慶應義塾大学病院(けいおうぎじゅくだいがくびょういん)は、東京都新宿区信濃町35番地にある慶應義塾設置の大学病院。略称は慶應病院、もしくは慶大病院。
概要
慶應義塾(慶應義塾大学)創設者・福澤諭吉が研究を支援していた北里柴三郎(初代病院長)の尽力のもと、1920年(大正9年)に開院。2019年現在、病床数は960床。
2017年度の統計は、外来患者数 延べ人数: 827,113人 / 1日平均: 3,086人、入院患者数 延べ人数: 286,188人 / 1日平均: 784人、救急患者数: 17,056人。
石原裕次郎、夏目雅子、藤子・F・不二雄、岡本太郎、遠藤周作、田中角栄、坂井泉水、加藤茶等多くの芸能人、著名人、政治家が本院を利用し、なかには本院で死去した著名人もいる。
医療用ロボットの導入にも積極的で、2000年3月にアジアで初めて手術用ロボット「da Vinci」を導入した。
2009年(平成21年)、複雑心奇形の患児の生体肝移植の手術を行い、世界で初めて成功。
2013年(平成25年)、難聴のマウスの内耳にある細胞を再生し、聴力を回復させることに成功(岡野栄之教授)。
厚生労働省より、国際水準の臨床研究等の中心的役割を担う国内の中核病院として、「臨床研究中核病院」に指定されている。
理念・行動指針
- 患者さんに優しく患者さんに信頼される患者さん中心の医療を行います
- 先進的医療を開発し質の高い安全な医療を提供します
- 豊かな人間性と深い知性を有する医療人を育成します
- 人権を尊重した医学と医療を通して人類の福祉に貢献します
交通アクセス
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)中央・総武線(各駅停車)信濃町駅 徒歩1分
- 都営地下鉄大江戸線国立競技場駅 A1口 徒歩5分
- 東京メトロ丸ノ内線四谷三丁目駅 1番口 徒歩15分
- 東京メトロ銀座線、半蔵門線青山一丁目駅 0番口 徒歩15分
- 都営バス品97系統「信濃町駅前」下車徒歩2分
沿革
- 1858年(安政05年) - 福澤諭吉、江戸築地鉄砲洲に蘭学塾を開く(慶應義塾の起源)。
- 1873年(明治06年) - 医学所開設。校長松山棟庵(1880年廃校)。
- 1917年(大正06年) - 北里柴三郎を招聘して医学科予科を開設。
- 1919年(大正08年) - 四谷区西信濃町に新校舎を開設、医学科本科授業開始。
- 1920年(大正09年) - 医学部開設。慶應医学会発足。慶應義塾大学病院として開院。
- 1921年(大正10年) - 『慶應医学』創刊(現在休刊中)
- 1923年(大正12年) - 関東大震災で救護活動を行う。
- 1929年(昭和04年) - 予防医学教室竣工。
- 1932年(昭和07年) - 別館病棟竣工。
- 1945年(昭和20年) - 空襲により病院本館・基礎医学教室など建物の約6割を焼失。
- 1948年(昭和23年) - 病院本館竣工。
- 1950年(昭和25年) - 厚生女子学院開設(看護婦養成所を改称)。
- 1952年(昭和27年) - 「ほ」号病棟(後の臨床研究棟)竣工。『The Keio Journal of Medicine(KJM)』創刊。
- 1953年(昭和28年) - 「に」号病棟(後の6号棟)竣工。
- 1954年(昭和29年) - 特別病棟(後の7号棟)竣工。
- 1963年(昭和38年) - 中央棟竣工。
- 1965年(昭和40年) - 1号棟竣工。
- 1970年(昭和45年) - 5月26日から28日にかけてベースアップを求める職員によるストライキが行われる。
- 1973年(昭和48年) - 亀谷記念伊勢慶應病院、慶應義塾へ移管(翌年慶應義塾大学伊勢慶應病院と改称)。
- 1977年(昭和52年) - 月が瀬リハビリテーションセンター竣工(2011年閉院)。
- 1987年(昭和62年) - 新棟竣工。
- 1990年(平成02年) - 2号棟を臨床研究棟に改修。
- 1994年(平成06年) - 特定機能病院として承認。
- 2003年(平成15年) - 伊勢慶應病院閉院。
- 2009年(平成21年) - 健康情報ひろば開設。
- 2011年(平成23年) - 東日本大震災の被災地に救援医療団を派遣。
- 2012年(平成24年) - 南棟(3号館)竣工(予防医療センターを開設)。
- 2017年(平成29年) - 臨床研究中核病院として承認。
- 2018年(平成30年) - 新病院棟竣工(臨床研究棟・6号棟・7号棟はいずれも解体された)。
- 2020年(令和02年) - 開院100周年。
