『ウィズ・ザ・ビートルズ』(With the Beatles)は、イギリスにおいて1963年11月22日に発売されたビートルズの2作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム。全英アルバムチャートでは、30週連続で第1位を獲得していた前作『プリーズ・プリーズ・ミー』を抜いて第1位を獲得した。
1963年11月22日にイギリスで発売された本作より、モノラル盤とステレオ盤が同じ日に発売されるようになった。 ジョージ・ハリスン初の作詞作曲「ドント・バザー・ミー」を含む8曲の自作曲とカバー6曲が収録され、収録曲のほとんどがモータウンもしくはR&Bとなっている。また今回は先行シングル曲を収録せず、すべてアルバム用に曲を用意している。
1987年2月26日にモノラル盤、2009年9月9日にステレオ盤がCD化された。
日本では来日記念盤として『ステレオ! これがビートルズ Vol.2』と題して曲順を編集したものが発売され、イギリス盤に準拠したものは1976年に発売された。アメリカ合衆国では1987年のCD発売まで発表されなかった。本作の収録曲は『ミート・ザ・ビートルズ』『ザ・ビートルズ・セカンド・アルバム』に分解して発表され、含まれる曲も異なった。
ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・ベストアルバム500において第420位にランクされているほか、2003年にはRobert Dimeryの音楽批評書『死ぬ前に聴くべき1001枚のアルバム』の1枚に含まれた。
前作『プリーズ・プリーズ・ミー』では、収録曲の大部分が1日で録音されたが、『ウィズ・ザ・ビートルズ』の収録曲の場合は、1963年7月18日から10月23日までの3ヶ月間に7回に渡って録音された。本作の録音作業が行なわれていた時期、バンドはラジオ・テレビ出演、取材対応、さらに公演活動をこなす多忙な生活を送っていたが、本作にはシングル・カットされた楽曲は収録されていない。
制作作業は以下のように行なわれた。
前作『プリーズ・プリーズ・ミー』のアルバム・ジャケットはカラー写真で、アイドル・グループのアルバム風だったが、この作品は白黒写真で、彼らの顔に片側から光を当てて、光の当たらない側半分を影にして撮影するという当時としては画期的な手法(通称:ハーフ・シャドウ)が用いられた。
このジャケット写真を撮影したのはロバート・フリーマン。マネージャーのブライアン・エプスタインは、ロバートが撮影したジョン・コルトレーンの白黒写真に感銘を受けて依頼した。メンバーはハンブルク巡業時代に知り合った友人のアストリッド・キルヒャーが撮影していた写真をフリーマンに見せて、同様のものにしてほしいと要請した。このアルバムジャケット以降、レコード・ジャケットがアート作品として注目されるきっかけになり、『アビイ・ロード』のジャケット同様、多くの模倣やパロディを生んだ。ヴァン・ヘイレンのアルバム『OU812』も同じ手法で撮影されたジャケットを用いている。
オーストラリアで発売された本作のジャケットは、まったく異なるものになっている。なお、この変更されたジャケットにメンバーは満足していなかったとされている。
※出典
英国レコード産業協会による認定は、1994年以降の売上によるもの。
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