第8師団(だいはちしだん、英語: JGSDF 8th Division)は、陸上自衛隊の師団のひとつ。西部方面隊隷下にあり、司令部を熊本県熊本市北区の北熊本駐屯地に置く。
概要
九州南部に位置する3県(熊本県、宮崎県、鹿児島県)の防衛警備、災害派遣を任務とするほか、民生協力及び国際貢献活動を行っている。
出身者は熊本県出身(約2,600名)・鹿児島県出身(約1,700名)・宮崎県出身(約1,500名)の順に、地元出身者が80%を超える構成となっている。
冷戦終結後は台湾問題、南西諸島有事が懸念され、担任区域に約960個の離島を抱える地域的特性がある本師団の重要性が増している。そのため、米国にて米海兵隊との島嶼(とうしょ)防衛に関する共同訓練を行なうなど地域特性に応じた能力の向上に努めている。
26中期防において「事態が生起した場合、必要に応じ、警備区域を越えて緊急展開する」ことを目的に、全国に先駆けて平成29年度末に即応近代化型師団から「機動師団」(1個即応機動連隊、2個普通科連隊基幹)に改編された。加えて西部方面隊直轄部隊の一部を平素当師団隷下に隷属させて運用している。さらに、平成30年度末には奄美大島に吐噶喇列島から奄美群島を守備範囲とする奄美警備隊が編成され、奄美大島に駐屯地の整備が実施された。
沿革
第8混成団
- 1955年(昭和30年)12月1日:陸上自衛隊第4管区隊第12普通科連隊を母体に、第8混成団を新編。混成団本部、同付中隊が熊本駐屯地において編成完結、西部方面総監に隷属。
- 1956年(昭和31年)
- 1月25日:第8特科連隊(久留米駐屯地)、第8施設大隊(竹松駐屯地)、第8偵察中隊(健軍駐屯地)等が編成完結。
- 1月26日:西部方面隊創隊。熊本県、宮崎県、鹿児島県の警備区を第4管区総監から移管、第12普通科連隊(国分駐屯地)を隷下に編合。
- 12月15日:北熊本駐屯地が創設され、混成団の一部が移駐。
- 1957年(昭和32年)3月15日:第8混成団本部、混成団主力が北熊本駐屯地に移駐(4月5日まで)。
- 1960年頃の主要編成
- 第12普通科連隊、第8特科連隊
第8師団
乙師団
- 1962年(昭和37年)8月15日:第8師団編成完結。
- 第8混成団を第8師団(乙師団)に称号変更し、改編。
- 第42普通科連隊(北熊本駐屯地)、第43普通科連隊(都城駐屯地)、第8戦車大隊(北熊本駐屯地)、第8対戦車隊(北熊本駐屯地)、第8輸送隊(北熊本駐屯地)を新編。
- 1975年(昭和50年)8月1日:第8音楽隊を新編。
- 1979年(昭和54年)3月26日:第8戦車大隊が玖珠駐屯地へ移駐。
- 1980年頃の主要編成
- 第12・第42・第43普通科連隊、第8特科連隊、第8戦車大隊
甲師団
- 1981年(昭和56年)
- 3月25日:師団改編(甲師団化・4個普通科連隊基幹)。
- 第7師団隷下の第24普通科連隊が北熊本駐屯地へ移駐し、隷下に編合。
- 第8特科連隊に第4大隊を新編。
- 第8戦車大隊に第4戦車中隊を新編。
- 12月20日:第24普通科連隊が新設のえびの駐屯地に移駐。
- 1985年(昭和60年)3月25日:第8施設大隊が北熊本駐屯地から、新設の川内駐屯地へ移駐。
甲師団(近代化改編)
- 1990年(平成02年)3月26日:師団近代化改編。
- 第12・第24・第42・第43普通科連隊を自動車化連隊に改編。第8対戦車隊に重MAT小隊を新編。
- 第8武器隊、第8補給隊、第8輸送隊、第8衛生隊を統合し、第8後方支援連隊を新編。
- 第8特科連隊第6大隊を第8高射特科大隊として分離独立、師団直轄とする。
- 第8偵察隊に電子偵察小隊を新編。
- 第8師団司令部付隊に化学防護小隊を新編。
- 1990年頃の主要編成
