VF-17 ナイトメア (ブイエフ じゅうなな ナイトメア、Nightmare)は、「マクロスシリーズ」に登場する架空の兵器。初出は、1994年から1995年にかけて放送されたテレビアニメ『マクロス7』。「バルキリー」の通称で呼ばれる可変戦闘機(ヴァリアブル・ファイター=VF)のひとつで、ファイター(航空機)とバトロイド(人型ロボット)、両者の中間形態であるガウォークの三形態に変形する。
『マクロス7』劇中では、主人公の一人「ガムリン・木崎」が所属するマクロス7船団特殊防衛部隊「ダイアモンドフォース」の主力機として登場する。
ペットネーム(愛称)の「ナイトメア (Nightmare) 」は「悪夢」の意。劇中や一部玩具商品では、「ステルスバルキリー」の通称でも呼ばれる。デザインモチーフは、実在のステルス攻撃機F-117 ナイトホーク。
メカニックデザインは河森正治。
デザイナーの河森は、『超時空要塞マクロス』の制作から10年の間に登場した「F-117」をモチーフに、ステルス機としての要素を加味したVF-17をデザインした。当初F-117の写真を見た時はあまり気に入っていなかったが、取材で実物を見て面白く思い、VF-17のデザインに反映させた。黒塗りの重厚なシルエットは、前作の「VF-1 バルキリー」とは大きく異なる印象を持つ。なお、劇中ではステルス機としての設定はあまり活かされてはおらず、敵を正面から迎撃するエリート部隊の専用機として描かれている。
2008年に放送された『マクロスF』では、新統合軍主力機として配備されているという設定の改良機「VF-171 ナイトメアプラス」が登場する。こちらはVF-17よりも機首が長いスマートなシルエットで、平面型が三角形をしたF-117のイメージからはやや離れた姿になっている。劇中では、主人公の早乙女アルトが強化バリエーション機である「VF-171EX ナイトメアプラスEX」に一時搭乗する。2016年放送の『マクロスΔ』でも、カラーリングを変えて辺境惑星に配備されているという設定で登場する。
バンダイ、やまとからはプラモデルや可変トイが発売されている。
ゼネラル・ギャラクシー社が、「VF-14 バンパイア」を参考に開発した特殊作戦機。敵拠点への侵入とピンポイント攻撃といった、2030年代における主力機「VF-11 サンダーボルト」では困難な任務への投入を目的とした重戦闘機で、ステルス性を重視した独特の多面体形状から「ステルスバルキリー」の通称で呼ばれている。2037年の就役を皮切りに、各方面のエリート部隊に優先配備された。
本機は「VF-19 エクスカリバー」などに採用された第三世代型アクティブステルス技術より以前の、レーダー波を正反射させないパッシブステルス技術に基づいて設計されている(パッシブ〈受動的〉ではあるが、機体表面にはレーダー波を吸収する特殊塗装が施されている)。直線と平面で構成された機体形状は航空力学的に不利が大きく、ガンポッドやミサイルなど、従来機では外装されていた兵装類をすべて格納式にしたため、大型で重量級の機体となった。しかし、主に大気圏外で運用されるため空力性能は問題とならず、VF-11の主機である熱核反応タービンエンジンFF-2025Gの2倍の推力を発生するFF-2100Xを採用したことで、見かけによらない高機動性を発揮する。
変形機構においてもステルス性が考慮され、バトロイドの両腕やレーザー砲などの突起物は機体上面に配置されている。脚部エンジンナセルには開閉式ウェポンベイと主脚庫に加え、折り畳み式ガンポッドと予備弾倉まで収納しているが、脚全体を90度寝かして配置することで機体が薄く平らになるよう工夫されている。なお、この可変システムの都合上、ファイター形態における2次元ベクターノズルは、ほかの機種と異なり上下ではなく左右に推力を偏向する。
バトロイド形態は、アーマードバルキリーを思わせる重装甲と武骨なフォルムが特徴となる。ガウォーク形態は、両腕を下ろした標準形態以外にも、両肘に内蔵するレーザー砲を伸長した「強攻モード」が設定されている。
本機は標準装備で兵装ステーションフル装備のVF-11を凌駕する機動性・火力を有し、エリートパイロット用の上級機として配備された。2042年に制式採用された後継機VF-22 シュトゥルムフォーゲルIIの登場後は、兵器搭載量を活かした可変攻撃機(VA)、あるいは可変爆撃機(VB)的な運用も検討されている。
総生産数は後述する各タイプを合計して718機となった。これは各地の植民星、移民船団等で幅広く運用されるVFとしてはかなり少ない部類に入る。高性能と引き換えに操縦性、整備性が悪く、極端に単価が高いことがその要因であったとされる。しかし、後に生産された再設計機「VF-171 ナイトメアプラス」ではこれらの問題点が解決され、2050年代末にはVF-22すら成し得なかった新統合軍制式主力機としての地位を獲得している。
