大韓航空(だいかんこうくう、ハングル: 대한항공; ハンチャ: 大韓航空; RR: Jusikhoesa Daehan Hanggong, 英: Korean Air)は、韓国最大の航空会社(フラッグ・キャリア)。イギリスのスカイトラックス社による航空会社の格付けで、実質最高評価の「ザ・ワールド・ファイブ・スター・エアラインズ(The World's 5-Star Airlines)」の認定を得ている。
2000年に発足した航空連合「スカイチーム」の創設メンバーである。
韓国最大かつアジアで大手の航空会社の一つであり、仁川国際空港を国際線用ハブ空港としてヨーロッパ、アフリカ、アジア、オセアニア、北アメリカを結ぶ航空ネットワークを構築している。また、国際貨物輸送で世界2位、国際旅客輸送では世界17位である。国内線用ハブ空港は金浦国際空港。航空券の座席予約システム(CRS)は、アマデウスITグループが運営するアマデウスを利用している。
韓進グループの中核企業で、創業家の趙一家が経営を握っており、2000年代初頭にグループ会長となった趙亮鎬のワンマン企業と目されている。後に、趙亮鎬の家族らも大韓航空の要職に就いたが、2014年に当時の副社長である趙顕娥が大韓航空ナッツ・リターン事件を起こしたほか、他の一族が私物を大韓航空の機材と称して関税を払わずに国内に持ち込んだ容疑などが浮上して大韓航空本社が家宅捜索を受けるなど、企業イメージを失墜させる事件も発生している。2017年には、趙亮鎬の長男である趙源泰が社長に就任したが、過去の大学編入時の手続きに問題が指摘されるなど創業者一族に依然として厳しい目が向けられている。2019年の定期株主総会では、趙亮鎬会長の取締役再任案が、第2位株主である国民年金公団や外国人株主などの反対で否決された。
1946年設立の大韓国民航空社を前身とし、韓国の国営会社である大韓航空公社として1962年に設立された。
国営航空会社時代は、国内線と近距離国際線をダグラス DC-3やDC-4、日本航空機製造YS-11などで運航していたが、赤字が続いていたため、当時の大統領である朴正煕が韓進グループの創業者・趙重勲に民営化を相談、1969年に韓進グループ主導で民営化され、株式会社となった。
初めての国際線は日本で、大阪(当時は伊丹)に開設された。民営化当時は、ジェット機1機、プロペラ機7機の計8機で運用していた。その前後にボーイング707やダグラス DC-8を導入し、韓国経済の急成長に合わせてヨーロッパ線やアメリカ線、中東線などの長距離路線を開設した。
1984年に英語名称を「KOREAN AIR LINES」から、現在使用している「KOREAN AIR」に変更した。ただし、近年までATB券の発券航空会社名欄では「Korean Airlines」を使用しており、また現在でも英文による正式な会社名は「KOREAN AIR LINES」である。英語名称変更以前は、機体には「大韓航空 KOREAN AIR LINES」と漢字と英字で表記され「KAL」との略称も書かれていた。
1988年までは、韓国では唯一の航空事業者として知られていたが、アシアナ航空が設立されたことで両社は歴としたライバル関係になり、運航機材や航空路線などにおいて激しい競争を繰り広げている。特に、欧州エアバス社が開発した世界最大級の超大型旅客機、エアバスA380に関しては、大韓航空が10機を発注し、2011年に就航させたのに続き、6機を発注したアシアナ航空も、その3年後の2014年に就航させるほどである。
機体のカラーリングは、かつては白地にレッドとブルーを配したデザインだったが、英語名称の変更と相前後して現在のライトブルーとシルバーを基調としたものにし、同時にシンボルマークも韓国の国旗にも描かれる「太極」をイメージしたものに変更された(公式ロゴではKOREAN AIRの「O」の字にこのマークが当てられる)。
2000年6月、デルタ航空やエールフランス、アエロメヒコ航空とともに航空連合「スカイチーム」を設立。
2007年12月、LCCの「エア・コリア」(後にジンエアーと改称)を設立した。