- 第12・第24・第42・第43普通科連隊、第8特科連隊、第8高射特科大隊、第8戦車大隊
- 1994年(平成06年)3月28日:西部方面航空隊から第8飛行隊を隷下に編入。
- 1996年(平成08年)3月29日:第8対戦車隊を廃止し、第12・第24・第42・第43普通科連隊隷下に対戦車中隊を新編。
- 2002年(平成14年)3月27日:第8師団司令部付隊化学防護小隊を第8化学防護隊に改編。
- 2003年(平成15年)10月:第4次東ティモール派遣施設群(UNMISET)として派遣される。
即応近代化師団
- 2005年(平成17年)3月28日:即応近代化師団に改編。
- 第12・第42・第43普通科連隊に軽装甲機動車、93式近距離地対空誘導弾、01式軽対戦車誘導弾が配備。
- 第24普通科連隊をコア化。
- 第8特科連隊第3大隊がえびの駐屯地へ移駐。
- 第8後方支援連隊の武器大隊を、第1整備大隊及び第2整備大隊に改編。
- 2010年(平成22年)5月1日:九州南部で発生した口蹄疫感染で第43普通科連隊が災害派遣要請を受け、宮崎県児湯郡川南町に出動。その後、対応規模を拡大し全被害地域で活動、同年7月27日に完全撤収する。
- 2015年(平成27年)3月26日:西部方面隊直轄の西部方面対舟艇対戦車隊を玖珠駐屯地に駐屯のまま、第4師団隷属から第8師団隷属。同時に、第302対舟艇対戦車直接支援中隊も第8後方支援連隊に隷属。
- 2016年(平成28年)4月・5月:熊本地震で蒲島郁夫熊本県知事から災害派遣を要請され、種々の支援活動に当たる。
- 2018年(平成30年)3月26日:部隊廃止等。
- 第12、第42、第43普通科連隊の対戦車中隊を廃止。
- 第8特科連隊を廃止し、西部方面特科連隊に改編。方面直轄部隊であるが、平時は第8師団に隷属
- 第8戦車大隊を廃止。第4師団第4戦車大隊も廃止され、西部方面戦車隊(平時第4師団隷属)へと再編。一部要員は第42普通科連隊機動戦闘車隊に異動。
機動師団
- 2018年(平成30年)3月27日:機動師団化に伴う大規模改編。
- 第8師団司令部に火力調整部を新設(廃止の第8特科連隊本部から改組)。
- 第42普通科連隊を即応機動連隊に改編。
- 第8後方支援連隊の改編。
- 第8高射特科大隊の改編。
- 第8偵察隊の改編。
- 即応予備自衛官訓練を終了。
- 第24普通科連隊を西部方面混成団隷下に隷属替え。
- 奄美準備室を設置。
- 2019年(平成31年)3月26日:新設駐屯地の開庁および部隊新編等。
- 奄美駐屯地・瀬戸内分屯地開庁及び奄美警備隊を新編。
- 第8情報隊を北熊本駐屯地で新編。無人偵察機(UAV)「スキャンイーグル2」の運用を開始。
- 西部方面特科連隊を西部方面特科隊隷下に隷属替え。
- 2020年の主要編成
- 第42即応機動連隊、第12・第43普通科連隊、第8後方支援連隊、第8高射特科大隊、第8偵察隊、奄美警備隊
- 2022年(令和04年)3月以降:西部方面戦車隊を方面隊直轄から平時第8師団隷属に運用変更。
編成・駐屯地
本師団は1個即応機動連隊と2個普通科連隊を基幹とし、6個駐屯地と2個分屯地に配置され、15個の部隊からなる。本師団の普通科連隊はいずれも甲編制とされている。これに加えて方面隊直轄の西部方面戦車隊・西部方面対舟艇対戦車隊が平時第8師団に隷属している。なお、西部方面戦車隊・西部方面対舟艇対戦車隊は大分県の玖珠駐屯地(第4師団の警備区域)に駐屯しており、災害派遣については第4師団の指揮を受ける。
司令部
主要幹部
脚注
注釈
出典
外部リンク
- 第8師団(公式サイト)
- 第8師団 (@8sidan) - X(旧Twitter)
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