『飛び出せ!青春』(とびだせせいしゅん)は、村野武範主演による東宝制作、テアトル・プロ共同制作の日本テレビ系で放送された『青春とはなんだ』(1965年)を起点とする青春学園シリーズの1作である。1972年2月から翌年2月にかけて一年間放送された。主題歌『太陽がくれた季節』も大ヒットした。学園青春ドラマの代表的作品。
「来る者は拒まない」という校長の方針により、無試験入学制度をとっている太陽学園高等学校には全国から落ちこぼれが集まっていた。中でもサッカー部は劣等生の集まりだった。新任の教師・河野武は、赴任早々のトラブルで教頭に疎んじられ、さっそくサッカー部の部長を押し付けられる。だが、河野は持ち前のチャレンジ精神と同僚の女教師・本倉明子の協力を得て生徒たちに熱き思いを伝えてゆくのだった。
第1話のタイトルでもある「レッツ・ビギン Let's begin!」がこのドラマを通しての合言葉でテーマである。
本作は1965年の『青春とはなんだ』を第1作とする東宝制作、テアトル・プロ共同制作、日本テレビ放映の学園青春ドラマの第6作にあたる。このシリーズは『炎の青春』(1969年)を最後に休止していたが、松竹製作の『おれは男だ!』のヒットを受け、その後番組として再開された。
青い三角定規が歌った主題歌『太陽がくれた季節』も大ヒットとなっている。番組終了直後に映画化され、東宝チャンピオンまつりの1本として公開された(下記を参照)。
舞台となった太陽学園のロケ地は日本大学明誠高等学校(山梨県上野原市)だった。撮影のある休日ともなると、ロケ見学者が殺到した。それ以外のロケも、主に同校の周辺で行われた。たびたび登場する東山駅も上野原の隣の四方津駅で、今も面影を残している。ホームでのシーンや電車の到着シーンは上野原駅と四方津駅で撮られている。「(舞台の)太陽学園に入学したい」という問い合わせも多かったという。なお、太陽学園の設定はシリーズ次作の『われら青春!』にも引き継がれ、生徒の大部分を除く主な登場人物たちは引き続き、同一のキャストでほぼそのまま登場している(下記、および『われら青春!』の項目も参照のこと)。2017年に11月11日のBSフジの「クイズ!脳ベルSHOW」の11時間特番の中で村野武範と石橋正次が特殊メイクで放送当時の顔になりシーンを再現した。これが他局のバラエティ特番とはいえ終了後久しぶりの新作となる。
これら挿入歌は、劇中ではギター1本の伴奏をバックに歌われることが多かった。村野武範による2曲は、上記の『飛び出せ!青春 TV青春ドラマ★グレイテスト・ヒッツ』などに収録。石橋正次の歌手としての代表曲である「夜明けの停車場」も、数多くのCDに収録され発売されている。「ひとつの地球に生まれて」は、2年後の1974年に『われら青春!』の挿入歌として大ヒットになった「ふれあい」の原型的な楽曲である。
1973年3月17日、東宝チャンピオンまつりの1本として公開。テアトル・プロ製作、東宝配給。カラー・シネマスコープ、上映時間73分。脚本は鎌田敏夫、監督は高瀬昌弘。
再編集版ではなく、ドラマの撮影終了(オールアップ)後、新たに撮影された。総集編的な内容となっている。
主要キャストのうち、酒井和歌子と大田黒久美は出演していないが、高瀬の秘蔵っ子であった梅田智子がゲスト出演している(県立東高校の女生徒・宮下由美子役)。
サッカー部の生徒がアルバイトの際に着用する着ぐるみとして、『ファイヤーマン』のドリゴラスとドリゴンが登場している。
同時上映は『ゴジラ対メガロ』『パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻』『ジャングル黒べえ』の3本。
初公開以降、劇場で上映、またCSなどで放映されているが、映像ソフト化はされていない。
『青春とはなんだ』から『あさひが丘の大統領』までの日テレ青春ドラマシリーズの中で、ほぼ同じスタッフ・キャストにより、TVシリーズと同時期に同じタイトルで映画化されたのは『飛び出せ!青春』だけである。
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