2016年12月1日から、日本航空(JAL)の「JALマイレージバンク」との相互提携を開始。大韓航空運航便の沖縄/那覇ーソウル/仁川線以外の日韓線が対象となる。
2018年、世界最大規模の航空会社、アメリカのデルタ航空との共同事業を開始。
2020年4月7日、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で航空需要が激減。従業員1万9000人のうち7割を対象に6カ月間一時帰休を行うことを発表した。
2020年11月17日、大韓航空がアシアナ航空を買収し、経営統合することが正式に決定した。
2020年12月10日、イギリスに拠点を置く航空サービスリサーチ会社の、スカイトラックスに5つ星エアラインに認定された。
2005年10月から着用されている制服は、薄いベージュのジャケットにスカート、パンツ。アシスタントパーサー以上は薄いブルーのジャケット、同2色のブラウス、カーディガン、スカーフ、エプロン、そして髪飾りがある。なお、デザイナーは、ジャンフランコ・フェレである。
機内サービスの中でも、特に機内食では国際機内食協会が授与する機内食部門のオスカー賞と呼ばれるマーキュリー賞において、最優秀機内食賞(金賞)を2度受賞しているなど評価は高い。(1998年-「ビビンバ」、2006年-「ビビンククス(韓国風そうめん)」最優秀機内食賞)。
長距離路線はファーストクラス、プレステージクラス(ビジネスクラス)、エコノミークラスの3クラス制を採っていたが、2019年より座席を効率的に運営して収益性を高める措置として、70%の路線でファーストクラスを廃止し、ビジネスクラスに移行させる措置を発表している。
機内誌は『Morning Calm』(モーニング・カーム)で、大韓航空の韓国国内線と国際線の全路線、全便の機内に搭載される。朝鮮語に加え、英語のページが掲載されている。以前は毎月発行されていたが、現在は年6回の発行となっている。
43カ国・121都市に就航。
(一部情報未更新)
一時運休:COVID-19やロシアのウクライナ侵攻の影響により一時運休中。
スカイチーム加盟航空会社を含め、日本航空など35の航空会社とコードシェアをしている。2022年12月現在
なお、ロシアのウクライナ侵攻によりスカイチームの会員資格が一時停止されているアエロフロート・ロシア航空とのコードシェアは、全ての便で一時停止となっている。
先述のように1960年代へ日本に乗り入れを開始した。東京-ソウル間に集中する日系航空会社とは対照的に、日本市場からの乗り継ぎ客の取り込みを図って、地方都市にも採算度外視で積極的に乗り入れていた。
特に成田・羽田・関西・中部・新千歳・福岡にソウル(仁川・金浦)から、それぞれ1日に複数便で乗り入れている上、2004年8月から日本航空とコードシェア便提携を行い高頻度運航を実現し、高い利便性を誇っている。また、成田 - ホノルル線も運航中。
かつては以遠権を用いて成田 - ロサンゼルス、関西 - グアム線も運航していた。日韓関係の悪化に伴い、2019年7月以降関西国際空港をはじめとした主要空港の発着便数が順次縮小されていた。しかし、2023年冬スケジュールでは多くの便が再開している。
将来的には2025年に国際チャーター便、2030年に国際定期便が解禁される予定の神戸空港への就航も目指している。
大韓航空は、エアバスの機材とボーイングの機材をほぼ均一に運航していることも特徴である。
7機のエアバスA380型機を注文し、3機分のオプションも加える。最初のA380型機の納入予定は、2007年の終わりから2009年までに引き渡しが開始される予定であったが、納入予定からずれ込んでおり、2011年5月より引き渡しが始まった。その後は順調に受領が進んで、2014年7月28日には最終号機となる10機目(HL7628)が導入され、計画当初の通り10機が出そろった。
同年5月31日には、ボーイング 747-400ERFを8機発注している。
旅客部門では2006年にボーイング 747-400の代替と位置づけ、ボーイング 777-300ERを9機(引渡し1機・オプション4機)発注し、2009年にはボーイング 747-8ICを5機発注している。貨物部門ではボーイング 747-8Fを7機、そしてボーイング 777Fを5機発注している。同社は747-8における旅客型と貨物型両方を運航する、世界で唯一の航空会社である。
