで番組を作成することが困難であったため、『ネクサス』を短縮して本作品を3クールで終了することは当初から決定しており、『ウルトラマン』と同じ全39話に収まった。その結果、本作品は2022年時点で最後のTBS系全国ネット放送の作品となった。また、本作品終了後の2006年4月からは毎日放送制作のワイドショー番組『知っとこ!』が30分拡大されたため、『小さな旅と美術館』以来続いたTBS系土曜7:30におけるCBC制作の全国ネット番組は本作品が最後となり、CBC制作枠は日曜朝7時前半枠へ移動し、『週刊!健康カレンダー カラダのキモチ』が開始された。
『ティガ』以降の作品では初めて劇場版が製作されておらず、マックスやゼノンの劇場版初登場は2009年制作の『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』になる。関連商品についても、『ウルトラマンコスモス』以降の作品では本作品のみ、家庭用テレビゲームソフトが発売されていない。
21世紀。世界各地に異常災害が発生し、空想の産物と思われていた怪獣が現実に出現するようになった。それはあまりに繁栄しすぎた人類という種に対し、生態系が生み出した天敵でもあった。
チームDASHのダッシュバード1号の不時着現場に居合わせた災害ボランティアの青年トウマ・カイトは、負傷したコイシカワ・ミズキ隊員に代わってダッシュバード1号に搭乗し、グランゴンやラゴラスの2大怪獣に立ち向かう。だが、怪獣の攻撃を受けてダッシュバードは操縦不能となってしまう。その時、赤く光る玉とともに現れた光の巨人がカイトを救った。地球文明を監視するためにM78星雲からやって来た巨人は、自分の身を省みずに人々を救おうとするカイトの姿に「共振する個性」を見出し、カイトと一心同体となって人々の命を守るために戦うことを決意し、マックススパークをカイトに授けた。こうして、ウルトラマンマックスが誕生した。
これを機にカイトはDASHに入隊。以後、マックスの力が必要になるとマックススパークを使用してマックスに変身し、怪獣や宇宙人と戦う。
M78星雲から文明監視員として宇宙と地球の人類の文明が調和できるかどうか監視するためにやってきた光の巨人。本放送当時は「光の国」出身とはされておらず、過去のウルトラシリーズとも関係はないとされていたが、映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』および『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』ではマックスとゼノンが光の国の戦士として登場している。『ウルトラマン列伝』ではウルトラマンゼロがマックスを「光の国からやって来た」と解説している。また、『劇場版 ウルトラマンギンガS 決戦!ウルトラ10勇士!!』のBlu-ray解説書ではウルトラマンタロウの証言として、マックスの出身地を「M78星雲のどこか」と記述している。
通常はその惑星には干渉しないが、地球の人類の文明を監視するうち、自らを犠牲にしながらも戦うカイトに共振する個性を感じ、彼と一心同体となって地球で頻発した怪獣や侵略者から人類を守るために戦うことを決意する。地球での活動時間は3分間。マックス自体の意思はカイトと融合しておらず彼と会話することもあるが、変身前はカイトの自主性を尊重して滅多なことでは表に出てこない。だが、無益な争いを好まず、何らかの事情が怪獣や宇宙人側にある場合には穏便な解決方法を選ぶ。
最終話で、ギガバーサークに倒されて磔にされるが、DASHの活躍で復活して勝利した後、カイトと分離してゼノンと共にM78星雲へ帰った。
『ウルトラマンX』第8話にゲスト出演した際は、カイトの姿を借りる形で作中世界の地球へ現れている。
カイトがマックスと一体化した時にマックスから受け取った変身アイテムで、金と銀の色彩が施されている。マックス自身の左前腕にも装着されており、その際にはマクシウムカノンを放つためのアイテムとして使用される。カイト=マックスと知ったピット星人や、モエタランガに奪われたこともある。
カイトが右手で取り出したマックススパークを天空に高く掲げた後、左腕に添えるとマックススパークに宿った強大な光のエネルギーが放出されてカイトを包み、歴代ウルトラマンのカラータイマーに相当するパワータイマーを中心に身体が段階的に変化した後、手を掲げずに画面奥から迫って来てそのまま巨大化するという、ウルトラマンとウルトラセブンを組み合わせたようなスタイルが基本である(変身・巨大化の際の効果音には、ウルトラセブンのものが流用されている)。
地球人が最大限努力しても人命を救えない時にのみ変身が可能で、カイトの私心のみでは変身できない。マックススパークを掲げた瞬間に光が放たれ、変身したこともあった。第16話では、カイトがミケの光線を受けたことでマックスへの変身方法を忘れてしまった後、半ば事故に近い形で変身するも倒れたままで巨大化してしまった。第22話では、カイトと入れ替わった脚本家・蓮沼が変身するという珍事もあった。また、第34話ではマックスのエネルギーが失われた際にバルタン星人の子供たちからエネルギーを得て、変身している。第39話の最後の変身では、マックスと分離してしまったカイトがダッシュバード1号のコクピットから飛び降り、マックスギャラクシーに宿ってマックスと一体化変身を遂げるという荒業も披露している。
