東根市(ひがしねし)は、山形県中央東部にある市。
サクランボやリンゴをはじめとする果樹の栽培が盛んで、サクランボの生産量は全国の市町村で1位。また、焼き麩の生産量も日本最多である。1958年(昭和33年)市制施行。
山形盆地の北部最上川東岸に位置し、市域東部の奥羽山脈から流れる乱川、白水川、村山野川、日塔川が作り出した扇状地に市街地がある。乱川下流域には湧水地が存在し、環境庁(現環境省)の選定した名水百選に選定されている。
奥羽山脈に面する市の東半分は山地となっており、北東は黒伏山、御所山(御所山県立自然公園)、南東は関山峠を通じて仙台市と接する。南は面白山付近で山形市と接し、大畑山・水晶山・乱川を境として天童市と接する。西は最上川付近で河北町と、北は村山市・尾花沢市と接する。
寒暖の差が大きく気温の年較差、日較差が大きい顕著な大陸性気候である。降雪量が多く、豪雪地帯に指定されている。
奥羽山脈から流れ出た川が作り出した沖積平野には遺跡が多く残されており、縄文時代前期頃から人々が集住し始めたものの、弥生時代の遺構は見つかっておらず寒冷化によって続縄文文化が南下したとみられる。古墳時代には稲作がはじめられ、天童市成生から当市郡山にかけては条里制の地割が見られるとともに古墳も出現する(大塚古墳)。和銅5年(712年)出羽国が成立すると最上郡に属し、平安時代最上郡が村山郡と分かれると村山郡に属した。駅制が地方にも波及すると、最上川舟運を利用した駅制の一部に組み込まれ、延喜式に記述がある「村山駅」及び村山郡衙は市内郡山にあったと推定されている。また、11世紀半ばに摂関家領荘園として小田島荘が成立したとされ、初見は寛治6年(1095年)の関白藤原師通の日記においてである。
鎌倉時代に入ると地頭として横山党中条氏が治めた。中条氏は鎌倉にあり陸奥国刈田郡、和賀郡とともに兼帯したというが、後に分割相続し小田島氏を名乗る。南北朝時代に入ると南朝結城氏の支配下に入ったことが北畠親房の書状から推測されるが、結城氏が後に北朝に転じても足利尊氏により領有が認められた。しかし正平11年(1356年)、結城氏の代官として小田島荘を治めた平長義(小田島長義)が北朝方結城氏勢力を駆逐し小田島氏本来の旧領を回復したことが、普光寺に納められた洪鍾の銘や、若宮八幡社の鰐口から暗示されている。ところが、同年南朝側は奥州管領斯波家兼の次子斯波兼頼を出羽国最上郡に下向させると勢力図は一変、同じく南朝の寒河江氏などと共闘したとみられるが小田島氏は最上川西岸へ駆逐されてしまう。
その後室町時代には天童氏の庶子が入り東根氏を名乗った。戦国時代には、血統的には宗家に当たる最上氏と比肩する勢力を築いた天童氏の一翼として、長瀞氏・六田氏などと名乗り天童八楯を形成する。しかし、最上義光の策により八楯が崩壊し天童氏が滅亡すると最上義光に仕えた。東根城主東根景佐は12,000石を領した。
江戸時代に入ると最上氏が改易となり、程なく幕領となって東根代官陣屋が置かれた。享保年間には田畑の質流れ禁止令をめぐり長瀞騒動がおきている。その後寛政10年(1798年)米津氏が長瀞藩として入り長瀞陣屋が置かれた。大手門が現存移築されている。
大昔、村山盆地の真ん中に「藻が湖(もがうみ)」という大きな湖があり、この湖の東に連なる奥羽山脈の麓に最も早く拓けたところを東根と呼び、この地名が付けられたといわれている。なお、最上川対岸の寒河江市には西根という地名もある。
議会運営委員会の他、常任委員会3つと、特別委員会が1つが設置されている。
2011年(平成23年)4月1日現在の市職員数(短期契約職員を除く)は365人である。
県内でも整備されている交通インフラ環境や商工業地帯、東北地方の中心都市である宮城県仙台市に隣接しているという地理的環境を生かして、それまでは主に(サクランボ、リンゴ、ラ・フランスなどの)果樹園が点在していたさくらんぼ東根駅周辺の農業地帯を大規模な工業地帯や商業施設、更には宅地開発によって新興住宅地区に区画整理をして分譲している。そのため、市街地の風景が著しく変化しており、県内の周辺市町村などからの移住者を中心に同市への定住者が増加し、さくらんぼ東根駅周辺を中心に新たな『東根都市圏』を形成している。
市街地は平地部を南北に貫く奥羽本線及び国道13号線と、仙台へ通じる国道48号から分岐した県道29号線が直交する地点に集積している。市の南西部には山形空港があり、中央部にはさくらんぼ東根駅とその周辺地域に出店した「イオン東根店」や「ヨークベニマル東根店」といった大型ショッピングセンターエリアを中心とした新興商業地帯が形成されている。また、山形臨空工業団地、大森工業団地・大森西工業団地(旧山形県畜産試験場跡地とその周辺の果樹園地帯)などの工業地帯や陸上自衛隊神町駐屯地などでは東根市内以外の周辺の市町村からも多くの労働力を集めている。いずれの産業も盛んであることから、一人当たりの所得は県内平均(263.0万円)と比較して高い水準(296.1万円)にある。
果樹の栽培が盛んで作付面積、農業産出額に占める割合が多く(78.2%)、水田の作付率は山形県の平均水田作付率(79.0%)より低い(43.8%)。 農業協同組合は、市全域が東根市農業協同組合(JAさくらんぼひがしね)の管轄区域である。
山形県が設置した大森工業団地・大森西工業団地を核として、東根市が主体となった山形臨空工業団地・縄目工業団地があり、製造業が盛んである。
人口構成は若年人口が多くの割合を占めている。一方で「イオン東根店」など大型商業店舗がさくらんぼ東根駅周辺へ店舗移転する傾向にあり、これまでの中心街であった東根温泉街、東根駅、神町駅周辺地域などは大規模な土地区画整理事業から取り残され、住民の急速な高齢化が進む等、市内間における一極集中が進んでいる。
市内の一部地域では、全国でも採用例がほとんどない道路方式の住居表示が採用されている。
村山警察署(村山市)の管轄である。
市の急激な人口増加に合わせるため市は「さくらんぼタントクルセンター」や旧東根市立第一中学校跡地に新たに「東根市立東根中部小学校」、神町地区に「東根市立大森小学校」などを新設し、市内の子育ての教育環境を急速に充実させている。現状では急増する生徒数に対して現存する市内の小中学校では既存の校舎では到底間に合わず「東根市立神町中学校」では、プレハブの仮校舎で辛うじて間に合わせている。
さくらんぼ東根駅は山形新幹線の停車駅ともなっている。
東北中央自動車道 東根ICと東根北ICがある。東根ICは山形空港付近に接続する。大半が片側1車線のため、休日などには渋滞することがある。
以上2社が東根市に本社を置く会社で、市内の医療機関などにはタクシー会社直通の電話機が備えられているところもある。
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