『マクロスF』『マクロスΔ』に登場。一般パイロット用に生産性と操縦性を向上させた再設計機。操縦難度とコストの高さ、加えて政治的問題で配備が進まないVF-19やVF-22の代替機種として配備された。結果としてVF-11の実質的な後継機となり、ゼネラル・ギャラクシー製としては初の統合軍主力機の座を獲得している。エンジンは従来の17系よりも出力こそ抑えられているが、信頼性の高い「FF-2110A」を搭載している。さらに、AVF以降の標準装備であるピンポイントバリア (PPB) システムを搭載し、防御力、格闘性能も向上している。アビオニクスの更新などにより操縦性においても、従来の17系やVF-19、VF-22以上に扱いやすいと現場での評価も高い。
2059年時の最終生産型では第三世代型のアクティブステルスシステムを装備したことでステルス性が向上し、迎撃任務などでは主翼下のパイロンにミサイルを搭載することも多くなった。 また、従来型では半ば無視されていた大気圏内運用も考慮されており、機首の延長や全体の上下厚を薄くすることで空力特性を改善している。なお、この兼ね合いからバトロイド形態はVF-17系としてはやや細身の体型となる。VF-17では両肘に内蔵されていたレーザー砲が省略されたため、ガウォーク形態での「強攻モード」も省略されている。
初飛行は2046年。無人戦闘機ゴーストの本格運用によって有人戦闘機の性能要求が引き下げられた2050年代には、VF-19を退け新統合軍主力機の座に就き、各移民船団や植民惑星でも普及した。第117次調査船団でも運用されていたが、2048年の超時空生命体「バジュラ」の襲撃には歯が立たず船団ごと壊滅したため、より高性能な次世代機の開発が進められることになる。
2055年度にはブロックIIにアップデートされ、フロンティア船団でも多数使用されバジュラ戦役に投入される。2059年にはフロンティア船団が独自に一部の機体をブロックIIIFに改修している。
新統合軍での一般的なカラーリングはブルーグリーン、辺境宙域仕様はサンドイエローで塗装されている。
G.Gマクロス・フロンティア工廠とL.A.I社がVF-171を対バジュラ用に改修した機体。メインエンジンをVF-19Fと同型のFF-2550Fに換装し、従来の17系を凌駕する機動性を発揮する。この変更によりパイロットへのG負荷や操縦難度が増したため、「VF-25 メサイア」などの最新鋭機に採用された「EX-ギアシステム」をコクピットに導入している(型式番号の「EX」もこの改修に由来する)。しかし、機体設計の限度からISC(慣性蓄積コンバーター)の搭載は見送られ、機動限界はVF-25よりも大幅に劣るものとなった。VF-25への搭乗経験があるパイロットからも、「間に合わせの機体」との評価を受ける。
エネルギー転換装甲は従来の約20パーセント増しの強度を持つSWAG/RA155EXを採用。さらに表面に新開発の対ビーム用気化コーティング塗装が施されているため機体色は白となっている。パーソナルカラーは胸部や主翼部のラインに留められており、一般機はグレーのラインだが、アルト機は赤のラインになっている。
基本の武装はMDE弾頭対応型のハワードGU-14B改ガンポッドだが、後述の対バジュラ用追加武装パックが事実上の標準装備となっている。
AP-SF-01+ イージスパックを装備したVF-171EX型の電子戦仕様機。外観的にVF-171とVF-171EXは変化がないため、VF-171用のイージスパックを無改造で装備可能となっている。イージスパックと対バジュラ用標準兵装パックは併用できないため、AVPAGC/MEDC30-EX-AとAVM-11Rは装備せず、主翼のパイロンの兵装のみ追加装備する。
1995年にはバンダイより1/144スケールの非可変のプラモデルが「VF-17S ステルスバルキリー」として発売されている。VF-17Sのファイター形態とバトロイド形態の2機セットになっている。また、頭部パーツは差し替えでS型とD型の両方が再現できる。
1995年にはバンダイより1/65スケールの完全変形トイのVF-17SとVF-17Dのダイアモンドフォース機が「完全変形ステルスバルキリー」として発売されている。
2011年にはやまとより1/60スケールで完全変形トイのVF-17が発売された。VF-17Sダイヤモンドフォース仕様、VF-17D一般機、専用スーパーパックが発売される。
2012年にはバンダイよりDX超合金としてVF-171EX(アルト機)が発売された。また、魂ウェブ限定で専用アーマードパックが通信販売される。2013年にはVF-171(一般機)が発売された。
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