- 2022年(令和04年) - 新病院棟がグランドオープン。
- 2023年(令和05年) - 予防医療センターが麻布台ヒルズに移転。
指定施設
- 臨床研究中核病院
- 保険医療機関
- 特定機能病院
- エイズ治療拠点病院
- 救急指定病院
- 災害拠点病院
- 労災保険指定医療機関
- 指定自立支援医療機関(更生医療・育成医療・精神通院医療)
- 精神保健指定医の配置されている医療機関
- 生活保護法指定医療機関
- 結核指定医療機関
- 指定養育医療機関(未熟児医療)
- 原子爆弾被害者一般疾病医療取扱医療機関
- 公害医療機関
- 母体保護法指定医の配置されている医療機関
- 臨床研修指定病院
- 外国医師(歯科医師)臨床修練指定病院
- DPC対象病院
- 指定療育機関
- 小児慢性特定疾患治療研究事業委託医療機関
- 地域周産期母子医療センター
診療科等
先進医療
2021年(令和3年)10月1日現在、以下の先進医療を扱っている。
- 抗悪性腫瘍剤治療における薬剤耐性遺伝子検査
- パクリタキセル静脈内投与(一週間に一回投与するものに限る。)及びカルボプラチン腹腔内投与(三週間に一回投与するものに限る。)の併用療法 上皮性卵巣がん、卵管がん又は原発性腹膜がん
- 腹腔鏡下センチネルリンパ節生検 早期胃がん
- 全身性エリテマトーデスに対する初回副腎皮質ホルモン治療におけるクロピドグレル硫酸塩、ピタバスタチンカルシウム及びトコフェロール酢酸エステル併用投与の大腿骨頭壊死発症抑制療法 全身性エリテマトーデス(初回の副腎皮質ホルモン治療を行っている者に係るものに限る。)
- テモゾロミド用量強化療法 膠芽腫(初発時の初期治療後に再発又は増悪したものに限る。)
- 水素ガス吸入療法 心停止後症候群(院外における心停止後に院外又は救急外来において自己心拍が再開し、かつ、心原性心停止が推定されるものに限る。)
- トラスツズマブ静脈内投与及びドセタキセル静脈内投与の併用療法 乳房外パジェット病(HER2が陽性であって、切除が困難な進行性のものであり、かつ、術後に再発したもの又は転移性のものに限る。)(国内唯一)
- 反復経頭蓋磁気刺激療法 薬物療法に反応しない双極性障害の抑うつエピソード
- イマチニブ経口投与及びペムブロリズマブ静脈内投与の併用療法 進行期悪性黒色腫(KIT遺伝子変異を有するものであって、従来の治療法に抵抗性を有するものに限る。)
- 抗腫瘍自己リンパ球移入療法 子宮頸がん(切除が不能と判断されたもの又は術後に再発したものであって、プラチナ製剤に抵抗性を有するものに限る。)
慶應義塾大学関連病院会
福澤諭吉と北里柴三郎の訓えを生かし、最新の医学・医療・病院運営などに関する知識および情報を共有するために、本院は様々な病院と提携し、医療ネットワーク「慶應義塾大学関連病院会」を形成している。ここでは、関連病院の中でも一部の大規模病院のみ記述する。
事件・事故・不祥事
新型コロナウイルス感染
- 2020年(令和2年)
- 3月27日、東京都庁は、47人の新型コロナウイルス感染を確認したと発表。このうちの10人は、集団感染が起きている永寿総合病院の患者らで、同病院に関係する感染者は計25人になった。慶應大学病院では男性患者3人の感染が判明。永寿総合病院から19日に転院してきた感染者と同じ病室に入院していた。
- 3月28日、都内では永寿総合病院で患者らの集団感染が発生。27日には感染者が40人となり、患者の転院先でも感染者が相次いだ。
- 4月2日、都内で2日、新型コロナウイルスの感染者が新たに92人確認された。患者らの間で院内感染が広がっている永寿総合病院や慶應義塾大学病院での陽性者30人以上が含まれる。
- 4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大で、初期研修医の集団感染が発生したと発表した。3月31日、研修医1人の感染がわかり、研修医計99人を自宅待機とし、ウイルス検査を行い18人の感染が判明した。また、自粛要請期間中に研修医約40人が集団で会食していたことが判明した。
関連項目
- 慶應義塾大学大学院医学研究科・医学部
- 慶應義塾大学看護医療学部
- 慶應医学賞
- 大学病院
- 特定機能病院
- 福澤諭吉
- 松山棟庵
- 北里柴三郎
- 日本赤十字社
- 三田会
- 帝国ホテル - 病院内にレストラン「ザ・パーク」を出店している。
- 済生会
- 慶應稲荷大明神 - 病院敷地内に存在する神社
- 江川晴 - 看護師として勤務した。
脚注
注釈
出典
外部リンク
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