ボーイング 787-9型初号機(機体番号 HL8081)を2017年2月22日に受領。2月24日、韓国に到着(今年中に更に4機、2019年までに更に5機〈合計10機〉導入する計画)。ファーストクラス6席、プレステージ(ビジネス)クラス18席、エコノミークラス245席の計269席で構成。3月7日より韓国国内で運航を開始。6月ごろよりトロント、マドリード、ロサンゼルスなどの長距離路線で運航する予定。
なお、大韓航空が発注したボーイング社製航空機の顧客番号(カスタマーコード)はB5で、航空機の形式名は747-4B5、747-4B5F、777-2B5ER、777-3B5などとなる。
2015年11月7日には小型機のA321neoを30機確定発注したと発表した。今回の契約では、20機のオプションも設定した。今年初に結んだコミットメントに基づくもので、大韓航空がA320ファミリーを発注するのは初めてである。 その後、導入され、羽田空港などの近距離国際線などに使われた。
マイレージサービスは、SKYPASS(スカイパス)である。2008年6月までは加算したマイルの有効期限が無かったが、同年7月からは10年間の有効期限がある。配偶者、両親、子供、祖父母(父方のみ)、孫(父方のみ)のうち本人を含め5人までマイレージ合算して、特典に利用できる。また、11歳までの子供会員には「スカイパスジュニア」という専用の会員組織がある。大韓航空が加盟しているスカイチーム加盟各社のほか、下記の航空会社と提携している。
日本国内では、三菱UFJニコス(「DCカード」《VISA・MasterCard【一般・ゴールド】》、「MUFGカード」《American Expressのみ》)とJCB(一般・ゴールド)と提携したクレジットカードをショッピングにて利用する事でマイレージが加算される。
仁川国際空港(金浦国際空港)と韓国の首都、ソウル市内を結んでいる。搭乗航空会社に関係なく利用できる。2021年、株式をプライベート・エクイティ・ファンドに売却し、Kリムジンに社名を変更した。
かつては釜山・金海国際空港発着路線も存在したが、廃止された。
大韓航空は1976年に航空宇宙部門「製造事業部」を設立しており、現在Korean Air Aerospace Division (KAL-ASD) として知られている。
航空宇宙に関する研究開発以外にも、航空機のライセンス生産や部品製作も請け負っており、世界で唯一の航空機を製造する部門を持つエアラインとなっている。 UH-60、F-5、F-16のライセンス生産や、ボーイングやエアバスの旅客機向けの部品も幅広く手がけている。
製造事業部は、金海国際空港に位置してあり、業界従事者たちからテクセンターと呼ばれている。
大韓航空は、1997年から1999年にかけて3年連続の墜落事故を起こした為、連邦航空局(FAA)は韓国の航空安全管理体制の評価をカテゴリー「1」から「2」に格下げした。なお、その後同社はデルタ航空の副社長を社長に招聘するなどし、現在では元のカテゴリー「1」へと戻っている。
2011年(平成23年)6月16日、成田 - 仁川間に、新型機「エアバスA380」を投入するのに先立ち、同社の会長やマスコミを搭乗させ、トランスポンダを切った上で、日本と領有権問題のある日本海海上の竹島上空でデモ飛行を実施した。
これに対して、日本の外務省は、「明確に領空侵犯にあたる」として、日本国外務省の全職員が公務での大韓航空機の利用を同年7月18日から1ヶ月間、自粛することを決定し発表した。
これに対し韓国政府は、「非常に遺憾」とし撤回を要求したが、自粛は予定通り実施された。
この件についてサーチナによると、『KOREAN AIR』と書かれている旅客機に大韓航空の会長と韓国の各省庁の長官まで搭乗させて竹島上空を飛んだのは、領有権を主張する日本からすれば敏感にならざるを得ないとの航空関係者の見方を伝えた。
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