中日新聞(ちゅうにちしんぶん)は、愛知県名古屋市に本社を置く中日新聞社が、東海地方を中心としたエリアで発行する日刊新聞・ブロック紙(広義の地方紙)である。ブロック紙を含む地方紙の中では国内最大の規模を誇る。
戦時統合により新愛知と名古屋新聞が統合して創刊した経緯から、今なお大島家と小山家の2オーナー制が続いている。中京圏(名古屋都市圏)では圧倒的なシェアを誇っており、2023年下半期平均での中日新聞単独部数は179万部(朝刊)である。読売新聞、朝日新聞に次いで全国3位の発行部数を誇り、毎日新聞(162万部)、日本経済新聞(約143万部)、産経新聞といった他の全国紙の発行部数を上回る。ただし、公称部数かつ宗教団体の機関紙という特殊な性質を持つものの、聖教新聞は読売新聞に次ぐ550万部であり、聖教新聞を含めるならば中日新聞は4位ということになる。中日新聞東京本社が発行する東京新聞や中日新聞北陸本社が発行する北陸中日新聞などを併せれば約216万部(朝刊)に達する。
本記事では名古屋市中区の本社について、便宜上「名古屋本社」と記載する場合がある。
今でこそ日本国内の主要商業新聞の中では朝日新聞と並んでもっとも進歩主義的な論調だが、合併前の2紙(旧新愛知、旧國民新聞)は現在とは異なる思潮に立っていた。
戦前の旧新愛知は立憲政友会系ということもあり、右寄り路線だった。1933年に旧新愛知が買収した旧國民新聞も同様の流れに属していた。また旧名古屋新聞は昭和初期の二大政党制では立憲民政党に近い立場を取っていた。立憲民政党はどちらかといえばリベラル(自由主義、政治的穏健な革新)に近かったものの、当時は社会主義や共産主義を掲げる政党が軒並み非合法とされていたため、戦後日本の左派政党とは思潮(思想)や支持層が根本的に異なる。
右寄り路線は、旧國民が旧都新聞と合併した、初期の東京新聞では、中部日本新聞の管轄下になる昭和30年代後半まで引き継がれた(1963年11月業務提携、1967年10月営業譲渡)が、中部日本新聞では当初、旧名古屋新聞(新愛知と1942年に合併した新聞社)出身者が論説の主導権を握り、加えて旧新愛知で編集主幹を務めた田中斉が1946年(昭和21年)の総選挙に日本社会党公認で立候補し当選したことで、180度転換する。これ以降、現在まで国政では中道左派〜左派の立ち位置を取るようになった。国会に議員を出している政党では旧日本社会党(現・社民党)、旧民主党、立憲民主党に近い。なお、民共共闘以後は日本共産党にも一定の評価をしており、『しんぶん赤旗』が2015年以降、本紙の論調をそれなりに評価する姿勢に変化している。
2012年11月28日の社説「脱原発の新党 民意のよき受け皿に」では、 脱原発の新党「日本未来の党」を評価し、「十年後をメドにすべての原発を廃止」と主張する小沢一郎代表の「国民の生活が第一」、日本共産党や社民党とも協力も提案している。
同年12月の第46回衆議院議員総選挙の結果で、第2次安倍内閣が発足したときの「特報 安倍内閣 名付けるなら…」という記事にて、森田実の「極右はしゃぎすぎ」、國分功一郎の「学力低下」、北原みのりの「ネトウヨ」といったコメントを掲載した。選択的夫婦別姓制度については賛成の立場をとっている。
日本国憲法改正・日本国首相の靖国神社参拝・日本の原子力発電・君が代起立命令判決・特定秘密保護法案・平和安全法制などに批判的である。
中日新聞の幹部に岡田三兄弟の三男・昌也がいる(長男はイオン社長・元也、次男は立憲民主党衆議院議員で民主党元代表・克也)。立憲民主党所属で、党内左派グループサンクチュアリ代表の近藤昭一は元中日新聞の社員である。
東日本大震災時の福島第一原子力発電所のメルトダウン事故以後は、福島に支局を設け脱原発の特集記事を政治、社会、科学における記事だけでなく、特捜班を結成し、連日連載した。このため全国紙はもとより、ブロック紙の中でももっとも強硬な反原発論陣を張っている。ただし一部には偏向報道だという指摘もあり、江川紹子は「反原発機関紙だ」とツイッターで批判している。また佐高信は『サンデー毎日』のコラムにおいて、「原発推進派の幸田真音を長きに渡りコラムを連載させた時点で反原発であったとは言えない」と指摘している(下記の『疑義が持たれた報道』も参照)。
安倍晋三が掲げた経済政策であるアベノミクスについては、2013年1月29日の中日新聞夕刊の夕歩道(夕刊コラム)において「調子に乗りすぎるなよアベノミクス」と述べている。一方で、2013年2月10日の社説において「金融緩和と拡張的財政政策の組み合わせは景気を刺激する。これは経済学の教科書に必ず書いてある基本の話で、実は議論の余地はない」「本紙はこの10年ほど、一貫して金融緩和の重要性を指摘している」と述べている。実際、欧米のリベラル・左派・進歩主義者の多くは「反緊縮」を掲げており、アベノミクスや現代貨幣理論に近い立場を取る。