シリーズ中盤でウルトラマンゼノンから与えられた右腕に装着して使用する強化アイテム。普段は装着しておらず、使用時は右手を天に掲げて虹色の光線を手のひらから放つことで、天空から召喚して装着する。膨大なエネルギーを核融合に似た原理で生み出している。ただし体力の消耗が激しいため、エネルギー不足の場合は光線技が使えない。
『ウルトラギャラクシーファイト 運命の衝突』ではゼノンが装備し、アブソリュート空間へのゲートを維持した。
第13・39話に登場。初登場時にはマックスとゼットンとの戦いの最中に現れ、マックスにマックスギャラクシーの召喚能力を授けた。ゼットン戦後は地球に正体不明の宇宙戦闘機が接近していることを告げ、宇宙へ帰還するが、終盤ではカイトと分離してM78星雲へ帰還するマックスを出迎えに地球近辺まで飛来しており、ともに帰還した。
マックスと同程度の能力・戦闘力であると思われるが、人間と一体化しておらず、マックススパークのようなアイテムは装着していない。
正式名称はUNITED DEFENSE FEDERATION。21世紀初頭、世界各地で頻発した自然災害の影響で現れた怪獣や外宇宙からの侵略行動による人類や地球の存続危機に対処すべく国連が主導して設立した全地球規模の国際組織。総合本部兼欧州支局はパリにあり、北欧(コペンハーゲン)、アフリカ(ナイロビ)、中東(カイロ)、ロシア(モスクワ)、インド(ムンバイ)、中国(上海)、太平洋(ハワイ)、南米(サンティアゴ)、北米(ニューヨーク)、豪州(ケアンズ)、南極、日本(東京)の12箇所に支部がある。
日本支部の防衛本部基地は東京湾海上にあるベース・タイタンで、UDF隊員の中から知力・体力を鍛え抜かれた各分野のエキスパートで結成された司令本部直属の対怪獣防衛チーム、通称DASH(DEFENSE ACTION SQUAD HEROES)がここから出撃する。DASHは24時間体制の勤務で怪獣・怪事件に立ち向かうが、通常の勤務開始は午前10時からである。また隊員たちは、最先端の装備や技術を使用し、怪獣・宇宙人が関わる事件の際に、警察や軍以上の捜査権と装備の行使が許可されている。
東京湾・臨海副都心の沖合いに建設されたUDF日本支部基地で、国内の防衛司令本部基地も兼ねている。最上層部にDASHの司令室が置かれ、内部にはトミオカの長官室、各隊員の個室、エリーとココのエネルギーをチャージするコスメティックブースをはじめ、会議室、メディカルセンター、対侵略者用モニタールーム、宇宙人調査室、射撃訓練場、ダッシュバード各機の格納庫やメンテナンスドッグなど多くの設備や、司令本部、科学局、外交情報局、後方支援部などの部署がある。
外部には、基地正面にダッシュバード1・2号用の発進口、基地上部にダッシュマザーの格納・発着設備、地下にはダッシュアルファとダッシュドゥカ用の秘密地下トンネルがそれぞれ設けられている。また、設定によれば要塞としての役割も与えられているため、相応の火力も配備されている。
第8話では、回収した隕石から現れたバグダラスに暗躍されたり、第18・36話では2度に渡ってシャマー星人が地球人になりすましてDASHの隊員たちの挑発・妨害に現れたりなど、侵略者からの干渉を受けたこともたびたびあった。
第38話では、デロスのバーサークシステムの攻撃により、一瞬のうちに壊滅してしまったが、50年後を描いたラストシーンでは再建されている。
基地内などで働く、カーキ色の隊員服にタクティカルベストを着用した警備員や、後方支援部に属し、最前線でDASHをバックアップするグレー一色のつなぎを身に纏った隊員など様々な部署で働く隊員がいる。
括弧内は登場した話数。
括弧内は登場した話数。
過去のウルトラシリーズは本編の間にCMを1回だけ挟む前後半構成だったが、本作品は本編の間にCMが2回入る構成となっている。本編の尺を確保するためにEDとアイキャッチがカットされ、OPも従来の90秒から70秒に短縮されたため、1回あたりの本編放送時間はウルトラシリーズで最長の24分前後となる。番組の構成は以下の通り。
番組タイトル→アバンタイトル→オープニング→CM→本編Aパート→CM→本編Bパート→CM→本編Cパート→次回予告→情報コーナー「マックスボックス」
本作品は物語上は全39話で完結するが、本放送においては最終回の翌週(2006年4月1日)に、これまでのマックスの戦いを振り返る総集編『マックススペシャルフィナーレ“ウルトラの未来へ”』を放送して終了した。最終エピソードの脚本を担当した小中千昭は、「4月1日(総集編)の放送分もあるのなら3部作にしたかった」と後に語っている。
ギャラクシークライシス(詳細は大怪獣バトル#世界観を参照)以降の設定もあり、『マックス』本編から直接つながらない別世界へ普通に客演している。
放送に先駆け、円谷プロとCBCによる視聴者参加企画として「怪獣デザインコンテスト」と「伝説の怪獣人気投票」の2企画が行われた。「伝説の怪獣人気投票」では古代怪獣ゴモラが1位となり、第21話「地底からの挑戦」に登場。一方、「怪獣デザインコンテスト」では8歳の少年が考えたルガノールが最優秀賞を受賞し、第28話にルガノーガーとして登場した。また、怪獣デザインコンテスト優秀賞の怪獣たちは、放送の最後にあるミニコーナー「マックスボックス」で紹介された。
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