朝鮮学校に対して、擁護や支援の報道する立場をとっている。2011年2月3日の社説「朝鮮学校無償化 教育機会をゆがめるな」でも朝鮮学校を無償化にすべきと報道をしている。
各県内での広域地区版のほか、地域面などで細分化される。ここでは、中分類までのみを記載する。小分類については公式サイトなどを参照。
題字は「県内版」。愛知県と静岡県のみ「県内版」と称する。
題字は「岐阜県版」。
題字は「三重版」。
名称は「東海本社版」、題字は「県内版」。静岡県と愛知県のみ「県内版」と称する。
名称は「長野県版」、題字は「信州」。
名称は「滋賀県版」、題字は「滋賀中日」。
名称は「福井県版」、題字は「福井」。
2011年7月24日に地上デジタル放送の完全移行が行われることに伴い、同日付からテレビ欄のレイアウトをリニューアルした。アナログ放送終了によりGコードが廃止され、午前・午後の番組枠の行数がこれまでの4行から3行に再編された。また、これまで中面で掲載されていた民放系BSデジタル局のうち、BS日テレ、BS朝日、BS-TBS、BSジャパン(現・BSテレ東)、BSフジが最終面に移動した。中面にはスターチャンネル1、BS11、トゥエルビが掲載されているほか、一般紙では珍しくJ SPORTSの4つのチャンネル(1・2・3・4)を掲載。さらに、2011年10月1日にWOWOWの再編でプライムは最終面、ライブ・シネマは中面に掲載されている。同時にBSスカパー!および放送大学テレビ・ラジオの番組欄も中面に掲載されるようになった。2012年3月17日からはDlifeも追加されている。2017年1月1日付から、前日まで最終面に掲載されていたWOWOWプライムが中面に、同じく中面に掲載されていたBS11、トゥエルビが最終面にそれぞれ掲載位置が入れ替わった。2022年11月1日からは前日(10月31日)に閉局したBSスカパー!に替わってBS松竹東急とBSJapanext、時代劇専門チャンネルが新たに掲載され、スター・チャンネル1・2は掲載を取り止めた。
サンデー版の3・6ページ目に地上波の放送局、4・5ページ目にBSの放送局を掲載。月曜から翌週の日曜までを日別に掲載されるが、日刊県民福井はサンデー版を発行していないため日曜日の中面に掲載される。
中日スポーツ・東京新聞・東京中日スポーツを除く中日新聞グループ各紙(中日新聞、中日新聞静岡版、北陸中日新聞、日刊県民福井)購読者を対象としたネット会員サービス。購読者は一般会員に無料で登録することができ、当該新聞の記事の詳細を閲覧できるほか、名古屋市内向け朝刊紙面と各地方版、サンデー版をパソコンで閲覧できる紙面ビューアー・スマートフォンで閲覧できる専用アプリが用意されている。また「プレミアム会員(別途月額税込み324円)」への登録を済ませると、東京新聞の電子版も閲覧できる。なお東海3県、北陸3県と、長野県・静岡県・滋賀県の一部地域では東京新聞電子版は中日新聞プラスプレミアム会員限定となっており、それ以外の地域は中日新聞プラスの会員でなくても東京新聞電子版は申し込めば閲覧できる。
なお、前身の「中日新聞プラス」は2020年5月27日にリニューアルを行い、中日新聞webに統合され、地方版を除く紙面ビューアー・専用アプリは2022年2月17日に提供が開始された。
中日新聞の部数の推移は2010年270万部、2011年268万部2012年266万部、2013年264万部、2014年253万部、2015年245万部、2016年245万部、2017年236万部2018年227万部、2019年219万部、2020年208万部2021年197万部、2022年188万部と減少傾向にある。
(福井支社は日刊県民福井の法人上の登記本店と同じであるが、電話番号が異なる。また敦賀、小浜を除き日刊県民福井の支社・通信部を兼務)
中日新聞の縮刷版は1972年2月に創刊(1972年1月分)されている。最終版(=名古屋市民版)の一か月分の全紙面をA4サイズに縮小し、一冊の書籍にして毎月下旬に発行されている。東海3県を中心に中部地方の図書館や国立国会図書館で閲覧ができる。
なお、中日新聞東海本社発行の静岡版、中日新聞東京本社が発行する東京新聞と、中日新聞北陸本社発行の石川県の北陸中日新聞・福井県の日刊県民福井の系列各新聞は縮刷版を発行していないが、関東地方・北陸地方でも東京新聞・北陸中日・県民福井の販売店を通じて中日新聞縮刷版(名古屋版)の申し込みが可能である。
東海地方
滋賀県
関東地方
長野県
北陸地方
北海道地方
※中日新聞のテレビCMなどのイメージキャラクターは、2002年から設定された。東京新聞も中日新聞のキャラクターを共用している。
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